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2019年9月12日 (木)

映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

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■最初に、先だってからツイートしてきたものを再録します(一部改変あり)

映画『ニューヨーク公共図書館』を塩尻市の「東座」で観てきた。3時間25分のドキュメンタリー。途中休憩あり。噂に違わず面白かった。何やかや言ってもアメリカの民主主義は「当たり前」なのが凄いな。「図書館は本の置き場ではない。図書館とは人」「図書館は民主主義の柱。図書館は雲の中の虹」
 
 
続き)映画の冒頭、図書館司書が電話で「ユニコーンについて教えて欲しい」という市民に答えている。言わば『人力Google』だ。「中世のある僧がこんなことを書いています。男は外見はオオカミだが、心にユニコーンを飼っている」(ちょっと違うかも?)このシーンから一気に映画に引き込まれていった。
 
 
続き)エルヴィス・コステロの公演インタビューでは、彼の父親(ジャズ歌手)が『天使のハンマー』を歌うビデオが流れた。親子でホントそっくり! あと、コステロが鉄の女サッチャーをケチョンケチョンにけなしていて痛快。(映画ではモノクロ映像で、YouTube とは違う時の演奏だった)
 
 
 
 
続き)アメリカにも「歴史改ざん教科書」問題があったとは驚いた。奴隷をアフリカから働くために移民してきたと記載されていたという。子供たちに奴隷制も公民権運動のことも正しい歴史をきちんと伝えて行かなければならないと、黒人文化研究図書館長は力説する。
 
 
 
 
追補)映画『ニューヨーク公共図書館』。 何でも直ちに検索できるこのネット時代に、図書館なんて存在意義あるの?と思う人はいるだろう。ところが NYPL(ニューヨーク公共図書館)はそれを逆手に取って活動を進める。ネット民はむしろ孤立している。彼らが実際に集まって情報交換する場所を図書館が提供しようと。
 
 
追補)それから、映画を観ていてニューヨークに行った気分になれるのもいい。ぼくは行ったことないけれど。場面のつなぎに必ず街の風景がカットインされていて、○○番街○○丁目という標識がアップで映る。で、ここはハーレムかとか、チャイナタウンかとか何となく分かるのだ。
 

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追補)視覚障害者のための「点字・録音本図書館」で『ロリータ』で有名なウラジミール・ナバコフ『マルゴ』の録音本収録場面。役者志望の青年ボランティアが、感情を込めて「濡れ場」を朗読する。思わず照れてしまって直ちにカット。取り直し。ちょっと笑った。
 
 
追補)ガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』の読書会のシーンもよかったな。もうろくしたジジババばかりの読書会だけど、ちゃんと作品を読み込んで来ていて、みな適確な発言をしている。なんてハイブロウなんだ、ニューヨークは。
 
 
追補)ニューヨーク市民の 1/3 が未だにネットにアクセスできないという。このため、NYPLは期限付きだが無料でポータブルWiFi を貸し出している。
 
後半、若き詩人でラッパーのマイルズ・ホッジスが自らの詩をステージ上で暗唱する場面。フロアで赤ん坊が大泣きしている。でも詩人はラップを続ける。その赤ん坊の親も退出しない。他の観客もブーイングもなく真剣に聴き続けている。ニューヨーカーは日本人と較べてなんと寛大なんだ!
 
 
あと、ニューヨークにおける初期のユダヤ人コミュニティが「デリカテッセン」を中心に築かれたという話も面白かったな。
 
 
追補)『利己的な遺伝子』リチャード・ドーキンス博士の講演「アメリカ国民の20%が無宗教で一番多いのに、政治家はキリスト教原理主義者の顔色ばかり伺っている」と怒っていた。「マクロの宇宙もミクロの細胞も突き詰めれば科学的にも詩的にもいっしょだ」とも。
 
 
追補)18世紀のアフリカ・セネガルでムスリムが革命を起こした話。それから、あのマルクスが共和党のリンカーンに奴隷制が労働者の権利を迫害していると手紙を送ったという話。いずれも初めて聞くことばかりで、興味はつきない。
 
 
追補)印象的だったシーン。SF『火星シリーズ』で有名なウイリアム・バロウズの直筆書簡をチェックしている人。詩人イエーツの書簡も NYPL本館に保存されている。それが無料でアクセスできるのだ。凄いぜ! 写真アーカイヴも豊富だ。テーマごとに分類されていて、アンディ・ウォーホルはその写真を何度も盗んだとのこと。
 
 
映画『ニューヨーク公共図書館』を検索していたら発見したサイト。hatenanews.com/articles/2019/ 対談者は「図書館は民主主義の柱」って言うのはどうよ? と発言をしているが違うだろ。ホームレスでもブラックでもメキシコ人の移民でも、アメリカ国民なら誰でも NYPL が収集した知的財産に無料でアクセスできて当然。アメリカ市民はその権利がある。その権利を守り維持してゆくのがニューヨーク公共図書館の義務であるという決意であり心意気なんじゃないのか。それこそ「民主主義」でしょ。
 
 
 
『未来をつくる図書館』菅谷明子著(岩波新書)読了。映画『ニューヨーク公共図書館』に映っていた、そのほぼ全てに関して、この本の中では既に詳しく解説されていた。映画ではよく分からなかった寄付金収集方法も詳細に載っている。2003年刊行で16年前の本だが、図書館のデジタル化に関する記載も映画と同じだ。その情報は、決して古びていない。驚いたな。
 
■映画を観た人は「この本」は必読の書だ。映画のパンフレットよりも断然分かりやすい。あのシーンはこういう意味があったのか! と読みながらいちいち合点がいくのだから。
 
■とにかく長い映画なので、1回しか観てないから記憶違いもたぶん多いと思う。でも、この映画は本当に面白かった! 観察映画の巨匠フレデリック・ワイズマンのドキュメンタリー映画は、今回初体験だった。彼のことを師匠と仰ぐ想田和弘監督の『演劇1』『演劇2』は観た。どちらも、とにかくナレーションも文字テロップも BGMも何もない観客にははなはだ不親切な映画なワケだが、そのためか、逆に観客は真剣にスクリーンを注目せざろう得なくなり、画面に集中することができるのだ。
 
 
映画『ニューヨーク公共図書館』では、頻回に「スタッフ・ミーティング」の場面が繰り返されるのだが、映画では何の解説・テロップっもないから、いったい誰が図書館長なのかが分からない。パンフレットを買って見て、あ、あの饒舌なオジサンが館長さんだったのか! と、初めて分かった。そういう映画なのだ。
 
「ユニコーン」の検索を図書館司書に依頼する男性に続いて、自分のルーツを調べている中年の太った女性が登場する。彼女の祖先は、いったいヨーロッパ大陸の何処から来たのか? すると、図書館司書はいとも簡単にこう言うのだ。「たぶん判ると思いますよ。その人がアメリカに上陸した年月が判れば、当時の移民登録書を確認すれば、彼がどの船に乗って来たか判るから、その船が何処から出港したか、たぶん判ります」と。
 
 
ビックリですよね。図書館司書がそこまで調べてくれるとは!
 
