2010年、読んだ本のベスト(フィクション編)
■昨年も、小説をあまり読めなかったような気がする。
話題本はいっぱい購入したのだけれど。積ん読ばかりだ。
いったい、いつ読むつもりなんだ? 死ぬまでに読めるのか?
でも、毎年の恒例なのでアップしておきます。
昨年は何と言っても、郷土・高遠町に生まれ育った作家「島村利正」を発見したことが一番だ。
ブログでは言及していないが、『残菊抄』の主題は、最近読み終わった、『音もなく少女は』と同じ「母と娘が、男と運命に翻弄されながらも前向きに凛として生きる」だった。その不思議な一致にちょっとビックリした。
2)『音もなく少女は』ボストン・テラン著、田口俊樹・訳(文春文庫)
これは読むのに時間がかかったなぁ。文章が濃いのだ。しかも重く暗い内容が辛くて、一気にはとても読めなかった。ぼくは気に入った文章があるページを折る癖があるのだが、読み終わってみたら、この文庫本には 200ページ近く折り込みがあった。アフォリズムに満ちているのだよ。だから気軽に読み飛ばすことができない小説なのだ。結局、ラストまでそうだった。
この小説はミステリーとは言えないが、紛れもないハードボイルド小説だ。それそれ別々に男に虐げられてきた女たちが、あまりに理不尽な現実世界に耐えて耐えて耐えて、最後にとうとう堪忍袋の緒が切れて立ち上がる、っていう話だからだ。言ってみれば、ニューヨーク・ブロンクス版『昭和残侠伝』だな。ただ違うのは、高倉健・主演、池部良・助演じゃぁなくって、主演・助演・共演者がみな「女性」である、ということだ。
それにしても、いわば池部良役(ちょっと違うか?)の「フラン」がカッコイイ。もう痺れてしまうぜ!
3)『身の上話』佐藤正午(光文社)
4)『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎(新潮社)
5)『愛おしい骨』キャロル・オコンネル(創元推理文庫)
6)『密やかな花園』角田光代(毎日新聞社)
7)『老人賭博』松尾スズキ・著(文藝春秋)
8)『横道世之介』吉田修一(毎日新聞社)
9)『八月の暑さのなかで――ホラー短編集』金原瑞人・訳 (岩波少年文庫)
10)『さよならまでの三週間』C.J.ボックス(ハヤカワ文庫)
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