今月のこの1曲 Feed

2019年6月28日 (金)

今月のこの1曲:友部正人&パスカルズ『6月の雨の夜、チルチル ミチルは』

■6月22日(日)の夕方、今年も南箕輪村の酒店「叶屋」に友部正人がやって来た。

なんと! 今年で12年目なんだそうだ。ぼくもここ5年間は毎年聴きに来ている。この日歌ってくれた曲。メモを取っていたワケではないので、歌ってくれたのに忘れてしまった曲がいくつもあるけど、だいたいこんな感じのセットリストでした。

【First Set】

・地獄のレストラン
・6月の雨の夜、チルチルミチルは
・追伸
・こわれてしまった一日


・愛の賞味期限
・愛について


・Like A Rolling Stone

【Second Set】


・密漁の夜
・誰も僕の絵を描けないだろう
・日本に地震があったのに
・マオリの女
・スカーフ
・サン・テグジュペリはもういない
・一本道
・1月1日午後1時(盛岡「クランボン」高橋さんに捧ぐ)

・大阪へやって来た
・ブルース
・遠来
・夕日は昇る

■この日、ぼくが一番聴きたかった曲が『6月の雨の夜、チルチル ミチルは』だ。悲しい歌だ。これから死にに行くカップルのはなし。


YouTube: 06 友部正人 MASATO TOMOBE - 6月の雨の夜、チルチルミチルは

■ツイッターにも書いたけれど、この曲には謎が多い。チルチルには子供が2人いる。で、古くからの友人である友部正人は、チルチルから深夜のファミレスに呼び出されるわけだ。歌詞には、できるだけ明るいお店のテーブルに4人座って話をしたと。

ぼくはてっきり、子供たちを道添にして、これから一家心中をする家族の話だとばかり思っていたのだけれど、どうも違うみたいなんだよね。その事がわかったのは、平川克美氏のブログを読んだから。

深夜のファミレスで向かい合った4人とは、チルチルミチルと、友部正人と彼の奥さんの小野由美子さんであると。そう、平川氏は断定しているんです。正直ビックリしました。ぼくはてっきり、チルチルミチルは正当な夫婦だとばかり思っていたのだが、実は不倫のカップルだったのですね。驚きました。

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■友部は、解散する前の「たま」と親交が深くて、いっしょにCDも出している。『けらいの一人もいない王様』だ。このCDには収録されていないけれど、「たま」の知久さんが友部正人の大ファンで「たま」が発展的解消をしたあたと出来た「パスカルズ」で、この「6月の夜、チルチルミチルは」を演奏しているヴァージョンを発見した。

ネットで検索すると、「この曲」は実話なんだそうです。少し前に、友部はエッセイを連載していた読売新聞で、チルチルミチルとの顛末を掲載したのだそうだが、ぼくは読んでいない。ずっと読まないほうがいいと思っている。

      知らないことで まんまるなのに

      知ると 欠けてしまうものがある

      その欠けたままのぼくの姿で

      雨の歩道に いつまでも立っていた


YouTube: 02 友部正人 MASATO TOMOBE - 愛について

当日のツイートより。

今日は、南箕輪村の酒店『叶屋』で 友部正人のライヴ。今年で12年目だって。僕は5年前から毎年聴きに来ている。新しい曲もずいぶん覚えた。懐メロじゃなくて、いまここの友部が聴きたいし、その思いは毎回裏切られることなく今日もまた彼の歌とギターとハーモニカ演奏のパワーに圧倒されたのだった

最初の1曲目が「地獄のレストラン」。おお今日は攻めてるな。2曲目は、是非とも今日は聴きたいと願っていた「6月の雨の夜、チルチルミチルは」だ。念じてたのが通じたのか? 思わず左目尻から涙がこぼれおちて、恥ずかしかったな。なにせ、最前列の正面だったから。

あと念じたのは、矢野顕子さんがピアノの弾き語りしているのを聴いて好きになった曲「愛について」。友部さんのライヴでは初めて聴けた。うれしかった。ボブ・ディランの「Like A Rolling Stone」も良かった。原曲より、日本語訳詞のほうがいいぞ。それから「ブルース」。今日一番沁み入った一曲。

続き)懐かしい曲も聴けた。「密漁の夜」と「誰も僕の絵を描けないだろう」だ。この2曲は、友部正人還暦記念トリビュートライブ(2010年5月23日、下北沢「ガーデン」)で、あの遠藤ミチロウが歌った。オープニングは、ハンバートハンバートが「あいてるドアから失礼しますよ」次に峯田和伸が登場。

峯田は「なんでもない日には」ともう一曲。あと、「たま」の知久寿焼が「一本道」を歌っている。メチャクチャいい! CD2枚組『ミディの時代』友部正人の付録DVDに収録されている。

続き)友部正人のレコード『にんじん』は、中学2年の冬に買った。何度も何度も聴いた。だからなのか、60歳を過ぎたいまでも、ずっと好きが続いている。これは前にもツイートしたが、中2で影響を受けた「モノ・ヒト」は一生自分を支配し続けるのだな。TBSラジオアナウンサー、林美雄もその一人。

2019年5月10日 (金)

今月のこの3曲:ASAYAKE 01『ギター』と、中村佳穂『忘れっぽい天使』〜『そのいのち』

■いつだって「これは!?」と耳をそばだてた楽曲は、決まってラジオから流れていたように思う。

あれは、2週間前の土曜日の夜。4月28日だった。「らじる★らじる」で NHKFMを聴いていたら、アジカンGotch こと後藤正文の番組後藤正文のCROSS THE GENERATION』を放送していた。

この日のゲストは、京都在住のミュージシャン中村佳穂だった。かかった曲は「そのいのち」。「お!?」と思った。ちょっと今までに聴いたことのない楽曲。「イケイケいきとし GO GO!」って、何なんだ??

