2014年5月11日 (日)

伊那のパパズ、結成10周年記念ライヴ。本当に多数ご来場ありがとうございました!

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■いったい何人来場してもらえるのか、正直不安だった。多すぎて会場に入れない人が出ては困るし、少なすぎてガラガラでも拍子抜けだ。当日は、普段の土曜日より1時間早く店仕舞いして、午後1時に現場へ。

すでに集合していた4人のメンバーと会場設定作業に入る。いつもは「主催者」が別にいるので、じつは自分たちで会場の準備をするのは初めてなのだった。その割には手際よくテキパキと作業は進み、倉科さんの奥さんが作ってくれた、ステキな「ステージ飾り付け」を展示して準備完了!

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■午後2時半過ぎには、続々と来場者が! 最終的には「多すぎず少なすぎず」スペースちょうどの人数(120人くらいか?)が集まってくれた。知ったお母さんお父さん、子供たちの顔も多い。ほんとありがたかったなぁ。うれしかった。まさか10年も続くとは思っていなかったので、感無量でした。

長野日報さん、伊那ケーブルテレビさん、SBCラジオさん(5/13「火」の、午後 1:08〜1:15 放送予定)が取材に来てくれた。感謝です。

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        ■ <本日のメニュー> ■

1)『はじめまして』新沢としひこ・作 (ひさかたチャイルド)

2)『とてもおおきなサンマのひらき』岡田よしたか(ブロンズ新社)→伊東

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3)『おーいかばくん』中川ひろたか(ひさかたチャイルド)

4)『おおかみだあ!』(ポプラ社)→北原

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5)『かごからとびだした』(アリス館)

6)『どうぶつサーカスはじまるよ』西村敏雄(福音館書店)→坂本

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7)『うんこしりとり』tupera tupera(白泉社)

8)『ハのハの小天狗』飯野和好(ほるぷ出版)→宮脇

   「ムッ! 手裏剣がなくなった」

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9)『ねこのおいしゃさん』(そうえん社)

10)『じごくのそうべえ』田島征彦(童心社)→倉科

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11)『ふうせん』(アリス館)

12)『世界じゅうのこどもたちが』(ポプラ社)

おしまいに、5/3の午後に皆で集まって準備した、シール・風船・カードなどを袋詰めした「おみやげ」を子供たちに配って大盛況のうちに無事終了。

■われわれの10年間の活動を、初回からあたたかく見守ってくれてきた、パパズの奥様方。それから、箕輪町の白鳥さん、学校図書館司書の小松さん、当院スタッフ皆さん。本当にありがとうございました。

そして、当日ご来場くださったみなさま。結成20周年記念ライヴが出来る自信はありませんが、皆もう少しは続けて行く所存です。これからも是非、ご支援のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました!

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2014年5月 6日 (火)

ファレル・ウィリアムス『HAPPY』の動画を集める

■昨日、ファレル・ウィリアムスの新作CD『GIRL』を買った。で、もうずっと「HAPPY」を繰り返し繰り返し聴いている。いいんだ、これが!

「幸せなら手をたたこう」って歌う「この曲」のPVは、なんと!「24時間」続くのだ。ぼくは、2:20 p.m. ぐらいに登場する、男2人のタップ・ダンスチームが好きだ。

サイトはこちら。「http://24hoursofhappy.com」

We are from Paris - Happy - Welcome Pharrell #ParisIsHappy
YouTube: We are from Paris - Happy - Welcome Pharrell #ParisIsHappy

■さらには、「We Are Happy From ...」というサイトの「世界地図」から、世界各国、各都市(同じ街から複数の投稿あり)の住民が踊るヴァージョンを見ることができる。なんと!「南極大陸」もあるぞ。

日本版も、仙台(宮城学院女子大学)・名古屋・京都大学・大阪・東京に続いて、「原宿」(BEAMS 社長の踊りが何気に上手い!)「京都・大阪」「沖縄」版が最近登場した。動画のレベルもピンキリだが、上に挙げた「Paris Is Happy」のセンスと完成度がピカイチだと思う。

HAPPY World Down Syndrome Day / Welt Down Syndrom Tag #HAPPYDAY Pharrell Williams
YouTube: HAPPY World Down Syndrome Day / Welt Down Syndrom Tag #HAPPYDAY Pharrell Williams

■その他、ロンドン在住の回教徒のヴァージョンとか、この「ダウン症の人たち」のダンス版もじつにいい。

Pharrell Williams - Happy ( Split , Croatia )
YouTube: Pharrell Williams - Happy ( Split , Croatia )

#HAPPYDAY Supercut
YouTube: #HAPPYDAY Supercut

HAPPY - Walk off the Earth Ft. Parachute
YouTube: HAPPY - Walk off the Earth Ft. Parachute


Pharrell Williams -- HAPPY (We are from HIGH TATRAS SLOVAKIA)
YouTube: Pharrell Williams -- HAPPY (We are from HIGH TATRAS SLOVAKIA)


■じつを言うと、このGWに入るまで「ファレル・ウィリアムス」という人を、まったく知らなかったのです。連休中は遠出する予定がなかったし、仕事もいっぱい残ってたので、診察室でイヤイヤ仕事しながら、ネットにつないでツイッターを眺めていたら、ぼくのTLでふと「HAPPY」のPVをカヴァーした中東ドバイのヴァージョンを発見した。

「HAPPY」って何? ファレル・ウイリアムスって誰?

