日常 Feed

2020年12月22日 (火)

蓼科仙境都市の想い出(その2)

■どうしてあの日、わざわざ海抜 2000m の高原を越えて松本に帰ろうとしたのか、 まったく憶えていない。たぶん、できるだけ遅くに松本に帰り着く言い訳を考えたことは間違いない。当時「日常」の代名詞であった「松本」は、あまり好きな町ではなかったのだ。国体道路沿いの清水1丁目に結婚したばかりの妻と住んでいたが、正直辛かった。苦しかった。ああ、大学医学部医局にいるということは、そういうことなのか。だから、少しでも逃げ出したかったのだろう。

ぼんぼん育ちの僕は、基本「打たれ弱い」。しかも、小心者で卑怯だった。本当は自分がダメなのに、いつも誰か他の人のせいにしていた。そういうどうしようもない人間だったのだ。

その日、天気は好かった。もう3月だ。雪も溶け出している。あ、そうだ。蓼科山の麓に見えた、あの人口建造物を確認しに行こう! そう思った。

ロードマップ(当時はまだナビは装着されていない)を見ると、スキー場がある。「蓼科アソシエイツ・スキー場」。佐久からのアクセス道路は冬場も整備されているみたいだ。蓼科スカイラインと言うらしい。車幅も広い舗装道路を、当時乗っていた三菱自動車のマニュアル車(ギャラン・ハッチバック)エテルナ4WD は軽やかに上って行く。青空がまぶしい。

(さらに続く)

2020年8月 4日 (火)

医院の冷房室外機が故障した

■とうとうブログの更新間隔が2ヵ月以上も空いてしまった。

言い訳をすれば、6月7月と忙しかったのです。

これは以前にも書いたことだけれど、ぼくに降りかかるトラブルの多くが6月に集中して発生するのだ。で、今年の6月にも実はいろいろあった。一番大変だったことはここには書けないが、2番目に起こった大変な事態が、医院の冷房システムの室外機(大きなファンが縦に2つ並んでいる)の下のファンが、回らなくなってしまったことだった。

■毎年6月に、医院の冷房システム(本体機械は天井裏に設置され、ダクトで各部屋に冷気が送られている)の点検をダイキンにお願いしているのだが、何かあるといつでも松本から駆けつけてくれる担当氏が点検終了後にこう言ったのだ。

「室外機の下のファンが故障して回らなくなっています。設置して20年以上経つので、交換部品はなく修理は不可能です。上のファンは生きてますので、まだ冷房は使えます。ただし、猛暑で外気温が上がると、ファン1つだけだと熱放散が追いつかずオーバーヒートして、システムが止まってしまう恐れがあります」

僕:「ええっ!? ということは、この夏は冷房が使えないってことですか?」

ダイキン:「はい。システムを全取っ替えするしかないですね。屋根裏から本体を取り出して新しいものに交換するには、天井に大きな穴を開けて、しっかり足場を組んでかなり大がかりな工事が必要になります」

ぼく:「えええ!!?? でも、冷房なしでこの夏を乗り越えることはできないので、医院を設計施工した住宅メーカーのリフォーム担当者に訊いてみます。 ところで、取りあえず冷房を使っていてオーバーヒートしてしまった時には、どうすればいいんですか?」

ダイキン:「あ、水をかけて下さい。室外機に。裏側の放熱板にです」

・ 

■天井に大きな穴を開けて機械を入れ替える大工事。それは大変だ。めちゃくちゃ費用もかかりそうだ。いやまてよ? 天井裏の装置はそのままで、医院の各部屋に家庭用のエアコンを必要数設置したほうが安上がりなのではないかな?

ただ、ヤマダ電機や「ジャパネットたかた」で格安エアコンを購入し設置工事してもらうことは出来ない。電機の配電盤、配線、ツーバイシックス構造と断熱材の配置。そうしたものを熟知した住宅メーカーを通さないと、結局エアコン設置はできないのだった。世の中すべて、そういうふうに出来ているのだ。

住宅メーカーのリフォーム部に見積もりを出してもらった。ををを! 結局○00万円近くかかるじゃないか…… しかし、夏はすぐそこまで来ている。時間がないとハンコを押した。8月上旬には着工できるとのこと。よかった!

