今月のこの1曲 Feed

2011年1月12日 (水)

今月のこの1曲「わたしが一番きれいだったとき」ワサブロー

■まったく偶然に、ワサブローさんという京都出身の男性シャンソン歌手のことを知った。 と云うのも、ワサブローさんが、高遠町出身の作家、島村利正氏のことをぼくが書いたブログを読んでコメントを寄せて下さったからだ。「ここのコメント欄参照」 ワールドミュージック・ファンを自認するぼくだが、シャンソンは素人だ。 レコードで持っているのは、ジョルジュ・ムスタキと、宮崎駿『紅の豚』挿入歌「桜んぼの実る頃」で有名なコラ・ヴォケール、それに大御所エディット・ピアフ。それに、金子由香里ベストのみ。ダミアは持ってない。 そんなもんだから、ぼくは全く「ワサブローさん」のことを知らなかった。 で、どんな歌い手さんなんだろう? と、さっそく YouTube で検索してみた。あったあった。見つかった映像がこれだ。


YouTube: ワサブロー 『私が一番きれいだったとき』


YouTube: ワサブロー 『ヌガ』


YouTube: ドリプラジオ・2010/12/21放送 ワサブロー

2010年10月27日 (水)

今月のこの一曲 「陽炎」ハンバートハンバート

■来月10日には、ニューアルバム『さすらい記』が発売になる男女デュオグループ、ハンバートハンバート。もちろん、すでに予約してあるのだが、CDが届くまで、『シングルコレクション 2002-2008』を毎日繰り返し繰り返し聴いているところだ。


YouTube: ハンバートハンバート「シングルコレクション 2002-2008」

いまは「Disc1」を集中的に聴いている。魅力的な曲が多々あるその中でも、最も印象的で不思議と心に引っ掛かってくるのが、15曲目に収録された「陽炎」という曲。ちょっとだけ試聴できます。 この曲には、中上健次かパトリシア・ハイスミスの短編小説のような雰囲気が漂う。さらには、ノワールの匂いを醸すフランス映画(ルイ・マル監督あたりの)でも見ている感じか。 いや、シンプルなメロディを淡々と歌う佐野遊歩のあっけらかんとしたヴォーカルだけをただ聞き流していると、あぁ、ハンバートハンバートの楽曲にはいつ聴いても癒されるんだよなぁなどと、とんでもなくお馬鹿な感想を抱く人もいるかもしれないけど、よーく歌詞を聴いてみると、めちゃくちゃノワールでハイスミスな物語が語られていて、ぼくは身震いしてしまうのだ。 おい、ちょっとヤバくね? 的な展開なのに、何故か不思議と透明でイノセントな気分になる。それはひとえに、佐野遊歩のヴォーカルに「悪人正機」的な救済の力があるからかもしれないな。 そうして、まず頭に浮かんだ映像があった。それは、19世紀のイギリス人画家ジョン・エヴァレット・ミレイの傑作『オフィーリア』だ。 Art03_01_big    それからもう一つ。ビル・エバンス&ジム・ホール『アンダーカレント』のレコード・ジャケット。 この写真を見る この写真を見る この写真は、まさしく『オフィーリア』を水面下から撮ったらこんな感じか?っていう写真に違いない。 ■最後にもう一つ。湖水の水面下に沈む女性の「顔」のイメージが圧倒的な短編小説がある。 『八月の暑さの中で ホラー短編集』金原瑞人編訳(岩波少年文庫)に収録された、「顔」レノックス・ロビンスン だ。 この小説も、イノセントで切なく懐かしい感じがする。オススメです。

2010年9月11日 (土)

今月のこの一曲 「You've got to have freedom」 by Pharoah Sanders

■今月のこの一曲は、じつは以前にも取り上げたことがある曲だ。<ここ>の下の方へスクロールしてくと出てくる『 You've Got To Have Freedom 』。2003年10月14日に書いたものです。 数あるジャズの名曲の中でも、ぼくが一番好きな曲。もう大好きで、初めて聴いてから30年も経つのに今でも聴き続けている。落ち込んだ時、心が弱っている時、どうにもならない時、大音量で、何度も何度も繰り返し繰り返し聴いてきた。 ファラオ自身の演奏は5種類(5ヴァージョン)あって、レコードはみんな持っている。これだ。 100911 ■以前「YouTube」で検索してみた時には、2006年にファラオ・サンダースが来日した際に伊豆の修善寺で「sleep walker」と共演した時のライヴ映像がヒットしただけだった。 でも、先日久々に検索してみたら、いろいろいっぱいアップされていて驚いたのだ。 まずは、Theresa Records『Journey To The One』(2枚組)3面1曲目に収録された、1980年録音のオリジナル演奏がこれだ!


