絵本 Feed

2010年6月 5日 (土)

わが家の「ノーメディア・デイ」

■今週の日曜日、諏訪地区PTA指導者研修会の第二部「第6分科会:メディア漬けの子供はどうなってしまうのか!」の講師として呼ばれて、諏訪南中学校まで行ってきた。

7つの分科会の中でも、一番関心が高い分野だったみたいで、参加者が60名近く(しかも多くが父親)もあり、午後2番目の講演で眠たく疲れる時間帯にも係わらず、皆さん熱心に耳を傾けて下さった。ありがたかったな。90分間一人で喋りすぎてしまい、講演後のグループ・ディスカッションの時間が少ししか取れず申し訳ないことをしてしまった。ごめんなさい。

講演では例によって「皆さんも家庭でノーテレビ・デイに挑戦しましょう!」と声高らかに訴えてきた訳だが、はたして、演者のぼくは「それ」を実践しているのだろうか?と、講演中にふと思ってしまったのだ。わが家では、子供たちも親もテレビ好きだ。毎日毎週見る番組がいっぱいあって、ハード・ディスクに録画して後から見る番組も含めれば、連日2〜3時間は家族でテレビを視聴している。

さらに子供らは、連日 Wii のゲーム(プレステや任天堂DSはわが家にはない)に興じている。一応、1日1時間までと親子で取り決めはしているが。

加えて、父親であるぼくは深夜帯のテレビ番組が大好きときているし、
ずいぶん昔からネット中毒で、最近では診療中も Twitter のタイムラインが気になって仕方がない。

そんな自ら「メディア漬け」の人間が講演するのは罪なんじゃないか?
そう自責の念にかられた訳です。


■という訳で、日曜日の夜にわが家の家族で話し合って、
6月2日(水)を、わが家の「ノーメディア・デイ」とすることに決めたのだった。
妻と子供たちは案外平気みたいだ。ただ問題は、禁煙した時よりも
厳しい試練になるに違いないぼく自身。
「絶対無理よ」妻は言った。「なにくそ」ぼくも言った。


■そんな感じで、わが家での初めての「ノーメディア・デイ」は始まった。
(ノーテレビ・デイは以前に何回か挑戦したことがあるのだ)
忙しかったこともあり、禁煙した時よりはストレスはなかったですかね。
皆から危ぶまれていたこの僕も、ちゃんと24時間耐えることができた。
やったね! これなら、毎週は辛いけれど、月一回ならできるぞ!


じつはこの日、鳩山首相辞任というとんでもないニュースがあったのだけれど、
「ラジオは一応 OK」ということにしてたので、リアルタイムで知ったのです。
情報がなかったから、7対0で勝っていたのに、オリックスに逆転負けした中日投手陣の不甲斐なさにリアルタイムで一喜一憂しながら親子共々落胆することもなく過ぎてよかったかも。


■この日の午後は、1時から医師会で常務役員による決裁。2時15分に終了して、30分遅れで高遠第一保育園の内科健診。
園長先生に3時のおやつをご馳走になってから、午後4時のお迎えの時間まで
例によって絵本を読ませてもらった。年長さん、年中さん、途中からは年少さんも。
子供らの期待に応えることはできたかな? ちょっと自信ない(^^;;


1)『ダックスくんとフントくん』MAYAMAXX(こどものとも年少版 2010年・5月号)
2)『しましま みつけた』平野恵理子さく(こどものとも年少版 2009年・9月号)
3)『なりました』内田麟太郎・作、山口マオ・絵(すずき出版)
4)『なんでもパパといっしょだよ』 フランク・アッシュ、作絵(評論社)
5)『ぶたぶたくんのおかいもの』 土方久功さく・絵(福音館書店)
6)『ひまわり』 和歌山静子・作(こどものとも年少版 2001年・8月号)


2010年5月14日 (金)

天使幼稚園での内科健診

■春の保育園内科健診月間が始まった。初回の昨日は、伊那市御園の「天使幼稚園」。

わが家は、ぼく以外全員が天使幼稚園の出身者だ。妻も、長男(中2)も、次男(小6)もね。(ちなみに、ぼくは高遠第一保育園出身)年中組「サフラン」の担任は、最近ご結婚された清水先生。「月間かみいな」に旦那さんとの2ショットが載ってるのを、妻が目ざとく見つけたのだ。年長組のあと、旧姓清水先生が園児を引率して健診会場の遊戯室(ホール)に来たので、診察終了後おもむろに「ご結婚おめでとうございます!」と、ご挨拶。妻からも「絶対に、よろしく伝えてね」と伝言されてたからな。