で、調べたら日本盤CDが4月30日発売になったばかりだったので「これは欲しいぞ!」と、伊那の TSUTAYA へ行って、彼の最新CD『GIRL』を購入したのでした。

■ロバート・グラスパーのCDを、最近繰り返し聴いていたので、聴いて「何の違和感もなかった」です。いやむしろ、懐かしい聴き慣れたサウンドがしていた。ロバート・グラスパーは、1990年代の「ネオ・ソウル」の雰囲気を目指していたのに対し、ファレル・ウイリアムスは、1980年代のマイケル・ジャクソンの曲調や、もう少し古く、ちょっとレトロな 1970年代全盛期のソウルの感じが「HAPPY」にあふれているように思ったのです。

ファレル・ウイリアムスは、キーボード奏者なのにとにかく声がいい。ファルセットを多用しつつ、地声も高めで艶があって、往年のサム・クックや、マービン・ゲイみたいな「男の色気」にあふれているのだ。それでいて、コテコテの脂ぎった音ではないんだな。そこが一番の特色。

彼の容姿を見ると、どうも「アジアの血」がクオーターぐらい混じっている。草食系の顔をしているんじゃないか? そのあたりも、ちょっと過激でとんがったヒップホップから離れて、コンテンポラリーでグローバルな万人受けする楽曲「HAPPY」を作り上げることができたポイントなんじゃないかな。

■ファレル・ウィリアムス「HAPPY」の多幸感って、Bメロ・バックコーラス「ハッピイー、イー、イー、イー」のコード進行がメチャクチャ気持ちいいことによる。基本はマキタスポーツ氏の言う「カノン進行」なのだが、でもちょっと変なコードなんだよ。

そのあたりのことは「スージー鈴木」氏が以前ツイートしていた。

ファレル・ウィリアムスの「HAPPY」は、ダフト・パンク「Get Lucky」同様、「奇妙さが生理的に気持ちいい」コード進行になっている。同じようなことを考えた音楽好きがギターでの弾き方を指南した映像。それにしても変な進行だ。 http://youtu.be/bDjiz_MypGs 

【C#maj7】→【Cm】→【Cm7】→【F】。ファレル・ウィリアムスHAPPY」の「奇妙だけれど生理的に気持ちいいコード進行」を聴いていると、「コード進行の全てのパターンは出尽くした」という、老獪な音楽評論家がよく言っていたことが、実は真っ赤なウソだったということを痛感する。

それから、スージー鈴木氏のブログより、この考察も面白いぞ。

20140208/ダフト・パンク《Get Lucky》は鳴り止まないっ。」

2014年5月 3日 (土)

『どーなつ』北野勇作(ハヤカワ文庫)読了

■おとといの夜、『どーなつ』北野勇作/著(ハヤカワ文庫)を読み終わった。面白かった。別に謎解きを期待してなかったので、読者のために何とか辻褄を合わせようと作者が気を使った「その十:溝のなかに落ちたヒトの話」は、なくても僕はよかったかな。じゅうにぶんに、その世界観を堪能させていただいた。

ちょっと時間をかけすぎて、ゆっくり少しずつ読んできたので、冒頭の(その1)(その2)など、どんな話だったかすっかり忘れてしまった。もったいない。

ただ、読み始めから読み終わるまで、ずっと感じていたことは「既視感」だ。

「爆心地」の描写は、タルコフスキーの映画『ストーカー』の「ゾーン」のイメージに違いない。

「電気熊」の設定は、去年見て萌えた映画『パシフィック・リム』とそっくり同じだし、連作短編が「土星の輪」のように連なって、「海馬」とか「シモフリ課長」とか「田宮麻美」とか「おれ」とか「ぼく」とか。それぞれの短編は独立しているのだけれど、共通する(らしい)登場人物が何度も出てくる。

ただ、さっきの話では死んだはずなのに、次の話では元気で生きていたりと、物語の順番の時系列も怪しいし、その場所も、地球上なのか火星なのか、それとも全くの未知の惑星なのか、読んでいて判別がつかない。

で、これら関連する(であろう)収録された10篇の短編を整理して、推理小説の解答編みたいな整合性を極めようとすると、たちまちワケがわからなくなってしまうのだった。ジグゾー・パズルの最後のピースを見つけてはめ込もうとすると、ぜんぜん形が合わない! こういう感じの小説を最近読んだよなぁ、って思ったら、そうそう『夢幻諸島から』クリストファー・プリースト著、古沢嘉通・訳(ハヤカワ・SFシリーズ)じゃないか。設定が、すっごく似てるぞ。

いや、待てよ? 『どーなつ』が出版されたのは、2002年4月のことだ。いまから12年も前。当然、映画『パシフィック・リム』も、小説『夢幻諸島から』も、この世に生まれでるずっとずっと前の話。この、シンクロニシティって何だ?

