今月のこの1曲 Feed

2024年5月14日 (火)

カーティス・メイフィールド『new world order』を聴く(その2)

昨日の続きです。 内容は、以下の記事からまとめたものです。

 30 Years Ago: Curtis Mayfield Paralyzed During an Outdoor Concert

■民主党上院議員マルコヴィッツが、野外ステージに登壇した。

「みなさん!カーティス・メイフィールドをご紹介します。私は興奮してゾクゾクしてきました!」

その瞬間、会場に「大きな突風」が吹き荒れた。巨大なスピーカーがぐらつき始め、観客の列が散り散りになったが、マーコウィッツは続けた。「Ladies and gentlemen,  Curtis Mayfield !」

カーティスがステージに上がったその時、時速54マイルにもなる「2度目の爆風」が頭上の巨大な金属製リグを揺り動かし、スピーカーがステージから吹き飛ばされ、照明トラスが倒れた。トラスからステージ照明が外れて上から落ちてきて、そのうちのひとつがメイフィールドの首の後ろを直撃し、彼は崩れ落ちた。この日、12歳の少女を含む少なくとも6人が負傷したという。


メイフィールドは動けなかった。腕も足も使えない状態で救急車を待った。その時、ようやく雨が激しく降り始めた。少なくとも最初は、メイフィールドがいずれ回復するかもしれないという希望があった。しかし、キングス・カウンティ・メディカル・センターの医師はその後、メイフィールドが首の第3、4、5頸椎を骨折していることを伝えた。医師たちは、メイフィールドは歩くことも、ましてギターを弾くこともできないだろうと確認した。このとき彼はまだ 48歳だった。

・・

■検索したら「本と奇妙な煙」というサイトに、雑誌『Cut』1994年5月 Vol.30 に載ったカーティス・メイフィールドのインタビュー記事が再録せれていた。

――あの事故が起きた夜のことで何を覚えていますか。


「あんまり話せることはないんだよ。(略)わたしは野外ステージの裏の階段を昇っていった。昇り切って、3歩か4歩歩いて、その次に気がついたときには床に転がっていた。ギターもどっかに行ってしまってて、靴も履いてない、眼鏡もない、そして体がまるっきり動かなかった。みごとに伸びてたんだよ。にっこり笑ってステージに向かっていったその次の瞬間には、まっすぐ夜空を見つめてた。雨が降り出してたなあ。


 すべてめちゃくちゃになっていた。動かせるのは首だけだった。自分がどうなってるのかと見回してみると、ぬいぐるみみたいに床の上でぶざまに寝そべっているんだよ。もちろん目は開けたままでいた、目を閉じたら死ぬんじゃないかって気がしたのさ。みんなが来てわたしを運んでくれた。病院はすぐそこにあった。どこまで深刻な状態なのか自分ではわからなかった、生きるか死ぬかもね。……どこがどうしてどうなったのかまるでわからなかった」


――いまはどんなリハビリを行っているんでしょうか。


「正直に言うと何もしていないんだよ。ただ 単に、リハビリのしようがないからだがね。わたしが完全に寝たきりにならないようにと家族が手足のストレッチをさせてくれる。できるだけ体が固くならないように。でもどこも丈夫なんだよ、麻庫してるだけで。どこかのいいお医者がいつか魔法のような方法を見つけて、麻痺した部分を生き返らせてくれるかもしれない。そういうことが起こらないかぎり、おそらくわたしはこのままで死ぬんだろうね。

・・

■頚椎損傷で四肢麻痺に陥っても、いま現在の最先端医療でなら神経細胞の再生医療によって再び歩けるようになることも可能になった。しかし、カーティス・メイフィールドは事故後もう二度と歩くことも、ギターを弾くための手を動かすことも叶わなかったのだ。ただ、自ら作詞作曲して歌うことだけは、まだできた。

■それから6年後の 1996年。『new world order』は制作されたのだった。

車椅子に座った状態では声が出ないため、カーティスはスタジオで仰向けに横になって、しかもワンフレーズずつ細切れで歌を収録したという。CDで聴くかぎり、彼の魅力的なファルセット・ボイスは健在だし、しっかり声も出ていて、とてもそんなスタジオ収録場面を想像することはできない。

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■以上のような事情を知った上で、改めて「Back To Living Agein」を聴くと、ぜんぜん違って彼の歌声が心に響いてくるのではないか。

曲の後半、バックコーラスにかつての朋友アレサ・フランクリンが参加して歌声を披露する。そして、曲が終わった最後に、アレサ・フランクリンの励ましの声が収録されているのだ。