健診は昼休みの午後1時半から始まって、40分ほどで終了。あれ、今年度の年少さん「ゆり組」は、20人満たないの? 少子化+父母共稼ぎのため延長保育で、午後3時前にはバスのお迎えに出なければならない「幼稚園のニーズ」はどんどん減ってきていることが、実数として如実に表れていたのだった。


健診終了後、高橋園長先生にお願いして、年長のアネモネ組で絵本を読ませてもらった。


1)『どうぶつサーカスはじまるよ』 西村敏雄・作(福音館書店)
2)『つきよのかいじゅう』 長新太・さく(佼成出版社 )
3)『ハンダのびっくりプレゼント』 アイリーン・ブラウン作(光村教育図書)
4)『やっと みつけた』 エリック・バトゥー・作、たなかなおと・訳(グランまま社)


ほんとは、「三びきのやぎのがらがらどん」を読もうかと思っていたのだ。
それと、『ガンピーさんのふなあそび』大型本。
でも、直前で変えたんだ。なんとなくね。


『どうぶつサーカスはじまるよ』は、鉄板だな。どこでも必ず盛り上がる。
ところが、長新太さんはやっぱり難しい。
大人と子供との波長が、よっぽど合った時でないとなかなかヒットしない。

『つきよのかいじゅう』は、子供たちに前半おもいっきし期待させといて、
後半一気にはぐらかす、その肩すかしのナンセンスに、子供らはただキョトンと
してしまうのだった。


2010年5月 9日 (日)

『絵本が目をさますとき』長谷川摂子(福音館書店)

■今日は、上伊那郡飯島町にある「風の谷絵本館」主催の講演会があった。

午後3時から、飯島町文化センター小ホールにて。
長谷川摂子さんの講演会。
すばらしかった!

長谷川さんの講演は、2004年10月24日(日)に、下伊那郡喬木村で椋鳩十生誕100周年記念した会でお聞きしたことがある。
「日記:2004/10/27,30」に感想も書いた。
今回の講演も、基本的には同じ話だった。でも、いいお話は何度聞いてもいいものだ。


喬木村での講演で『おおきくなったら/チェコのわらべうた』内田莉莎子・訳、ヨゼフ・ラダ絵(福音館書店)を紹介してもらって興味を持ったのだが絶版で入手困難本だった。その後ずっと探していたのだが、去年だったか、ブックオフ松本平田店で見つけて 105円で入手した。すっごく嬉しかった。ところが、読んでみてどこが面白いのかちっとも分からない。なぁんだ。正直がっかりした。


そして今日、長谷川さんが「この絵本」をまた紹介してくれたのだが、実際にリズムに乗せてテンポ良く長谷川さんが読むと、聴いていて何とも心地よいのだ。特に「ぱんやの おじさん ぱんを やく たたいて こねて まるめます」 あ、こういうふうに読むのか! 発見だったなあ。


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■今日の講演で一番の収穫は、何と言っても長谷川さんの『もけらもけら』が聞けたことだ。
いや、噂は聞いていたのだ。長谷川さんの『もけらもけら』は凄いって。
ぼくも一応「この本」を得意としているので、そのことがずっと気になっていた。
だいたい「この本」を僕以外の人が読むのを聞いたことがなかったし。

で、長谷川版『もけらもけら』。
正直、負けた! と思った。もう、完敗ですね。
すっごいなぁ。そうか、そう読むのか。
いやぁ、まいったなぁ。面白いじゃないの。


今日の講演は、聞き手の子供たちがいて、話し手の大人がいて、
そして絵本がある。そのトライアングルがアンサンブルとなって、
掛け替えのない「場」がそこに生まれる、ということの実証が、図らずもライブでなされた。


会場には10ヵ月くらいの赤ちゃんを抱いたおかあんさんが前から2列目にいた。
すっごくいい子で、おとなしくずっと静かにしていたのだが、
講演が1時間を超えたころから、さすがに嫌になったんでしょうね。
大きな声を出して、今にも泣き出しそうで、若いおかあさんは
赤ちゃんをあやすのに四苦八苦。