さっき、「土星の輪」のように短編が連作されてゆくと書いたが、最後までたどり着くと、物語の中心に「大きな深いあな」があることに気付かされる仕組みの小説なのだった。何故、小説のタイトルが「どーなつ」なのか? 本編の中では「どーなつ」に関する記載はまったくない。唯一「作者あとがき」の中でだけ触れられているだけだ。(もう少し続く)

2014年4月28日 (月)

『今月のこの一曲』。「I Like You,You're Nice」ブロッサム・ディアリー

I Like You, You're Nice - Irene Kral
YouTube: I Like You, You're Nice - Irene Kral

■「今月のこの一曲」は、ブロッサム・ディアリーが作曲した『I Like You,You're Nice』。大好きな曲で、アイリーン・クラールの歌でさんざん聴いた。小品ながらも小粋な佳曲。

とある女性が、イケメン男に一目惚れしてしまう歌。オリジナルは、『BLOSSOM DEARIE SINGS』5曲目に入っている。先日、名古屋市大須の中古CD店でようやく入手できた。コイツはよかった! ずっと探していたのだよ。うれしかったなぁ、見つけたとき。このところ毎日ずっと聴いている。じつに良い。

Blossom Dearie - I Like You, You're Nice / Saving My Feeling For You (Parkinson, 1972)
YouTube: Blossom Dearie - I Like You, You're Nice / Saving My Feeling For You (Parkinson, 1972)

■この曲を唄うアイリーン・クラールのCDは3枚持っていて『Irene Kral LIVE』では9曲目に入っている。ラストの「コーヒーを一杯」のくだりで客席に笑いが起こる。何故だ? その理由がよくわからない。歌詞カードがなかったから尚更だ。ところで、オリジナル盤にはちゃんと英語の歌詞カードが載っていた。

で、例の「コーヒー1杯」のくだり。 " I'll make you a marvelous, wondrous and quite notorious cup of Costa Rican coffee " と、ある。

よくわからないのは「quite notorious」。

直訳すれば、「極めて悪名高き」となる。コスタリカのコーヒー豆に、血に塗られた暗黒の歴史でもあったのか? 単に「有名」なら、famous とか、well known を使うはずなのに、何故「quite notorious」なのか? 未だに、わからないのだ。

でも、ここで笑いが起こるのはたぶん、すっごく期待させておいて、なんだコーヒー1杯だけかよ!

っていう落ちに対してなんだろうなぁ。

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■納戸を整理していたら、「I Like You,You're Nice」をA面5曲目で唄っている、アン・バートンのレコードが見つかった。ボサノバ・タッチで、アイリーン・クラールほど「しっとり」しすぎず、小粋に軽く唄っている。1983〜84年の録音だから、晩年のレコードか? ベースは、セシル・マクビー。渋いぞ!

2014年4月24日 (木)

伊那のパパズ、結成10周年。

■今から10年前の、平成16年(2004年)4月24日(土)。

北原こどもクリニック待合室で、われわれ「伊那のパパズ」は産声を上げた。

この時が「第1回」だった。

 

■それから、みんなで長野に行った夜だったか、倉科さんがしみじみこう言ったのだ。

「ぼくら、今まで 100回以上やってきたけれど、そのほとんどが依頼を受けて出向いていったものでしょ。自分らで企画して主催したのは、最初の回(平成16年4月24日)だけなんじゃないの? この4月で、われわれも結成満10周年を迎えることだし、その記念ライヴを僕らで主催するのはどう?」

と、いう訳で、「伊那のパパズ」結成10周年記念ライヴが決定いたしました。

下のポスターのように、

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日時)平成26年5月10日、午後3時開演

場所)「いなっせ」7階「会議室1、2」

入場)無料。予約は必要ありません。

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見て下さい、このポスター。

宮脇さんの奥さんが描いてくれました。

もう、プロ以上に「われわれ5人」(宮脇・坂本・伊東・倉科・北原)がそっくりに描かれていてビックリです。

10周年だからといって、特別な試みはありません。特別ゲストも出ません。

いつも通りの歌と踊りと、絵本の読み聞かせをご披露いたします。

ぜひ皆様、ご近所お誘いの上、「いなっせ7階」までおいで下さいませ。

10th2

2014年4月23日 (水)

『酒とつまみと男と女』BSジャパン(毎週火曜日夜9時〜10時)

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■上の写真をクリックすると、もう少し大きくなります。

写真は、『週刊朝日』4月25日号の、116ページ。嵐山光三郎氏の連載エッセイ『コンセント抜いたか』の見開きだ。イラストは、南伸坊さん。少しだけ引用する。

 坂崎重盛著『ぼくのおかしなステッキ生活』(求龍堂)が増刷となった。そんなめでたい日に、東京堂書店の六階ホールにて 重盛 vs. 嵐山公開対談<ぼくたちはステッキ仲間>が行われた。(中略)

 私が2002年に日経新聞文化欄に書いた「欲情すれど執着せず」のコピーを持ってきた客がいた。このエッセイはよく覚えていて、六十歳になって「欲しいモノがなくなった」のは悟りなんぞではなくて、退化現象だと書いた。 モノを買うのは精神力と体力がいる。(中略)