「 Go Ahead MAYFIELD ! 」

■しかし、持病の糖尿病が悪化して足の動脈がつまり、1998年には右足を切断。翌年のクリスマスの次の日(1999年12月26日)57歳の若さで帰らぬ人となった。

・・

・・

カーティス・メイフィールドが作詞作曲したインプレッションズ時代の代表曲「People Get Ready」(1965) を、1985年に ロッド・スチュアートとジェフ・ベックがカヴァーしヒットしたおかげで、経済的に苦境にあったメイフィールドはずいぶん助かったそうだ。事故後の療養費用にも印税が役だったという。


YouTube: Jeff Beck, Rod Stewart - People Get Ready


YouTube: The Impressions - People Get Ready  1965 歌詞 対訳

2024年5月12日 (日)

カーティス・メイフィールド『new world order』を聴く

■落ち込んで心が弱っているときに聴きたくなる音楽は、ぼくの場合、決して明るく元気が出る曲ではない。そう、例えばビリー・ホリデイの『レディ・イン・サテン』4曲目の「I get along without You very well」。最晩年の録音で彼女のからだはボロボロ、その声は老婆のようだ。でも、ビリーは乙女の気持ちで唄っている。そして優しく包み込むように、すべてを許してくれるのだ。


YouTube: I Get Along Without You Very Well

それから、ニーナ・シモン『ボルチモア』2曲目「Everything Must Change」


YouTube: Nina Simone-Everything Must Change

■彼女ら2人にはずいぶんと助けられてきた。とことん落ち込んで底の底まで沈んで行って、まっ暗やみの遙か彼方から微かな希望の光が差してくる。そういった音楽たちを、ぼくはとっても大切にしている。

 最近、新たな仲間が加わった!

安価な中古盤で入手した、カーティス・メイフィールドの『new world order』(1996年) だ。

1曲目のタイトル曲から全曲素晴らしい。アルバム全体に通底するのは深い悲しみと諦観なのだが、でも違うんだよ。彼は決して諦めてなんかいないのだ。


YouTube: Back to Living Again

■アルバム3曲目「back to living again」は、わりと明るい曲調で歌詞も前向きだ。ライナーノーツには、この曲の一節を使って、カーティス・メイフィールドのメッセージが以下のように載っている。

" Now is always the right time

  With something positive in your mind

  Whenever something pulls you down

  Just get back up and hold your ground "

        To all my old and new fans,

        thank you for caring and sharing my music.

                     - Curtis Mayfield

■ソウル界の女王 アレサ・フランクリンが、低迷した1970年代後半から見事に復活した1980年代。同じくソウル界のレジェンド、カーティス・メイフィールドはすっかり過去の人として忘れ去られようとしていた。

1990年8月13日。新作アルバムを出して再起を賭けていたカーティス・メイフィールドは、民主党上院議員のマーティン・マーコウィッツが、有権者への感謝を込めて毎年ニューヨーク・ブルックリンのウィンゲート・フィールドで開催している「野外コンサート」に招聘され、ヘッドライナーとして出演することになった。

ところが、この日は会場に嵐が近づきつつあり、でも既に1万人もの観客が会場に向かっていたので、主催者のマーコウィッツはコンサートの中止を渋り、カーティス・メイフィールドの出演時間を前倒しにしてコンサートを強行したのだった。

(まだまだ続く)

2024年2月 4日 (日)

今月のこの一曲 「貝殻節」

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■伊那市民会館に「西岡たかしコンサート」を聴きに行った時、僕はまだ中学生だったように思う。西岡さんが五つの赤い風船を解散して、ソロ活動を始めた時だから、1973年 かな。

「血まみれの鳩」「これが僕らの道なのか」「もしもボクの背中に羽根が生えてたら」「まぼろしの翼とともに」「遠い世界に」といった『五つの赤い風船』の代表曲と共に「ジャンジャン町ブルース」「満員の木」「大阪弁」などの新曲も歌ってくれた。

ただ、この日ぼくが一番印象に残った忘れられない曲は、鳥取県民謡を彼がアレンジし哀感を込めて唄った『貝殻節』だったのです。何て悲しくて美しいメロディだろう!そう思いました。


YouTube: 五つの赤い風船「貝殻節」

■ところが最近「民謡クルセイダーズ」が演奏する『貝殻節』のプロモーションビデオを見てたまげてしまいました。なんと! サルサじゃん。これはミスマッチなんじゃないの? って最初はちょっと否定的な感想を抱いたぼくでしたが、聴き込むうちに、これもありかな。いいじゃん!と変化した次第。

PVよりも、2022年10月15日「多摩あきがわLiveForest」でのライヴ演奏が好きです。


YouTube: 民謡クルセイダーズ「貝殻節」ライブ@多摩あきがわLiveForest自然人村「トーキョーマウンテン"森と踊る”」

■YouTubeを検索していたら、もっと凄い「貝殻節」を発見したぞ。なんと!坂田明、ジム・オルーク、山本達久のトリオによる、迫力のパンク・フリージャズだ。2015年6月29日(月) 盛岡「すぺいん倶楽部」にて収録。坂田さん、カッコイイなあ。