その時、長谷川さんが絵本を読み始めたのだ。
『ぐやんよやん』と『もけらもけら』の2冊。

そしたら、イヤイヤだった赤ちゃんが急に静かになったかと思ったら、
急にケタケタと笑い始めたのだ。驚きました。
すっごいなぁ、絵本。


長谷川さんは言いました。
「赤ちゃんにとって大切なのは、食べて、歌って、遊ぶことが3本の柱なのです」と。

なるほどなぁ。

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2010年4月30日 (金)

さようなら、沢田としき さん


■絵本作家の沢田としきさんが亡くなった。「ブログ」で闘病中であることを知り心配していたのだ。絵本『みさき』内田麟太郎・作、沢田としき・絵(佼成出版社)は、絵に凛とした迫力がある傑作。

「2009年10月2日の日記」(ずんずんスクロールして一番下にあります)に感想を書いた。さっきから書庫をずっと探しているのに、その『みさき』が、どうしても見つからない。

この写真を見る


早生まれだったとしたなら、もしかして同学年だったのかも。
ショックだ。若すぎる死。


大変な骨髄移植による治療にも耐えてがんばってきたのに。


希有な才能が消えてしまった。ほんとうに残念。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

2010年3月30日 (火)

「こどもネット伊那」いなっせ7Fでのお話会も50回でラスト

■正直、疲れてきていたのだ。それに飽きてきたのかもしれない。
まる6年間続けてきた「こどもネット伊那」いなっせ7Fでのお話会。


当初は毎月第3金曜日の昼休みにやっていた。
最近では、毎月だとキツイので隔月にしてもらっていたが、
それでも次第にキツくなっていった。
この4月からは、医師会での仕事が増えさらに忙しくなる。

別に、見返りが欲しかった訳ではない。
ただ、惰性で続けるだけの意味が見出せなくなったのだ。
「ほんとうに必要とされているのだろうか?」
ふと、そう思ってしまったのだ。


ごめんなさい。


という訳で、担当者だった「こどもネット伊那」の井上さんには大変申し訳ないのだが、
このお話会を暫く休止させていただくことにした。


サザンオールスターズも決して解散とは言わなかった。
「バンド活動をいったん休止します」たしかそう言った。
ぼくも同じ気分だな。

疲れたので、少しだけ休ませて下さい。
元気になったら、また活動を再開しますよ。


で、先週の金曜日がその「ラスト公演」だった。
訊けば、今回で50回なのだそうだ。
ちょうど切れがいいではないか!


ラストはテーマを決めずに、ただ好きな絵本を読んで終わりにしたい、
そう井上さんにお願いしてあった。


そしたら、「こどもネット伊那」の井上さんと井口さんは、
かなり無理して頑張って、
かつてないほど沢山の親子連れを当日集めてくれた。

うれしくて、涙がちょちょぎれそうになったよ。
ほんとうにありがとうございました。

【この日のメニュー】 もう、持ちネタ総動員だったね(^^;;

1)『バナナです』『いちごです』 川端誠
2)『うんこ!』 サトシン・文、西村敏雄・絵(ぶんけい)
3)『ぷるぷるたまちゃん』(ベネッセ)
4)『もけらもけら』 山下洋輔、元永貞正(福音館書店)
5)「いっぽんばしにほんばし」(手遊び)中川ひろたか
6)『ひまわり』 和歌山静子(福音館書店)
7)『もりもりくまさん』 長野ヒデ子、スズキコージ(すずき出版)
8)『ぽんぽんポコポコ』 長谷川義史(金の星社)
9)『だじゃれしょくぶつえん』 中川ひろたか、高畠純(絵本館)
10) 『かあさんになったあーちゃん』ねじめ正一、長野ヒデ子(偕成社)
11) 『おしっこ』 谷川俊太郎、小室等
12) 『おどります』 高畠純(絵本館)

2010年3月26日 (金)

『赤ちゃんと絵本をひらいたら』(追補)

■医師会関係の会合が続き、忙しい毎日だ。今日は学術講演会の座長。


3月3日の午後、発達障害児の母子通所施設「小鳩園」で、
お母さん方に「子供の言葉の発達」について話をさせていただいたのだが、
その時のネタ本『ことばの贈りもの』松岡享子(東京子ども図書館)と
『子どもとことば』岡本夏木(岩波新書)の2冊を園長先生に預けてきた。
その本が、今日返ってきたのだ。