 私の世代は仕事中毒症といわれ、オヤジたちはみんな会社と恋愛関係にあり、ワーカホリックで「いそがしくて遊ぶひまもない」と不満を言いつつ走り廻ることが楽しかったのだ。(中略)

 定年後にいかにして遊ぶか。モノを買う力が弱ったのは、収入が減ったからではなく、欲情する力が衰えたのだ。欲しいモノがあったら迷わず買う。のんびりと遊びつくす。断じて悟らない。受け身にならず。世間に欲情する、と宣言した。

 十二年前に書いたこのエッセイは、重盛先生と浅草の居酒屋さくまで飲んだときに思いたった。(中略)

 で、東京の盛り場を徘徊する重盛先生は、飲み歩く天然記念物として、テレビ番組にデビューすることになった。かねてより重盛先生の居酒屋通いに注目していたテレビプロデューサーがいて、BSジャパン(7チャンネル)で一年間の番組が始まった。毎週火曜、夜九時から十時ちかくまでの一時間番組「酒とつまみと男と女」の案内人。

 ソフト帽をかぶり、ステッキを右手に持ち、丸メガネをかけた俳号露骨の坂崎重盛先生(「アルフィー」坂崎幸之助の叔父・千葉大造園学科卒)こと「のんきなとーさん」が全国ネットのテレビに登場します。 『週刊朝日4月25号 p116,117』

■で、今週の火曜日の夜に放送された、BSジャパンの番組を録画して見たら、春風亭一之輔師に、例の坂崎重盛氏、そしてゲストの料理研究家でエッセイストの平松洋子さんが出ていて、陽がまだ高いうちから飲み始め、2軒目に彼らが向かったのが、その例の浅草寺裏の「さくま」だった。

この店はいいな。牛すじ煮込みがめちゃくちゃ美味しそうだし、コの字型のカウンター内側で忙しく働く女性たちの佇まいが麟としていて、じつに気持ちよい。そして、坂崎氏が特別注文した「ステーキ」。もやしとニンニクがいっぱい乗った一皿。いやぁ、美味そうだったな。ここはぜひ、行ってみたいぞ。

■4月から新しく始まったこの番組、なんだかすっかりファンになってしまった。

特に、4月15日放送の「西荻窪界隈編」は出色だった。ホント面白かった!

雑誌『古典酒場』編集長、倉嶋紀和子さんの豪快な飲みっぷり、凄いな。そして、角田光代さん。この人もすごい。二人して昼間から酎ハイをぐびぐび飲んで、次々とお代わりしてゆく。

この「飲んべえ2人女子会」の、テレビに映って放送されていることをすっかり忘れたかのような素の喋りが、めちゃくちゃ面白かった。 飲めば毎回記憶をなくすのか!? 飲んで家に帰ると、バッグの中から得体の知れない物が次々と出てくるのか!

角田さん。のみ屋に履いてきたジーパン忘れて帰ってしまうって? どういうこと? パンツのまま家へ帰ったの? 謎だ。

■先週土曜日の「中日新聞」文化欄(コラム「大波小波」が載る、前日夕刊版と同じ)に出ていた記事

         「BSでほろ酔い気分を」

 11年目を迎えた BS-TBS「吉田類の酒場放浪記」(月曜夜)。イラストレーターで”酒場詩人”の吉田類が大衆酒場を巡り、酒と料理を楽しみながら紹介する。

 牛久保剣プロデューサーは「吉田さんは自然に常連客に溶け込んでしまう。演出を排除し、日常の楽しさをそのまま伝えたい」。客と乾杯してつまみをもらい、酔っぱらう吉田に「ろれつが怪しい」などと静かに突っ込むナレーションも独特。(中略)

 BSフジ「美しき酒呑みたち」(日曜夜、不定期)は、俳優の新井浩文が友人と二人で全国の居酒屋を旅する。2012年に始まり、俳優の綾野剛や森山未來らが登場した。(中略)

 四月スタートのBSジャパン「酒とつまみと男と女」(火曜夜)。編成担当の柳川美波は「お酒は日常の一部。視聴者ニーズがある」と狙いを話す。

 出演は毎回三人。聞き上手な俳優や落語家を進行役に、知識豊富な作家や雑誌編集長がご意見番で加わり、ゲストを招いて好きなことを語り合う構成で「組み合わせで楽しめる」(柳川)。はしご酒の道中、周辺スポットも紹介する。

 視聴者との垣根を低くしようとナレーションは省いた。山下和晴プロデューサーは「出演者の会話をつまみに、楽に見てほしい」と話している。(中日新聞朝刊 4月19日付) 

■ さて、先日読み終わった『日本の居酒屋文化』マイク・モラスキー著(光文社新書)の話にようやく移るのだが、この本はホント面白かった!