図書館の使命はそれだけではありません。失業者のための就職ガイダンスが無料で開催されていて、しかも! 履歴書の書き方から、面接時における対応の仕方まで講師が指導してくれる。「とにかく、大きな声でハキハキと答えましょう!」ってね。
 
 
■大切なことは、NYPL を運営しているのが、ニューヨーク市ではなくて、NPO法人であることだ。図書館の運営資金の半分は、確かにニューヨーク市から貰ってはいるが、あとの半分は、理解ある個人〜法人の寄付金に寄っているということが重要なのだ。
 
だからこそ、時の政府に忖度することなく、右も左も平等に資料を収集し、それを市民に公開している。このことは、本当に重要だと思う。
 
映画の中で、ハーレム135丁目にある『黒人文化研究図書館』の館長が確かこう言っていた(違うかもしれない。ごめんなさい)「赤狩り激しかったころの共和党元代議士○○氏が、当図書館を訪れて公民権運動に関する資料を見て苦虫を噛みつぶしたような顔をした。でも歴史の真実は、未来の子供たちのためにちゃんと保存されて行かなければならない」と。
 
 
 
 

2019年8月15日 (木)

映画『まぼろしの市街戦』

■先日のツイートより。一部改変あり

予約注文してあった映画『まぼろしの市街戦』4Kデジタル修復版 Blu-ray が届いたので久々に見て驚いた! ラストが違うのだ。それと、中学生で見たと記憶していたが、淀川長治の『日曜洋画劇場』で放映されたのは 1974年だから、高校1年だったのか。何か鮮烈なイメージが僕の心に刻印された映画だった。

映画館では観た記憶はない。でもその後もテレビの深夜映画劇場とかで何度か目にした。東京12チャンネルだったか。だから、今回も日本語吹き替えで字幕は消して見たのだ。ところが、テレビ放映ではカットされたシーンが幾つもあって、そこは急にフランス語になってしまう。だから字幕はあったほうがよい。

なぜこの映画が気に入ったのか判った。まだ小学生(いや中学生?)だった頃見てショックを受けた海外テレビドラマ『プリズナー No.6』に登場する、あの「村」と雰囲気がそっくりだったからだ。数字でしか呼ばれないあの村の住人達と、映画に登場する精神病院の入院患者たちが同じだと思ったのかな。何か諦めにも似た住人達の雰囲気が。

ウィキで調べたら『プリズナー No.6』は 1967年制作で『まぼろしの市街戦』の公開後だ。ということは、パトリック・マクグーハンは「この映画」を観ているんじゃないか? って想像してしまう。あと、NHKで放映されたのが1969年だから、やっぱ小学生だったんだ。

■この映画を愛する映画人は多い。面白いのは、そのほぼ全員が、初見は映画館ではなく、淀川長治が解説していた『日曜映画劇場』(1974年11月17日放映)か、その後に東京12チャンネルの午後の洋画劇場もしくは深夜ワクで何度も再放送されたものを見ていることだ。ということは、必然的に世代が近い(当時中学生〜高校生)ことになる。

例えば、生涯のベスト10にも入れている町山智浩さんは 1962年生まれ。ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏は 1963年の早生まれ。映画監督の瀬々敬久氏が 1960年の生まれ。ついでに僕は 1958年生まれだ。

瀬々監督が、前リンク先の対談で言及していた本は、岩井俊二(1963年1月24日生まれ)『トラッシュバスケット・シアター』(メディアファクトリー)。そう言えば、単行本を昔中古(95円税別)で買って持っていたことを思い出し、先ほど納戸から出してきて読んでみた。p19〜p26。岩井監督もやはり仙台で過ごした子供の頃にテレビで日曜日の正午から放送されていた「サンデー映画劇場」で「この映画」で見たと書いている。

ただ、妙に記憶に残っているのにタイトルもわからない気がかりな映画だったと。

ずっと気になっていたが、大学時代、映画好きの友人がこの謎を解決してくれた。この話を聞くや否や彼は声を震わせてこう言ったのである。

「そ…それは…『まぼろしの市街戦』だあぁぁぁぁ!(中略)僕が一番観たい映画なんだよ、それはぁあああああっ!」(同書 21ページより)

岩井監督は「サンデー映画劇場」で見て、未だにタイトルが判らなくて気になっている「もう一本の映画」のことも続いて書いている。その映画には『まぼろしの市街戦』と同じく「サーカスの綱渡りの少女」が登場する。その金髪の少女に妻子ある青年将校が恋をし、二人は逃避行に…… という映画だ。

ぼくは見たことがない。気になって調べて見たら、スウェーデン映画『みじかくも美しく燃え』

という映画が見つかった。このタイトルは聞いたことがあるな。

■ところで『まぼろしの市街戦』Blu-rayディスクで見てみると、初見時の感動をもう一度っていう期待が大きすぎたのか、案外たんたんと見終わってしまった。当時テレビで見た印象的なラストの後に「なんと」続きがあったとは! でも、あれは蛇足だったんじゃないかな。

そう言えば『プリズナー No.6』も Blu-ray が出てすぐ買って、 NHKで放映された「日本語吹き替え版」で見たのだが、やっぱり期待していたほどのインパクトはなかった。思い入れが強過ぎると、往々にしてよくある現象だ。

■今回の Blu-rayディスクには、ボーナス映像として「綱渡りの少女」役のジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド(おばあちゃんになっても凜々しい!)インタビューと、先達て亡くなった撮影監督のピエール・ロム インタビューが収録されている。ピエール・ロムの話でビックリしたのは「主演のアラン・ベイツが撮影途中で足首を骨折してしまい、以降の撮影に難渋した。彼が立っているシーンをよく見てみてごらん。たいてい片足で立っているから」と言っていること。

■それから、今回初めて町山智浩さんの「映画有料解説」(税込216円)をダウンロードして聴いてみた。なんと1時間も『まぼろしの市街戦』について熱く語っている。面白かったのは、フィリップ・ド・ブロカ監督は、バスター・キートン、ハロルド・ロイドと、ジャッキー・チェン『プロジェクトA』『スパルタンX』を結ぶ、代役無しのアクション・コメディーの名手として紹介している点だ。

スピルバーグほか、たくさんの映画監督が「この映画」の影響を受けていると。それから「すべてが逆」になっていること。さすが、じつに深い。映画を見たあとに、ぜひ聴いてみて欲しい。

2019年3月 3日 (日)

昨年読んだ本、観た映画、お芝居、聴いたCD

■YouTube で「第9回ツイッター文学賞」の発表を見た。今回は、投票できる本がなかった。

それで思い出して、1月初めにツイートしたものを、一部補足して、こちらにも残しておきます。

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■2018年に読んで、印象に残ってる本。ベスト本は、チムニク『熊とにんげん』。あと、図書館の本なので書影はないが『甘粕正彦乱心の曠野』は面白かったな。それから、寺尾紗穂さんが編纂した『音楽のまわり』。