■ただラッキーだったのは、7月が冷夏だったことだ。確か去年は7月初めから30℃以上の猛暑が続き、こんなんでマラソンできるのか? と、IOCから言われた東京オリンピック招致委員会はしぶしぶマラソン・コースを札幌に変更した。ああ、思いだしたよ「こんなに暑くて、ほんとに東京オリンピック開催できるの? トライアスロンが行われるお台場は、大腸菌ウヨウヨで大丈夫なの?」たぶん多くの人たちがそう感じていたはずだ。

ところが! 今年は長雨が続き涼しい毎日。医院も窓を開けるだけで心地よい風が待合室に吹き込み、冷房を入れる必要がまったくなかったのだ。

しかし、さすがに梅雨明けした8月になって、冷房なしでは厳しくなった。室外機のファンは一つだけでもなんとか頑張ってくれていた。昨日までは。

■今日の昼休み、午前中は窓を開け放ち外気の風だけで何とか過ごしたが、さすがにダメだ。冷房のスイッチオン。ところが! エラーの表示が出たきり「うん」とも「すん」とも言わない。あっちゃー、オーバーヒートだ。

ダイキン:「あ、水をかけて下さい。室外機に。裏側の放熱板にです」

おおそうじゃ! 水をかけるのじゃ!!

最初はジョウロに水を汲んできて室外機の横に水をかけた。しかし動かない。

次はバケツリレーだ。これはいけるんじゃないか? しかし動かない。

仕方なく妻がカインズホームまで行って、庭の水撒き用 30m のゴムホースを買ってきて自宅の蛇口に接続。ぼくが先端のシャワーの取っ手を握り、室外機裏面の放熱板に連続して放水を「これでもか!」と続けた。

すると「チチチチチ…ゴオゥ〜〜」と室外機のスイッチが入り、上の段のファンが回り始めた。よかった!

院内に冷気が流れる。助かったぞ!!

明日もう一日だけ堪えてくれよ、室外機。

明後日の午後には、新しい空調システム工事が大方終了する予定だ。

それならば、おまえが頑張ってファンを回すのは、明日1日。

ガンバレ! 

暑くて辛かったならば、いくらでも俺が水をかけてやるよ。

コロナ禍で、たぶん患者さんはそんなに来ないから、

30分おきに水をかけてあげる。

だからさ、

明日1日

なんとか

勢いよく

ファンを

回してくれよ!

お願いだからさ。

2020年3月 7日 (土)

「保育園で感染拡大を防ぐためにできること」2019/12/6 上伊那保育協会未満児部門での講演会のスライドより

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■「空気感染」が、一番感染力が強い!

■「不顕性感染」(症状がない・軽度なのにウイルスを排出している児童や保育士)が多いほど、潜伏期間が長いほど、保育園で感染拡大を防ぐのはほとんど不可能に近い。

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■「1つのウイルスに罹ると」とスライドにはありますが、現在進行形で「1つのウイルスに罹っていると」という意味です。例えば、ウンコがしたくなってトイレへ駆け込んだら、大便所(個室)にすでに人が入っていてウンコができない。というイメージです。

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■新型コロナウイルスにも、油の膜「エンベロープ」がある。だから、石鹸やアルコールが有効!

しかし、ノロウイルスには「エンベロープ」がないため、アルコールは効きにくい。(石鹸と水道水で、しっかり手洗いすれば洗い落とすことはできます)

だから、ノロウイルスは胃の中でも胃酸で失活せずに小腸まで行って、小腸の粘膜細胞に感染し、嘔吐下痢症を発症することができるのです。

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■新型コロナウイルスも、ライノウイルスに近いので、数日は失活せずに体外で「生きて」います。乾燥にも強いという報告もあります。ドイツの文献では、9日間経っても活性があったとの報告もあります。

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■右側の値段は、当院で仕入れている「検査キット」1回分の仕入れ値です(医療機関によっては、金額は異なります)

■開業の一般小児科医院の多くは、3歳未満児の医療費は「定額制」です。つまり今で言うところの「サブスク」ですね。この4月からは「6歳未満」に引き上げられる予定です。

当院では3歳未満の場合、迅速検査の保険適応の有無に関わらず、必要とあらば検査を行っています。例えば、RSウイルスの検査は当院では保険適応はありません。

ですので、価格の高い検査キットを一度に何種類もすると、正直「赤字」になってしまいます。保育園の先生は、熱が出るとすぐ「小児科へ行って検査してもらってきて!」と言います。