YouTube: Pharoah Sanders "You Got To Have Freedom"

この曲の一番烈しい熱狂的な演奏は、Theresa Records「Pharoah Sanders Live!」なのだが、長いからさすがに YouTube にはなかった。ベース以外は同じメンツで、オランダのタイムレス・レコードに録音された演奏がこれだ。これも熱いぞ。すっごく充実した密度の濃い演奏だ。ピアノのジョン・ヒックスがいいんだなぁ。


YouTube: YOU'VE GOT TO HAVE FREEDOM @ AFRICA PHAROAH SANDERS

他の人がカヴァーしたものも、いっぱいあるぞ。


YouTube: YOUVE GOTTA HAVE FREEDOM


YouTube: BOOGALOO / YOU GATTA HAVE FREEDOM


YouTube: You've Got To Have Freedom - Courtney Pine ft.Carroll Thompson


YouTube: Dj Cam - You got to have freedom (feat. Inlove)

■今年70歳になるファラオ・サンダースもさすがに寄る年には勝てない。最近の演奏にはかつてのパワーは期待できないが、まだまだ元気だぞ! 動いているファラオを見ることが出来るだけでもうれしいな。以下は、ごく最近の 2009年のライヴ映像。


YouTube: Pharoah Sanders @ Big Chill 2009 pt 3


YouTube: Pharoah Sanders - You Gotta Have Freedom @ Big Chill 2009

■なお、ファラオ・サンダースのCDに関しては、昨年の夏に再来日した時の「HMVでのインタビュー記事」が詳しいです。 iTunes でも、150円で買えます。


YouTube: Pharoah Sanders

■おまけ■ ニコニコ動画にあった「吉幾三 v.s ファラオ・サンダース」あはは! こいつはたまげた。

2010年7月31日 (土)

小鳩園で絵本を読む。それから、板橋文夫のこと

■今週の水曜の午後は、園医をしている「小鳩園」に出向く日だった。小鳩園は、発達障害児や重度心身障害児が母親とともに通う伊那市の母子通所施設だ。ぼくは夏と冬の2回行って、お母さん方に話をしてくる。 この日は、手足口病などの「夏かぜ」の話と、Hibワクチン、7価肺炎球菌ワクチン(プレベナー)の話をした。そのあと、子供たちと園の先生方もいっしょになっての「絵本タイム」。ぼくが読んだ絵本は、  1)『どうぶつサーカスはじまるよ』西村敏雄・作(福音館書店)  2)『ぐやんよやん』長谷川摂子・ぶん、ながさわまさこ・え(福音館書店)  3)『まるまるまるのほん』エルヴェ・テュレ作、谷川俊太郎・訳(ポプラ社) 『ぐやんよやん』を読み始めたら、すっごく反応のいい子が一人いて、ぼくがページをめくって「じんじ じんじ ずー」とか言うたびにキャッキャ言って喜んでくれた。それ見て、その子のお母さんと先生方がちょっと驚いたような反応を示した。しめしめ、やったね! 『まるまるまるのほん』は、子供たちに絵本をクリックさせたりタッチさせると「ぼくも私も!」と、みんな寄ってきて収集がつかなくなる。それがこの絵本の唯一の欠点だな。でも、幼い子も年長児も、障害のある子も関係なく、子供たちを夢中にさせる魅力がこの絵本には確かにある。 ■ナマの色川武大さんを一度だけ目撃したことがある。あれは何時だったか? 1978年〜1982年ころか。 場所は新宿ピットイン。板橋文夫トリオが出演した夜だった。周りの人は誰も特別視することなく、色川氏は一般客とごく自然に混ざって板橋文夫のピアノを聴いていたな。 板橋文夫と言えば、今年の2月に、東京FMのホールでクラシック・ピアノのソロコンサートを催したのだけれど、その日に演奏された「渡良瀬」の映像がネットにアップされている。これだ。 これは凄いな。数ある「渡良瀬」ソロ・ヴァージョンの中でも屈指の演奏なのではないか。 久々に板橋さんらしい演奏が見れてほんとうれしい。