最近よく、赤ちゃんへの「語りかけ」や「読み聞かせ」の重要性が強調されるが、
おかあさんやおとうさんが、ただ一方的に赤ちゃんに語りかけていれば
赤ちゃんの言葉が生まれるという訳ではない。

そうじゃないんだな。


むしろ、おかあさん、おとうさんに必要なことは、
「赤ちゃんの語りかけ」に耳を傾けることなのだ。

『ことばの贈りもの』松岡享子(東京子ども図書館)p19〜20には、こんなふうに書かれている。

 講演のあと、ハリディ氏(しろくま註:子どもの言語習得に関して研究しているイギリスの言語学者)とことばを交わす機会があったので、「子どものことばを育てる上で、何が一番大切だとお考えになりますか」と、たずねてみました。すると、言下にかえってきたのは「子どものいうことをよく聞くことです」という答えでした。

 この答えは、私の耳に新鮮に響きました。というのは、それまでに私が耳にしていたのは、もっぱらおとなが子どもに話しかけることの大切さだったからです。保育者のあいだでは、それを「ことばかけ」と呼んでいたようでした。しかし、ハリディ氏は、こちらからことばをかけるより、向こうのいうことに耳を傾ける方が大切だといわれるのです。

「子どものいうことを聞く」といっても、赤ん坊であれば、ことばでいうわけではないでしょう。しぐさ、表情、顔色、声色など、ことばでないもので訴えているものを、しっかり受けとめるということでしょう。それらさまざまなサインに込められた意味を、おとなが理解し、それに合った対応をすれば、子どもは「通じた」という喜びを味わい、相手に対する信頼感を深めるばかりでなく、コミュニケーションへの意欲もわくでしょう。そのために自分が用いる手段 ---- ことばも、ことばでないものも ---- への信頼も強まるでしょう。


■『赤ちゃんと絵本をひらいたら』でも、最後の座談会のパートで、榊原洋一先生と佐々木宏子先生が「そのこと」の重要性に言及している。親と赤ちゃんとが対等の立場で「いっしょに絵本を読みあう」という、双方向に関わり合うことが人間としてのコミュニケーションの基礎となるのだと。


ブックスタートという活動は、絵本を仲介として、おかあさん、おとうさん、保健師さん、図書館司書さん、そして市民ボランティアさんらがみんなで、「赤ちゃんが発する信号」をキャッチする初めての貴重な体験の「場」になっているのだと思う。むしろ周りの大人たちが、真ん中にいる「赤ちゃん」からパワーをもらっているのだ。


一人でも多くの方々に「ブックスタート」の意義を理解して欲しいと、あらためて思った次第です。(おわり)

2010年3月21日 (日)

『赤ちゃんと絵本をひらいたら ブックスタートはじまりの10年』(つづき)

■3月13日の日記にも少しだけ書いたが、「この本」は文章がいい。
努めて抑えた筆致で、淡々と綴られてはいるのだけれど、
何故か読みながら、書き手の、そして登場人物たちの「熱い血潮」を感じてしまう。
その点が、ルポルタージュとしても非常に優れているところだ。


「第三章:地域に根ざした取り組み」に登場する、北海道恵庭市、鳥取県鳥取市、岡山県西栗倉村でブックスタート実現のために頑張ってきた人たちのことが丁寧にルポされているのだが、読みながら彼らの息づかい、体温、そしてその笑顔がビビッドに感じられるのだ。例えば、116ページにはこんな記載がある。


 そして恵庭市の関係者は、「最終的に活動の継続にとって一番大切なのは、人だ」と口をそろえる。例えば地方自治体の財政難の流れがさらに深刻になり、ブックスタートが予算カットの対象とされてしまいそうな時に、「これは単なる配布物のための予算ではなく、子育て支援の方策として継続するべき事業の予算なのだ」ということを、きちんと説明できる人の存在が必要になってくるという。

 内藤さんは、新しくブックスタートに関わる人たちに、活動を立ち上げた時の気持ちをどう伝えていくかが、これからの課題だと言う。「泣いている赤ちゃんが、自分が絵本を読んだことで初めて泣きやんだ時の喜びは忘れられません。最初に始めた人には大変な苦労もありましたが、やっぱり立ち上げた時の喜びも大きくて、ブックスタートを誇りに思っている人が何人もいるんです。このあたたかい思いのつながり、ブックスタートの大切な核の部分を、人が変わっても代が変わっても、ちゃんとつなげていくことが大切なんです。」