いまの時期だと「ヒトメタニューモウイルス」の検査をしてもらって! ですかね。

でも、ヒトメタの迅速検査は値段が高いんですよ! しかも、3歳以上で肺炎の臨床診断がないと保険適応がありません。

■それから「感度」と「精度」の問題も大切です。いま、新型コロナウイルスのPCR検査でも言われていることですね。「擬陽性」と「偽陰性」の問題。そのキットが、どの程度信頼できるか? ということです。

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YouTube: 花王 ビオレu ビオレu泡ハンドソープ 「あわあわ手あらいのうた」練習編 CM

2019年2月21日 (木)

コーヒーミルを買った

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(写真をクリックすると、もう少し大きくなります)

■先達て小淵沢のアウトレットへ行って見つけたコーヒーミル。こういうのが欲しかったのだ。「HARIO セラミックコーヒーミル・スケルトン」。3500円で買って帰ったら、なんと Amazon じゃ ¥2019 じゃん。あちゃ。

■「ケメックス」のコーヒーメーカーを、グラスオニオンで購入したのが、ちょうど4年前。以来、毎朝コーヒーを入れるのが、ぼくの役目だ。午前7時に出発した犬の散歩から帰って、BS放送でNHK朝ドラを見ながら7時半に朝食。7:45から「世界ネコ歩き」を眺めつつ、コーヒーを淹れる。妻の分も含めて1度に4~5杯分を入れるので、コーヒー豆から碾いている時間はない。で、ずっと「カフェ・コーデ」では碾いてもらった豆を買ってきていた。

それで十分美味しかったから満足していたのだけれど、今回ミルを購入して判ったことは「コーヒーは碾きたて」が一番おいしいということだった。碾きたての豆にお湯を注ぐと、ボコボコと泡が出てきて、ハンバーグみたいに碾いた豆が膨らむのだ。この最初の蒸らしが、おいしいコーヒーを入れるコツ。今回購入したコーヒーミルは、1度に4カップ分の豆を碾ける(2~3分で)のが有り難い。


YouTube: コーヒーの淹れ方 (カッパとウサギ式)

ただ、この動画みたいに、ポタポタとお湯を注げないんだよなあ。

ケメックスでコーヒーを淹れると、わりとスッキリした味のコーヒーになる。カリタのフィルターに比べて、雑味が濾されるように思う。逆にそこが不満な人もいるのだろうな。そこらへんを考慮して、豆の碾き方(中碾き・中細碾き・細碾き)や、注ぐお湯の温度、蒸らしの時間、いろいろ変えながら、更なる検討が必要であるぞ。

2019年1月 6日 (日)

『長野医報』2017年10月号(あとがき)に書いたこと

 月刊誌『文藝春秋』(2016年12月号)に掲載された、脚本家・橋田壽賀子さん(92歳)のエッセイ「私は安楽死で逝きたい」は、読者の大きな反響を呼びました。

28年前にご主人を亡くし、子供もなく、親しい友人もいない天涯孤独の身で、いまも元気で熱海の田舎に独り住まいの橋田さん。仕事はすでにやり尽くし、世界一周旅行は3回、北極点にも南極へも行った。やり残したことはもう何もない。とうに断捨離は済ませ、エンディング・ノート(死んだことも公表せず、葬式や偲ぶ会もしない)も完璧です。

 ただ、病気になったり、認知症になったりして、人さまに迷惑をかけながら死んでゆくことだけは耐えられないと彼女は言います。そうなる前に、合法的に安楽死が認められているスイスへ渡航して、逝かせてもらいたいと。「生まれる自由はないのだから、せめて死ぬ自由は欲しい」そう彼女は結んでいます。

 もちろん、日本では「安楽死」は認められていません。積極的延命治療は行わないが、苦痛を和らげるために十分な緩和ケアは施す「尊厳死」も日本では法制化されておらずグレーゾーンのままです。しかし安易な制度化は、家族による「姥捨て」や自殺の推奨、さらには相模原障害者施設殺傷事件の犯人の主張「役に立たない人間は死ぬべきだ」という優生思想とも結びつく恐れもあります。

 経済的にも健康面でも恵まれた橋田さんはレアケースです。認知症や持病を抱え、経済的にも貧窮した高齢者が多くを占めるようになる超高齢者社会を目前にして、これからの終末期医療はどうあるべきなのか?