2010年7月19日 (月)

今月のこの一曲 「Hide and Seek」 by Imogen Heap

■この、アントワン・デュフォールの最新CDは、ある種の「カヴァー曲集」となっている。オリジナル曲も、誰それにインスパイアーされて作った曲だと紹介されていた。で、このCDに収録された楽曲のうち、ひときわ異彩を放っているバラードがあった。それが「Hide and Seek」だ。


YouTube: Hide and Seek (Imogen Heap) Solo Guitar by Antoine Dufour

彼はCDライナーノートの中で「この曲」をこう紹介している。

7. "Hide and Seek" Song by Imogen Heap. She's a Huge influence on my Music. Lately and is such an Amazing Composer. "Hide and Seek" is One-of-A-Kind. There's Nothing's like it. This Song is Pretty Deep and Intense. With a very Unique Sound.

220719 ■ところで、"Hide and Seek" とは「かくれんぼ」のことだ。つい最近知ったことだが、日本のかくれんぼとイギリス(ほか海外)の「かくれんぼ」はルールが違うらしい。外国の「かくれんぼ」では、隠れるのは「一人きり」で、残り全員が「おに」になるのだという。こっちの方が怖いんじゃないか。何か、ゾンビか吸血鬼に追われるみたいで。 ■この、イモージェン・ヒープという女性をぜんぜん知らなかったのだが、あのジェフ・ベックがプッシュしている英国の新人らしい。エフェクターを駆使して、多重録音「ひとりアカペラ」で歌った「この曲」は凄いぞ! 歌詞がなんだか全く理解できない。癒し系と勘違いしている人も多いみたいだが、かなり「刺々しい単語」が連なって、繊細で孤独ですっごく内省的な曲だと思うぞ。歌詞が載った YouTube がこれだ。


YouTube: Imogen Heap - Hide and Seek (With Lyrics)

イモージェン・ヒープが、ライヴで歌ったヴァージョンもいいね。 "


YouTube: Imogen Heap - "Hide And Seek"

同じライヴで歌った「この曲」も凄いな。


YouTube: Imogen Heap - "Just For Now"

■この「Hide and Seek」は、スコアーが出版されているみたいで、合唱グループがアカペラでいろいろとコーラスしている。


YouTube: Achordants - Hide and Seek

2010年7月 2日 (金)

先月の忘れていたこの一曲「People get ready」

■このところ本を読む気力もわかず、ブログを更新するパワーもない。 まぁ、そういう時もあるさ。 そういう場合は、ただただ好きな音楽に身を浸す。それで、 少しだけ救われた気持ちになる。 ■しばらく前に、小坂忠『ほうろう2010』を買ったので、そればかり聴いていた。やっぱり小坂忠はいい。ほんとうに声がいい。で、久々に『People』も取り出してきて、しみじみ聴いてみる。みな心に沁みる歌ばかりだ。 中でもぼくのお気に入りは、12曲目。カーティス・メイフィールドの名曲「People get ready」。

People get ready 用意はいいか 荷物なしで   乗るだけでいい 行き先信じ   キップはいらない そして言うのさ thank the load

しばらく前まで、この曲のライヴ・ヴァージョンが YouTube にアップされていたが、 知らないうちに消去されていた。残念です。 本家、カーティス・メイフィールドが「The Impressions」で録音したオリジナル曲がこれだ。


YouTube: The Impressions - People Get Ready

この曲は、いろんな人がカヴァーしているが、有名なところでは、Jeff Beck and Rod Stewart か。


YouTube: Jeff Beck and Rod Stewart - People Get Ready (music video)

めずらしいところでは、この「ハナレグミ」のヴォーカルもいいね。


YouTube: ハナレグミ - People Get Ready

あと、スティングも歌っているが、これはイマイチかな。


YouTube: Jeff Beck w. Sting - People Get Ready - Madison Square Garden, NYC - 2009/10/29&30

このねえちゃん、なかなかカッコイイんじゃないか?


