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2015年9月

2015年9月22日 (火)

伊那のパパズ絵本ライヴ(その117)「高遠町図書館まつり」

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■明日の9月23日まで、高遠町では「高遠ブックフェスティバル」が開催中です。その関連イベントとして、去る9月20日(日)午前10時半から高遠町図書館で、われわれ「伊那のパパズ」の絵本ライヴが行われたのです。

ところが、オールカラーでハイセンスな仕上がりの「高遠ブックフェスティバル・パンフレット」のどこを見ても、われわれの「絵本ライヴ」に関する情報が載っていないのだ。いったいこれはどういうことだ??

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■今回のオファーは、高遠図書館→伊那市役所→宮脇さん経由で請けたものだ。ただ、正式に引き受ける前の6月頃だったか、ぼくが高遠図書館へ本を返却しに行った際、図書館長さんから「この依頼」の話が出て、ぼくは「連休の初日だし、ちょっと出演は厳しいかもしれませんね」と答えたのだ。

だからもしかすると、この企画は宙ぶらりんのままになってしまい、イベント企画からはずされてしまったのかもしれないな。だとしたら、本当に残念だ。

■それでも、当日会場には地元の親子連れ20人近くが集まってくれた。ありがたかったな。

<本日のメニュー>

 1)『はじめまして』

 2)『ぐるぐるぐるーん』のむらさやか・文、サイトウマサミツ・絵(こどものとも 0.1.2. 2015/9月号 福音館書店) →北原

 3)『どっちのてに はいってるか?』新井洋行(偕成社)→北原

 4)『かごからとびだした』(アリス館)

 5)『万次郎さんとおにぎり』(こどものとも年少版2012年10月号)→坂本

 6)『ねずみくんつかまえて』みきすぐる・文、高畠那生・絵(教育画劇)→宮脇

 7)『うんこしりとり』tuperatupera(白泉社)

 8)『黒ずみ小太郎たび日記(その8)風雲きのこ山の助太刀の巻』飯野和好(クレヨンハウス)→倉科

 9)『ふうせん』(アリス館)

 10)『世界中のこどもたちが』(ポプラ社)

2015年9月20日 (日)

『天使のハンマー』ピート・シーガー → ハンバートハンバート

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結局、買ってしまった『10年前のハンバートハンバート BOX セット』。オリジナルとはジャケットが違う。追加ライヴ音源もうれしい。それに、確かに音がいいぞ。(9月9日のツイートより)

ハンバートハンバートのCDを初めて買ったのが『道はつづく』だった。聴いてビックリした。デジャヴ(既聴感)だったんだな、結局。で、あわててデビュー作と『11のみじかい話』を購入した。続いて『まっくらやみのにらめっこ』と聞き継ぐことに。

あれからずいぶんと経つが、ハンバートハンバートは「この3枚」が、やっぱり一番好きだ。

ただし、『まっくらやみのにらめっこ』から、ちょっと違うんだな。ハンバートハンバートが変化している。佐野遊穂さんの「声質」が変わったのだ。それは、良い意味で「進化」なんだけど、でもね、あの頃の声とは明らかに違うんだ。

何だろう。うまくは言えないけれど、繊細で危うい可憐な「砂糖菓子」みたいでいて、でも世の中に唯ひとり凜と立つ覚悟があって、真っ直ぐに空高く突き抜けてゆく、気高く清冽な「歌声」は、残念ながら失われてしまっていた。

つまり、ぼく個人的見解では、佐野遊穂さんの声質の「ピーク」は10年前だと思うのだよ。『道はつづく』3曲目、4曲目の「1時間」と「もったいないけど」、それから8曲目「今晩はお月さん」10曲目「この街」あたりを聴くと特にね。

それにしても『道はつづく』は、ほんと素晴らしい。先日から診療時間も1日中、繰り返しエンドレスで聴いているが、まったく飽きない。アルバムとしての統一感、完成度が尋常ではないのだ。しかも、リミックス&リマスターされ、SHM-CD として新たに出た今回の『道はつづく --- 特別篇 --- 』だが、オリジナルと聞きくらべてみると明らかに音が違う。

特に、ヴォーカルの輪郭がクッキリと浮き立って、目の前で演奏しているかのような「リアルな空気感」が感じられるのだ。

ただそうなると、ボーナストラックとして新たに追加された当時(2006年)のライヴ音源8曲がじゃまくさくなるんじゃないかという危惧があった。ところがどうだ、驚いたことに全く違和感なく続けて聴ける。音質も決して劣化していない。すごいな。しかも、この追加ライヴ音源は収録された場所がそれぞれ異なっているというのに、きっちり音質・音量が統一されている。あと、ぼくが大好きな曲「陽炎」も入ってるぞ!