2018/09/12

「赤石商店」で買ってきた、寺尾紗穂さんが編集して自費出版した『音楽のまわり』を読んだ。10人の個性的なミュージシャンが、音楽以外のエッセイを書いている。ユザーンや浜田真理子さんみたいに、よく知っている人やぜんぜん知らない人もみな読ませる文章だ。伊賀航、植野隆司、折坂悠太、知久寿焼、マヒトゥ・ザ・ピーポーの文章は初めて読んだが、感心したな。ユザーンや浜田真理子さんは期待通りの安定感。寺尾さんは、読者の期待の外し方が絶妙で、めちゃくちゃ上手い。各執筆者への編者からのコメントも面白い。

あと、『心傷んでたえがたき日に』上原隆(幻冬舎)、『颶風の王』河崎秋子(角川書店)もよかった。

■2018年に観て、印象に残ってるお芝居。木ノ下歌舞伎舞踊公演『三番叟(SAMBASO )・娘道成寺』まつもと大歌舞伎(市民芸術館 6/18)。ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出『百年の秘密』(まつもと市民芸術館 5/13)。同『修道女たち』(兵庫県立芸術文化センター 11/23)。ケラさんて、凄いな。

2018/10/10

今日は、飯島町文化館大ホールで『ペテカン』のコント9本+スペシャル・ゲスト柳家喬太郎師の落語2題。いや面白かった!以前観た「 ザ・ニュースペーパー」や「鉄割アルバトロスケット」とは違って、健全でほのぼのした笑いに場内は満たされた。4人の女優陣が頑張ってたな。あと喬太郎師も超熱演。

喬太郎師匠は、あと、毎年駒ヶ根市の安楽寺である「駒喬落語会」。今年は師匠「柳家さん喬」師との「親子会」だった。8月27日(月) よかったなあ。柳家さん喬師をナマでそう何回も聴いているワケではないけれど、さん喬師のベスト3と言えば「妾馬」「幾代餅」「片棒」だと思っていて(軽いネタ「棒鱈」とか「初天神」も絶品だが)

この日、さん喬師は「幾代餅」と「妾馬」をかけてくれたのだ。うれしかったなあ。涙が出たよ。

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■2018年に観て、印象に残ってる映画。見た順。『ラモツォの亡命ノート』『タレンタイム』(これは二度目の鑑賞)。『わたしたちの家』『枝葉のこと』『菊とギロチン』『カメラを止めるな!』『日々是好日』。7本のうち、何と!5本を「赤石商店」の蔵のミニシアターで観た。

あ、忘れてた! 是枝裕和監督の『万引き家族』は、岡谷スカラ座と伊那旭座で2度見ている。安藤サクラに惚れた映画だ。それから、佐藤健に驚いたのが、瀬々監督の『8年越しの花嫁』。これは伊那映劇(昔の)でみた。脚本もよかったな。『ひよっこ』の岡田惠和。じつに丁寧に作られていたな。

2018/08/16

昨日は、伊那通町商店街「旧シマダヤ」で、マイトガイ小林旭主演、浅丘ルリ子共演の日活映画『大森林に向かって立つ』野村孝監督(1961年・未DVD化)を見てきた。意外と面白かった。美和ダム、伊那市駅前での盆踊り大会、旧八十二銀行伊那支店に浅丘ルリ子が入っていくシーンなどが登場し、会場が湧いた。

出演者が豪華。敵役に金子信雄、深江章喜、安部徹。そして「キイハンター」の出で立ちそのままの丹波哲郎。脇役で高品格、長門勇、下条正巳。あと、スパイダース以前の、ムッシュ・かまやつひろしがギターを担いで登場。これには笑った『居酒屋兆治』の細野晴臣さんみたいで。

当時同棲していた小林旭と浅丘ルリ子。この映画が公開された頃にどうも別れたらしい。ホンモノの大型トラックを谷底に転落させたり、ちょっと『恐怖の報酬』みたいな感じで、結構お金をかけて作っていて驚いた。こちらのサイトに紹介記事が。

若かりし頃の金子信雄を見ていて、誰かに似てる? と思ったのだが、あそうか。爆笑問題の田中だ。

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■2018年によく聴いたCD。七尾旅人の『STRAY DOGS』は、結局CD買ってしまった。これは良いわ。ハンバートハンバートの『 FOLK2』も、さんざん聴いたが、CDが見つからない。誰かに貸したっけ?

それから、南佳孝の『ボッサ・アレグレ』。このCDには救われた。

2017年11月17日 (金)

「橋本愛」追補 & 『サウダーヂ』追補

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『週刊AERA 2017.8.28「現代の肖像」より』

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■橋本愛はいま、『POPEYE』に連載ワクを持っている。「橋本愛のカルチャー日記」だ。この12月号で、連載13回になる。とはいえ、僕が知ったのはその前の 11月号で、その号で彼女が取り上げていたのは、BOOKS『ボクたちはみんな大人になれなかった』燃え殻、COMIC『変身のニュース』宮崎夏次系、THEATER『髑髏城の七人 Season鳥』などなど。なかなか渋いセンスじゃないか。

■ただ、彼女の映画趣味の実態を知って心底驚いたのが『映画芸術 2014年春号 449』の特別企画「映画館に通う俳優たち」だった。登場するのは、村上淳・柄本祐・杉野希妃・中村朝佳・二階堂ふみ・橋本愛の6人なのだが、とにかく橋本愛ひとりだけがブッ飛んでいたのだった。少しだけ引用する。

 小学生ぐらいの時には、地元の熊本に「ゆめタウン はません」というショッピングセンターがあって、その中にあるTOHOシネマズで『コナン』を観ていました。

上京してからは、ほとんど映画館に行っていなかったんですけど、『桐島、部活やめるってよ』に出演した時に、周りから「映画は観なきゃだめだよ」と言われて、二年前ぐらいから行くようになりました。最初は勉強みたいな感じで行ってましたが、だんだん小さい映画にも目が届くようになって、自分で作品を掘り下げていくようになりました。

 ”勉強”というのが外れて、自分の意志で映画館に通うようになったのは最近だと思います。時間がある時は、ほぼ毎日行っています。趣味が無いというか、映画を観る以外にやることが思いつかないって感じです(笑)。

(中略)

それでも四月になって高校を卒業したこともあるのか、急に「ロマンポルノが観たい」と思ったんです。それまで観たことがなかったんですけど、純粋できれいなエロが観たいと思ったんです。観てみたら、裏社会がすごく絡んでるお話しばかりで、思い描いていた”純粋できれい”という真っ白なイメージは覆されました。

端くれの世界で描かれているものがとてもきれいだと思えてしまったので、そこからハマりました。石井隆さんの『人が人を愛することのどうしようもなさ』(2007)を観て、そこから拍車がかかったというか、どんどん動けるようになりました。

 ロマンポルノを映画館で観られるところは無いのかなと思って探してみて、「新橋ロマン」はすごく安全そうというか、血が通っている感じがして、行ってみようかなと思いました。六月に石橋蓮司さんと宮下順子さんの特集をやっていて、『江戸川乱歩猟奇館・屋根裏の散歩者』と『赫い髪の女』と『昼下がりの情事 古都曼荼羅』を観たことはすごくよく覚えています。(中略)

「新橋ロマン」は、閉館するまでに十回は行きました。ロマンポルノやピンク映画が三本立て上映なので、30本は観ていると思います。(中略)隣の「新橋文化」にも通うようになって、そこで観た『狩人の夜』(1955) は大好きな映画です。