その次にかかった曲は、ASAYAKE 01 『ギター』。これです。力強い歌声。それに、めちゃくちゃギターが上手い。


YouTube: ギター

ASAYAKE 01。ぜんぜん知らない人だった。なんでも中村佳穂さんが師と仰ぐ、大阪では伝説のシンガー・ソングライターなのだそうだ。活動歴は長いのだが、このところずっと演奏活動は休止していて、大阪扇町のライヴハウス「パラダイス」の裏方として働いていた。

ところが、とある人からのオファーをきっかけに、再び演奏を再開したのだという。この異様なパワーに圧倒されたぼくは、YouTube で彼の他の楽曲を検索してみた。で、見つかったのがこれだ。


YouTube: ASAYAKE01 # コオロギとレディデイ アンド ジョンコルトレーンat HOKAGE 2010/6/21

■そこには、友部正人の正当な後継者がいた。一直線に突き刺さって来る歌と言葉。ちょっと、感動した。ナマで是非見たいと思った。

■それから、中村佳穂。(続きは、また書きます)


YouTube: Kaho Nakamura SING US - Wasureppoi Tenshi / Sono Inochi [live ver]


YouTube: 中村佳穂 TBSラジオLIVE

2018年9月20日 (木)

大貫妙子がいま、来ている(その2)


YouTube: ひまわり(映画『東京日和』より)大貫妙子

■前回の更新から、また1ヶ月も経ってしまった。


YouTube: [ひまわり8号] 寒冷渦と台風12号 2018.7.30 / CEReS, Chiba University

■北海道の地震とか、関西を直撃した台風21号とかいろいろあって、もうずいぶん前のことになるが、7月末に前代未聞の迷走をした台風があった。日本上空は常に偏西風が吹いているので、自走能力のない台風は南から北上すると、西から東へ抜けて行くのが常識だ。

ところが、この台風12号は東から西へ日本列島を通り過ぎて行った。伊豆半島では高波、高潮で大きな被害が出た。北東から張り出していた高気圧と「寒冷渦」のために、こんな変なルートを辿ったという。

■前回2回目の更新から、さらに1ヶ月以上も経ってしまった。すみません。

こんなことでは、もう誰も、ブログをフォローしてはくれてないんじゃないか?

■その「台風12号」が関東甲信越を通過した、7月28日(土)の夕方17時から、野辺山高原「八ヶ岳高原ロッジ」にある「八ヶ岳高原音楽堂」で『大貫妙子アコースティック・コンサート』があり、聴きに行ってきた。

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■前回の「森山良子 アコースティック・コンサート」の時には「宿泊パック」で予約したのだが、今回はコンサートのみの日帰り日程。台風直下、はたして無事帰って来れるのか、かなり不安ではあったがダメなら近隣のペンションに泊まって翌日帰ればいいやと、日程を強行した。

https://twitter.com/OnukiTaeko/status/1023225440087883776

■「八ヶ岳高原音楽堂」には駐車場がないため、八ヶ岳高原ロッジの駐車場に車を駐め、午後4時以後ロッジ正面からシャトルバスが音楽堂まで何度も往復しているので、宿泊客に交じってバスに。雨のカラマツ林を抜けて5分程で会場着。

バスを降りると、スタッフが4人傘を差して縦に並び、音楽堂の入り口まで乗客が濡れないように配慮してくれた。キャパ250人の「八ヶ岳高原音楽堂」でのコンサートは、チケット予約時点では座席指定ができない。

コンサート当日の受付ロビーで「くじ」を引き、その場で初めて座席が決まるという特殊なシステムを取っている。今回はやや後ろの席だったが、通路に面した席で足は楽だった。

会場ロビーには、ウェイティング・バーみたいに、無料のサンドウィッチとワイン(赤・白)ジュースが用意されていて、皆自由にグラスを取り、コンサートの開演を待っている。

台風直下だったから、当日ドタキャンで空席が目立つかとばかり思って会場入りしたら、なんと!ほとんど空席なく観客で埋まっていた。たまげたな。観客の客層は、前回「森山良子コンサート」の時とほぼ同じ。やたら平均年齢が高いのだ。夫婦が多かったけれど、みな50〜60歳代。若者は全くいなかった。

■バックステージは、特大ガラスの窓になっていて、白樺とカラマツ林、その後ろに広がる八ヶ岳高原が借景となっているのだが、この日は台風接近のため、猛烈な風に激しく揺れる木々と、斜めに吹きすさぶ雨粒が嫌でも目に留まる。しかし、以外と場内は静かで、音楽堂の屋根に打ちつける雨音もほとんど気にならなかった。

バック・ミュージシャンは、ピアノが、フェビアン・レザ・パネさん。父親がインドネシア人で母親は日本人、藝大出身。リーダーCDは2枚持っている。『ガネーシャの夢』のタイトル作は名曲だ。ベースの吉野弘志さんも藝大卒。昔からジャズのライヴで何度も聴いてきた人だ。

さて、大貫妙子さんが登場。想像以上に小柄で華奢な女性だった。なんか、明石家さんまの娘「IMARU」の雰囲気。あ、そうか。IMARU のほうが、大貫さんのマネをしていたのか。

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(写真をクリックすると、もう少し大きくなります)

■大貫妙子さんの八ヶ岳でのコンサートは、今回が3回目なのだそうだ。初回の時は、いつも通りに臨んだのに、途中で頭痛は酷くなるは、息切れはするわで、大変な思いをしたそうだ。訳も分からずコンサート終了後にロッジ担当者に訊くと、「あ、ここ標高が1500m はありますから、空気が薄いんです。出演されたみなさん『苦しい、息が続かない』そう、おっしゃいます」と、言ったとのこと。

はじめの3曲は知らない曲だったが、4曲目「若き日の望楼」から「新しいシャツ」「横顔」と聴き慣れた曲が続く。「わたしね、基本的にカヴァー曲は歌わないの。でもこの曲は、缶コーヒーのCMに使われていて、クライアントの方から『この曲』を歌って欲しいという、たってのリクエストだったの」

そう彼女が言って歌いだしたのが、次の「シェナンドウ」だった。

昨日、台風が来る中行ってきた八ヶ岳高原音楽堂。嵐を呼ぶ女、大貫妙子さん。素晴らしかった!7曲目「シェナンドウ」で、一気に持ってかれた。涙がぼろぼろ出た。

続き)ピアノのフェビアン・レザパネさん(父親がインドネシア人で母親が日本人)ベースの吉野さんは、昔からファンで、CDを持ってったけどサインしてもらう機会はなかった。終演後とにかく早く帰ろうとしたからね。それにしても清里までの国道142号が暴風雨で、木が倒れていたりしてほんと怖かった

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金延幸子『み空』を、CD棚から探していたら、ティンパン関連のパナム・レーベルのコンピCDを見つけた。3年ほど前に、たまたま中古で購入したのだが、ちゃんと聴いてなかったのか?。大貫妙子「くすりをたくさん」「都会」「Summer Connection」「Wander Lust」が入っているではないか!