何度も繰り返し聴いてみて、「メッセージ」から「天使のハンマー」へのメドレーで醸し出される、会場が一体となった高揚感が特に好きだ。まさに、最盛期の佐野遊穂さんの歌声が見事に記録されているではないか。

Well I got a hammer,
And I got a bell,
And I got a song to sing, all over this land. 

It's the hammer of Justice,
It's the bell of Freedom,
It's the song about Love between my brothers and my sisters,
All over this land. 

  ■『天使のハンマー』について。

2015年9月13日 (日)

アート・ペッパー『おもいでの夏』(その2)

■前回の続き■

『ザ・トリップ』で、ぼくが一番好きな演奏は、A面2曲目に収録された「A SONG FOR RICHARD」だ。いまでもよく聴いている。これです。ジョージ・ケイブルスのピアノソロも実に美しい。


YouTube: A Song for Richard ART PEPPER


そして、この曲に続くのが、ウディ・ショウの名曲「スウィート・ラヴ・オブ・マイン」。エルヴィン・ジョーンズの控えめでありながら、全員をぐいぐいプッシュしてゆくドラミングが、とにかく素晴らしい。


YouTube: Sweet Love of Mine ART PEPPER

・このレコードが発売された年の 1977年4月に、アート・ペッパーは初来日した。

ただし、麻薬使用の問題から入国が危ぶまれたために、事前に宣伝されることもなく、カル・ジェイダー(vib)セクステットの特別ゲストとして、彼はひっそり来日したのだった。

しかし、どこかで噂を聞きつけた日本のファンは、公演初日の 1977年4月5日、東京芝の郵便貯金ホールに大挙して押しかけ、アート・ペッパーの登場を今か今かと待ち構えていたのだ。以下は『アート・ペッパー・メモリアル・コレクション Vol.1(ライヴ・イン山形)』(トリオ・レコード)の、油井正一氏のライナーノーツ(1983年3月24日記)冒頭部分です。

 1977年4月5日(火)はおそらくアート・ペッパーにとって生涯忘れ得ぬ夜だったと思う。カル・ジェイダー(vib) 六重奏団のゲスト・プレイヤーとして初めて日本のステージに立った夜である。芝の郵便貯金ホールでのことだった。

第二部に入ってジェイダーが「アート・ペッパー!」と紹介し、ペッパーが下手から白蝋のような顔で登場すると、客席は興奮のるつぼと化した。マイクの前まで歩み寄っても拍手は収まらず、ペッパーはなすところなく立ちつくした。

「おじぎをして拍手のおさまるのを待った。少なくとも5分間はそのまま立っていたと思う。何ともいえないすばらしい思いに浸っていた。あんなことは初めてだった。あとでローリー(妻)にきいたが、彼女は客席にいて観客の暖かな愛をひしひしと感じ、子供のように泣いてしまったという。僕の期待は裏切られなかったのだ。日本は僕を裏切らなかった。本当に僕は受け入れられたのだ。(中略)生きていてよかった、と僕は思った」(自伝『ストレート・ライフ』p469/ スイング・ジャーナル社刊)

■この時の演奏を、なんとTBSラジオが録音していたのだ。そして、1989年に『ART PEPPER  First Live In Japan』として発売された。聴いてみると、アート・ペッパーが舞台に登場したとたん、本当に割れんばかりの拍手が起こる。1曲目の「チェロキー」の演奏が終わった直後、客席から「うぉ〜〜!」と怒濤のような歓声と拍手が湧き起こる瞬間は、何度聴いてもゾクゾクする。

残念ながらYouTube には、この時の「チェロキー」の演奏はアップされていない。でも、CD5曲目に収録された「ストレート・ライフ」はあったぞ。


YouTube: Art Pepper Tokyo Debut -Straight Life-

■このCDのオリジナル日本盤のライナーノーツを書いているのが、『再会』ほか、ペッパー復帰後数々のレコーディングを手がけた石原康行氏だ。以下引用。

(前略)ペッパーとの7回のレコーディング・セッションの機会を持った私の個人的なエネルギーは何であったかと考えた。それは、1977年4月5日、アート・ペッパーが初めて日本を訪れ(カル・ジェイダーのゲストとして)あの会場を圧倒したファンの万雷の様な拍手でありペッパーのプレイであったことを再び想い出すことが出来た。そのライヴコンサートの演奏がこのアルバム「アート・ペッパー・ファースト・ライヴ・イン・ジャパン」の総べてなのである。(中略)