YouTube: sakata/O'Rourke/yamamoto / 貝殻節

■本家の民謡以外でも、いろんなヴァージョンが存在する『貝殻節』だが、そうは言ってもぼくが一番好きなのは、浜田真理子さんが唄う「貝殻節」だ。儚なさと哀愁の中に冬の日本海の荒々しさが目に浮かぶような迫力も感じる歌声。ほんと凄いです。


YouTube: 貝殻節/浜田真理子/鳥取県民謡/東京文化会館小ホール

2022年9月25日 (日)

さようなら ファラオ・サンダース

■旧「しろくま通信」今月のこの一曲 に載せた、ファラオ・サンダースの文章です。

 2003年10月14日 に書いたものです。

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よく言う「無人島に持っていく1枚のレコード」ってヤツがあるでしょ。ぼくは迷わず(いや、たぶん(^^;)コレを選びます。

それほど、人生のある時期、一番大切にしていたアーティスト&レコードでありました。間違いなく。それがこの、 新宿西口「オザワレコード」で買った、2枚組輸入盤『Journey To The One』Pharoah Sanders( Theresa Records)。   

あれは、1980年代の初頭。いつものように新宿西口を出て、「オザワ」でジャズ・レコードを物色。それから地下道を潜って東口に向かいます。二幸ビル(今のアルタ)裏にある雑居ビルの1F「アカシア」 で、¥380の「ロールキャベツ定食」を食べて腹を満たしたあと、同じビルの狭い階段を上りはじめました。すると、3Fのジャズ喫茶「DIG」からピアノの音が聞こえてくるワケですよ、 ジョン・ヒックス のピアノが。もの凄くスイングして。

階段を駆け上がってドアを開けると、レイ・ドラモンドのベースが「ブンブンブンブン」と、地響きのように「ずんずん」おなかに振動してきます。そこに被さって、突然、ファラオ・サンダースの吹っ切れたサックスが咆吼しました。「パパラ、パパッパー、パパッ! パパラ、パパッパー!!」 って。これって、ものすごく気持ちいい!!

この曲が、『Journey To The One』(Side Three) 1曲目に収録された、かの名曲!『 You've Got To Have Freedom 』だったのです。

当時、ファラオ・サンダースって、ほとんど注目されていませんでした。23年前のことです。ぼくは、ごうを煮やして、「スイングジャーナル」に
投稿しました。それはこんな文章でした。(つづく)
(2003年10月14日 記)

・・・

■気分はファラオ・サンダース

ジャズを聴いていると、急に力が湧いてきて、何かしなきゃという気持ちになるとおっしゃったのは植草甚一氏であった。でも最近はそういうのが少ないんだよねぇと、わしは森山威男ばかり聴いておった。去年の夏のことだ。

そんなある日、相変わらずの新宿の人混みに驚きながら『DIG』の狭い階段を昇って行くと、熱い音がゆっくりとうねりながら降りてくる。実に久々の快感。

「おぉっ、なんだこれは」とかけ上がってみると、ファラオ・サンダースの新作『Journey To The One』。わしは驚いた。これがあのファラオ? 実に大らかに、ゆったりと吹いている。しかも力強く。何かスパッと吹っ切れた感じだ。

今までなんでコルトレーンはファラオなんか使ったんだろうと、わしは陰口をたたいていた。実際、彼はいつの間にかジャズ界から消されてしまっていた。でも一番悩んでいたのは彼自身だったんだな。

この春にでた「Rejoice」にはこんなことが書いてある。
「ジョー・ヘンダーソンみたいにもっとテクのあるヤツはいくらでもいただろうに、何で彼は俺なんかが良かったんだろうって、不思議に思ったよ。でも、彼には一度も聞いてみなかったな。なぜって、俺たち二人ともとても無口だったからさ。」

(後略)
『スイングジャーナル』1981年7月号より(なんだか、当時愛読していた椎名誠さんの文体のモロまねですねぇ(^^;;)

・・・

●そんなファラオだが、不思議なことにここへ来てにわかに活気づいてきた。先月と今月、インパルス時代の傑作3枚、テレサ時代の名盤『Journey To The One』を含む4枚が、国内盤でCD発売されたのだ。しかも、『Meditation - Pharoah Sanders Selections Take 2 』は、その「テレサレコード」のベスト盤になっていて、もちろん『 You've Got To Have Freedom 』も収録されています。紙ジャケのデザインもなかなかだし、このベスト盤はお買い得だな。(2003年10月20日追記)

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2021年4月 7日 (水)

熊本在住の男女2人ユニット「flexlife」がイイぞ!(その2)

■怒濤の連続連夜更新だ!!