 力のこもった投稿が多数寄せられた今月の特集「終末期医療について思うこと」は、たいへん読み応えのあるものとなりました。ご執筆頂いた皆様ありがとうございました。

 さて私事、この7月から新しく広報委員を拝命いたしました。長年広報委員を務められた春日謙一先生、そして先輩広報委員の先生方から優しくご指導いただきながらも、任務の重責に緊張しています。どうぞよろしくお願いいたします。11月号の特集は「私の好きなことば」12月号は「在宅医療と介護の先に見えるもの」です。ふるってのご寄稿をお待ちしております。

 広報委員 北原文徳

2018年5月14日 (月)

最近書いた文章(その3)『犬の目』

「犬の目」(長野医報 2018年3月号「我が家のアイドル」より)

 

 いぬは わるい めつきはしない

 

 これは、子供の詩集『たいようのおなら』灰谷健次郎・編(のら書店)21ページに載っている、さくだ みほちゃん(6歳)の「いぬ」というタイトルの詩です。なんか、圧倒されますよね。こう自信を持って断定されると、思わず納得してしまうから不思議です。では、みほちゃんが「目付きが悪い」と思っている動物は何だったのでしょう? 昔話や絵本に登場する悪者と言えばキツネとタヌキでしょうか。どの絵本にも、残忍で狡賢い眼が必ず描かれています。

 タヌキもキツネも、イヌとは遺伝子の多くが一致しているはずなのに「目付き」はなぜ違う印象になるのでしょうか? それは、イヌにだけ「白目」があるからです。

 白目は眼球の強膜の部分です。動物の目にも当然強膜はあるのですが、眼裂が丸いので外からはほとんど見えない(もしくは周囲の皮膚と同色で目立たない)ようにできています。それは、ライオンに狙われたシマウマが、逃げる方向を決して敵に悟られないようにするためです。弱肉強食の生存競争激しいサバンナでは、追う肉食獣も逃げる草食動物も、相手に自分が見ている方向が分かってしまっては決して生き残れないのです。

 ところが、ヒトは眼裂が横長なので白目がよく見えます。しかも白と黒のコントラストが鮮明で、見ている方向が一瞬にして相手に分かります。同じ類人猿でも、チンパンジーやオランウータンには白目はありません。ゴリラはよっぽど横を見れば辛うじて白目が見える。それなのに何故ヒトだけ白目が目立つのでしょうか?

 

 アイコンタクトは、言葉と並んでヒトの重要なコミュニケーション・ツールです。生後3ヵ月の赤ちゃんは、おかあさんの目をじっと見つめ「アー」とか「クー」と声を出して呼びかけます。すると母親も赤ちゃんの目を見つめ「アー、クー」と同じように返事をします。これがコミュニケーションの始まりですね。6ヵ月になると、母親が見ているものに視線を合わせるようになります。この視線追従を「共同注意 Joint attention」と言います。

さらに1歳前後になると「指さし」を始めます。赤ちゃんが指差す方向にあるものを見た母親は「○○ちゃん、それはワンワよ、ワンワ」と返します。こうして赤ちゃんの中に言葉がどんどん蓄積されていくのです。言葉が出ない自閉症の子供は「指さし」をしません。また、対面した時に決して視線を合わせようとはしません。

 ところがイヌとオオカミは、視線を交わし、相手の視線の先にある目標物を共有することができます(共同注意)。なぜなら、イヌにもオオカミにも「白目」があるからです。

 2002年のサイエンス誌に載った Hare氏らの論文によると、コップを2つ離して置いて、実験者(ヒト)が片方を指差した時、その正しいコップを選ぶかどうかイヌとチンパンジーとで比較検討したところ、チンパンジーの正答率が60%くらいしかなかったのに対して、イヌは80%近く正解しました。これは飼い犬、野生犬で差はなく、イヌの年齢にも関係はありませんでした。しかも、イヌの祖先あるオオカミの正答率は60%弱しかなかったのです。つまり、ヒトの家畜となって何世代も経つ中で、オオカミからイヌに進化した時点で初めて、この能力は遺伝的に記憶されたのですね。