彼が代表的な白人アルト奏者として名声を受けていながら麻薬禍に浸り、監獄生活など波乱な人生を送っていただけに東京で聴くことが出来るとは夢にも想っていなかった。それだけに強烈な印象であり喜びでもあった。(中略)

現実的にはゲスト・プレイヤーが同行するとは聞いていたがペッパーが参加することは当日まで知らされていなかった(多分入国の問題などで)し、4月5日の当日の郵便貯金ホールは主であるカル・ジェイダーへの期待より、申し訳ないがゲストのペッパーに会場の聴衆は注目していたと云っても過言ではなかった。

第一部のカルのスケジュールが終了、第二部に入ってゲスト登場となる。そしてMCのペッパーの紹介に竜巻の様な拍手が会場をゆるがせると上手より、ペッパーがアルトを持ってステージの人となった。

決して健康とは云えない顔色から永い闘病生活の影が消えていないし、ペッパー自身も不安な面があったのではないかと思われる様な陰影があった。だが会場の拍手によりペッパーの顔が一瞬赤みを生み、日本のファンの歓迎を意外と感じた様であった。この日から彼は日本のファンに対して限りない愛着を持ったと後日話してくれ、以後この感激をペッパーは心の中に永く持ち続けることになったのである。(1989年12月26日 石原康行)

■油井正一氏と石原氏とで、アート・ペッパーが舞台の下手から登場したか上手からか違っているぞ(笑)。

ところで、石原氏によるアメリカでのレコーディングの現地コーディネーターを務めたのが、大村麻利子さん。ぼくには懐かしい名前だ。1971年ころだったか、中学生になってラジオの深夜放送を聴き始めた。当時よく聴いていたのが、TBSラジオ「パック・イン・ミュージック」火曜日の愛川欽也だ。

いまは「radiko」のネット・ラジオでクリアーな安定した音で聞けるが、当時TBSラジオを信州高遠で聞くのは必死だった。ラジオを954hz にチューニングして雑音まみれの微かな電波を拾っていた。夜11時くらいからだったか、TBSラジオで『麻利子産業株式会社』という不思議な番組を放送していて、DJを担当していたのが、大村麻利子さんだ。落ち着いた大人の雰囲気の彼女の声が実に魅力的で、一気に引き込まれたものだ。

ところが、それから間もなく番組は終了してしまう。大村麻利子さんがアメリカへ行ってしまったからだった。

■日本のファンのために、初来日の翌年、今度は自己のカルテットでアート・ペッパーは再来日する。彼の体調は芳しくなく、日本全国を廻る旅公演のタイトなスケジュール(21日間で、19公演)に疲労は重なるばかりだったが、それでも、行く先々で最高の歓迎を受け、気力だけで乗り切った。

この時の日本最終公演が山形で、やはり地元のラジオ局が録音した音源がレコード化(VOL.1 VOL.2 の2枚)されている。この「VOL.2」のほうに、「おもいでの夏」が再び収録されているのだ。

現在『ART PEPPER LIVE IN JAPAN』として、2枚組CDで出ている。

アート・ペッパーは快調に飛ばしているし、小さめの会場のためか、客席との一体感もアットホームな感じでいいのだが、個人的には、ミルチョ・レビエフのピアノがちょっと品がなくてどうしても好きになれないのだよなぁ。



2015年9月12日 (土)

今月のもう一曲。アート・ペッパー『おもいでの夏』

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■これは以前にも書いたような気がするが、ぼくがこの40年近く、一番多く何度も何度も繰り返し聴いてきたジャズレコードが、アート・ペッパー『ザ・トリップ』(コンテンポラリー)なんです。(ちなみに、最もよく聴いたフォークのレコードは、加川良『親愛なるQに捧ぐ』)

とにかく、生まれて初めて買ったジャズレコードだったから、大学1年生の学生宿舎で、暑い暑い夏だったか、来る日も来る日も「このレコード」を繰り返し聴いていたんだ。なにせジャズ素人でしょ、1回聴いただけじゃぜんぜん理解できなかったからね。しかも、当時2500円も払って購入したレコード。もったいないじゃない。だから、A面B面、何度も何度もレコードをひっくり返して聴きましたよ。で、だんだんと「ジャズの魅力」に取り憑かれていったのです。

どうして「このレコード」を買おうと思ったのか?