YouTube: People Get Ready Eva Cassidy

■いつか おいらも、自分でギター弾きながら唄ってみたい、あこがれの曲だ。

2010年4月13日 (火)

今月のこの1曲「しらけちまうぜ」作詞・松本隆、作曲・細野晴臣、歌・小坂忠

■3月は記事にするのを忘れてしまった。ごめんなさい。 4月の「この1曲」は、名盤『ほうろう』小坂忠(アルファレコード)B面1曲目に収録された「しらけちまうぜ」だ。 オリジナルは、YouTube から削除されてしまいました。


YouTube: 小坂忠 「しらけちまうぜ」



1975年1月リリース。今から35年も前の曲なのに、今聴いてもぜんぜん古臭くない。ヴォーカルも、バックバンドの伴奏もすっごくカッコイイ! 

ぼくが「この曲」を初めて聴いた時のことは、今でもよく憶えている。音の記憶というのは不思議で、音楽を聴くと同時に、当時の状況や関連する様々な記憶が芋づる式に次々と思い出されるのだよ。

当時ぼくは伊那北高校に入学したばかりで、クラスは1年C組だった。担任は英語の保坂先生。同じクラスに田中君がいた。ちょっと変わった雰囲気のヤツで、クラスでも少し浮いていたかな。その田中君が、荒井由実のLP『ひこうき雲』を持っていて「大好きなんだ」って言ったんで、ぼくの中では一気に好感度が上がったのだ、田中君。だって、1974年4月の時点ではまだ荒井由実のことなんて誰も知らなかったから。

ぼくはね、TBSラジオの深夜放送、林美雄アナウンサーの「パックインミュージック」で聴いていたから知っていたんだ、荒井由実。ラジオ局の深夜のスタジオで、彼女が「ベルベットイースター」を弾き語りした放送を聴いて、おったまげたものさ。・

■季節は流れ、冬になった。年が明けて、高校のスキー教室が車山高原スキー場で行われ、ぼくらも参加したんだ。確か、リフトに乗りながら耳にした曲が「しらけちまうぜ」だった。もう、繰り返しがんがん流れていたな、車山スキー場に。

たぶん、この曲がLPからシングルカットされたんだね。だから、何度も聞いてすっかり憶えちゃった。 当時すでに「はっぴいえんど」は解散していた。作詞の松本隆さんはまだ、松田聖子(デビューは 1980年)には出会っていないはずだ。作曲の細野晴臣氏は、キャラメルママからティン・パン・アレイを立ち上げたばかりだったと思う。

■先だって NHKBS2 で、荒井由実『ひこうき雲』の16chマルチトラック・マスターテープを、松任谷由実、松任谷正隆、細野晴臣、林立夫、駒沢裕城らがスタジオで「いま」聴き直し感想を述べる番組があった。とっても面白かった。あのLPは、1年間も時間をかけて、丁寧に丁寧に作り込まれていたんだね。ちっとも知らなかった。

そしたら、スチール・ギター奏者の駒沢裕城氏が言った。あの時の演奏には納得していないんだ。できれば今、録り直ししたい、と。 誰でも、若録りの演奏には後悔があるのかもしれない。

ところで、荒井由美『ひこうき雲』の1年後くらいに、同じスタジオ(Aスタジオ)で、ほぼ同じメンバーで録音された LP『ほうろう』の16chマルチトラック・マスターテープも保存されていたのだった。それを聴いた小坂忠氏は、ヴォーカルだけ録り直したいと思ったのだそうだ。

で、『ほうろう 2010』は人知れず密かに誕生した。 そのことを、先日 TSUTAYA で『レコードコレクターズ』を立ち読みしてて初めて知った。びっくりしたな。だから、ぼくはまだ再録CDを聴いてないのです。近々注文する予定。詳細は、以下のインタビューをご参照ください。

『HORO2010』 小坂忠 インタビュー<今月のこの1曲>

2010年2月20日 (土)

