今月のこの1曲 Feed

2015年6月13日 (土)

今月のこの1曲。 クラムボン『Folklore』

■クラムボンのCDを集め出したのは、じつは最近のことだ。

彼らの周辺ミュージシャンは昔から好きで、おおはた雄一とか、ハナレグミとか、最近では「スーパー・バター・ドッグ」のキーボードだった、レキシとか。

で、デビュー盤からあらためて聴いてきたのだが、当初より完成された3人の完璧な音楽性に圧倒されながらも、3人の要はやはり、ミトくんですかね。彼はホント凄い。

そんなミトくんが作詞・作曲した「Folklore(フォークロア)」。

ぼくは「この曲」が特別好きだ。

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何かが変わってゆくような そんな気がした あと少しで

何ごともなく消えてゆく 6月6号 あと少しで あと少しで

気持がすぅっと軽くなる そんな気分さ あと少しで あと少しで

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季節外れの台風一過。景色のすべてが一掃される瞬間を捉えた歌だ。

 


YouTube: Folklore / クラムボン


YouTube: Clammbon - Re-Folklore

■このPVが撮影されたスタジオは、山梨県北杜市小淵沢にある「星と虹レコーディング・スタジオ」に違いない。あの「世界中のこどもたちが」も、ここで収録された。

場所は、中央道小淵沢インターを降りて右折し、鉢巻き道路へ向かって上っていって、「キースヘリング美術館」のちょうど反対側を少し入ったところに、「八ヶ岳 星と虹歯科診療所」っていう歯医者さんがあって、先生は藤森義昭先生っていうんだけど、趣味が高じてプロのミュージシャンでもあるんだ。そうか、北海道は礼文島の出身だったのか。それに、あの「ジム・オルーク」とも親交があるらしいぞ。で、1978年に歯科診療所に併設してアルム(大屋根)の家を建て、その2階を「レコーディング・スタジオ」にしてしまったのだった。

東京から車で2時間の距離で、大自然の別世界の中、ミュージシャンが泊まり込み合宿で集中してレコーディングできる穴場として、昔から「知る人ぞ知る」スタジオだったのだ。クラムボンも4作目の『id』からずっと使ってきた。

最近では、レコーディング機材も一新され、ここでのレコーディングを希望するミュージシャンはあとをたたないっていう噂だ。

ぼくは一度だけ、その藤森先生にお目に掛かったことがある。

今から20年くらい前かな。

当時ぼくは富士見高原病院小児科に勤務していて、循環器内科医長だった岩村先生がアフター・アワーのジャム・セッションでジャズピアノを弾くというので、原村で家具工房を開いていた出戸明さんの、お兄さんが富山から原村に移り住んで、弟さんの工房の隣にオープンした森の喫茶店「Song Of The Bird」に行ったのだった。

その夜、地元に住むいろんなミュージシャンが次々に登場して音楽を披露した。

「カントリー・キッチン」の次男の方も来ていて、ウッド・ベースを弾いていた。そうして、小淵沢から鉢巻き道路をはるばるやって来たのが、藤森先生だったのだ。先生はたしか、歌を唄った。クラプトンだかニール・ヤングだったか、よく憶えていないけれど、澄んだいい声で、しみじみ聞き入ってしまった。

2015年5月24日 (日)

今月のこの1曲。ジェイムス・テイラー「How Sweet It Is」

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ジェイムス・テイラーのレコード『ゴリラ』を買ったのは、高校2年生の時だった。1975年だ。このレコードはほんとよく聴いたなぁ。大好きなんだ。

A面1曲目「MEXICO」4曲目「WANDERING」5曲目「GORILLA」それから、B面2曲目の「I WAS A FOOL TO CARE」と、3曲目「LIGHTHOUSE」が、特にお気に入りだった。もともと日本のフォーク少年だったから、アコースティックな楽曲がよかったのだ。