 ロマンポルノ経由で「ラピュタ阿佐ヶ谷」にも通うようになりました。”わたしたちの芹明香”という特集タイトルで、キラキラしていてすごくきれいなチラシに魅せられたんです。これだけ作り込まれるなんて、本当に愛されたいる人なんだなと思って、観に行って、大好きになりました。森崎東さんの『喜劇 特出しヒモ天国』(1975) の芹明香さんが、すごく好きです。主役の作品だったら『まる秘色情めす市場』(1974) かな。(後略)

(『映画芸術 2014年春号 449』40〜41ページより)

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『POPEYE 818 / 2015 JUNE 僕の好きな映画 p98』

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(活字もなんとか読めると思います。)

2017年10月 4日 (水)

「映画おたく」少女なのか? 橋本愛。

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■今年の「小津安二郎記念蓼科高原映画祭」は、第20回記念の節目を迎え盛大に行われた。ぼくは、9月23日(土)の夕方、茅野市民館で上映された『秋刀魚の味』(1962)と、翌24日(日)の『バースデーカード』(2016)の2本を見てきた。以下は当日のツイートから(一部改変あり)。

今日は、茅野市民会館で小津の遺作『秋刀魚の味』を見てきた。上映前に、主演の岩下志麻さんが素敵な真っ赤のドレスでステージに登壇して映画に関するトーク。有名な巻き尺のシーンとか、アイロンがけの場面とか。颯爽としていて、よく声が通ってカッコよかったなあ。佐田啓二のアパートがある駅。池上線の石川台だったね。

岩下さんは言った。「小津先生は、映画のフレーム内に必ず紅いモノをアクセントに置いたのね。それから小道具の食器とか、九谷、古伊万里。みんなホンモノ。小津先生が行きつけの小料理屋から持ってきて使っていたわ。」


YouTube: GoutDuSake-Ozu

『秋刀魚の味』といえば、岸田今日子がママの「トリスバー」。加東大介と笠智衆がカウンターに並んでいる。笠「けど、負けてよかったじゃぁないか」 加東「そうですかねぇ? う〜ん。そうかも知れねえなぁ。バカな野郎が威張らなくなっただけでもね」

続き)『秋刀魚の味』で使われている映画音楽は、広末涼子が出ているサントリーのCM「のんある気分」で、ロバート秋山が金の斧を持って池の中から登場するシーンに転用されている。斉藤高順作曲の「燕来軒のポルカ」だ。

でも、デジタル・リマスター版の映画って、どうなんだろう。劇場で映画館で古い昔の映画をずいぶんと見てきたけれど、あの雨が降り、左右上下に微妙にブレるフイルムの加減、ぷちぷち言う音声。自宅リビングで寝転びながら見るなら、デジタル・リマスター版のほうが、確かにいいのだけれど。難しいね。

第20回小津安二郎記念蓼科高原映画祭最終日。今日は茅野市民館で、諏訪・茅野・富士見でロケされた映画『バースデーカード』を観る。上映終了後、主演の橋本愛、吉田康弘監督が舞台挨拶。前から4列目の席だったから、スクリーン見上げて肩凝ったけど、愛ちゃんはよく見えた。顔ちっちぇー。やっぱりキレイだなぁ。

映画『バースデーカード』に主演した橋本愛の役名は「紀子」だ。映画の冒頭と後半の大切なシーンで、彼女自身が自分の名前の由来を説明している。ところで「紀子」って、原節子が小津安二郎監督作品『晩春』『麦秋』『東京物語』の3本で演じた役名だ。名字は平山だったり間宮だったり変わるけど、名前はみな「紀子」。その事に、橋本愛さんも監督も触れなかったのが残念。

橋本愛。先週の日曜日に茅野市市民館での壇上トーク。いろいろと発見があった。彼女はまず「映画」を監督で観る。気に入ったら、その監督作品ばかりを見続ける。そのことを彼女は「勝手に個人映画祭」と呼んでいた。面白い娘だなぁ。

続き)映画『バースデイカード』に関して、橋本愛は脚本を読んで「ダメ出し」をしたらしい。

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■映画『バースデーカード』。不治の病のおかされた母親(宮崎あおい)は、10歳になった娘に約束します。毎年「バースデーカード」を彼女に送ると。娘が11歳の誕生日を迎えた日、すでに母親はこの世にいません。リビングに笑顔の写真があるのみ。

けれどもこの日、お父さん(ユースケ・サンタマリア)は、母親から彼女宛の「バースデーカード」を取り出したのです。それから毎年、彼女の誕生日に母親からの「バースデーカード」が届きました。その内容は毎回違っていて、おいしいクッキーの作り方とか、上手なキスの仕方とか、ちょうど「スパイ大作戦」の冒頭、フェルプス君に当局から指令が来て、メンバーがその任務を苦労のすえ達成するみたいな展開になります。

中学生時代の「紀子」を演じた子が、橋本愛に雰囲気がそっくりで驚きです。高校生になった17歳の紀子から橋本愛の登場です。この年の母からの指令は、母親の生まれ故郷「小豆島」へ渡って、彼女の同級生たちと「タイムカプセル」を掘り起こすこと。

小豆島では、母親の親友だった木村多江が待っていて、橋本愛を歓待します。木村多江には不登校の中学生の女の子がいて、母娘の関係はギクシャクしています。最初は橋本愛を無視していた娘は、彼女が大好きなバンド「GOING STEADY」と「銀杏BOYZ」のCDを、ある朝、橋本愛に聴かせるのでした。

次のシーン。その娘の自転車を借りて、島の細い道を駆け下りる橋本愛。BGMは、峯田和伸の絶叫が爆音で流れます。ここは「この映画」の中で、最も気持ちがいいシーンだったな。このあと、宮崎あおいと木村多江の当時の確執と友情の回復が語られるのだが、それは映画を見て下さい。

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■さて、19歳の誕生日がやってきます。もちろん、母親からの「バースデーカード」が届きました。しかし、橋本愛は「カード」を開封しようとはしません。どうしてだ? と訝る父親に、彼女は言うのです。「私、イヤなの! おかあさんの思い通りに生かされて行くのが」

正確なセリフを憶えていないのだけれど、「ここ」の部分に関して、橋本愛は監督に意見したのだそうだ。当初のシナリオでは、彼女は素直にずっと「指令」に従っていた。でも、それって嘘じゃない? 彼女の人生は母親のものではなくて、彼女自身の人生でしょ。と。

吉田康弘監督は、彼女の意見を取り入れ脚本を書き換えたという。確かに、この19歳のエピソードが加わったことで、映画が薄っぺらいものではなくなったように思う。

吉田監督は、撮影中のエピソードとしてこんなことを紹介した。

宮崎あおいと子役の「紀子」の撮影現場に、自分の出演シーンはないにも関わらず、橋本愛は何度も通っては、じっと宮崎あおいの演技を見学していた。普通、役者さんはそういうことをしないから驚いたと。

橋本愛は言った。「宮崎あおいさんと共演するシーンは一回しかなかったので、その現場だけで母娘を演じたら嘘になってしまうと思って、宮崎さんが子役の娘と演じる母娘のシーンを一緒に体験することで、母娘の関係をイメージしようと思ったのです」

