« 宮沢章夫 × ケラリーノ・サンドロヴィッチ(その2) | メイン | 伊那のパパズ絵本ライヴ(その120)箕輪町松島コミュニティセンター »

2015年11月12日 (木)

今月のこの1曲。 小坂忠『機関車』

Img_2763

■先週の土曜日の夕方 WOWOW でやっていた「ALFA MUSIC LIVE」を録画して、もう一度見ているところなのだが、これ、いいなぁ。ほんとにいい。

昨日の夕方、WOWOWでアルファレコードの創設者である村井邦彦の古希を豪華ミュージシャン総出で祝うライヴを見ていて、なんともいい気分になった。だって、知ってる曲ばかりなんだもの。それに、ハウスバンドはキャラメルママ(正しくは、ティン・パン・アレイ)だし、小坂忠「機関車」は聴けるし。

■村井邦彦は、赤い鳥の代表曲「翼をください」の作曲者としても有名な人だ。この日は、当時の赤い鳥メンバーのうち「紙ふうせん」の2人だけが登場し、ハイファイセットの山本潤子は欠席だった(現在は完全に活動停止状態とのこと)。彼女の夫でもあった山本俊彦は昨年3月突然他界し、大川茂はたしか悪事に手を貸し、ずいぶん前に芸能界から消えた。

「赤い鳥」は伊那市民会館へ労音のコンサートに来て、当時中学2年生だったぼくは聴きに行った記憶がある。1972年のことだ。その翌年、ガロの「学生街の喫茶店」がヒット。ガロのメンバーも、3人のうち2人がすでに故人だ。この年、中3の冬に、TBSラジオのアナウンサー「林美雄」のパック・イン・ミュージックで、はじめて荒井由実の「ベルベット・イースター」を聴き大変な衝撃を受ける。

ただ、あの当時まだ誰も、ぼくのまわりで荒井由実のことを知る人はいなかった。

そして、1975年2月。高1でスキー教室に参加した車山スキー場で盛んに流れていた、キャッチーで実にかっこいい曲が、小坂忠の「しらけちまうぜ」だった。そのことも、少し前に書いた覚えがある

スキー場といえば、原田知世主演の映画『私をスキーに連れてって』が公開されたのが、1987年11月。松任谷由実の「サーフ天国・スキー天国」と「恋人はサンタクロース」が、映画の印象的なシーンで使われていた。映画ロケ地は、西武のプリンスホテルがある、志賀高原焼額山スキー場と万座温泉スキー場。

当時は、猫も杓子もスキースキーのバブル隆盛期で、週末明け方の国道18号線(上越道はまだなかった)には、百台以上のスキーバス(志賀高原行き・野沢温泉行き・斑尾高原行き)が列をなしていたな。いい時代だった。しみじみ。

■WOWOW の番組を見ながら、アルファレコードの歩みと、ぼくが中学・高校・大学と過ごしてきた時代が、リアルタイムでぴったり一致していることに気が付いた。だからみんな懐かしい知ってる曲ばかりなんだ。

見ていて一番うれしかったのは、細野晴臣の紹介で小坂忠が登場し、ティン・パン・アレイ(鈴木茂・細野晴臣・林立夫・松任谷正隆)をバックに「ほうろう」「機関車」の2曲を熱唱してくれたことだ。


YouTube: 小坂忠 Chu Kosaka: 機関車 La locomotive

 

■小坂忠に関しては、ずっと以前の「今月のこの一曲」(2001/12/23)に書いた。(下までスクロールしていくと、綾戸智恵の上に、小坂忠『People』の記事があります)

「機関車」の初演は、アルファレコードから 1971年10月にでた、小坂忠ソロ・デビューアルバム『ありがとう』に収録されている。細野晴臣が全面バックアップして完成したこのレコードのタイトル曲では、細野さんがジェイムス・テイラーまっ蒼のアコースティック・ギターを弾いているぞ。


YouTube: ありがとう _ 細野晴臣&小坂忠.mpg

■この映像は、1970年代初頭、狭山市アメリカ村に隣同士で住んでいた細野晴臣と小坂忠の、狭山市の野外会場で催された再会セッションでの記録だ。

■アルバム『ありがとう』に収録された「機関車」と、1975年に出た『ほうろう』A面2曲目に再収録された「機関車」とでは、歌詞は同じなのに、曲の感じがぜんぜん違っている。前者は、ほのぼのとしたカントリー調の楽曲で、サビの「目がつぶれ/耳も聞こえなくなって/それに手まで縛られても」の部分が、「Aメロ」と同じままなのに対し、後者のヴァージョンでは、サビはR&B調の「Bメロ」に変えられているからだ。

「機関車」は、曲もいいが、やはり歌詞だ。特に2番。

   乗り遅れまいと急ぎすぎた僕は

   もう止まらない レールの上

   あい色した嘘の煙を

   はきながら

   僕は君を愛しているんだ

   目がつぶれ

   耳も聞こえなくなって

   それに手まで縛られても

■CD『Early Days』のライナーノーツで、北中正和氏は小坂忠にインタビューしてこう書いている。

「機関車」は当時の世相を背景に生まれた曲でした曲でした。「ぼくらの学生時代は、大学がロックアウトされて、デモに行く奴や、音楽や芝居をやってる奴がたくさんいた。みんな既成のものに収まらない表現を作り出したいというエネルギーを持っていた。70年代になって、そういう連中が就職していくのを見ていて、複雑な気持ちだった」

「当時の世相」のというよりも、いや、むしろ「いま」の時代、これからの時代を生きてゆく「僕ら」そのままじゃないのか?

すでに決められたレールの上に乗せられ「あい色した嘘の煙をはきながら」皆といっしょに前へ前へと走らされることへの諦観。

だけど、「僕は君を愛しているんだ」っていう「本当の気持ち」を決して失わずに、それでも生きてゆくんだという決意、覚悟の表明なのだ。


YouTube: 機関車-浜田真理子

■大友良英さんのラジオを聴いていて、最近偶然に知った、ピアノの弾き語りをするキャリアの長いシンガー・ソング・ライター浜田真理子さん。いまも島根県松江市在住で、1964年生まれのバツイチ。娘さんにも子どもが生まれて(双子の女の子!)今や、おばあちゃんなのだそうだ。

それで、あわてていま CDを集めているところなのだが、つい先日届いた 2013年東京渋谷でのライヴ録音盤、『Live. La solitude』(2014年/美音堂/SFS-017)にも、なんと、この「機関車」が収録されていた。何故かワザと感情の昂ぶりを押さえ淡々と唱っていて、これが思いのほかよいのですよ。このCDには、下田逸郎やレナード・コーエンの「ハレルヤ」。それに浅川マキの渋い曲「夕凪の時」もカヴァーされていて、しかも! 全曲フルで YouTube 上で試聴できるのです。ぜひ、ちょっと聴いてみて下さい。

■浜田真理子さんに関しては、もうちょっといろいろと書きたいので、また次回に「今月のもう1曲」とでもして取り上げる予定です。



トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.dcnblog.jp/t/trackback/463039/33641705

今月のこの1曲。 小坂忠『機関車』を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

Powered by Six Apart

最近のトラックバック