19曲目「What's Going On」にはたまげたな。俳優の柄本明が歌っている。しかも、メチャクチャ上手い。

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(写真をクリックすると、もう少し大きくなります)

2018年6月28日 (木)

今月のこの一曲『ユニコーン』作詞:友部正人、作曲:原田郁子


YouTube: 原田郁子fujirock08

■3年くらい前の6月(2015/06/13)に、クラムボンの「Folklore(フォークロア)」を取り上げた。6月に台風がやって来る歌だったからね。

以前から、6月は鬼門で、いろいろと厄介なことが起きてきた。確か、そのちょうど1年前(2014年の6月7日)体調を崩し伊那中央病院に2週間入院することになるのだった。慢性硬膜下血腫だった。転倒を繰り返す、老人の病気じゃん。ほんと恥ずかしい。どこで転んだか、よく覚えていないのだ。

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■クラムボン「フォークロア」に関して書いた、その約1ヵ月後の 2015年の7月5日、このとき初めて、2007年から毎年この時期に南箕輪村の酒店「叶屋」で開催されている「友部正人ライブ」に参加したんだ。そのとき、彼が歌ってくれたのが、この「ユニコーン」だった。なんていい曲なんだ。なんていい歌詞なんだ。マジで泣いてしまったよ。

 友部正人を知ったのは、ぼくが中学2年生の時だ。1972年のことだ。フォークソングがブームだった。吉田拓郎のレコードは無視したが、泉谷しげる『春夏秋冬』、加川良『親愛なるQに捧ぐ』と買って、特に加川良はそれこそ毎日毎日レコードがすり切れるほど聴いた。フォークギターも買ってもらって、フィンガー・ピッキング奏法とか一生懸命練習した。

そして、1973年に入ってから新宿のレコード店「アカネヤ」で入手したレコードが、友部正人『にんじん』(URC) だ。加川良とはぜんぜん違う友部の歌声は衝撃的だった。特に『乾杯』って曲。1972年2月に、日本国民全員がテレビの前に釘付けとなった、あの「あさま山荘事件」を唄ったトーキング・ブルース(加川良「下宿屋」や、海援隊「母に捧げるバラード」みたいに、唄わない歌のこと)だ。キーが外れた彼の歌声は正直下手だ。だけど、14歳の中2男子のココロには真っ直ぐ突き刺さったのだ。そう、一本道の「中央線」みたいにね。

■最近読んだネット記事によると、人間は14歳の時に聴いた音楽が、その人の一生に、ずっと強い影響を与え続けるのだそうだ。ほんとその通りだと思う。あの頃信じたものは、みんな「ほんもの」なんだよ。絶対にそうさ!

なにも音楽だけに限らないぞ。ぼくの場合、TBSラジオ・アナウンサー林美雄の深夜放送「パックイン・ミュージック」の影響は絶大だった。

■そうさ! 60歳になろうとしているというのに、未だに中坊だった14歳の自分を抱えているのさ。それが「ユニコーン」なんじゃないかな? 

JASRAC からの通告のため、歌詞を削除しました(2019/08/06)

■Twitter より。

南箕輪村の叶屋酒店での友部正人ライヴ。今年で11年目だって。毎年6月末にこうして目の前で友部さんに歌ってもらえる贅沢を噛みしめている。ラス前の「一本道」「反復」そしてアンコールで「遠来」と「夕日は昇る」を歌ってくれたよ。来年もまた来てくれるって。

続き)叶屋店主の倉田さんが、開演前にリクエスト曲を募って回っていたので、ぼくは「ユニコーン」をリクエストした。友部正人さんの詩にクラムボンの原田郁子さんが曲を付け彼女がソロで歌っている。大好きなんだこの曲。CDも買った。ただ、初めて聴いたのは3年前のここ叶屋で、友部さんが歌ってくれたんだよ。

続き)前半で友部さんが歌ってくれたのは「ぼくは君を探しに来たんだ」「ある日ぼくらはおいしそうなお菓子を見つけた」「いっぱい飲み屋の唄」「歯車とスモークド・サーモン」「夜よ、明けるな」「朝は詩人」「ダチョウのダック」「地獄のレストラン」あとは忘れちゃった。

続き)後半で友部さんが歌ってくれたのは「誰もぼくの絵を描けないだろう」「マオリの女」「老人の時間 若者の時間」「小林ケンタロウの回鍋肉」そして、歌ってくれましたよ「ユニコーン」。泣いちゃったな。

続き)あ、いま思い出した。最初の頃に「待ちあわせ」と「けらいのひとりもいない王様」も歌ってくれたな、友部正人さん。

メモしていたワケじゃないから、ものすごく不正確なのだけれど、あと「日暮の子供たちの手を引いて」「船長坂」「ブルース」も歌ってくれた。「ブルックリンからの帰り道」もだっけ?