A面3曲目に収録された「HOW SWEET IT IS TO BE LOVED BY YOU」は、派手でコテコテのR&Bだったから、当時イマイチその良さがわからなかったのだが、「この曲」はシングルカットされてスマッシュ・ヒットを飛ばし、同年のビルボード・ヒット・チャートでは5位を獲得している。

2枚あとに出た「JT」に収録された「ハンディ・マン」もそうだけど、ジェイムス・テイラーは「こういう曲」のカヴァーがほんと上手い。


YouTube: James Taylor - How sweet it is (to be loved by you)

オリジナルは、マービン・ゲイの「これ」


YouTube: Marvin Gaye - How Sweet It Is (To Be Loved by You)

■土曜日の午前中、NHKFMでゴンチチがナビゲートする「世界の快適音楽セレクション」の選曲を担当している、渡辺亨氏が出したディスク・ガイド本『音楽の架け橋』(シンコーミュージック)でも取り上げられている。(65ページ)

■音楽評論家・天辰保文氏の「ここの文章」がめちゃくちゃいい!

さとなおさんも、むかし「このレコード」を紹介していたな。

■ぼくも以前、カーリー・サイモン『イントゥ・ホワイト』の記事で取り上げたことがある。

 さらに、「ここ」を下の方へスクロールして行くと、『オクトーバー・ロード』の紹介記事もあります。

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 (写真をクリックすると、もう少し大きくなります)

ノー天気でお気楽なこの曲は、聴いていて何とも気持ちいいのだが、そのもとは、ミディアム・スローのテンポと、弾むようなシャッフル・リズムにある。ドラム・ソロのところで分かるのだが、「タタタ、タタタ、タタタ、タタタ」という「三連符」で出来ているんだ。

同じく「シャッフル・ビート」で超有名な曲が「これ」だ。


YouTube: Stevie Wonder - Isn't She Lovely

■「ウン・パ、タタタ・ンパ」というリズムになると、これは「ドドンパ」です。

日本で一時期流行した謎のリズム「ドドンパ」に関しては、『踊る昭和歌謡:リズムからみる体臭音楽』輪島裕介(NHK出版新書)の中で、その成立の由来が詳しく調べられている。

■シャッフルやドドンパとはぜんぜん関係はないんだけれど、最近お気に入りで毎日聴いている曲がこれ。

ファレル・ウイリアムスと「Daft Punk」が、2014年にグラミー賞を取った「Get Lucky」を、フランスの女性歌手ハイリーン・ギルがカヴァーして歌っているのだが、この歌声、なかなかに心地よいのだ。


YouTube: Get Lucky (Bonus Track - 2014) - Hyleen Gil

本家、ファレル・ウイリアムスの歌声がこちら。リズムは、往年の1980年代ディスコ・ミュージックの感じだな。

 


YouTube: Daft Punk - Get Lucky (Full Video)



2015年3月31日 (火)

今月のこの2曲。バート・バカラック『 恋の面影 / The Look of Love』〜『幸せはパリで』

■3月。斉藤由貴の「卒業」をこよなく愛する僕としては、はなはだ遺憾ではあるのだが、ずっと気になっていた「彼女のスタンダード集」は買わずに、なぜか「原田知世の新譜」のほうに手が伸びてしまったのだった。先日の伊那の平安堂CD売り場でのことだ。

しかし、その判断に間違いはなかった。 こいつはイイ!!

選曲がシブイじゃないか。1曲目のビートルズ「夢の人」。ぼくはこの曲を知らなかった。いい曲だな。あと、レナード・コーエン、メロディ・ガルドー、マルコス・ヴァーリと、通好みの選曲が続くのだ。

ただ、個人的に一番グッと来たのが、9曲目に収録されていた、ダスティ・スプリングフィールドが唄ってヒットした、映画『ダブル・オー・セヴン カジノ・ロワイヤル』のテーマ曲、バート・バカラックが作曲した『 恋の面影 / The Look of Love』だ。オリジナルはこれ。

Dusty Springfield - The Look of Love
YouTube: Dusty Springfield - The Look of Love