今月のこの1曲「Witchi-Tai-To」 written by Jim Pepper

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(写真をクリックすると、少し大きくなります)

■「Witchi-Tai-To」(ウィッチ・タイ・トゥ)という不思議なタイトルの曲を初めて聴いたのは、たぶん、このヤン・ガルバレクの ECM 盤『Witchi-Tai-To』B面1曲目でだったと思う。このLPでは、その次に収録された20分以上の大作「Desireless」が一番の聴き所で、あのガルバレクにまるでコルトレーンが乗り移ったかのようなスピリチュアルで熱いテナー・ソロをとっているのだ。

「Witchi-Tai-To」はその前座みたいな感じの曲で、Bobo Stenson の長いピアノソロに続いて、チャルメラのような、ヤン・ガルバレク独特のソプラノサックスがテーマを奏でる。不思議とのびのびした開放的で明るい音。これが何とも心地よいのだな。今思うと、数年後にキース・ジャレット・クァルテットの一員として録音した「マイソング」や「カントリー」に通じるものがある。

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(写真をクリックすると、少し大きくなります)

■その次に「この曲」を聴いたのは、オレゴンのLP『冬の陽』A面2曲目でだった。3分半に満たない短い演奏だが、実に印象的なピアノソロで始まり、曲のテーマは最後の方でちょこっと出てくるだけ。だから、もっと聴いていたいのにという欲求不満が残る。 つい先だって、松本の「ほんやらどう」で日本編集の「オレゴン・ベスト盤 / MUSICA ANOSSA Oregon」の中古盤を見つけて買って帰ったのだが、これがいいんだ。大当たり! もちろん、「Witchi-Tai-To」が 12曲目に収録されている。

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(写真をクリックすると、少し大きくなります)

■ところで、この曲のオリジナルは、Jim Pepper というテナー・サックス奏者が自ら歌ったLP『 Everything Is Everything 』に収録されている。彼にはネイティブ・アメリカンの血が流れていて、おじいちゃんから教わったネイティブ・アメリカン・チャーチ(20世紀初頭にできたネイティブ・アメリカン信仰とキリスト教信仰が合わさってできた新興宗教)の歌を元に「Witchi-Tai-To」を作ったらしいのだ。だから、まるでお坊さんのお経でも聴いているかのような意味不明の不思議な歌詞なのだね。

Witchi Tai To gim-mie rah Whoa ron-nee ka Whoa ron-nee ka Hey-ney hey-ney no wah Water spirit feelings Springin' round my head Makes me feel glad That I'm not dead

YouTube に音源がある。それは、これ。

 

オリジナルのCDは入手困難だそうだが、橋本徹氏編集のコンピ『 Cafe Apres-midi / Safran 』の 14曲目に収録されている。この前の曲が、シヴーカの「VOCE ABUSOU」で、後の曲が「バロック・ホーダウン」。さらに、アントニオ・カルロス・ジョビン「チルドレンズ・ゲーム」に、オレゴンの「YET TO BE」が続くというスグレものコンピ。 オレゴンのメンバーである、ラルフ・タウナーの12弦ギターソロ演奏もYouTube に画像があった。これだ。

<今月のこの一曲>

2009年12月19日 (土)

「Sweet Love Of Mine」Woody Shaw (つづき)

■昨日の夜は、伊那市天竜町「青龍」で「北原こどもクリニック」の忘年会だったため、更新はお休み。とは言え、連日の更新には無理があるな。2〜3日に1回のペースが一番自分のリズムに合っているように思う。

■さて、Woody Shaw のつづき。メジャーレーベル CBS/Columbia と契約し、70年代末〜80年代初頭に遅咲きながらも人気が出て活躍を続けたウディ・ショウだったが、その後が悲劇の連続だった。尊敬する先輩サックス奏者に女房を寝取られ、レコード・ジャケットに何度も登場する最愛の息子も奪われてしまう。失意のどん底に突き落とされたショウ。追い打ちをかけるように、さらなる悲劇が彼を襲う。