友部正人に関して書いた過去の記事(2016)

友部正人に関して書いた過去の記事(2017)その1

友部正人に関して書いた過去の記事(2017)その2

2018年4月25日 (水)

今月のこの一曲『ダチーチーチー』。R&B界の名ドラマー、バーナード・パーディー


YouTube: King Curtis - Memphis Soul Stew

■去年のいつ頃だったか。星野源と細野晴臣の『TV.Bros』での連載「地平線対談」を読んでいて、あっ!と思ったのだ。星野:「今度の新曲『Family Song』では、シンバルを使わないでみようと思ったんですね。60年代末から70年代前半のソウルを聴いていると、シンバルを一回も使ってないんです。ハイハットはあるんですけど…」

気がつかなかったよなあ。R&Bのドラマーはシンバルを使わないのか! 目からウロコでしたよ。ジャズ・ドラマーでは考えられないよなあ。ロック界ではなおさらね。

それで思い出したのが、R&B界の重鎮ドラマー、バーナード・パーディーだ。彼の名は恥ずかしながらつい最近まで知らなかった。初めて記憶に留めたのが、TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』2017年1月14日の放送の回を、たまたまリアルタイムで聴いていた時のことだった。(YouTube に最近まで確か音源が残っていたはずなんだが、検索しても残念ながら見つからない)


YouTube: Alice Clark - Never Did I Stop Loving You

■ちょうど1年前の5月に、たまたま来日していたバーナード・パーディーを、ライムスター DJ JIN と、オカモト "MOBY" タクヤの2人が突撃インタビューした音源は「ニコニコ動画」に残っていたぞ。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm31258691

文章での書き起こしは「こちら」ね。

で、この放送を聴いたレコード会社の人が「ダチーチーチーのCDを出しましょう!」って言ってきたんだって。そうして発売されたのがこれだ。ぼくも買ってしまったよ。ただ、P-VINE だったから、冒頭にあげた『King Curtis / Memphis Soul Stew』は、残念ながら収録されていない。アトランティック・レコードだったからね。


YouTube: V.A.『ダチーチーチー』ティーザー

【追記】:CD「ダチーチーチー」に、契約レーベルの関係で収録できなかった「重要な楽曲」に関して、なんと! MOBYさんが「ダチーチーチー補習編」として、30曲も Spotify にプレイリストを挙げてくれた。

こちらの3曲目に『King Curtis / Memphis Soul Stew』が入っている。続いてアレサ・フランクリン。スティーリー・ダンや、日本人の曲も。

■で、自前のCDで、バーナード・パーディーがドラムを叩いて「ダチーチーチー」しているのを探したんだ。すぐに見つかった! ラリー・コリエル『FAIRYLAND』(フライング・ダッチマン)のラストに収録された「Further Explorations For Albert Stinson」だ。

2017年11月 8日 (水)

「今月のこの1曲」:Pat Martino 『Sunny』

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■オリジナルは、Bobby Hebb(1966)だが、ぼくが「この曲」を初めて聴いて、いいなって思ったのは、オランダの歌姫:アン・バートンが『ブルー・バートン』で歌っているヴァージョン。なんかね、下町の「小股の切れ上がった姐さん」が唄ってる感じ? じつに格好良かったんだ。


YouTube: 「Sunny」 Ann Burton

次に聴いたのは、ソニー・クリスの「サニー」だ。これもよく聴いた。ソニー・クリスのサックスは、西海岸の乾いた音がしたんだよ。根っから明るいカリフォルニアかと思ったら、でも少しだけ陰りがある。そこがたまらない。何だろうなぁ。どーせ俺なんか、チャーリー・パーカーの足下にも及ばないB級サックス吹きでいいんだよって、開き直って演奏している。

ちなみに、このレコードのライナーノーツは、若かりし頃の村上春樹氏が書いている。ピアノは、村上さんが大好きなシダー・ウォルトンだ。


YouTube: Sunny - Sonny Criss

■でも、最近初めて聴いて「おっ!」と思ったのが、パット・マルティーノの『ライヴ!』3曲目に収録されたヴァージョン。これだ。


YouTube: Pat Martino - Sunny

ドラムスが「しゃかしゃか」してるけど、決して出しゃばらない。そのリズム・キーピングのテクニックが、まずは素晴らしい。それから、パット・マルティーノが同じフレーズを「これでもか!」とリフレインして場を盛り上げるのもズルい。そのプレイにつられて、キーボードも熱いソロをカマしてくれているんだ、これが。

■ YouTube 上には、2002年にパット・マルティーノが、ジョン・スコフィールドと共演したライヴ・ヴァージョン(映像)とか、こんなライヴ映像とかもあったぞ。

YouTube: Pat Martino - Sunny - LIVE at Chris' Jazz Cafe


YouTube: Pat Martino Trio with John Scofield - Sunny

■検索したら、オリジナルの Bobby Hebbの音源に加え「この曲」を洋邦問わずいろんな人たちが歌う、数々のカヴァー・ヴァージョンを集めた「まとめサイト」を見つけた。驚いたな。ラストに収録されているのは、なんと、勝新太郎が歌っている「サニー」なのだ。

2017年8月 8日 (火)

ハンバートハンバートの新譜『家族行進曲』が素晴らしい!


YouTube: ハンバート ハンバート"がんばれ兄ちゃん"(Official Music Video)

■7月の初めに発売されたハンバートハンバートの新譜『家族行進曲』を繰り返し聴いている。処置室のラジカセに入れて、エンドレスで朝から夕方までね。もう1ヶ月以上毎日ずっと聴いているけれど、まったく飽きない。

なんかね、咬めば咬むほど味が出る「スルメ」とでも言うか、習慣性、いや「中毒性」がある、ある意味危険な音楽なんだよ。その原因をずっと考えていたのだけれど、少しずつ判ってきたんだ。まず、

1)佐野遊穂さんの「声」が、優しい。

  ぼくは以前「こんなこと」を書いている。女の人だって、年をとれば加齢と共に「声質」は変わってゆく。これは生理的なことだから、どうしようもないんだ。『道はつづく』の頃の遊穂さんの声を、いまの遊穂さんに求めても、それは無理な話なんだよ。じつはそう諦めていたんだ。ほんと言うとね。

ところがどうだ! このCDの、7曲目「真夜中」8曲目「ひかり」9曲目「ただいま」と、3曲続く遊穂さんの歌声に、ぼくはたまげてしまったんだよ。なんて優しい声なんだ。慈愛に満ちあふれていて、すべてを許してくれているような、そっとやさしく抱きしめてくれるような声。

確かに『道はつづく』の頃の、天空まで突き抜けるような鮮烈な高音の伸びはない。でも、あの頃の彼女の声は、いま改めて聴いてみると案外つっけんどんで冷たいことに気付くんだよ。特に『おなじ話』とか聴いてみるとね。

何なんだろう? この違いは。遊穂さんが3人の男の子たちの「おかあさん」になったからなのかな?