 ブックスタートは恵庭市の図書館を変え、健診を変え、市民と行政の関係をも変えてきた。恵庭市に蒔かれたブックスタートという種は、関係者が協力して土を耕し、水をやり、肥料を与えて、手間をかけ、大切に育ててきた結果、恵庭の地にしっかりと根を張り、花を咲かせ、今、最初の果実が実りはじめているのかもしれない。そして豊かになったその土壌には、また違った種から出た新しい芽も元気に育ちはじめているのだろう。

■富士見町でガーデニングを始めた頃、よく苗を買いに訪れたのが小淵沢の五十嵐ナーセリーだ。

今から15年くらい前のことだったが、現在ホームセンターで当たり前に売られている花々が、当時はまだ珍しかった。訊けば、五十嵐さんが自分でイギリスから種を買い付けて、ハウスで大切に育てきたのだと言う。同じ品種でも、同じに育てても、種によって微妙に違った色合いの花を咲かせるのだそうだ。当然、同じ種でもイギリス本国と輸入された日本とでは咲かせる花も違ってくるのだろう。


ブックスタートもまったく同じだな。
佐藤いづみさんがイギリスから持ち帰った種を、
いまのNPOブックスタート実働部隊である斉藤かおりさん他のスタッフが苗床に蒔き育てて、全国各地で待つ「生まれたすべての赤ちゃんの幸せを願う子育て支援に携わる人々」に彼女らは苗を配って回っているのだ。


新たに事業を始める人たちのために、基本的な大切なポイントが書かれた『ブックスタート・ハンドブック』はあるが、それは、マクドナルドの新人スタッフ研修マニュアルでも、セブンイレブンお客様接待マニュアルでもない。その地区の実情に合わせて話し合い、試行錯誤を繰り返し、さまざまな工夫をしながら、毎日水をやり、肥やしを蒔き、汗水たらして畑を耕すのは、その土地に住む人々なのだ。


北海道と九州では気候も違えば土質も違う。
土地の広さだって、日照時間だって違うはずだ。
だから、同じ苗を育てても、咲く「その花」実る「その実」は、
それぞれの土地特有のオンリーワンになるに違いないのだ。


そのことが、このブックスタート活動の一番大切なポイントなのだと
改めて思った次第です。


ぜひ、読んでみてください。

2010年3月19日 (金)

『赤ちゃんと絵本をひらいたら ブックスタートはじまりの10年』

100318『赤ちゃんと絵本をひらいたら ブックスタートはじまりの10年』NPOブックスタート編著(岩波書店)読了。これは本当に素晴らしい本だ。

日頃、現場で赤ちゃんと関わっている全ての大人(保健師、保育士、小児科医、子育て支援ボランティアほか)は当然読むべき本だし、行政のお偉いさんにも是非読んでいただきたい。この1冊を読めば「ブックスタートとは何か」が本当によく分かる。なるほどそうかと思う。


まず、本の装丁が何ともいいではないか。淡い水彩絵具で描かれた「まる」。風船? それとも。赤ちゃんの顔?
あったかそうで、ほんわり、ふんわりしてて。思わずそおっとやさしく両手で包みたくなるようだ。


いろいろと読みどころの多い本だが、
ぼくが注目したのは「第二章 ブックスタートの歩み」と「第三章 地域に根ざした取り組み」だ。


何よりも驚いたことは、この10年間で瞬く間に日本全国各地に広がっていった
この「ブックスタート」の日本での活動の始まりが、
出版最大手取次「日販」に入社してまだ2年目の新人女性社員だった佐藤いづみさんが、
たった一人で行動を起こしたことがきっかけになったということだ。ぜんぜん知らなかった。

会社の創立50周年記念の海外視察研修に応募するために、飯田橋のブリティッシュ・カウンシルの図書室を訪れた佐藤さんは、1992年に始まった英国のブックスタート活動のことを、雑誌の特集記事の中に偶然発見する。1999年5月のことだ。そしてその年の10月、彼女は一人で2週間のイギリス研修に旅立つ。バーミンガム市立中央図書館で担当者からブックスタートに関して現場の生きた情報を聞いた彼女は、ぜひこの取り組みを日本の人たちにも伝えたいと、この時強く願ったのだった。