 じつは、イヌはチンパンジーよりもヒトに近いコミュニケーション能力を持っていたのです。驚きです。こうしたイヌの能力は、実際にイヌを飼ってみると直ちに実感できます。天ぷらを揚げていた妻の手に油が飛んで「熱い!」と声を上げた瞬間、それまでソファーで熟睡していた我が家の愛犬は、ふいに頭を上げ直ちに台所へ掛け寄り「おかあさん、大丈夫?」と心配そうに妻を見上げます。ぼくは知らんぷりでテレビを見ているというのにね。これは、親愛なる者へのエンパシー(共感力)、相手の痛みを共に感じることができる能力なのです。

 それからイヌの「白目」。これも実際に飼って初めて知ることができました。イヌは熟睡すると、目が半開きになり白目に反転します。レム睡眠中なのか、上下左右にグリグリ眼球が動き、ちょっと気持ち悪いです。あと、おやつを取り出し伏せの状態で待たせると、イヌは上目遣いで白目を出し切なそうにぼくを見つめ「よし!」の一言を待つのです。これはプロのトレーナーの間では「クジラ目」と言われている仕草なのだそうで、イヌが困ったときに「お願い」「助けて」と、飼い主に共感を請う表情なのです。白目を有効に使うすべを、イヌは確かに知っているのですね。

 

 イヌのしつけに関する本には、イヌはオオカミの群れの上下関係で飼い主家族内の優劣・順位を決めると書いてあります。我が家でも、群れのリーダーは妻で、次いで長男→イヌ→ぼく→次男という順位になっています。毎朝30分も散歩に付き合い、エサもあげているというのに、ぼくは低位に甘んじています。じつに理不尽です。

 最近の研究によると、イヌと飼い主の関係は、人間の親子関係の「愛着」と同じように形成されるのだそうです。麻布大学獣医学部教授の菊水健史先生は、愛着ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」を実験の中で測定したところ、イヌの飼い主に向けた視線は飼い主のオキシトシン分泌を促進し、飼い主が愛情深く応答することでイヌのオキシトシン分泌も促進することを明らかにしました。また、イヌにオキシトシンを投与した実験では、イヌの飼い主への注視行動が増加し、それに伴って飼い主のオキシトシン分泌が増えました。オオカミにはこのような視線とオキシトシンの関連はみられません。

 イヌは進化の過程で人間の母子関係と同様の視線とオキシトシン神経系を介した愛着のポジティブ・ループを獲得し、飼い主への情愛と共感力を持つことができるようになったのです。こうして、ヒトとイヌは単なる家畜の関係を超えて、家族として相棒(バディ)として互いに掛け替えのない関係を築いたのです。

 

 ところで、落語の演目に『犬の目』という噺があります。眼病を患った男が、ヘボンの弟子のシャボンと名乗る目医者を訪ねます。医者は男の両眼をくり抜き皿の薬液に漬けます。ところが目玉がふやけてしまって男の眼窩に入りません。仕方なく目玉を日干しすると、隣の犬が食べてしまいました。困った目医者は、その犬の目玉をくり抜き患者に移植するという、何ともシュールで奇想天外な噺です。他にも『元犬』とか、桂枝雀の『鴻池の犬』それに『くしゃみ講釈』で犬糞を踏む場面など、落語には犬が登場する噺が案外多いのですね。

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(写真)我が家のアイドル「れおん」6歳オス。シーズーとトイプードルのミックス犬。

 おあとがよろしいようで。

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■追記■

今年の日本小児科学会は福岡で開催されました。小児科専門医の点数を取るために、すみません休診にして参加して来ました。ただ、専門医制度が厳しくなって参加しただけではダメで、教育講演をいっぱい聴かないと点数(1講演:1点)がもらえなくなったので、会場は大混雑で大変でした。そんな訳で、聴きたかった講演・シンポジウムをずいぶん諦めざろう得ませんでした。

でも、4月21日(土)に大ホールで行われた「特別講演」は無事聴くことが出来ました(点数にならない講演だったので)

演者は、畑正憲氏。御年83歳。あの見慣れたフレームの眼鏡をかけ、ニコニコと登場。

「ぼくはね、犬に噛まれたことが一度もないんですよ。人に噛みつくと評判の犬でもね、ぼくがヨシヨシと撫でてあげると噛まない。それは何故かというと、ぼくのからだから愛情ホルモンである『オキシトシン』が周囲の空気中に溢れ出して、それを犬が嗅ぎ取って安心するんじゃないかと思ってるんです。

それを科学的に実証したいと思って、実験装置の設計図を作り上げたんですけれど、ムツゴロウさん、この機械を作るには何千万円もかかりますよって言われてしまって諦めたんですけれどね

https://www.sankei.com/premium/news/170924/prm1709240005-n1.html 

2018年5月13日 (日)

最近書いた文章(その2)

■長野医報3月号特集「我が家のアイドル」の「苦しまぎれ招請文」
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 3月号の特集テーマは「我が家のアイドル」です。このタイトルから皆さんがイメージするのは何でしょうか?