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(写真をクリックするとデッカくなります。)

■むかしから「男女二人のペアユニット」が好きだ。

ハンバートハンバートは20年以上前からファンだし、羊毛とおはなも大好き。千葉はなさんは乳がんで亡くなってしまったけれど。最近では、NHK総合『あさイチ!』近江さん登場の最終回にナマ出演ナマ演奏を披露した「T字路's」も、お気に入りだ。

ちょっと思い出してみると、このユニット形態は伝統的なものがあるな。ヒデとロザンナ、チェリッシュ、ダカーポ、赤い鳥だった紙風船。それに、トワエモア。あ、それから地元の伊那市高遠町には「亀工房」前澤夫妻がいるぞ!

■東京は下北沢あたりを根城に、地道な音楽活動を続けていた「flexlife」が何故、いまは熊本で生活しているのか?

大倉健さんと青木里枝さんは、結婚したあとしばらく音楽活動を休止していた。男の子(勘太郎クン)が生まれて、子育てに専念していたからだ。そこへあの、2011年3月11日がやって来る。福島第一原発はメルトダウンした。

彼らは子供を抱えて逃げた。東京からずっとずっと西へ。そうして九州は熊本の田舎に辿り着いたのだった。熊本県宇城市豊野町。(現在は熊本市内へ転居)

そしたら今度は、2016年(平成28年)4月14日。熊本地震が発生。ほんと大変だったんだね。

熊本には、ぼくが個人的に注目している人たちが他にも住んでいる。詩人の伊藤比呂美さんと、坂口恭平さんだ。

彼らが熊本へ移住した後に作ったCD『Wild Cat Blues』を(ごめんやはり中古で)購入して聞いてみた。驚いた! それまでの、アーバンでポップでソウルフルで格好いい音楽はそこにはなかったのだ。正直がっかりした。

■たとえば、ハンバートハンバートの新譜を購入すると、ぼくは処置室に置いてあるラジカセで診療時間中ずっとリピートして延々と聴いている。看護師さんたちはさぞや迷惑してるに違いないのだが、そこは院長の特権で、とにかく繰り返し繰り返し聴き続けるのだ。数週間から1ヵ月近く同じCDを聴き続けることもあるよ。

そうすると、噛めば噛むほど味が出る「スルメ」みたいに、聞き込んで初めて「その曲」のよさが分かってくることが多いのだ。

flexlifeのCD『Wild Cat Blues』も、そんなふうに繰り返し聴いた。地味な曲ばかりだ。演奏もシンプル。ぜんぜんソウルじゃない。でも、10回くらい聴いたあとかな、突然「ことば」がズシンと僕の心の奥底に響いたのだ。その曲は「ノスタルジア」。歌詞を引用すると、JASRACが突然やって来てブログを削除してやるぞ!と脅してくるのだが、すみません、以下引用です。


YouTube: flexlife ノスタルジア

泣いたり 笑ったり

そんな風に過ぎてく日々が

いつまでも続くだろう

そんな風に思っていた

■「あっ!」これって、「コロナ以前」のぼくらが当たり前に過ごしていた生活じゃん!

そう思ったら、涙が流れてきたのだ。それから「らんなうぇい」


YouTube: らんなうぇい。from Wild Cat Blues

"あの日" から らんなうぇい。 出口探す人よ

"あの日" から ふぁらうぇい。 歌ってよ Boy Friend!

負け犬だと 指さされても

おそれていい 逃げ出していい。

君は君のため。らんなうぇい。

たぶん直接は、放射能から逃げ出した時の歌なのだろうけど、いま思うともっともっと大きな大切なことを言っていたんだね。学校で陰湿な「いじめ」を受けている子供たち。夫からのDVに悩まされている妻たち。ブラック企業の犠牲になっている若者たち。生真面目すぎて会社に尽くしてきたがために鬱病になってしまった企業戦士たち。

そうさ、現状から逃げ出していいんだよ。そう、君のために。

それから「時計仕掛けのステップ」も不思議な歌だ。自発的には一切行動できないで、ただ操り人形のように人生が国家から制御された、ジョージ・オーウェル『1984』か、テリー・ギリアム『未来世紀ブラジル』のような世界。 でも、


YouTube: BE THE VOICE LIVE///WGT farewell party

(1時間21分後あたりになって、リモートで登場します!)

踊ろ 踊ろ 時計仕掛けのステップで

踊ろ 踊ろ Rock Stedy, Samba, New Orlens

すきな服 すきな色 すきな様に着飾って

いざ進め! 時計仕掛けでも

ぼくはこの曲を聴いて、小坂忠の名作「機関車」を思い出したよ。 

あと、タイトル曲の『Wild Cat Blues』。ドラムスとピアノが入ってくる瞬間が、いつ聴いてもじつに気持ちイイ! なんだろう。凄く疾走感がある曲だ。ちょっと、クラムボンの演奏を彷彿とさせる。「せーの」で一発録音したというライヴ感、臨場感のなせるワザか。


YouTube: flexlife wild cat blues

でも、なんて言うかな。「地べたにしっかり足が着いている」演奏なんだ。東京にいた時は「重力に逆らって遊んで」ふわふわと漂っていたのに、ぜんぜん逆で、プリミティブでシンプルで、力強い音楽が出来上がっていたことに、ちょっと感動してしまったのだ。

これはイイぞ!