タイミングもよかった。翌2000年は「子ども読書年」で、子ども読書推進会議事務局長の白井氏が彼女の報告に興味をしめした。「まず佐藤さんの熱心な様子から、何かを伝えたい、という意志が伝わってきました。そしてシンプルで分かりやすく、あたたかなメッセージを持ったブックスタートの内容を聞いて、これは何か大切なものがある、動かしていく価値があるな、と直感したんです」と、白井氏はふりかえる。


2000年7月、今度は白井氏、佐藤さん他5名のメンバーで英国のブックスタートを視察する。本書40ページに載っている、この時のエピソードは感動的だ。英国のブックスタート発案者であるウェンディ・クーリングさんとの会見の席で、佐藤さんはあまりにも基本的すぎて今さらだれにも聞けないと感じていた質問をしてみることにした。それは「まだ字も読めない、単語の意味をきちんと理解できるわけでもない赤ちゃんは、本を読めるのか」ということだった。

その問いに対してウェンディさんはどう答えたのか?

それはぜひ、この本を直接手にとって確かめてみてください。(まだつづく)


2010年3月17日 (水)

伊那のパパズ(その66)駒ヶ根市図書館

■先だっての3月7日(日)は、長野市はみぞれだった。
午前8時過ぎにホリデイ・インをチェックアウトして、長野インターへ。
「おばすて」は雪だった。高速は50km 規制中。

この日、午前10時半から駒ヶ根市図書館で、伊那のパパズ「絵本ライヴ」があるのだ。
当初、伊那で下りて自宅に寄って、
伊東先生から借りていた「嵐プロモーションビデオ・クリップ集DVD」を
返却する予定だったのだが、この分だと間に合いそうにない。
で、仕方なく駒ヶ根インターへ直行。

駒ヶ根も朝から雨だった。
しかし、会場は100人以上の親子連れでいっぱい。
父親、母親、子供たち、という親子連れが多くて、
珍しく「父親存在率」が高かったな。


■この日のメニュー■


1)『はじめまして』
2)『コッケモーモー』 → 伊東
3)『おおきいちいさい』元永貞正・え(福音館書店・こどものとも1.2.3.) → 北原
4)『かごからとびだした』

5)『うみやまがっせん』長谷川摂子・文(福音館書店) → 坂本
6)『うんこ』 サトシン・文、西村敏雄・絵(文溪堂) → 宮脇
7)『ねこのおいしゃさん』増田裕子・文、あべ弘士・絵

8)『くろずみ小太郎旅日記(その6)怪僧わっくさ坊暴れる!の巻』飯野和好・作絵(クレヨンハウス)→ 倉科
9)『ふうせん』
10) 『世界じゅうのこどもたちが』

2010年3月13日 (土)

さよなら、寝台特急「北陸」夜行急行「能登」

■先だっての長野で、ぼくがなぜ絵本『やこうれっしゃ』西村繁男(福音館書店)を読むことにしたかというと、この3月のJR時刻表改正で、長年親しまれてきた寝台特急「北陸」と、夜行急行「能登」の廃止が決定されたからだ。

JRのダイヤ改正は本日3月13日から。
ということは、昨夜上野駅を出発した寝台特急「北陸」と夜行急行「能登」が、その最終便ということになる。


絵本『やこうれっしゃ』の表紙を飾るのは
名車として名高い電気機関車「EF58110」。


残念ながら、最後の「北陸」と「能登」を牽く電気機関車は
「EF58系」ではなかったな。


<ここ>を読んだら、じつにめでたいことが書いてあった。
やった!
よかったね、田中尚人さん。


妥協せずに時間をかけて丁寧に作家さんと苦しみながらも
「いいもの」を産み出そうと努力すれば、必ずや認められるのです。
そういうことでしょ?


ほんとうによかった。


■それから、いま読んでいる本。
これがすばらしい!


『赤ちゃんと絵本をひらいたら ブックスタートはじまりの10年』
NPOブックスタート編著(岩波書店)


圧倒的な臨場感でもって、
ビビッドに、
読み手の心に響いてくる文章だ。


日本での「この活動」の礎を築いた
執筆者の佐藤いづみさん、スゴイな!


感想は読後きちんと書く予定。暫し待たれよ!



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