その答が、『MUSIC MAGAZINE 7月号/2017』p72〜75 に載っている、松永良平氏によるハンバートハンバート・インタヴューで明らかになった。以下引用。

佐藤良成:今までは基本的に遊穂に自由に歌ってもらっていいと思っていました。それが変わったきっかけは、ミサワホームのCMソングで歌唱を依頼されたことなんです。普段のライヴでは、遊穂は結構パワフルに声を張っていて、それが標準になっていたんですけど、今回は先方の意向として「透明感のあるきれいな声で歌ってほしい」というのがあったんです。

それで、昔の作品を聴き返したら、「みんなが聴きたいハンバートハンバートって、そっちだった!」って気がついたんです。自分でもそのことが納得いったので、今回の歌録りではそこを意識して指示を出しました。

佐野游穂:たとえば「雨の街」だったら、「主人公は大変な状況ですごくがんばってるんだから、声もそんなに大きく張り上げる感じじゃない」という指示があったり。(中略)

---- 最後に余談として、二人の「家族」である子供たちは、このアルバムを聴いているのか質問してみた。

佐野游穂:長男は「がんばれ兄ちゃん」が自分のことだと思うみたいで、「この曲飛ばして」って不機嫌になっちゃいます(笑)。次男に「どの曲が好き?」って聞いたら「ただいま」が好きだって。

佐藤良成:ふーん、シブいね! シブいところいくんだなあ(笑)

■『家族行進曲』の9曲目に収録された「ただいま」のタイトルには、ダブル・ミーニングが隠されている。ちょうどいま「お盆」だから分かるのだけれど、「ただいま」って帰ってくるのは、亡くなった「おばあちゃん」でもあるのだよ。

それから、遊穂さんの「声の回復」に関しては、約1年前に出た『FOLK』の感想の中で僕は言及して、2016年6月10日、21日ツイートしている。過去のツイートをたどって行ったら、あったあった。これだ。

注文しておいた、ハンバートハンバートの新譜『FOLK』がようやく届いた。緑色のDVD付き初回限定版だ。DVD付きだと密林は何故か割引価格。得した気分。早速CDを聴く。1曲目「横顔しか知らない」いい曲だな。ビックリするのは遊穂さんの声。若返ってるんじゃないか? 突き抜ける高音の伸び(2016/6/10)

寝る前に、ハンバートハンバート『FOLK』のDVD「FOLK LIVE」を見始めたら良くって、寝むれなくなっちゃったよ。MCが変で可笑しい。ステージ・バックの暖簾イラストが「暮しの手帖」みたい。ミサワホームのCM曲に始まって、次は大好きな「バビロン」。「ロマンスの神様」もいいな。(2016/6/10)

『ミュージック・マガジン』最新号(7月号)を買ってきた。お目当ては、ハンバートハンバートへのインタビュー記事P74~77(小島エージ)だ。新作CD『FOLK』を聴いて、ぼくが一番驚いたのは遊穂さんの声質だ。10年前の「あの声」が、確かに復活している。蔵出し音源かと疑ってしまったよ。(2016/6/21)

続き)でも、違ったみたい。明らかに最新録音のCDだった。ただし、バックのギター伴奏とヴォーカルは別録音。しかも、遊穂さんのヴォーカルは「プロトゥールス」で遊穂さん自ら操作して録音したんだとのこと。あ、なるほどな。そういうことだったのか。納得。(2016/6/21)

続き)『FOLK』というタイトルだから、1970年代の名曲カバーも収録されている。『生活の柄』『プカプカ』そして『結婚しようよ』。「もうすぐ春が~ペンキを肩に~」は、僕ら高校生のころ「便器を肩に~」って歌ってたっけ。でも一つ残念だったのは、加川良の名が出てこないことだ。僕は大好き(2016/6/21)

続き)だって、ハンバートハンバートのことを初めて知ったのは、なんとテレビで、2006年8月にNHKBS2で放送された『フォークの達人』第5回、加川良の回で、ハンバートハンバートとコラボで「流行歌」と「夜明け」が歌われたのを見た時だ。「夜明け」という曲は、加川良作だとばかり思ったよ(2016/6/21)

■ぼくが、ハンバートハンバートの曲を初めて聴いたのが、この『夜明け』だ。彼らの数ある名曲の中で、ぼくが一番好きなのは、実を言うと、この『夜明け』なのかもしれない。

2)サウンドの統一性。計算し尽くされた緻密なアレンジ。

■『家族行進曲』の基本サウンドは、どこか懐かしい雰囲気を醸し出す「アコースティックなカントリー・ミュージック」だ。しかも、曲によって参加ミュージシャンが次々と変わるのにも関わらず、通して聴いても不思議な統一感があって、自然で違和感がない。これはたぶん、佐藤良成による「曲構成の設計図」が、きっちりしていたからなのだろうな。

あと、驚くのは、エレキギターやドラムスが、まったく五月蠅くないこと。特にドラムス。けっこう派手に飛び跳ねているにも関わらず、ぜんぜん「じゃま」になっていない。その真価が『ひかり』という曲で炸裂する。

3)初回限定盤に付いてくる DVD が充実している。前半の、東十条商店街で収録された「PV」。それから、後半の中国ツアー・ライヴ。

 (7月7日のツイートより)

2017年7月11日 (火)

映画『バンコクナイツ』を観てきた。+『満月』豊田勇造


YouTube: 豊田勇造「満月」

■この間の日曜日、松本へ映画を観に行ってきた。以下は帰宅後寝る前、酔っぱらって一気に連続ツイートしたので、恥ずかしい間違いだらけだったのだが、訂正して再び載せます。

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松本シネマセレクト企画、富田克也監督作品『バンコクナイツ』を、まつもと市民芸術館へ観に行ってきた。3時間強の上映時間だったけど、今日は座蒲団持参だから尻は痛くない。それにしても見終わった頭の中が未だカオス状態で、うまく言葉に出来ない。それに、じつはタイへは一度も行ったことないんだ。(7月9日)

今まで見たことのない不思議な映画だったな。角田光代の旅エッセイを読みながら、行ったこともない東南アジアの熱帯夜を体感したような。いや違うな。牯嶺街少年たち「外省人」家族が、台湾で生きてゆくしかない閉塞感に苛まれたように、もはや日本に帰ることはできない「沈没組」の菅野の言葉にこそ「リアル」を感じた。