2017年9月23日 (土)

映画『サウダーヂ』を、赤石商店の蔵のミニシアターで観た!やっぱ凄いな、この映画

■今週の水曜日の午後は休診にしてるので映画を見に行った。妻は美容院の予約が入っていたから別行動。それにしても驚いたな。平日の午後2時開演なのに、満席! 若者やオーガニック系・夫婦、よく訳の分からないオジサン等々が、どこかしこから湧いてきていた。まぁ、俺だって何処からか「わいてきた」得体の知れないオジサンなワケだけれど。みな地元民なのかな? 駐車場の車は松本ナンバーか、諏訪ナンバーだった。(以下は、その日のツイートより。一部改変あり)

空族プレゼンツ、映画『サウダーヂ』富田克也監督作品(2011年)を、東春近の民泊「赤石商店」の蔵の中のミニシアターで観てきた。予想とぜんぜん違った映画だったけど、うん。面白かった。先に『バンコクナイツ』を見ちゃっていたからね、両方出ている人が多いからさ、なんか懐かしい感じがしたんだよ。

続き)『サウダーヂ』だけに出ていた人で、笑っちゃったんだけど、宮台真司。それから「鉄割アルバトロスケット」の中で一番妙な役者さんが、危ないバーのマスター役で出ていた。そうそう中島朋人さん。中島兄弟の兄ちゃんのほう。

それからラストシーンに、文科省の「ゆとり教育」推し進めた、寺脇研氏が刑事役で出演しています。これは、なんだかな。だな。

少し前に甲府の「桜座」へ、姜泰煥(カン・テーファン)のアルトサックスを聴きに行ってきたばかりなので、映画に何度も登場した甲府の盛り場のシーン。そう、ビジネス・ホテル「ドーミー・イン」のあたりね。リアルに場末感があふれていて、しみじみしてしまったよ。

続き)あ、そういえば、あの甲府の商店街アーケード。NHKBSドラマ『奇跡の人』のロケでも使われていたな。峯田和伸くんと麻生久美子が抱き合う重要シーンだった。第7話だったっけ。

2017年7月11日 (火)

映画『バンコクナイツ』を観てきた。+『満月』豊田勇造


YouTube: 豊田勇造「満月」

■この間の日曜日、松本へ映画を観に行ってきた。以下は帰宅後寝る前、酔っぱらって一気に連続ツイートしたので、恥ずかしい間違いだらけだったのだが、訂正して再び載せます。

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松本シネマセレクト企画、富田克也監督作品『バンコクナイツ』を、まつもと市民芸術館へ観に行ってきた。3時間強の上映時間だったけど、今日は座蒲団持参だから尻は痛くない。それにしても見終わった頭の中が未だカオス状態で、うまく言葉に出来ない。それに、じつはタイへは一度も行ったことないんだ。(7月9日)

今まで見たことのない不思議な映画だったな。角田光代の旅エッセイを読みながら、行ったこともない東南アジアの熱帯夜を体感したような。いや違うな。牯嶺街少年たち「外省人」家族が、台湾で生きてゆくしかない閉塞感に苛まれたように、もはや日本に帰ることはできない「沈没組」の菅野の言葉にこそ「リアル」を感じた。

映画『サウダーヂ』は観てないんだ。ただ、菊地成孔氏が絶賛しているのをブログで読んでたし、ラジオで菊地さんが『バンコクナイツ』にはクラウドファンディングで、そこそこのお金を出していると言ってるのも聴いた。さらに、作家の山田正紀氏がツイッターでめちゃくちゃ褒めているのも読んだ。だからこそ見に来たんだ。

 

上映後のアフタートークに登壇した共同脚本の相澤虎之助さんの話が示唆に富んでいたなぁ。一つは「楽園&桃源郷」の意味するもの。それから、元自衛隊員オザワが、パタヤビーチで元ベトナム帰還兵の老人から購入した45口径(9mm)の拳銃の使いみちに関して。あのラスト、荒井晴彦氏からは怒られたとのこと。

監督の富田克也氏が自ら演じた、PKOでカンボジアに投入された元自衛隊員オザワだが、彼が醸し出す不思議と醒めた(諦めきった)雰囲気。以前にもどっかで観た気がして家に帰るまでずっと気になっていたんだ。あ、そうだ。日活ロマンポルノの傑作、田中登『まる秘色情めす市場』の主人公、芹明香がシャッターが閉まったアーケード商店街で出会った、指名手配の殺人犯そっくりの男だ。

芹明香は、いまだに同業(娼婦)を営んでいる母親(花柳幻舟)を心底憎んでいる。そんな母親が産み落とした弟は白痴だ。飛田遊郭街を死ぬまで出て行くことが出来ない諦め。そのとき「ここより他の場所」へ彼女を連れ出してくれるかもしれなかったのが、あの指名手配の殺人犯そっくりの男だった。

バンコク「タニヤ通り」で日本人相手に体を売るヒロイン「ラック」と、飛田新地で売春する「トメ」(芹明香)は、じつは境遇がよく似ている。そういうことに思い至った。

映画『バンコクナイツ』。カメラがね、とにかくすばらしい! バンコク夜の歓楽街。国北イーサン地方の、とうとうと流れるメコン川を高所から見下ろすシーン。夕闇。いつも満月。ラオスの田舎の山。ベトナム戦争の時、アメリカ軍が空爆して出来たラオスの沢山のクレーター。ぜひとも行ってみたいと思ったよ。

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■この『バンコクナイツ』という映画は、観客を選ぶと思った。若い頃、国内外を彷徨った経験のある、かつてのバックパッカーは、圧倒的共感をもって激賞するだろう。間違いない。だから、ぼくは映画を見終わった直後に思い浮かべたのは、作家の角田光代さんであり、6つ年が離れた成田の兄貴のことだった。

兄貴は学生時代から世界各国を旅して廻っていた。ヨーロッパも東南アジアも。60を過ぎたいまだに旅を続けている。南米マチュピチュ、カンボジア、イギリス、ポルトガル。未だ行ったことのない所は、南極大陸ぐらいじゃないか。

兄貴がなぜ旅に出るのか? よく分からなかった僕は、大学3年生の夏休みに兄貴のバックパックを借りてヨーロッパ1周1ヵ月半の旅に出た。いろいろなことがあったよ。貴重な体験だったと思う。

そんなようなことを、小児科医になってから当時の助教授に偉そうに話したんだ。そしたら、助教授は言った。「君は、インドへ行ったことはあるか? 俺は行ったことがある」と。

 

恥ずかしかったなぁ。何を偉そうに「旅」を語っていたんだ、オレは。

ぼくは東南アジアを旅したことがない。そんな奴に「旅」を語る資格なんかないのだ。間違いない。

 

この映画『バンコクナイツ』を観ながら、あの時の助教授の言葉をリアルに思い出していたよ。

旅とは何か? そのことは長年の謎だった。

日本各地を旅して廻っていた学生の頃、ぼくが考えていたその定義とは、

   旅行:おみやげを買って帰る 

   旅: おみやげは買わない

つまり「旅」とは、非日常の中に「日常」をたぐり寄せる作業。だからもちろん、おみやげは必要ない。その観点からすると、映画『男はつらいよ』の主人公「寅さん」には、お土産を買って「帰って行く場所」が常にあった。