 先日テレビを見ていたら、NHK総合『所さん!大変ですよ』という番組に、お茶の間でワニを飼うおじいさんが登場しました。ミニチュアサイズのワニではありませんよ。体長2m10cm、体重46kg、推定年齢35歳。そのカイマン君と枕を並べてお昼寝するおじいさん。34年前から毎日こうしてきたのだそうです。でも彼の食費は月5000円ほど。案外安いんですね。月に2回、鶏肉や鯉を与えるだけでOKなんだと。リードを付けてお散歩もします。近所の保育園では、子供たちのアイドルなんです。

Man living with 2 meter alligator 巨大ワニと暮らす男(NHC0014)
YouTube: Man living with 2 meter alligator 巨大ワニと暮らす男(NHC0014)




 ちょっと極端なアイドル愛好家を紹介してしまいましたが、いや「普通のはなし」でいいんです。目の中に入れても痛くない、可愛い娘さん、お孫さんの笑顔。それから、愛犬・愛猫がご主人様に甘えてくる仕草。そんなスナップ写真もぜひ添付して「我が家のアイドル」をご投稿下さい。どうぞよろしくお願いいたします。

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長野医報3月号特集「我が家のアイドル」の「前文」

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 平成30年の今年は「戌年」です。我が家にも犬がいます。シーズーとトイプードルのミックス犬(5歳オス)で、実物はほんと可愛いのに、なぜか写真映りが悪いのが残念です。犬は本当に不思議な動物です。自らは言葉をしゃべれないのだけれど、明らかに人間の言葉を理解して行動している。飼い主の気持ちに共感し、心を通い合わせることができるのです。飼い主を見上げる犬の視線を感じながら、ぼくはよく「コイツ、ほんとは何て言いたいんだろう?」と思います。


 先日、岡谷スカラ座で『僕のワンダフル・ライフ』という映画を観てきました。監督はあの『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』『ギルバート・グレイプ』『HACHI 約束の犬』などで名高いスウェーデン人のラッセ・ハルストレム監督です。これには泣けました。愛犬家必見の感動作です。映画の原題は『A Dog's Purpose』。君を愛し君に愛される。ボクはただただ嬉しかった。ボクは君のそばにずっといると決めたんだ。この世界に君がいてボクがいる。ただ「いま」をいっしょに生きる。という犬目線の映画なのです。この 3月7日にDVD発売されるので、TSUTAYAでもレンタル可能です。ぜひご覧下さい。


 さて、今月の特集は「わが家のアイドル」です。いったいどんな予想外のアイドルが登場するのでしょうか? どうぞお楽しみください。

2018年5月 1日 (火)

『今日までそして明日から』上伊那医師会報(2018年1月号)

      「今日までそして明日から」           

 

 私が生まれた昭和33年は、東京タワーが完成した年です。

 高遠第一保育園年長組の時に東京オリンピックがあり、父に連れられ軽井沢まで馬術競技を見に行きました。小学6年生で大阪万博、中1の冬にあさま山荘事件がありました。森昌子・桜田淳子・山口百恵の「花の中3トリオ」は同学年です。(山口百恵は1959年の早生まれ)マイケル・ジャクソンも、プリンスもマドンナも、小室哲哉もじつは同い年です。

 大学受験は、共通一次試験が始まる2年前で、卒業後は故郷に帰って、信州大学小児科学教室に入局しました。時代はバブル景気に浮かれ、映画『私をスキーに連れてって』が大ヒット。空前のスキーブームで、未明の国道18号線は志賀高原・斑尾・野沢温泉に向かう夜行バスが列をなし、リフト待ち30分〜60分は当たり前でした。

 こうして私は、高度経済成長の右肩上がりの時代の波に乗って、たいした苦労もせず温々と生きてきました。戦前・戦中・戦後と、怒濤の時代に翻弄されながら生き抜いた父母とは大違いです。正直申し訳ないです。