映画『サウダーヂ』は観てないんだ。ただ、菊地成孔氏が絶賛しているのをブログで読んでたし、ラジオで菊地さんが『バンコクナイツ』にはクラウドファンディングで、そこそこのお金を出していると言ってるのも聴いた。さらに、作家の山田正紀氏がツイッターでめちゃくちゃ褒めているのも読んだ。だからこそ見に来たんだ。

 

上映後のアフタートークに登壇した共同脚本の相澤虎之助さんの話が示唆に富んでいたなぁ。一つは「楽園&桃源郷」の意味するもの。それから、元自衛隊員オザワが、パタヤビーチで元ベトナム帰還兵の老人から購入した45口径(9mm)の拳銃の使いみちに関して。あのラスト、荒井晴彦氏からは怒られたとのこと。

監督の富田克也氏が自ら演じた、PKOでカンボジアに投入された元自衛隊員オザワだが、彼が醸し出す不思議と醒めた(諦めきった)雰囲気。以前にもどっかで観た気がして家に帰るまでずっと気になっていたんだ。あ、そうだ。日活ロマンポルノの傑作、田中登『まる秘色情めす市場』の主人公、芹明香がシャッターが閉まったアーケード商店街で出会った、指名手配の殺人犯そっくりの男だ。

芹明香は、いまだに同業(娼婦)を営んでいる母親(花柳幻舟)を心底憎んでいる。そんな母親が産み落とした弟は白痴だ。飛田遊郭街を死ぬまで出て行くことが出来ない諦め。そのとき「ここより他の場所」へ彼女を連れ出してくれるかもしれなかったのが、あの指名手配の殺人犯そっくりの男だった。

バンコク「タニヤ通り」で日本人相手に体を売るヒロイン「ラック」と、飛田新地で売春する「トメ」(芹明香)は、じつは境遇がよく似ている。そういうことに思い至った。

映画『バンコクナイツ』。カメラがね、とにかくすばらしい! バンコク夜の歓楽街。国北イーサン地方の、とうとうと流れるメコン川を高所から見下ろすシーン。夕闇。いつも満月。ラオスの田舎の山。ベトナム戦争の時、アメリカ軍が空爆して出来たラオスの沢山のクレーター。ぜひとも行ってみたいと思ったよ。

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■この『バンコクナイツ』という映画は、観客を選ぶと思った。若い頃、国内外を彷徨った経験のある、かつてのバックパッカーは、圧倒的共感をもって激賞するだろう。間違いない。だから、ぼくは映画を見終わった直後に思い浮かべたのは、作家の角田光代さんであり、6つ年が離れた成田の兄貴のことだった。

兄貴は学生時代から世界各国を旅して廻っていた。ヨーロッパも東南アジアも。60を過ぎたいまだに旅を続けている。南米マチュピチュ、カンボジア、イギリス、ポルトガル。未だ行ったことのない所は、南極大陸ぐらいじゃないか。

兄貴がなぜ旅に出るのか? よく分からなかった僕は、大学3年生の夏休みに兄貴のバックパックを借りてヨーロッパ1周1ヵ月半の旅に出た。いろいろなことがあったよ。貴重な体験だったと思う。

そんなようなことを、小児科医になってから当時の助教授に偉そうに話したんだ。そしたら、助教授は言った。「君は、インドへ行ったことはあるか? 俺は行ったことがある」と。

 

恥ずかしかったなぁ。何を偉そうに「旅」を語っていたんだ、オレは。

ぼくは東南アジアを旅したことがない。そんな奴に「旅」を語る資格なんかないのだ。間違いない。

 

この映画『バンコクナイツ』を観ながら、あの時の助教授の言葉をリアルに思い出していたよ。

旅とは何か? そのことは長年の謎だった。

日本各地を旅して廻っていた学生の頃、ぼくが考えていたその定義とは、

   旅行:おみやげを買って帰る 

   旅: おみやげは買わない

つまり「旅」とは、非日常の中に「日常」をたぐり寄せる作業。だからもちろん、おみやげは必要ない。その観点からすると、映画『男はつらいよ』の主人公「寅さん」には、お土産を買って「帰って行く場所」が常にあった。

■この、結局は失敗しても常に帰る場所があるってことが、寅さんの甘えだったワケだ。でも、映画『バンコクナイツ』に登場する日本人はみな、帰る場所がない。そのことは重要だと思う。

ぼくはとっくの昔に「旅すること」を止めてしまったのだけれど、いまだに諦めきれず「ここより他の場所 = 楽園」を夢見て、異国のバンコクで蠢いている日本人たち。あぁ、哀れなのか? それとも……。

■映画『バンコクナイツ』には、何度も夜空に月が出ている。しかも、いつも「満月」なんだ。少し前に観た、急逝したマレーシアの女性監督の映画『タレンタイム』にも、満月が何度も登場した。

月は女性の象徴だ。そう思ったよ。

それから、『タレンタイム』と『バンコクナイツ』の重要な共通点が「音楽」だ。ワールド・ミュージック好きを自称するこのぼくが、聴いたこともない超ローカルな地元音楽にあふれているんだ。これ、ちょっと凄いよ! 