■この、結局は失敗しても常に帰る場所があるってことが、寅さんの甘えだったワケだ。でも、映画『バンコクナイツ』に登場する日本人はみな、帰る場所がない。そのことは重要だと思う。

ぼくはとっくの昔に「旅すること」を止めてしまったのだけれど、いまだに諦めきれず「ここより他の場所 = 楽園」を夢見て、異国のバンコクで蠢いている日本人たち。あぁ、哀れなのか? それとも……。

■映画『バンコクナイツ』には、何度も夜空に月が出ている。しかも、いつも「満月」なんだ。少し前に観た、急逝したマレーシアの女性監督の映画『タレンタイム』にも、満月が何度も登場した。

月は女性の象徴だ。そう思ったよ。

それから、『タレンタイム』と『バンコクナイツ』の重要な共通点が「音楽」だ。ワールド・ミュージック好きを自称するこのぼくが、聴いたこともない超ローカルな地元音楽にあふれているんだ。これ、ちょっと凄いよ! 

タイの東北部、ラオス国境に近いヒロイン「ラック」の生まれ故郷「イーサン地方」にカメラが移動すると、彼女は祈祷所のような部屋に行って、イタコのおばさんが古い物語を語り出すんだ。「モーラム」という語り芸なんだって。このオバサン、次第に語りが「謡い」みたいになって朗々と唄い出す。このシーンはゾクゾク来たな。

あと、メコン川のほとりでオザワが出会う革命詩人の幽霊。ミスター・マリックみたいな風貌で飄々としていて、なかなかに味わい深かった。

■で、映画の最後。エンドロールもそろそろ終わりかと思う頃、流れ出すのが、この豊田勇造さんが唄う『満月』って曲。タイでは誰でも知ってる名曲なんだって。沁みるよね。

■検索したら、監督の富田克也氏への「ロングインタビュー」があった。ビックリだな。最初は、映画作りに関してまったくの素人だったんだね。

 

2017年5月19日 (金)

映画『牯嶺街少年殺人事件』エドワード・ヤン監督作品をみた

■映画とは、本来、真っ暗な映画館のスクリーンに向かってたった一人、その観客はこれからの上映時間を「この映画」に捧げることを覚悟のうえスクリーンと対峙するものであった。少なくとも、ぼくが映画を見始めた頃はそうだった。

まずは闇だ。映画は闇から始まることになっている。

斉藤耕一『旅の重さ』のファースト・シーンを見よ。


YouTube: 旅の重さ

■この、真っ暗な闇に、縦に白い光が差し込む瞬間が映画の始まりなのだ。ちなみに、このシーンは、ジョン・フォード監督作品『捜索者』へのオマージュとなっている。このことを教えてくれたのは、当時映画雑誌『リュミエール』編集長だった、蓮実重彦氏。


YouTube: 捜索者(プレビュー)

「リュミエール」とは、フランス語で「光」という意味だ。ただ、世界で初めて「映画」を発明した兄弟の名前が、偶然にも「リュミエール」であったことが全てを象徴しているのかもしれない。

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■映画雑誌『リュミエール』の最終号(vol.14 / 1988年冬号)は、どうしても棄てられなくて未だに持っている。エドワード・ヤン監督のことは、同じ台湾出身の映画監督、ホウ・シャオシェンと共に、この雑誌を通じて蓮実重彦氏から教わった。

ただ当時、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の映画は何本か観たが(『恋恋風塵』『童年往事』『非情城市』)何故か楊徳昌(エドワード・ヤン)監督の映画には触手が伸びなかった。当時は1本も観てないのだ。バカなことをしたものだ。どうして観に行かなかったのだろう? 

■『牯嶺街少年殺人事件』の紹介記事では、藤えりかさんの「この記事」がよい。

■それから、今回公開された、3時間56分のオリジナル全長版の「あらすじ」を【ネタバレ】で最後までコンパクトに分かり易く紹介しているのが「こちらのサイト」だ。映画を観た人が、よく分からなかったところを整理するのに実に良く出来ているのでオススメです。

■以下は、今回初めて「この映画」を観た直後の感想ツイート(一部改変あり)