たしか、FM東京だか、NHKFMだったかのジャズ番組で、本多俊夫氏(アルトサックス奏者の本多俊之氏のお父さん)が紹介していたのを聴いたのだ。この時、ぴーんと僕の琴線に触れたのが、ミッシェル・ルグランの「おもいでの夏」だった。これです。


YouTube: The Summer Knows ART PEPPER

■この曲を収録するにあたって、アート・ペッパーはこう言っている。

「おもいでの夏」は偉大な作曲家、ミシェル・ルグランの曲だ。これに彼が付けたコードも素晴らしい。イントロのEフラット・マイナーの1小節、続くAフラット・マイナーの1小節あたりは最高だ。ここの繰り返しは、マイルス・デイビスのような感じで、物悲しく、寂しい雰囲気がよく出ている。そしてメロディに入るが、これがこの上なく美しい。

私はバラードを演奏するのが好きだからね。エルヴィンのワイヤー・ブラッシュも信じられないほど非の打ちどころがないんだ。(『THE TRIP』ライナーノーツより)

■アート・ファーマーの「おもいでの夏」も、なかなかに渋くていいぞ。これだ。


YouTube: Art Farmer / The Summer Knows

■ファースト・ネームが同じ、アート・ファーマー(tp) とアート・ペッパー(as) だが、案外共演したレコードは少ない。名盤『ザ・トリップ』を録音する (1976年9月15日&16日) のわずか1月半前に、ロサンゼルスの同じスタジオで収録された2人の貴重な共演盤が、『オン・ザ・ロード』アート・ファーマー(1976年7月26日28日&8月16日録音)だ。


YouTube: Art Farmer - Hampton Hawes Duet 1976 ~ My Funny Valentine

・YouTube では、残念ながら、ピアノのハンプトン・ホースとアート・ファーマーのデュオしか見つからなかった。



2015年9月 4日 (金)

今月のこの1曲。CRYSTAL GREEN『 FEEL LIKE MAKIN' LOVE 』

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■このところのBGMは、もっぱら クリスタル・グリーンの『レインボー』だ。このCDが録音された1976年5月15日というのは、超人気バンド「Stuff」も「STEPS」も、まだ誕生する前のはなし。それなのに、EAST WIND レーベルの日本人プロデューサーが「これは!」と見込んだ、ニューヨークの実力派スタジオ・ミュージシャンを集めて録音し日本で発売したレコードが「これ」なのだった。

参加ミュージシャンが凄い。マイケル・ブレッカー(ts)に、コーネル・デュプリー(g)、エリック・ゲイル(g)、ゴードン・エドワーズ(b)、スティーヴ・ガッド(ds)、ラルフ・マクドナルド(per)、ウィル・ブールウェア(key)。

アルバムの最後に収録されているのが、ロバータ・フラックが 1974年に全米チャート1位のミリオン・セラーを記録した名曲「FEEL LIKE MAKIN' LOVE(愛のためいき)」だ。


YouTube: Feel Like Makin' Love / M. Brecker S. Gadd C. Dupree

昨日、テルメで久々に走っていたら、iPod から流れてきたのが、またしても「FEEL LIKE MAKIN' LOVE」。歌っていたのは、マリーナ・ショウ。 本家のダイアナ・ロスよりも、ファンキーで楽しい。


YouTube: Marlena Shaw - Feel Like Makin' Love

最近、松尾潔氏の本や『新R&B入門』といった本を読みながら、1990年代以降の「R&B」を勉強しているところなのだけれど、近ごろ来日して再び大きな注目を集めている、ディアンジェロが2000年に出した傑作『Voodoo』を聴いていたら、なんと、また「FEEL LIKE MAKIN' LOVE」の登場と相成った。これだ。


YouTube: D'angelo - Feel Like Makin' Love

■TBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』のゲストに、松尾潔氏が登場した回を聴いたのだが、その中で菊地成孔氏が「R&Bって、結局は房中音楽だからね」みたいなことを確か言っていたけど、なるほどなぁって思ってしまう1曲。




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