■ぜひ一度、生ライヴで聴いてみたいものだが、熊本は遠いなあ。

でも、FDAが熊本空港から名古屋小牧空港に飛んでいるので、時間的にはそれどかからない。名古屋→岐阜→信州ライヴ・ツアーとか、いつの日かできるといいなあ。

(おしまい)

2021年4月 5日 (月)

熊本在住の男女2人ユニット「flexlife」がイイ!(その1)


YouTube: 夢で逢えたら( 大瀧詠一/吉田美奈子)・yume de aetara ( minako yoshida/ eiichi ohtaki ) by flexlife

■前々回かな、吉田美奈子の「ラスト・ステップ」を取り上げた時に、YouTube で発見した「flexlife」。

いまや世界中で大注目の「ジャパニーズ・シティポップ」を次々とカヴァーして、YouTube にどんどんアップしている。ヴォーカルは、青木里枝、ギターは大倉健の男女2人組だ。別姓だが、夫婦みたい。ハンバートハンバートといっしょだね。

まったく知らなかったミュージシャンだが、ウィキで調べると 1998年のデビュー。結成23年じゃないか!

ということは、ハンバートハンバートより古いのか?


YouTube: エイリアンズ(キリンジ)/Aliens(Kirinji)covered by flexlife


YouTube: ルビーの指環 (寺尾聡) × THE ROLLING STONES ( MISS YOU ) COVERED BY FLEXLIFE

■彼らのCDを聴いてみたくなって、ほんと、すまぬ。Amazon で安かった中古盤をまずは購入した。『メロウグルーヴ』(フレックスライフ)だ。

カヴァーではなくて彼らのオリジナル曲。これがめちゃくちゃ良かった! ネオ・ソウルって言うの? ふわふわと漂うような浮遊感がじつに気持ちイイのだ。アコースティックだけれど、ハンバートハンバートや、羊毛とおはなみたいな「フォーク」じゃない。R&Bだ。グルーヴ感っていうヤツ? リズムがね、黒いんだよ。でも、T字路's ほど真っ黒じゃあない。例えば、こんな曲。

 ・


YouTube: flex life / 寝ても醒めても (flex life : Nete mo samete mo)

■このPV。凄いよね。まるでウッドストックだ。1970年代初め。まだヒッピーが日本各地に集団で住んでいた頃の感じだ。モノクロだし。長野県でも入笠山の麓に集落を作っていた。青木さんは、スーパーフライがデビューするずっと前に「ほぼ同じ衣装」で歌っていたのか!

ちょっと癖になる歌い方だよね。エリカ・パドゥみたいな、松倉如子のような不思議な響きがある。

エレピを弾く大倉さん(若いぞ!!)は痩せていて、中川ひろたかじゃなくて、まるで「松尾スズキ」だ。あはは!

彼らのオリジナルは、基本ギターの大倉健:作曲、ヴォーカルの青木里枝:作詞で出来ている。大倉のお洒落なメロディセンスに先ずは驚くが、ここで注目したいのは、青木里枝の「言葉」の感覚だ。

愛が途切れる音がする

夜毎悪魔が囁いた

光と闇 月と太陽

混ざりあうわけがない

(中略)

寝ても醒めても頭の中はおとぎ話ねあなたは

夢から醒めた日々の世界は多くを語りかける

寝ても醒めても疑いや嘘、憎しみは続く

重力に逆らって遊ぶ

「寝ても醒めても」

夢紡ぎ歩く二人 何処を目指すのだろう

行く宛て など何もない 長い道

照りつける太陽

揺れる蜃気楼

広がる砂丘に つづく足あと

二人探してる 霧の向こうの”それいゆ”

見失わないように あぁ 歩いていく

「それいゆ」

■なんかね、文学的なんだ。詞がね。アーバンでポップなメロディに被さって、寺山修司みたいな、1960年代末の雰囲気むんむんの言葉たちが綴られてゆくのだ。彼女は、自らの名前のローマ字表記を「Rie Aoqi」と書いていて、これってもしかして、早世したジャズ評論家「間章(Aquirax Aida)」の影響を受けているのではないか?

これは僕の想像でしかないのだけれど、きっと彼女は「大島渚」の映画が好きに違いないし、漫画は永島慎二の『フーテン』と『黄色い涙』がお気に入りだと思うぞ。僕よりずっと若いはずなのにね、何故か60年代のレトロ趣味。不思議だ。

(その2)に続く!


