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2010年4月13日 (火)

今月のこの1曲「しらけちまうぜ」作詞・松本隆、作曲・細野晴臣、歌・小坂忠

■3月は記事にするのを忘れてしまった。ごめんなさい。 4月の「この1曲」は、名盤『ほうろう』小坂忠(アルファレコード)B面1曲目に収録された「しらけちまうぜ」だ。 オリジナルは、YouTube から削除されてしまいました。


YouTube: 小坂忠 「しらけちまうぜ」



1975年1月リリース。今から35年も前の曲なのに、今聴いてもぜんぜん古臭くない。ヴォーカルも、バックバンドの伴奏もすっごくカッコイイ! 

ぼくが「この曲」を初めて聴いた時のことは、今でもよく憶えている。音の記憶というのは不思議で、音楽を聴くと同時に、当時の状況や関連する様々な記憶が芋づる式に次々と思い出されるのだよ。

当時ぼくは伊那北高校に入学したばかりで、クラスは1年C組だった。担任は英語の保坂先生。同じクラスに田中君がいた。ちょっと変わった雰囲気のヤツで、クラスでも少し浮いていたかな。その田中君が、荒井由実のLP『ひこうき雲』を持っていて「大好きなんだ」って言ったんで、ぼくの中では一気に好感度が上がったのだ、田中君。だって、1974年4月の時点ではまだ荒井由実のことなんて誰も知らなかったから。

ぼくはね、TBSラジオの深夜放送、林美雄アナウンサーの「パックインミュージック」で聴いていたから知っていたんだ、荒井由実。ラジオ局の深夜のスタジオで、彼女が「ベルベットイースター」を弾き語りした放送を聴いて、おったまげたものさ。・

■季節は流れ、冬になった。年が明けて、高校のスキー教室が車山高原スキー場で行われ、ぼくらも参加したんだ。確か、リフトに乗りながら耳にした曲が「しらけちまうぜ」だった。もう、繰り返しがんがん流れていたな、車山スキー場に。

たぶん、この曲がLPからシングルカットされたんだね。だから、何度も聞いてすっかり憶えちゃった。 当時すでに「はっぴいえんど」は解散していた。作詞の松本隆さんはまだ、松田聖子(デビューは 1980年)には出会っていないはずだ。作曲の細野晴臣氏は、キャラメルママからティン・パン・アレイを立ち上げたばかりだったと思う。

■先だって NHKBS2 で、荒井由実『ひこうき雲』の16chマルチトラック・マスターテープを、松任谷由実、松任谷正隆、細野晴臣、林立夫、駒沢裕城らがスタジオで「いま」聴き直し感想を述べる番組があった。とっても面白かった。あのLPは、1年間も時間をかけて、丁寧に丁寧に作り込まれていたんだね。ちっとも知らなかった。

そしたら、スチール・ギター奏者の駒沢裕城氏が言った。あの時の演奏には納得していないんだ。できれば今、録り直ししたい、と。 誰でも、若録りの演奏には後悔があるのかもしれない。

ところで、荒井由美『ひこうき雲』の1年後くらいに、同じスタジオ(Aスタジオ)で、ほぼ同じメンバーで録音された LP『ほうろう』の16chマルチトラック・マスターテープも保存されていたのだった。それを聴いた小坂忠氏は、ヴォーカルだけ録り直したいと思ったのだそうだ。

で、『ほうろう 2010』は人知れず密かに誕生した。 そのことを、先日 TSUTAYA で『レコードコレクターズ』を立ち読みしてて初めて知った。びっくりしたな。だから、ぼくはまだ再録CDを聴いてないのです。近々注文する予定。詳細は、以下のインタビューをご参照ください。

『HORO2010』 小坂忠 インタビュー<今月のこの1曲>

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コメント

確かに、抑制の利いたアレンジは、今聴いても古さを感じさせないですね。しかし、しろくまさん文章がお上手。小説書けそうですね。
ついでにリンク貼らせてもらいました。

ryohay1666 さん、コメントありがとう。「しらけちまうぜ」のバック女性コーラスって、吉田美奈子・大貫妙子・矢野顕子なんだよね。なんて贅沢。他の曲では、山下達郎も参加しているんですよね。

リンクありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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