 変な外人さん「マイク・モラスキー」が『青い目で不思議の国ニッポン探訪』するというキャッチを、たぶん彼は最も嫌うに違いない。最近、イギリス人一家が日本に旅行に来て日本食を満喫する本『英国一家、日本を食べる』(ぼくは未読)がヒットしたが、そうじゃないんだ。

1976年に来日後、断続的にのべ20年以上も日本(東京・京都)に住んでいるマイク・モラスキー氏は、日本人以上に、日本の「ジャズ喫茶」「居酒屋」を愛してきたのだ。そして、日本語で数々の著作を書いてきた。何せ大学教授だからね。

で、スミマセンが、「この本」のことは、日をあらためて書くことにいたします。

ごめんなさい。というワケで、タイトルも変えました。

 

2014年4月 6日 (日)

「おかあさんの唄」こどものせかい5月号付録(にじのひろば)至光社

■月刊カトリック保育絵本を出している「至光社」さんから原稿の依頼があった。

「よぶ」というテーマで書いて欲しいという。

案外むずかしいテーマだ。正直困った。

四苦八苦して書き上げたのが以下の文章です。

『こどものせかい5月号:こんにちは マリアさま』牧村慶子/絵、景山あきこ/文(至光社)の折り込み付録「にじのひろば」に載せていただきました。ありがとうございました。

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『おかあさんの唄』           北原文徳(小児科医)

 アン・サリーの歌声が好きだ。ジャズのフィーリングとリズム感が抜群で、英語やポルトガル語の歌詞の発音もネイティブ並にいい。でも、聴いていて一番沁み入るのは、『星影の小径』や『満月の夜』などの日本語で唄った楽曲だ。

 最新CD『森の診療所』は、うれしいことに日本語の歌が多い。中でも映画『おおかみこどもの雨と雪』の主題歌が素晴らしい。ぼくは映画館で聴いて、それまで我慢していた涙が突然止めどなく溢れ出し、照明が点くのが恥ずかしくて本当に困った。映画は、子供の自立と、親の子別れの話だった。

 昨年の夏、児童精神科医佐々木正美先生の講演を聴いた。先生は以前から同じことを繰り返し言っている。子育てで一番大切なことだからだ。

「子供が望んだことをどこまでも満たしてあげる。そうすると子供は安心して、しっかりと自立していきます。ところが、親の考えを押しつけたり、過剰干渉すると、子供はいつまでも自立できません。」

「生後9ヵ月になると、赤ちゃんは安全基地である親元を離れて探索行動の冒険に出ます。母親に見守られていることを確信しているから一人でも安心なんです。ふと振り返り、母親を呼べば、いつでも笑顔の母親と視線が合う。決して見捨てられない自信と安心を得た子供だから、ちゃんと自立できるのです。」  

 アン・サリーの歌にも「おおかみこども」が母親を呼ぶ印象的なパートが挿入されている。優しいアルトの落ち着いた歌声。彼女自身、二人の娘の母親だ。レコーディングやコンサートに、彼女は必ず娘たちを連れて行くそうだ。

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■ついでに、1年前、福音館書店のメルマガ「あのねメール通信:2013年6月19日 Vol.142」に載せていただいた、「ぐりとぐらと私」

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2014年3月30日 (日)

復活「今月のこの1曲」 『Ballad of the Sad Young Men』

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■しばらく忘れていた「今月のこの1曲」を、ふと復活させようと思ったのだ。

「この曲」を初めて聴いたのは、「こちらのブログ」の筆者と同じく、コンテンポラリー・レーベルから出た、アート・ペッパーの復帰後3枚目のLP『ノー・リミット』でだった。最もハードでフリーキーなアート・ペッパーの演奏を記録したこのレコードの、A面2曲目に収録されていたのが「 Ballad Of The Sad Young Men」だ。

さんざん聴いたなぁ。この曲。

1950年代の軽やかで艶のある演奏と違って、ちょっとブッキラボウに、とつとつと途切れ途切れにフレーズを奏でるペッパーのバラード演奏は、ほんとうに沁み入った。アルトの音色が切なかった。

なんなんだろうなぁ、若い頃はブイブイ言わせて大活躍していたのに、麻薬禍から1960年代後半には知らないうちにジャズ界から消え去っていた。そんな彼が50歳をとうに過ぎて奇跡的に復活し、アルト・サックスで吹く「 Ballad Of The Sad Young Men」のメロディには、その一音一音に彼の特別な想いが込められているような気がしてならない。もう若くはない「いま」だからこそ、ようやく吹けるようになったのだ。

ちょうど、ビリー・ホリデイ『レディ・イン・サテン』の「I'm a Fool to Want You」を聴いた時と同じ印象。彼の(彼女の)人生(生きざま)が、そのままダイレクトに演奏に反映されていた。


YouTube: Art Pepper Quartet - Ballad of the Sad Young Men



■先達て松本へ行った際、久しぶりに「アガタ書房」へ寄って中古盤の2枚組『オール・オブ・ユー』キース・ジャレット・トリオ(ECM / HMCD)を入手した。2枚目のほうに、僕の大好きな曲が2曲も収録されていたからだ。

その2曲とは、「All The Things You Are」と「Ballad Of The Sad Young Men」。

このCDの原題は『Tribute』で、リー・コニッツ、ジム・ホール、ビル・エバンス、チャーリー・パーカー、ロリンズ、マイルス、そしてコルトレーンにそれぞれ曲が捧げられている。