タイの東北部、ラオス国境に近いヒロイン「ラック」の生まれ故郷「イーサン地方」にカメラが移動すると、彼女は祈祷所のような部屋に行って、イタコのおばさんが古い物語を語り出すんだ。「モーラム」という語り芸なんだって。このオバサン、次第に語りが「謡い」みたいになって朗々と唄い出す。このシーンはゾクゾク来たな。

あと、メコン川のほとりでオザワが出会う革命詩人の幽霊。ミスター・マリックみたいな風貌で飄々としていて、なかなかに味わい深かった。

■で、映画の最後。エンドロールもそろそろ終わりかと思う頃、流れ出すのが、この豊田勇造さんが唄う『満月』って曲。タイでは誰でも知ってる名曲なんだって。沁みるよね。

■検索したら、監督の富田克也氏への「ロングインタビュー」があった。ビックリだな。最初は、映画作りに関してまったくの素人だったんだね。

 

2017年5月12日 (金)

ラジオを聴いていて、個人的関心事項がいきなりシンクロした瞬間がうれしい。『All The Joy』Moonchild


YouTube: Moonchild - 'All The Joy' (Official Video)

■GWは、4月30日(日)に守屋山(1651m)を登りに行った。初めて登ったんだ。今年は近くの里山登山をすることに決めていて、守屋山は、その第一弾というワケだ。高遠町片倉を超えて立石登山口より登攀開始。国道右側に駐車場があって、アクセスは抜群だ。巨石群を巡りながら、1時間10分で頂上に到達。疲れた。汗ビッショリ。でも、山頂からは 360度の展望が望めるのだ。これには感動したな。

写真は、守屋山山頂からの南側の眺め。左端は仙丈ヶ岳(3033m)、真ん中に北岳(3193m)、右側は間ノ岳(3189.5m)。さらに右には塩見岳(3047m)が連なる。

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■登山口まで車で乗り付ける途中に聴いてきた FMカー・ラジオから、久々に聴いたのが、土岐麻子『TOKI CHIC RADIO /トキシック・ラジオ』だ。子供が小学生だった頃は、日曜日といえば毎週朝から車で外出していたから、土岐麻子のこの番組(2009年10月放送開始。FM長野では、毎週日曜日の朝9:30〜。地方局のみの放送で、収録している東京FMでは何故か放送されていない)は以前はよく聴いていたのだ。

この日の特集は「G・W・ニコル」GW特別「いやし空間特集」だった。

で、土岐麻子さんが選曲してFMラジオで流したのが、この曲「All The Joy」Moonchild だったのだ。車で聴きながら「あっ! この曲知ってる。CDでさんざん聴いたぞ」と思ったのだが、その日は「どのCD」で聴いたのか、よく思い出せなかった。

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■で、暫くして思い出したのがこのCD。『フリー・ソウル〜2010s・アーバンジャム』の、17曲目だ。去年はさんざん聴いてきたCD。「この曲」は、聴きながら「土岐麻子みたいなヴォーカルだなぁ」って思っていたんだよ。土岐さん自身もそう思ったのかなぁ。不思議なシンクロ。なんだか嬉しくなったんだ。

このCDには、ジャネット・ジャクソンをはじめ、エリカ・バドゥ、コリーヌ・ベイリー・レイなど、ネオ・ソウル界ベテラン女性歌手の新譜が収録されていることに加え、ルーマーとか KING とか要注目の新人も多数ピックアップされている。Moonchildも、そんな一つだった。

■ラジオといえば、5月4日(木)の午前中、NHKラジオ第一『すっぴん!』が渋谷で公開放送していて、金曜日レギュラーの高橋源一郎氏と、月曜日レギュラーの宮沢章夫氏が「大人の恋」をテーマに、それぞれ「オススメの一冊」を紹介し合っていて(ビブリオバトルの感じで)面白かった。

演出家である宮沢さんは、チェーホフの『三人姉妹』を、離婚を繰り返し、幾多の修羅場を経験されてきた高橋源一郎さんは、島尾敏雄『死の棘』。なんか、笑ってしまったよ。

さらに、5月5日(金)の夕方、外出先からわが家に帰って来て、たまたまラジオを付けたら、同じくNHKラジオ第一で放送していた「なぎら健壱のフォーク大集会」の終盤だけ聴くことができたんだよ。今回は「著名人リクエストアワー!」と題した有名人限定のリクエスト特集で、サイト内の「セットリスト」に載っている曲が、それぞれ有名人からのリクエストで順次流れたようだ。

ぼくが聴いたのは、その一番最後の宮沢章夫さんのリクエスト。候補曲を何曲か挙げていて、ディランII、斉藤哲夫「悩み多きものよ」、加川良はあったっけ? それから、友部正人の「あいてるドアから失礼しますよ」。

宮沢さんは「この曲」の主人公はいま「そのドア」から部屋の中へ入ってくるところなのか、それとも、たったいま部屋から出て行くところなのか? 気になって仕方がないんだって話をどこかでしたら、それを知った友部正人さんが宮沢さんに直接メールで回答してくれたんだって。

という話を、NHKアナウンサーの道谷眞平さんが読み上げた。じつは、宮沢さんに電話をつないで直接話を伺う段取りだったのだが、番組から電話をすると「留守電設定」になっていて、電話出演のことを宮沢さんはどうもすっかり忘れてしまっていたようなのだ。

このドタキャン騒ぎに、さすがのなぎら健壱さんも怒ってましたよ。当日の夜、宮沢さんはツイッターで以下のように言い分け。

宮沢章夫(笑ってもピンチ)‏ @aki_u_ench

翌週、5月8日(月)の『すっぴん!』は、あまり悪びれるでも、ひたすら恐縮するでもなく、さらっと終わってしまったようだ。

■なぎら健壱さんのラジオで、友部正人の「あいてるドアから失礼しますよ」が流れたあと、出演していたシンガーの辻香織さんが、「私、友部さんが『たま』と共演したCD『けらいのひとりもいない王様』に収録されている『この曲』が大好きで、何度も聴きました」って言っているのを聴いて「おっ!?」と思った。

じつはぼくも「このCD」を最近中古で入手して、よく聴いていたのだよ。ここでもまた、不思議なシンクロニシティ。4月26日の午後松本へ行って「ほんやらどお」で中古CDを物色していたら、店番のバイトの男子学生さんが店内BGM用に「このCD」をかけた。1曲目「夢のカリフォルニア」。

スピーカーから流れてきた友部正人の唄声に「おおっ!」と思った。2枚目のレコード『にんじん』に収録されている「この曲」が大好きなんだ。でも、このCDは初見。学生さんに「これ、売り物ですか?」って訊いたら、彼個人のCDで売り物じゃないとのこと。残念。でもどうしても欲しくなって、ネットで見つけて購入したのでした。

■ところで、この曲の主人公が部屋に入ってくるのか、それとも出て行くのか? 宮沢さんは結局、月曜日のラジオでは教えてくれなかったようだ。

2017年2月23日 (木)

浜田真理子の新譜『Town Girl Blue』がイイぞ!