YouTube: 日曜日よりの使者(ザ・ハイロウズ・THE HIGH-LOWS)covered by flexlife

2021年2月21日 (日)

今月のこの1曲 吉田美奈子『ラスト・ステップ』


YouTube: last step 山下達郎・吉田美奈子 /covered by flexlife

■このところの「ヘビロテ」楽曲が、吉田美奈子『Flapper』に収録されている「ラスト・ステップ」。

山下達郎が提供した曲だ。聴いていてホント、気持ちイイ!

YouTube には、残念ながらオリジナルの吉田美奈子ヴァージョンはなかった。代わりにアップしたのは「flexlife」という、青木里恵(Vo)、大倉健(g) という男女2人組のユニットのカヴァー。雰囲気はよく出ているな。しかも、ギターの大倉さん。絵本作家で「トラや帽子店」メンバーだった「中川ひろたか」さんにそっくり! 最初見た時、てっきり中川ひろたかさんが弾いているとばかり思ってしまったよ。

■この曲は、山下達郎がシュガーベイブ時代に作った曲らしい。本家、山下達郎ヴァージョンが上がっていた。これだ。


YouTube: Tatsuro Yamashita (山下達郎) - ラスト・ステップ

 
YouTube: 山下達郎 - Last Step

■ところで、この「んぱ、んぱぱっ」というリズムは、一般的には「シャッフル・ビート」と呼ばれている。オフ・ビート(2拍、4拍)が強調されて跳ねる感じのリズムなのだが、ジャズの「スウィング」と違うのは、スウィングが4拍子の単なるあと乗りビート(んぱ、んぱ)なのに対して「シャッフル」は同じ4拍子なんだけれど、3連符が「タタタ、タタタ、タタタ、タタタ」と細かく刻んでいるのが違う。

スティーヴィー・ワンダーの「Isn't She Lovely」を聴くと、この3連符がよくわかる。マービン・ゲイ(ジェームス・テイラー)の「How Sweet It Is (To Be Loved By You)」も、おんなじだ。ドナルド・フェイゲン『ナイト・フライ』の1曲目「I.G.Y」も、レゲエっぽいけど、同じだね。


YouTube: Isn't She Lovely

この、決めの「タタタ、タタタ、タタタ。タッタ!」がね、気持ちいいんだよ。


YouTube: James Taylor - How sweet it is (to be loved by you)


YouTube: I.G.Y.

シャッフル・ビートを取り入れた楽曲は、他にもいっぱいあるぞ。

検索したら「こんなサイト」が見つかった。

https://sakkyoku.info/theory/shuffle-rhythm-songs/

2020年3月20日 (金)

『栃東の取り組み見たか』吾妻光良とスウィンギンバッパーズ

■長野県医師会「広報委員会」で随分とお世話になった、松本の野村先生が、先月CDを貸してくれた。

というのも、野村先生が引退する最後の広報委員会の時に、僕が強引に「Jポップの原点」となるCDたち(荒井由実、細野雅臣、大瀧詠一、矢野顕子、大貫妙子、シュガーベイブ、竹内まりや、はちみつぱい、小坂忠)を無理矢理貸した。そのCDたちを先月「ゆうパック」で返却してくれた際、オススメのCDを同封してくれたのだ。

そのCDたちとは、パット・メセニーが4枚、熊谷幸子が3枚、そして、吾妻光良とスウィンギンバッパーズのCDが4枚だった。ちょうど、ライル・メイズが亡くなった次の日だったから、レコードは持っていたがCDはなかった『トラベルズ』を心して聴いた。めちゃくちゃ良かった。

熊谷幸子もよかった! あの『夏子の酒』のテレビドラマ主題歌を歌った人だ。

■そうして、最後に聴いたのがこの曲。ぶったまげた! のりのりのジャイヴ&ジャンプ! カウント・ベイシー・ビッグバンドも真っ蒼じゃん!! それに、まるで平家の落ち武者みたいな、ハゲなのに長髪の「変なオッサン」誰? 彼が吾妻光良なの? デビュー40周年を迎えたバンドなのに、僕は今まで一度も聴いたことがなかった。なんと恥ずかしい!

 


YouTube: 吾妻光良&The Swinging Boppers "最後まで楽しもう"

■ジャズ好きを自認する俺が、なぜ「吾妻光良とスウィンギンバッパーズ」を今まで一度も聴いたことなかったのか? 60過ぎても聴いたことのない「めちゃくちゃ凄い音楽」が、まだまだいっぱいあるのだなあ。

野村先生! 教えて頂いて、ほんと有り難うございました。

ちょっと調べたら、吾妻光良氏はアマチュア(日テレで音響関係の社員として勤務されているらしい)を貫き、学生時代(早稲田大学理工学部に5年いたらしい)に既にブルース・ギターの教則本を出版したらしい。お〜、ギターめちゃくちゃ上手いじゃん!


