今月のもう一曲。アート・ペッパー『おもいでの夏』
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■これは以前にも書いたような気がするが、ぼくがこの40年近く、一番多く何度も何度も繰り返し聴いてきたジャズレコードが、アート・ペッパーの『ザ・トリップ』(コンテンポラリー)なんです。(ちなみに、最もよく聴いたフォークのレコードは、加川良『親愛なるQに捧ぐ』)
とにかく、生まれて初めて買ったジャズレコードだったから、大学1年生の学生宿舎で、暑い暑い夏だったか、来る日も来る日も「このレコード」を繰り返し聴いていたんだ。なにせジャズ素人でしょ、1回聴いただけじゃぜんぜん理解できなかったからね。しかも、当時2500円も払って購入したレコード。もったいないじゃない。だから、A面B面、何度も何度もレコードをひっくり返して聴きましたよ。で、だんだんと「ジャズの魅力」に取り憑かれていったのです。
どうして「このレコード」を買おうと思ったのか?
たしか、FM東京だか、NHKFMだったかのジャズ番組で、本多俊夫氏(アルトサックス奏者の本多俊之氏のお父さん)が紹介していたのを聴いたのだ。この時、ぴーんと僕の琴線に触れたのが、ミッシェル・ルグランの「おもいでの夏」だった。これです。
YouTube: The Summer Knows ART PEPPER
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■この曲を収録するにあたって、アート・ペッパーはこう言っている。
「おもいでの夏」は偉大な作曲家、ミシェル・ルグランの曲だ。これに彼が付けたコードも素晴らしい。イントロのEフラット・マイナーの1小節、続くAフラット・マイナーの1小節あたりは最高だ。ここの繰り返しは、マイルス・デイビスのような感じで、物悲しく、寂しい雰囲気がよく出ている。そしてメロディに入るが、これがこの上なく美しい。
私はバラードを演奏するのが好きだからね。エルヴィンのワイヤー・ブラッシュも信じられないほど非の打ちどころがないんだ。(『THE TRIP』ライナーノーツより)
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■アート・ファーマーの「おもいでの夏」も、なかなかに渋くていいぞ。これだ。
YouTube: Art Farmer / The Summer Knows
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■ファースト・ネームが同じ、アート・ファーマー(tp) とアート・ペッパー(as) だが、案外共演したレコードは少ない。名盤『ザ・トリップ』を録音する (1976年9月15日&16日) のわずか1月半前に、ロサンゼルスの同じスタジオで収録された2人の貴重な共演盤が、『オン・ザ・ロード』アート・ファーマー(1976年7月26日28日&8月16日録音)だ。
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YouTube: Art Farmer - Hampton Hawes Duet 1976 ~ My Funny Valentine
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・YouTube では、残念ながら、ピアノのハンプトン・ホースとアート・ファーマーのデュオしか見つからなかった。
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