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(写真をクリックすると、もう少し大きくなります)

■ちょっと心配だったのは、浜田真理子さんが昨年から事務所を離れて、真理子さん自身がマネージメントするようになったと聞いたことだ。彼女の個人レーベル「美音堂」には、優秀なマネージャーさんがいて、いつも二人三脚で全国をライヴ活動に行脚し、スタジオ・レコーディングを行ってきたはずだ。それがどうして活動を辞めてしまったのだろうか? 仲違いしてしまったのか? それとも、マネージャーさんにのっぴきならない事情(例えば、親の介護とか)が生じて、仕事を辞めざろうえなかったとか……。

いやいや、事情はまったく分からない。「ここ」の、おしまいのあたりに少しだけ書かれてはいるが。

(まだまだ続く予定)


YouTube: 浜田真理子 『Town Girl Blue』 (全曲試聴)

■湯川れい子さんの弟子で、音楽評論家&お相撲評論家、コンビニのパート勤務体験手記(これが面白い!)の著者でもある、和田静香さんのツイート。

和田靜香#石ころ‏ @wadashizuka  2月16日

 ■その和田静香さん自身による「このCDの解説」より、以下抜粋。

真理子さんはレコーディング後にこう言っていた。

「久保田さんとやってイヤな思いなんて微塵もしなかった。すごく気を遣ってくださって、曲へのダメ出しも『もうちょっとこんな感じの曲ない?』って風に言う。ジェントルマンだわ。ああ、でも曲はいっぱい書いた! 普段書かないような曲も書いた。それは採用されてないけど(笑)。今回はドロドロした感情を沈殿させ、その上澄みのところを歌った感じかな。決して真水じゃないのよ。元は泥水でそれをろ過したもの」

久保田さんというのは、あの久保田麻琴さんのことだ。1970年代前半、あの細野晴臣にトロピカル・南国無国政音楽を伝授した「久保田麻琴と夕焼け楽団」の久保田さんが、今回彼女のレコーディングをプロデュースしたのだった。となると、真理子さんもトロピカルになるのか? いや、そうはならなかった。

和田静香さんの解説つづき。

驚いたのはインスト曲が2曲もあったこと。

「最初のアルバム『mariko』(2002年)の重要な魅力にピアノがあったんですよ。インストの比重があった。浜田さんは手が大きくないけど、ピアノに渋いヴォイシングと健気な響きがある。そこを意識して聴いてほしい」

久保田さんは『mariko』をとても愛してらして、真理子さんとも打ち合わせの最初の頃に「ああいう感じ」を今また違うアプローチでやろうというような話をしていたらしい。ああ、言われたみたら、『mariko』に入ってる「song never sung」なんて、ピアノが歌詞より多くを語っていたなぁと思い出す。あのピアノを聴くと、私が置いてきてしまった、無下にした、放り出した、色々大切なものが胃のあたりでモワモワと動き出してキュ~とした気持ちになるんだ。

ちなみに『mariko』を聴くと私は、真理子さんてクリスティン・ハーシュに共通するものあるなぁと思って真理子さんにそう言うと、
「いつもみんな自分の好きな誰かに私を似ているという。たぶん8割方はその人の言う誰かに似てて、それが私の親しみ易さになっているのかも。でも残り2割は似てないという自負がある。私にロールモデルはいない。アイデンティティーないのがアイデンティティー。浜田真理子という棚に置かれるのが私の音楽なの」

■長年連れ添ったマネージャーさんと離れたことが、結果的には正解だったのかもしれない。久保田麻琴さんは、彼女の原点回帰を見事に成し遂げてくれたのだった。実際、新作『Town Girl Blue』は、浜田真理子の伝説的デビューアルバム『mariko』に匹敵する(いや、いまの時代状況を考慮すれば、2cmくらい上を行っているんじゃないか。)傑作だと、ぼくは思ったぞ。

以下、ツイートより一部改変あり。

 

@shirokumakita
2月16日
浜田真理子さんの新譜が届いた。メチャクチャ音がいいぞ。インスト・ナンバーの『Yakumo』と、昭和歌謡調ボサノバ『愛で殺したい』が、まずはお気に入り。 pic.twitter.com/p3LeOQbYIn

@shirokumakita
3月5日
浜田真理子『Town Girl Blue』から、「明星」と「静寂(しじま)」を聴いている。このCDはホント音がいいな。また今年も、3月11日がやって来る。 「おまえは生きたか どれほど生きたのか ほんとに生きたか いのちぜんぶ生きたか」思わず背筋を伸ばして深呼吸し、襟を正さなければ、絶対に聴けない唄だ。

   
しかし、浜田真理子の『Town Girl Blue』の真価は、CDの後半にこそあるのだ。和歌山県那智勝浦に住む孤高のシンガー・ソングライター濵口祐自さんの「なにもない Love Song」から続くインスト・ナンバー「Yakumo」そうして、昔サーカスが歌っていた「愛で殺したい」。「好きなの ラヤヤ、ラヤヤ。ラヤヤ、ラヤヤ。 行かないで…」聴いててゾクゾクする。オリジナルよりずっとイイじゃないか!

続き)その後に続く曲が「Mate」。これがね、めちゃくちゃいい曲なんだよ。真理子さんのオリジナル。そしてラストに収録されているのが、あがた森魚『春の嵐の夜の手品師』のカヴァー。真理子さんはどうして、誰も知らないこんな素敵な歌を見つけて来るのだろうか?

■ツイートはしなかったが、このCDには「洋楽のカヴァー」が2曲入っている。「You don't know me」と「Since I fell for you」だ。この2曲、ジャズと言うよりは、アメリカ・ディープサウス(ミシシッピー・リヴァー河口のニューオーリンズ周辺)の、レイジーなブルースの感じがする。

正直言って、真理子さんは決定的にジャズのタイム感覚が欠落している。彼女の歌は決してスウィングしないのだ。ゴメンナサイ。でも、不思議なことにブルースを唱わすと「めちゃくちゃ黒いブルース」になるのだ。

気怠い日曜日の午後ひとり。何の予定もなくただ無為にすごす贅沢な時間を、彼女の新譜は間違いなく保証してくれている。


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