YouTube: 『Player』6月号 ぶるーすギター高座 特別編 吾妻光良meets KORG KR-55 Pro

■で、彼らのCDを聴いてきて最後の4枚目に収録されていたのが、かの名曲『栃東の取り組み見たか』だったのだ。ただ、オリジナルは YouTute にない。全て著作権(原曲管理者がアメリカで五月蠅いのだ)の関係で削除されてしまった。

見つけたのは、憂歌団みたいな関西のバンドがカバーしたこれ。


YouTube: 栃東の取り組み見たか

おお! ニコニコ動画には、オリジナル残ってたのか!

https://www.nicovideo.jp/watch/sm24361739

う〜ん。うまく画像が貼れないぞ。

この曲は彼らのライヴでは昔から有名な定番曲だったが、原曲の著作権管理者から許可がなかなか下りず、音源化されなかった。でようやく認可されて『シニア・バカナルズ』に収録されたのだった。

ラストの歌詞は、当初「栃東は次は優勝だ」だったのが、→「栃東はすぐに横綱だ」に変わり、CD収録時には、とうとう「栃東は今や親方だ」になってしまった(^^;

2007年5月に渋谷クアトロで行われた「吾妻光良とスウィンギンバッパーズ」のライヴに、なんと引退直後の栃東が聴きに来ていたとのこと。もちろん『栃東の取り組み見たか』が演奏されたよ。


YouTube: Tochiazuma vs. Asashoryu : Hatsu 2002 (栃東 対 朝青龍)

■「この曲のオリジナルはなに?」ってツイッターで訊いたら、すぐに教えて下さる方がいた。ありがとうございました!

原曲は、"Did you see Jackie Robinson hit that ball ?" 1949年カウント・ベイシー楽団&タップス・ミラー(Vo) で、アメリカの黒人メジャー・大リーガーの草分け「ジャッキー・ロビンソン」讃歌だ。これです。


YouTube: Did You See Jackie Robinson Hit That Ball? (1949 Version)

■彼がドジャーズで黒人としてメジャーデビューを果たした4月15日は、毎年「ジャッキー・ロビンソン・デイ」として大リーガー全員が彼の背番号42 を付けたユニフォームを着て試合をする。「42」は、米球界全体で永久欠番となっているそうだ。



YouTube: "SENIOR BACCHANALS" Trailer

■ ほんと、そう思うぞ! 「カッコイイよね福田さん!!」


YouTube: 吾妻光良トリオ 福田さん

2019年6月28日 (金)

今月のこの1曲:友部正人&パスカルズ『6月の雨の夜、チルチル ミチルは』

■6月22日(日)の夕方、今年も南箕輪村の酒店「叶屋」に友部正人がやって来た。

なんと! 今年で12年目なんだそうだ。ぼくもここ5年間は毎年聴きに来ている。この日歌ってくれた曲。メモを取っていたワケではないので、歌ってくれたのに忘れてしまった曲がいくつもあるけど、だいたいこんな感じのセットリストでした。

【First Set】

・地獄のレストラン
・6月の雨の夜、チルチルミチルは
・追伸
・こわれてしまった一日


・愛の賞味期限
・愛について


・Like A Rolling Stone

【Second Set】


・密漁の夜
・誰も僕の絵を描けないだろう
・日本に地震があったのに
・マオリの女
・スカーフ
・サン・テグジュペリはもういない
・一本道
・1月1日午後1時(盛岡「クランボン」高橋さんに捧ぐ)

・大阪へやって来た
・ブルース
・遠来
・夕日は昇る

■この日、ぼくが一番聴きたかった曲が『6月の雨の夜、チルチル ミチルは』だ。悲しい歌だ。これから死にに行くカップルのはなし。


YouTube: 06 友部正人 MASATO TOMOBE - 6月の雨の夜、チルチルミチルは

■ツイッターにも書いたけれど、この曲には謎が多い。チルチルには子供が2人いる。で、古くからの友人である友部正人は、チルチルから深夜のファミレスに呼び出されるわけだ。歌詞には、できるだけ明るいお店のテーブルに4人座って話をしたと。

ぼくはてっきり、子供たちを道添にして、これから一家心中をする家族の話だとばかり思っていたのだけれど、どうも違うみたいなんだよね。その事がわかったのは、平川克美氏のブログを読んだから。

深夜のファミレスで向かい合った4人とは、チルチルミチルと、友部正人と彼の奥さんの小野由美子さんであると。そう、平川氏は断定しているんです。正直ビックリしました。ぼくはてっきり、チルチルミチルは正当な夫婦だとばかり思っていたのだが、実は不倫のカップルだったのですね。驚きました。