 ただ、西丸震哉氏のベストセラー本『41歳寿命説』によると、公害汚染の環境下、人工着色料・保存料・甘味料など添加物まみれの高カロリー高脂肪、高タンパク食品で育った我々世代から、短命化が急速に進むというのです。私が41歳になった年は、ちょうどノストラダムスが予言した1999年でした。幸いどちらも当たらず、なんとか今日まで生き延びています。

 困ったことに、60歳になる実感がまったく湧きません。現代人の精神年齢は、実年齢×0.7〜0.8 くらいと言われているので、気分はまだ40代なのです。しかし、身体の老化は確実に進行していて、体力低下は言うまでもなく、中でも免疫力の低下がショックでした。マスクをせずに連日診療していても、風邪ひとつひかないことが小児科医としての自慢でしたが、この冬はダメです。軽症だったとはいえ、ウイルス性胃腸炎にすでに2度も罹ってしまいました。この分だと、インフルエンザも危ないかも。情けないです。

 今日も予防接種に来た生後2ヵ月の乳児を診ながら、ふと「この子が成人する頃にまだ日本はあるんだろうか?」と、思ってしまいました。なんて無責任な奴だ。20年先も豊かで平和な生活をこの子らが送れるよう、いま頑張らなければいけないのは我々自身じゃないですかねぇ。

2018年1月18日 (木)

中川村「base camp COFFEE」の、スープカレーと、自家製干し柿

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中川村の陣馬形山に登った、帰りに寄った「base camp COFFEE」。あの時、他のお客さんたちがみな食べていた「スープカレー」がどうしても食べたくて、12月の雪の舞う日曜日の昼に再度訪れた。しかし、なんと予約分で終了で、せっかく1時間かけて出かけたのに、食べることはできなかった。

そこで、今回は出かける前に電話で予約し万全を期したのだった。いや、美味しかったなあ。自家製野菜に微妙に半熟加減を残したゆで卵。爽やかな辛さ加減も絶妙だ。これは確かに癖になる味かも。また行きたい。

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■食後のデザートに、自家製干し柿のクリームチーズ挟みと、コーヒーを注文。干し柿は、2個で300円。いや、これまた美味しかったぞ! オススメです。

2017年10月 1日 (日)

中川村の陣馬形山(1445m)登山

■日曜日は天気がいいようだったので、4月に守屋山へ行って以来の山登りを決行。目指すは、頂上から360度の展望が素晴らしいと噂の、中川村「陣馬形山」1445m。

午前8時半に家を出て、9時23分に麓の駐車場を出発。登山口までの2kmの車道の登りが結構キツくて、登山道に入る前にすでにバテ気味で情けない。

じつは、陣馬形山の山頂は「村営キャンプ場」になっていて、舗装された林道を頂上の直近まで自動車で行くことができるのだ。それを徒歩で登る登山道は、この林道を6回横切って直登する。2時間かかった。キツかったな。

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■写真は、登山口から登り始めて60分で到着する「丸尾のブナの木」。樹齢600年! 文明元年(1469年)に、地元の庄屋・宮沢家が諏訪大社へ御神木となるよう植林し、奉納したという。その頃の世の中は、ちょうど「応仁の乱」で京都は荒んでいた。そう室町時代だ。

凄いねぇ。そういえば、長谷川義史さんの絵本デビュー作『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』(BL出版)について書いた時に、同じ思いをしたのだった。

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■丸尾のブナから、さらに登ること45分。ようやく山頂に到着。人がいっぱい。みな自動車で来た人ばかりなんだけどね。

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(写真をクリックすると、もう少し大きくなります)

■噂に違わず、素晴らしい眺めでした。眼下の伊那谷河岸段丘。正面には中央アルプスの空木岳と南駒ヶ岳。振り返れば、南アルプスが北の端の鋸岳から仙丈ヶ岳→北岳→間ノ岳→西農鳥岳→塩見岳→悪沢岳→荒川岳→赤石岳→聖岳。みんな見えたよ。

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(写真をクリックすると、もう少し大きくなります)

■午後2時過ぎに下山して、車を駐車した麓の喫茶店「base camp COFFEE」でアイスコーヒー。美味しかった! 他のお客さんたちはみな「スープカレー」を食べていたぞ。これまた美味しそうだったな。

ここは、JAのスーパー「Aコープ」があった場所で、「この紹介記事」とか、最近出た朝日新聞の記事が、なかなかいいんじゃないか?

この次は、スープカレーを食べに来よう!

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