で、ジャズ・ヴォーカリストのアニタ・オデイに捧げられていたのが「この曲」だった。僕は彼女が歌った「この曲」を聴いたことがなかったので、早速検察してみると、彼女が1961年にゲイリー・マクファーランド・オーケストラと録音した『All The Sad Young Men』の5曲目に収録されていることが判った。

さらにググると、ボズ・スキャッグスやリッキー・リー・ジョーンズ、それに、ロバータ・フラックも「この曲」を歌っているらしい。

YouTube には、ロバータ・フラックのヴァージョンがあった。それがコレだ。

Roberta Flack - Ballad of the Sad Young Men
YouTube: Roberta Flack - Ballad of the Sad Young Men


ロバータ・フラックがピアノの弾き語りで歌っている。冒頭の印象的なベースの弓引きは、ロン・カーター。アート・ペッパーの演奏は、このロバータ・フラックのアレンジを「そのまま」いただいていたんだね。そっくり同じだ。

こうして、初期のロバータ・フラックを聴いてみて感じるのは、同じピアノの弾き語りをしている「ニーナ・シモン」のことを、すっごく意識していることだ。ソウルフルでありながら、シンガー・ソング・ライターの楽曲をいっぱい取り入れている点。ジャニス・イアンとか、レナード・コーエンとかの曲をね。彼女のこのデビュー盤、なかなかいいじゃないか。

■さらに先週、東京に行って、新宿のディスクユニオンで「アニタ・オデイ盤」を中古で入手した。でも、凝ったアレンジがかえって邪魔してしまい、この曲のシンプルな切ない味わいが損なわれてしまっていて残念だったな。

曲のタイトルと、CDのタイトルが微妙に異なっているのには訳がある。

『All The Sad Young Men』というのは、『華麗なるギャツビー』の作者フィッツジェラルドの小説のタイトルなんだそうだ。なるほどね。

Radka Toneff - Ballad of the Sad Young Men (live, 1977)
YouTube: Radka Toneff - Ballad of the Sad Young Men (live, 1977)


あと、さらに検索を続けたら、ノルウェーの歌姫ラドカ・トネフのヴァージョンが見つかった。これもいいな。今までぜんぜん知らなかった人だ。CDも持ってない。北欧系の女性ジャズ・ヴォーカルは、このところけっこうフォローしてきたのにね。

調べてみると、30歳で自ら命を絶って、いまはもういない人だった。

2014年3月28日 (金)

遊園地再生事業団プロデュース『ヒネミの商人』作・演出、宮沢章夫

■隣人に少しだけ遠慮しながら、役者さんちょっと変なセリフに思わず笑って観ていたら、ふと足下をすくわれたようになって、何とも居心地が悪くなり訳が判らなくなってしまった芝居『ヒネミ商人』。

以下、感想ツイートを少し改変してまとめました。

■夜中に連続ツイートしたので、ちょっとアレなんですが、失礼ごめんなさい。

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■先達ての日曜日(3月23日)日帰りで東京に行って来た。天気予報では暖かい春の日和だって言うから、ジャケットにワイシャツだけで特急あずさに乗ったのだが、新宿に着いたら皆冬の格好で焦った。確かに寒いぞ。最初に行ったのは「ビックロ」。朝から人でいっぱいだ。

「ビックロ」へ行ったのは、息子へのお土産に「SHURE」のイヤホンを買うためだ。でも売り場へ行ってみたら、DENON のワイヤレス・イヤホンが安くなってたので、結局こっちにした。DENON インナーイヤーヘッドホン AH-W150

■その後は、ディスクユニオン「新宿ジャズ館」へ行き、欲しかったCDの中古盤をゲット。アニタ・オデイ『オール・ザ・サッド・ヤング・メン』、『VOLUNTEERED SLAVERY』ローランド・カーク、『アット・ザ・ファイヴ・スポット vol.2』エリック・ドルフィー(SHM−CD)。

ディスクユニオン近くの天婦羅屋で天丼を食い、一路高円寺へ。午後2時から「座・高円寺」で芝居を観るのだ。遊園地再生事業団プロデュース『ヒネミの商人』。実は、ぼくが大好きな劇作家なのに、その演劇を生で一度も観たことがなかった宮沢章夫さんの初期の代表作が再演されると知ったからね。

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■「座・高円寺」という小屋は、なかなかに良いんじゃないか。ちょうど、松本市民芸術館「小ホール」の雰囲気によく似ている。キャパは300人くらいか?

始まった芝居『ヒネミの商人』に登場した宮川賢、ろくちゃん。彼を見ていて、誰かに似てるなあって、ずっと考えていたんだ。そしたら、ラストで流れたBGMを聴いて判った。小津安二郎『お早よう』みたいな音楽。あ、北竜二か。そうそう、あのいい加減さは、そうに違いない。

芝居『ヒネミの商人』は再演だ。もしかして、宮沢章夫演出の芝居が再演されたのは、今回が初めてなのかも。僕は初演を観ていない。でも、なんとなく判るよ。「劇的」であることを否定した芝居。時同じくして、平田オリザ氏も同じ地平を見ていた。でも、小津安二郎という方法論は同じでも全然違う。