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■友部は、解散する前の「たま」と親交が深くて、いっしょにCDも出している。『けらいの一人もいない王様』だ。このCDには収録されていないけれど、「たま」の知久さんが友部正人の大ファンで「たま」が発展的解消をしたあたと出来た「パスカルズ」で、この「6月の夜、チルチルミチルは」を演奏しているヴァージョンを発見した。

ネットで検索すると、「この曲」は実話なんだそうです。少し前に、友部はエッセイを連載していた読売新聞で、チルチルミチルとの顛末を掲載したのだそうだが、ぼくは読んでいない。ずっと読まないほうがいいと思っている。

      知らないことで まんまるなのに

      知ると 欠けてしまうものがある

      その欠けたままのぼくの姿で

      雨の歩道に いつまでも立っていた


YouTube: 02 友部正人 MASATO TOMOBE - 愛について

当日のツイートより。

今日は、南箕輪村の酒店『叶屋』で 友部正人のライヴ。今年で12年目だって。僕は5年前から毎年聴きに来ている。新しい曲もずいぶん覚えた。懐メロじゃなくて、いまここの友部が聴きたいし、その思いは毎回裏切られることなく今日もまた彼の歌とギターとハーモニカ演奏のパワーに圧倒されたのだった

最初の1曲目が「地獄のレストラン」。おお今日は攻めてるな。2曲目は、是非とも今日は聴きたいと願っていた「6月の雨の夜、チルチルミチルは」だ。念じてたのが通じたのか? 思わず左目尻から涙がこぼれおちて、恥ずかしかったな。なにせ、最前列の正面だったから。

あと念じたのは、矢野顕子さんがピアノの弾き語りしているのを聴いて好きになった曲「愛について」。友部さんのライヴでは初めて聴けた。うれしかった。ボブ・ディランの「Like A Rolling Stone」も良かった。原曲より、日本語訳詞のほうがいいぞ。それから「ブルース」。今日一番沁み入った一曲。

続き)懐かしい曲も聴けた。「密漁の夜」と「誰も僕の絵を描けないだろう」だ。この2曲は、友部正人還暦記念トリビュートライブ(2010年5月23日、下北沢「ガーデン」)で、あの遠藤ミチロウが歌った。オープニングは、ハンバートハンバートが「あいてるドアから失礼しますよ」次に峯田和伸が登場。

峯田は「なんでもない日には」ともう一曲。あと、「たま」の知久寿焼が「一本道」を歌っている。メチャクチャいい! CD2枚組『ミディの時代』友部正人の付録DVDに収録されている。

続き)友部正人のレコード『にんじん』は、中学2年の冬に買った。何度も何度も聴いた。だからなのか、60歳を過ぎたいまでも、ずっと好きが続いている。これは前にもツイートしたが、中2で影響を受けた「モノ・ヒト」は一生自分を支配し続けるのだな。TBSラジオアナウンサー、林美雄もその一人。

2019年5月10日 (金)

今月のこの3曲:ASAYAKE 01『ギター』と、中村佳穂『忘れっぽい天使』〜『そのいのち』

■いつだって「これは!?」と耳をそばだてた楽曲は、決まってラジオから流れていたように思う。

あれは、2週間前の土曜日の夜。4月28日だった。「らじる★らじる」で NHKFMを聴いていたら、アジカンGotch こと後藤正文の番組後藤正文のCROSS THE GENERATION』を放送していた。

この日のゲストは、京都在住のミュージシャン中村佳穂だった。かかった曲は「そのいのち」。「お!?」と思った。ちょっと今までに聴いたことのない楽曲。「イケイケいきとし GO GO!」って、何なんだ??

その次にかかった曲は、ASAYAKE 01 『ギター』。これです。力強い歌声。それに、めちゃくちゃギターが上手い。


YouTube: ギター

ASAYAKE 01。ぜんぜん知らない人だった。なんでも中村佳穂さんが師と仰ぐ、大阪では伝説のシンガー・ソングライターなのだそうだ。活動歴は長いのだが、このところずっと演奏活動は休止していて、大阪扇町のライヴハウス「パラダイス」の裏方として働いていた。

ところが、とある人からのオファーをきっかけに、再び演奏を再開したのだという。この異様なパワーに圧倒されたぼくは、YouTube で彼の他の楽曲を検索してみた。で、見つかったのがこれだ。


YouTube: ASAYAKE01 # コオロギとレディデイ アンド ジョンコルトレーンat HOKAGE 2010/6/21

■そこには、友部正人の正当な後継者がいた。一直線に突き刺さって来る歌と言葉。ちょっと、感動した。ナマで是非見たいと思った。

■それから、中村佳穂。(続きは、また書きます)


YouTube: Kaho Nakamura SING US - Wasureppoi Tenshi / Sono Inochi [live ver]


YouTube: 中村佳穂 TBSラジオLIVE

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