エドワード・ヤン監督作品の台湾映画『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』を初めて観た。松本シネマセレクト。圧倒的な3時間56分。これは凄いな。大傑作。思春期特有の残酷さ。切なく痛い映画だ。公開時なぜ見に行かなかったんだろう。
続き)むかし、スクリーンで見た『青春の殺人者』『十九歳の地図』『サード』などの日本映画を思い出した。主人公の家族が日本家屋に住んでいたせいか、妙に懐かしい感じもしたんだ。侯孝賢『非情城市』は公開時に見た。あれは本省人の苦悩の話だったが、今度は外省人の家族の生き辛さか。
続き)『牯嶺街少年殺人事件』の英語のタイトル名が『A Brighter Summer Day』なのが泣ける。エルヴィス・プレスリーの「Are You Lonesome Tonight」の歌詞から取られている。懐中電灯を持ち歩く主人公は言う。「この世界は僕が照らしてみせる」と。
続き)映画の光と闇。山東 (217 グループ) 一味のビリヤード場がやたら停電する設定になっていて、だからこそ、台風が来た夜に彼らを急襲する、台南ヤクザと小公園一味に停電がミカタするのだ。敵ボスの死に際を懐中電灯で照らす主人公。ここのシーンは忘れられない。『牯嶺街少年殺人事件』
続き)あと、中国本土から逃げてきた家族、知人、恩師の奥さん皆で記念写真を撮るシーン。侯孝賢『非情城市』にも、トニー・レオン一家が写真館で家族写真を撮るシーンがあったな。それから小津安二郎『麦秋』にも、印象的な家族一同での記念撮影のシーンがあった。『牯嶺街少年殺人事件』。
続き)おっと忘れていた。主人公の父親がじつにいい。父親が学校に呼び出されたあと、自転車の父子が家路につくシーンが「3回」登場するが、この反復はズルいな。しがない公務員の父親は、外省人であるがために毛沢東中国共産党のスパイではないかと、台湾当局から執拗な尋問を受ける。拷問に近いな。
続き)もうさ、4時間近くお尻痛いのを我慢してスクリーンを凝視してるとさ、映画の主人公と完全に一体化しちゃうんだよ。ちょうど『昭和残侠伝』の高倉健と池部良を見ているみたいに。『牯嶺街少年殺人事件』
映画『牯嶺街少年殺人事件』のことを、もっとよく知りたくて、季刊誌『映画芸術』最新号(2017年春/第459号)を買ってきて読んでいる。故・梅本洋一氏によるエドワード・ヤン監督インタビュー(1991年10月東京)がまずは読ませる。いくつも発見があったぞ。
続き)父親が拷問に近い尋問から解放され帰宅した後、彼の妻は公務員を辞めて民間企業に再就職を薦める。その面接の日、主人公の小四(シャオスー)は母親に映画を見に行って時間を潰すよう言われて、映画館で小翠(小馬の当時の彼女)と会うのだが、彼らが観ていた映画は、音声だけで何かは解らない。
続き)ところが! 梅本洋一氏は音声だけで映画の名前とそのシーンまで特定してみせる。凄いな。その映画とは、ジョン・ウェイン主演、ディーン・マーティン共演、ハーワード・ホークス監督作品『リオ・ブラボー』だ。エドワード・ヤン監督は、この映画を少なくとも10回は見たと言っている。
続き)ここで西部劇を主人公が観ていることが、後半中学校の誰も居ない保健室で、校医の若先生のハットをかぶって「鏡」を見ながらジョン・ウエィンになりきる主人公に繋がるし、小馬の家で、小明(シャオミン)が、まるで南海キャンディーズ「しずちゃん」みたいに『ばーん!』て発砲する場面に繋がる
続き)主演のチャン・チェンは一番最後に決まったんだそうだ。楊徳昌監督は言う。「それに、何よりも、僕が彼に引きつけられたのは彼の目です。彼の目の表現には、時にはすごく深いものがあるし、また時には、何かはっきりとは形にならない感情を伝えてくれたんです。他の少年にはない目の表現が」
続き)「あの子にあった。」小明と二人、午後の授業をサボって河川敷での軍隊演習を遠く見学している時に絡まれた、主人公と敵対する「217グループ」の下っ端を見事撃退した後の主人公が、自転車を引きながら彼女と帰路につくシーン。彼の眼は、東大寺詩仙堂に安置された「広目天」みたいだったぞ。
続き)ただ、よくわからないのはヒロインの小明(シャオミン)だ。決して美人ではない。目は小さいし離れている。ひょろりと痩せていて、胸もないし、ただ首が長いだけの14歳の少女だ。そんな小明が、次々と男を手玉に取る。もちろん本人にその意識はない。ただ生き延びる手段に過ぎなかったのだ。
続き)でも、そんな彼女のために、男たちは自らの命を捧げた。ハニーに殺された、217グループ・リーダー。小公園リーダー「ハニー」、中山堂経営者の息子「滑頭」、建国中学校の校医の若医者、建国中学校バスケット部のエース「小虎」、台湾国軍司令官の息子「小馬」、それに主人公の小四。7人の男
続き)【ネタバレ注意!】映画館で小翠から、あの夜、滑頭が会っていたのは小明であったことを知る主人公。しかも、その小明は母親と共に親友「小馬」の家の住み込み家政婦として働くことになったことを知る。主人公にとっては「もう、なんだかなあ」の世界だ。映画撮影スタジオに、大切な懐中電灯を置いてゆくのは、もちろん意識的だ。だって、遺書みたいな文章もしたためているのだから。つまりは、主人公の総決起決意表明なワケだ。となると、彼が殺したかったのは「小馬」なのか? ぼくはそうは思わない。だとすれば『曽根崎心中』みたいになるべき? いや、それとも違う。難しいな。
続き)この世で一緒になれないならば、あの世で一緒になろうとしたのが、曽根崎心中だったワケだが、牯嶺街少年殺人事件の主人公は自ら死のうとはしなかった。そのことは、じつは重要だと思う。
『牯嶺街少年殺人事件』の主人公シャオスー(小四)とシャオミン(小明)は14歳の中学2年生だった。『タレンタイム 優しい歌』の二人は17歳の高校2年生。無垢の二人は、キスさえためらう。ところが、14歳の小明は既に幾多の男を知り尽くしている。大竹しのぶみたいに。無知な小四が実に憐れだ


2016年12月25日 (日)

今月のこの一曲。『チーク・トゥ・チーク』

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■先達て(12月11日)に観た、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出『キネマと恋人』に、いまだに囚われている。ほんと、よかったなぁ。観劇中の3時間が夢のようだった。

それにしても「贅沢なお芝居」だ。東京では、客席数が218席しかない「世田谷パブリックシアター」の「シアター・トラム」で上演され、ぼくが観た松本公演も、大劇場ではなくて収容人数300人の「実験劇場」のほうで上演された。

出演する役者さんが、妻夫木聡・緒川たまき・ともさかりえ・橋本惇(NHK朝ドラの名作『ちりとてちん』に出演していた、貫地谷しほりの弟役の彼じゃないか!)・三上市朗・佐藤誓・村岡希美・廣川三憲・尾方宣久+ダンサー5人という布陣の豪華メンバーであれば、東京なら「シアター・コクーン」とか三軒茶屋でも、三谷幸喜のお芝居『エノケソ一代記』と集客上でもタイマン勝負を張ることができる人気なのに、あえてケラさんは「小劇場」を選んだ。

昨年の「KERA MAP」で企画された『グッドバイ』も傑作だった。僕はまつもと市民芸術館「大ホール」で観た。ただ、チケットを取るのが遅れたために、1階最後列での観劇だった。だから、折角の小池栄子の熱演も彼女の表情がよく見えなかったのがホント残念だった。双眼鏡を持ってけばよかったな。

今回なぜ、作演出のケラさんが「小さなハコ」にこだわったのか? それは、観客全員に役者の微妙な表情を見逃さないで欲しいと思ったからに違いない。

と言うのも、今回のお芝居の元になっているのが、ケラさんが大好きだと以前から公言していた、ウディ・アレンの映画『カイロの紫のバラ』だからだ。ケラさんが大好きな「奥さま」である緒川たまきさんを主演に芝居を作るとしたら、当時ウディ・アレンの愛人であった、ミア・ファローをヒロインにして作られた傑作映画『カイロの紫のバラ』を選ぶしかあるまい。

女優:緒川たまきには、独特の雰囲気がある。彼女の舞台は、松本で『グッドバイ』の他にも、清水邦夫の『狂人なおもて往生をとぐ』を観た。ひとことで言えば「レトロ」な女優だ。竹久夢二が描く帽子を被った上品な洋風美人の感じ。そう、モボモガが帝都東京の銀座を闊歩していた1920年代末の典型的な美人。


YouTube: Cheek to Cheek - The Purple Rose of Cairo (1985)


で、ほとんど「ネタバレ」になってしまうのだけれど、映画『カイロの紫のバラ』のラスト・シーンが「これ」です。ミア・ファローの微妙な表情の変化を、おわかり頂けましたでしょうか?

ミア・ファロー役を緒川たまき主演で、まして映画ではなく「お芝居」でやるには、このラストシーンを舞台上でどう見せるかが勝負になる。だからケラさんは「小劇場」での上演にこだわったに違いない。

また、映画の翻案なので場面転換が早くて多い。これを舞台上でどう表現するのか? それから、スクリーンの中から登場人物で飛び出してきたり、映画の中の人と舞台上の役者が、あうんの呼吸で会話したり、さらには、妻夫木君が2人同時に舞台上に登場して語り合う場面も必要だ。

プロジェクション・マッピングの有効利用には長けているケラさんではあるが、技術的にもかなりの高度なワザが要求された舞台であったはずだ。そして、それらが「完璧」にこなされていたのだから驚いた。

12月11日
『キネマと恋人』まつもと市民芸術館の夜公演から帰って来て、なんだかずっと「しあわせ」な気分に浸っている。ほんとよかったなぁ。また月曜日からの1週間。がんばってやってゆく元気をもらった。ありがとう。凄いな、お芝居って。

続き)ただ、ときどき妻夫木くんが「ますだおかだ」の岡田圭右にかぶって見えてしまった。ゴメンチャイ。あと、緒川たまきさんのウクレレ上手かった。あの『私の青空』の歌のシーンには泣けた。

『キネマと恋人』の余韻に浸っている。購入したパンフを読みながら。このパンフ、もの凄く充実している。ケラさんへのロングインタビューは必読だ!