ポイントは何なんだろう? 地図か? 貨幣か? 今は亡き街の記憶なのか? 確かに存在するはずの物語が、実は存在しない。ガラガラと崩れてゆく現実。その端緒は、銀行員「渡辺」の靴が片方だけ無くなったことから始まる。ところで、「ウルトラ」って何なんだ! 訳わかんないぞ!「ウルトラ」

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オリジナルは、シェークスピアの『ヴェニスの商人』だ。それは判った。だから、ユダヤ人の金貸しシャイロックは銀行員「渡辺」なのだな。ビット・コインみたいに、この世に存在しているようでいて、どこにもない貨幣の価値。それを代償する土地という神話。でも、連帯保証人の印鑑をひとたび押してしまったならば、先祖代々護り次いで来た「土地」を、いとも簡単に銀行は差し押さえに来るのだ。バブルが弾けた後とは、銀行が「そんな不良債権」をいっぱい抱えて四苦八苦していた時期だった。

そんな1990年代前半。そこに登場したのが『ヒネミの商人』(物語自体は1970年代の話だが)という芝居だったのだな。

■正直言って、芝居が唐突に終わってしまい、僕は途方に暮れた。何だったんだ? わからない。あの偽札の意味は? いつまで経っても目的地「サルタ石」にたどり着けない旅行者の彼女の苦悩。わからない。その彼女を目的地に導こうと努力する加藤の無駄な努力。わからない。ぜんぜんわからないぞ!

この「現実崩壊感」こそ、じつは大切なんじゃないかと思う。いままで信じて生きて来た、その確信が、あっという間に崩れ落ちてしまう瞬間を、たぶん僕らは「この芝居」を観ることで、再確認するのだ。

で、結局この芝居を観て最も印象に残った役者さんはというと、中村ゆうじ氏ではない。残念ながらね。じゃあ、誰? それはね、佐々木幸子さんさ。彼女の存在感はハンパなかった。凄いな!

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■「ヒネミの商人」。あとからジワジワとボディ・ブロウのように効いてきて、ずっと後を引く芝居だった。「面白かった!」と、単純に呟いていいのか戸惑うほど、個人的にものすごく衝撃的だったことは間違いない。それから、変なところが気になった。「全館禁煙」のはずの劇場で、主演の中村ゆうじ氏はステージ上で煙草をくわえ、当たり前に平然と火をつける。深く息を吸い込み、煙を吐き出す。ちょっと過剰すぎる煙が劇場内にたなびく。

でも、劇場の火災報知器は「その煙」を感知しない。不思議だ。(追記:演出上必要なシーンならば、役者が煙草ををふかすのは芝居では当たり前だったのですね。無知でした。すみません)

ぼくは禁煙して22年になるけれど、なんか久々にタバコを吸ってみたい誘惑に駆られたシーンでした。あーいう「タバコの吸い方」を、そういえば昔、ずいぶんとしていて、すっごく懐かしかったから。たぶん、宮沢章夫さんも現在は「禁煙」されているはずで、あの煙草に「郷愁」を込めたかったんじゃないだろうか?

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■2014年の3月末に観て、これだけショックだったのだから、1993年の初演時にはどれほど衝撃的だったことだろう。だって、主演女優2人が客席に「お尻」を向けて、バック・ステージの方向に平然と「セリフ」を喋るんだよ。

ただ、小津の映画ではそれは「当たり前」のことだ。映画『麦秋』では、原節子と三宅邦子の2人の女優が、その豊かな「お尻」を惜しげもなく正面から、スクリーンを見つめる観客に対して曝しているのだ。『東京物語』でもそう。宮沢章夫氏の演出では、確信的に「それ」を模倣する。

小津演出との類似は、たぶん「模倣」なのではなくて、結果的に「そうなってしまった」んだと思う。小津は、役者の「劇的な演技」を極端に嫌った。『秋刀魚の味』に出演した岩下志麻は、100回以上も繰り返し同じ演技をさせられたという。

ぼくは『ヒネミの商人』の芝居が始まって、役者さんがセリフをやり取りするのを聞き、すっごく心地よい感じがした。なんか、懐かしかったのだ。そう、小津安二郎の映画を観ているみたいでね。特に、ラーメンのくだり。人の会話って、唐突に関係ない方向に行ってしまったかと思うと、また戻ってくるのだ。

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■「劇的」という言葉は「西洋の演劇」と置き換えてもいいかもしれない。そこから最も遠い地平。それは「東洋」の代表的な演劇「能」だ。小津は「能」を映画に撮った『晩春』だ。劇作家、太田省吾は「転形劇場」で小町風伝を演出した。劇的を排した自然の演技を目指す究極は、能の様式美だ。

小津の映画は、そのローアングルで固定されたカメラからきっちりと幾何学的に構図された画面に役者を配置する。決して役者の勝手な演技は許さない。小津が自分で信じる「形式美・様式美」に反するからだ。

そういえば、『ヒネミの商人』の舞台装置も、実にシンプルで様式美を意識していたと思う。舞台後ろに「ふすま」の桟みたいな柱が並んでいて、印刷屋の中と外の道を隔てていた。外を歩く人はみな、転形劇場『水の駅』みたいなスローモーションの歩みをしていて可笑しかったな。