1988年、HIV感染が判明して闘病生活を続けていたが、1989年2月、ブルックリンの地下鉄ホームから転落(彼は生来の弱視だった)、左腕の切断を余儀なくされる。これでもう二度とトランペットを吹くことはできなくなった。そのまま同年5月に永眠する。享年44。 ジャズ・トランペッターには悲劇の人が多い。交通事故で早世した天才クリフォード・ブラウン。ジャズクラブで愛人に射殺された リー・モーガン。尿毒症のため、わずか23歳で夭逝した ブッカー・リトル。麻薬に毒されて26歳で逝った ファッツ・ナヴァロ。そして彼、ウディ・ショウ

■メロディ・メーカーとしても名高いウディ・ショウのオリジナル曲で最も有名な曲が、この「Sweet Love Of Mine」だ。初演は、アルト・サックス奏者ジャッキー・マクリーン Blue Note レーベル最後の作品『デーモン・ダンス』B面1曲目に収録されている。1967年12月22日録音。なんか、気持ち悪いジャケットだね。YouTube に音源があった(画像はなし)

■ぼくが一番好きな「Sweet Love Of Mine」は、このオリジナル演奏じゃなくて、同じくアルト・サックス奏者のアート・ペッパーが麻薬離脱治療から復帰して制作した2作目『ザ・トリップ』 A面3曲目に収録された同曲だ。これはよく聴いたな。さんざん聴いた。ちょと気負って肩の力が入った演奏だけれど、ふと、くつろいで力が抜ける瞬間があって、その時、かつての天才プレーヤーだった片鱗がかいま見える、アート・ペッパー。アフリカから押し寄せる波のような重いボサノバ・ビートを刻む、エルヴィン・ジョーンズ。トミー・フラナガンを更にモダンにしたような絶妙なピアノソロを取る、ジョージ・ゲイブルス。みんないい。探したら、YouTube に音源があった(やはり画像はなし)

ウディ・ショウ本人のリーダー・アルバムに「この曲」が収録されたのは案外遅くて、『Master Of The Art』(ELEKTRA /musician) B面2曲目に入っている。これもいいな。1982年2月25日の、ニューヨークはジャズ・フォーラムでのライブ音源。 日本人の演奏では、日野皓正のヴァージョンもあるみたいだが、ぼくは聴いたことがない。ぼくが長年愛聴してきたのは、鈴木勲『BLUE CITY』(TBM-2524) A面2曲目。曲のタイトルが「45th STREET - at 8th Avenue-」と異なるが、中身は「Sweet Love Of Mine」。初めて聴いたのは、伊那にかつてあったジャズ喫茶「アップル・コア」だったと思う。このLPは、当時のジャズ喫茶の人気盤だったのだ。 一番最近聴いて気に入っているのは、『LIVELY』安井さち子 トリオの7曲目。これもいい。 ■最後に、動いているウディ・ショウの画像。こいつは凄い。メチャクチャ格好いいじゃん!

■ ウディ・ショウ(Woody Herman Shaw II,  1944年12月24日 - 1989年5月10日)<今月のこの一曲>

2009年12月17日 (木)

今月のこの1曲「Sweet love Of Mine」 by Woody Shaw

091217_7 ■画像の扱いが、まだよく分からないのだが、今回は小さくなりすぎたかな。この画像をクリックしていただくと、画面が大きくなります。 さて、今日は今は亡き僕の大好きなトランペッター、ウディ・ショウのはなし。 ■ぼくが一生懸命ジャズを聴いていた大学生時代(1977年〜1982年)は、フュージョン全盛で、ストレート・アヘッドなアコースティック・ジャズは隅に追いやられていた。そんな時代でも、志あるジャズ喫茶では 「WOODY SHAW / STEPPING STONES」がよく掛かっていた。例えば、新宿の「DIG」とか、渋谷の「BLAKEY」とか。ぼくは散々聴いたよ、このレコード。だからアナログ盤で持っているんだ。 いま「ググる」と、ウディ・ショウは「悲劇のトランペッター」とか「正当に評価されなかった不遇のトランペッター」という単なる「くくり」になってしまうのだけれど、事実は決してそうじゃなかった。あの頃のウディ・ショウは、ジャズ喫茶では一番の人気者だったのだ。 確か、当時の人気を反映して、来日公演もしているはずさ、ウディ・ショウ。(まだまだ続く) ■<今月のこの一曲>

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