ちなみに、ミア・ファロー主演でぼくが大好きな別の映画がある。『フォロー・ミー』だ。イギリスの大監督キャロル・リードが、小予算の片手間企画で撮ったに違いないこの小品。ぼくは、TBSラジオの深夜放送「林美雄のパックイン・ミュージック」で教えてもらって、たしか、テレビの吹き替え版で見た。ジョン・バリーのテーマ・ミュージックが切なくてね、絶品なんだよ。


YouTube: アステアの歌7「cheek to cheek」

■1930年代が舞台の『カイロの紫のバラ』にも登場する、フレッド・アステア & ジンジャー・ロジャースの『トップ・ハット』(1935)。アステアが歌うのが『チーク・トゥ・チーク』だ。

Heaven. I'm in Heaven

And my heart beats so that I can hardly speak

And I seem to find the happiness I seek

When we're out together dancing cheek to cheek

作曲はアーヴィング・バーリン。『キネマと恋人』でも、当然のごとくテーマ音楽として使われ、アレンジを変えて何度も流れた。それから、劇の後半に緒川たまきがウクレレの生伴奏をして、妻夫木聡が「私の青空」を歌うシーンがあった。ここはよかったなぁ。たまきさん、ウクレレ上手い!

■お芝居の劇評は、元六号通り診療所所長の石原先生のブログ、と「しのぶの演劇レビュー」が詳しいです。


YouTube: Lady Gaga Cheek to cheek Live 2015

■「チーク・トゥ・チーク」といえば、レディー・ガガ & トニー・ベネットだ。男性ジャズ・ヴォーカル界のレジェンドであるトニー・ベネットの最新作の2曲目で披露されているのが「この曲」。

二人の共演は、実はこのCDが初めてではない。トニー・ベネットのひとつ前の作『デュエッツ Ⅱ 』の1曲目に収録されているのが、レディー・ガガとのデュエット曲「The Lady is a Tramp」。このCDも買ったけど、とにかくレディー・ガガの歌が上手いのにホント驚いた。奇抜な衣装で歌うゲテモノ歌手だと思っていたのだが、とんでもない。

なんなんだ、このスウィング感。エラ・フィッツジェラルドまっ青の、強烈なグルーブ。恐れ入りました。ところで、この曲の「トランプ」の意味って、あまりいい感じじゃぁないぞ。「その淑女は、じつはとんでもないアバズレ女」みたいな感じか。


YouTube: Tony Bennett, Lady Gaga - The Lady is a Tramp (from Duets II: The Great Performances)



 



2016年9月26日 (月)

第19回 小津安二郎記念「蓼科高原映画祭」茅野市で、『東京暮色』をみる。

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■お昼12時から、茅野市民館で『晩春』デジタル修復版を観る。素晴らしい画像と音声がよみがえっていた。続けて午後2時より、「新星劇場」へ移動して『東京暮色』をみる。

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       ■観客は、ジジババばかりじゃないか!

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■茅野市駅前の「新星劇場」で小津安二郎監督作品『東京暮色』を観る。30年前からレーザー・ディスクでは持っていたのだが、じつは見たことはない。暗いとか失敗作とか、さんざん言われていたからね。いやいやどうして、面白いじゃないか! 140分間まんじりともせずスクリーンに釘付けだ。今こそね!

今回の上映は、プロジェクターでのビデオ上映でなく、ちゃんと 35mmフィルムでの上映だった。思いの外フィルムの状態も良く、子持ちで出戻りで、大きなマスク姿の原節子は妙に美人が際立っていたぞ。それから山田五十鈴。よかったなぁ。ただただその場で流されて行くしょうもない女を見事に演じていた。

それにしても『東京暮色』って、それほど悪くないんじゃないか? むしろ昭和32年の公開当時よりも、平成28年の「いま」観たほうがリアルに響いてくるような気がする。特に、有馬稲子の切実さが何ともやるせない。何故あんなにも最低な男に惚れちゃったんだよ。

『東京暮色』上映の前に、茅野市民会館で『晩春』デジタル修復版(2015)を観る。先だって、NHKBSで放送されたのは録画したのだが、テレビで見ると、白黒スタンダード画面は両端が切れてしまうので、しらけてしまうのだ。だから映画館で観たかった。素晴らしい画像で明瞭な音声。感激だ!

小津の『東京暮色』は、バイプレーヤーの宝庫だ。杉村春子、浦辺粂子、田中春男、藤原鎌足、中村伸郎、長岡輝子、高橋とよ、桜むつこ、高橋貞二、須賀不二雄、宮口精二。『東京物語』の、山村聰もパチンコ屋に登場した。宮口精二と言えば、黒澤明『七人の侍』もデジタル修復完了とのこと。

是非とも観たい!

小津安二郎『東京暮色』の続き。この映画が、アンチ『晩春』であるという感覚は、一昨日たまたま続けて見たから、僕もホントそう思った。「小津安二郎『東京暮色』のすべて(その1)〜(その8)」の詳細な分析は凄いぞ! ameblo.jp/kusumimorikage…

■さらに『東京暮色』の続き。BGMがね、めちゃくちゃ暗い映画には完全にミスマッチの異様な明るさ。『お早よう』〜『秋刀魚の味』で流れる、あの能天気であっけらかんとした音楽が、そのまま使われているのだ。不思議だ。それから、藤原鎌足のラーメン屋「珍々軒」のシーンでは、何故か必ず沖縄民謡の「安里屋ユンタ」。

さらに『東京暮色』。銀行家の笠智衆が住む、坂の上の雑司ヶ谷の家。家に帰る人(笠智衆、原節子、有馬稲子)家を訪れる人(杉村春子、山田五十鈴)みな、坂をのぼってくる。自宅での夜のシーンが多いが、外で犬が遠吠えしていて、山田五十鈴が訪れるシーンで「その犬」が初めて画面に登場する。

■終盤、上野発 21:30分の青森行き夜行列車に乗って、出発を待つ山田五十鈴と中村伸郎。原節子が見送りに来るかもしれないと、冬なのに列車の窓を開けて必死にホームの人混みの中をさがす山田五十鈴が哀しい。来るわけないのに。

列車が停車しているのは、12番ホームだ。小津安二郎は、12月12日に生まれて、12月12日に亡くなっている。

■この映画に関しては、もう少し掘り下げたいと思うので、ネットで見つけた注目すべきサイトを以下に上げておきます。

 ・「ビッグ・ウエンズデーのためのレジメ」ミズモト・アキラ

 ・同上「当日の様子」 ミズモト・アキラ & 堀部篤史

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