ふと思ったのだが、宮沢章夫氏は「歌舞伎」を演出するんじゃなくって、本来は「能」を演出するべき、なんじゃないかと。

「能」で重要なことは、「死者」が主人公となることだ。平家の幽霊とかね。存在しないはずの人が一人称で語りだす。ここが重要なのかもしれない。

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2014年3月18日 (火)

『昭和・東京・ジャズ喫茶』シュート・アロー著(DU BOOKS)

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■『昭和・東京・ジャズ喫茶』シュート・アロー読了。なんか、おいらのために書かれたんじゃないかと錯覚してしまうくらい、ピンポイントでツボにはまったストライク本。面白かった。今度の日曜日、宮沢章夫氏の芝居『ヒネミの商人』を観に久々に上京するので、歌舞伎町の『ナルシス』には行ってみたい。

確か、以前に一度行ったことがあるような気がした店『ナルシス』だが、僕の記憶では1階にあった。じゃあ違う店だったのか? でも、行って『モノケロス』エヴァン・パーカーA面をリクエストしてみたいぞ!

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■それにしても、なんなんだろうなあ、著者の尋常でない「場末感」へのこだわり。『東京ジャズメモリー』でも最初に紹介されていたのは、渋谷道玄坂百軒店の奥の小路にあったジャズ喫茶「ブレイキー」だったしね。

ただし、前著と一番異なる点は、今回紹介されている「ジャズ喫茶」がすべて、今現在も現役で営業中であるということだ。ここ重要!

この本の巻頭に載ってる店は、神楽坂「コーナーポケット」(僕は行ったことがない)で、2軒目に登場するのが、たぶん誰も知らない、大井町の「超場末」飲み屋街の端っこにひっそりと営業している「Impro.」という名のジャズバー。ここは凄いな! 載ってる写真からして凄すぎる。めちゃくちゃディープだ。よくこんな店見つけてきたよなあ。ぜひ行ってみたいぞ!。

映画『時代屋の女房』で、夏目雅子が降りてきた「歩道橋」も見てみたいし。

それから、シュート・アロー氏にはぜひ、次回作で「日本全国各地でいまも営業を続けている、地方の場末のジャズ喫茶」を行脚した本を出して欲しいぞ。古本屋に関しては『古本屋ツアー・イン・ジャパン』という本が最近出版されている。

当地「伊那市」にも、宇佐見マスターが経営する『Kanoya』があるし、箕輪町には『JAZZ&ART CAFE  PLAT』があるよ。

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でも、ほんと面白かった。
この本に紹介されている「ジャズ喫茶」。ぼくが行ったことがあったのは、渋谷「デュエット」と新宿「DUG」、そして、陸前高田「ジョニー」の旧店舗だけです。歌舞伎町「ナルシス」は一度行った記憶があったのだが、どうも自信ない。
そして、今回も感心したのは、ネット上によくある「単なる店紹介」で終わるのではなく、著者は各章で「その街・その店」に関わる、極めてパーソナルなオリジナリティにこだわった「物語」を紡ぐことに尽力していることだ。村上春樹の『ノルウェーの森』は、確かぼくも出てすぐ読んだはずんなんだけど、ストーリーをぜんぜん憶えていないことに、新宿「DUG」の章を読んでいてショックを受けてしまった。
とにかく「その街」の雰囲気がリアルに味わえる文章が、ほんと、いいと思った。大井町、蒲田、新宿歌舞伎町、そして渋谷。ぜったい行ってみたくなるもの。

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   【以下、3月2日のツイートから】

■昭和・東京・ジャズ喫茶』シュート・アロー(DU BOOKS)を読んでいる。面白い!『東京ジャズメモリー』に続いて、今度はこう来たか。この本では、エリック・ドルフィーがフィーチャーされていて嬉しいぞ。1960年前後、ニューヨークに存在した伝説のライヴハウス「ファイブ・スポット」と、新宿歌舞伎町にある不思議なジャズ喫茶「ナルシス」のこと(p213)

続き)『昭和・東京・ジャズ喫茶』シュート・アロー(DU BOOKS)の表紙の絵は、なんと和田誠なんだけれど、手に取って『週刊文春』の表紙みたいだなあって、思った。既視感があったのだ。そしたら、「みたい」じゃなくて「まさにそれ」だったんだね。原宿にあったジャズ喫茶「ボロンテール」。

と言うのも、以前、週刊文春の表紙に和田誠氏が描いた『ボロンテール』が、そのまま「この本の表紙」になっているのだな。それを見たんだ。

続き)それから、懐かしい渋谷道玄坂から東急本店通りへ抜ける小径(確か、恋文横町)の右側の地下にあった、ジャズ喫茶「ジニアス」のこと。ジャズ批評の広告に載った「ジニアスおじさん」の由来。知らなかったよ。おじさんに奥さんと息子までいたとは!

■『昭和・東京・ジャズ喫茶』というタイトルでありながら、何故か最終章で取り上げられているのは岩手県陸前高田市にある「ジャズ喫茶ジョニー」のこと。3年前のあの日。店のレコードもオーディオも椅子も机もお皿もコーヒー茶碗も建物すべて、なにもかも津波に流された。でも、どっこい生きてる

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