ぼくが「この曲」を初めて聴いたのは、たしか中学1年の12月だった。1971年のことだ。

この年末、ぼくが自分で2番目(初めて買ったのは、ドイツ・グラモフォン・レーベルでカラヤンが指揮したベルリンフィル『新世界より』)に買ったLPレコードが、CBSソニー『ギフト・パック・シリーズ』(2枚組 3000円)の中の『映画音楽ベスト・ヒット集』だった。この「シリーズ」に関しては、『僕の音盤青春記 1971-1976』牧野良幸(音楽出版社)の26ページ〜28ページに詳しい。

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『映画音楽ベスト・ヒット集』の1枚目B面のラストに収録されていたのが、アンドレ・コステラネッツ管弦楽団の演奏する「恋の面影」だったのだ。このレコードは、さんざん聴いたなあ。

当時、映画の評判は散々だったが、この主題歌だけは印象に残った。哀愁に満ちた旋律。大人の女性の官能的で隠微な雰囲気の歌詞。なんてませた中坊だったんだ!

ちなみに、このレコードのB面「5曲目」に入っていたのが、同じくバカラック作曲の『幸せはパリで』だった。演奏は、パーシー・フェイス・オーケストラ。映画は未だに見たことない。ジャック・レモンとカトリーヌ・ドヌーブが主演した『The April Fools』だ。

この曲は、ディオンヌ・ワーイックが唄ってヒットした。

これまた印象的な旋律の名曲。

大好きなんだ。

これだ。

Dionne Warwick - The April Fools - 1969
YouTube: Dionne Warwick - The April Fools - 1969

ただ、個人的には、このオリジナル・ヴァージョンよりも、アール・クルーがギターを弾いた「この曲」に思い入れがあるんだな。これです。

Burt Bacharach / Earl Klugh ~ The April Fools
YouTube: Burt Bacharach / Earl Klugh ~ The April Fools

というワケで、4月1日になりましたね。

小説『シンドローム』の主人公の「切ない片思い」を、ずっと未だに引きずったままでいるので、今月は「この曲」を選曲させていただきました。


2015年3月 8日 (日)

先月のこの1曲。アン・バートン「Love is a Necessary Evil」と、『シンドローム』佐藤哲也(福音館)その1

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■ずいぶんとご無沙汰の更新になってしまった。

さらには、1月も、2月も「今月のこの1曲」をアップし忘れてしまったことに気がついた。ダメじゃん。ごめんなさい。

という訳で、もう3月ですので、「先月のこの1曲」であります。

Love Is A Necessary Evil (1974) - Ann Burton
YouTube: Love Is A Necessary Evil (1974) - Ann Burton

■アン・バートン『BY MYSELF ALONE』は、ぼくが大学生になった 1977年の5月に、東京の西小山に住んでいた兄のマンションへ行って借りてきた「ジャズのレコード」10枚の中の1枚だった。うん、あれからずいぶんと聴いたぞ。自分で買い直して、盤が擦り切れるほどにね。

中でもお気に入りは、A面4曲目の「Love Is A Necessary Evil」だ。

このレコードは、アン・バートン2度目の来日時(1974年)に日本で録音されたもので、バック・ミュージシャンは全員が日本人という布陣。ピアノは、佐藤允彦と小川俊彦の二人で、「この曲」をボサノバ・タッチの軽妙なアレンジで聴かせるのは佐藤允彦のほうだ。

「この曲」は、A面3曲目に入っている「May I Come In」と同じく、マーヴィン・フィッシャー(曲)ジャック・シーガル(詞)のコンビによる小粋で洒落たリリックの唄で、ブロッサム・ディアリーが 1964年にキャピタルから出した『MAY I COME IN』に2曲とも収録されているが、雰囲気はぜんぜん違う。ぼくは断然アン・バートンだな。

それにしても「歌詞」が面白い。

JASRAC からの通告のため、歌詞を削除しました(2019/08/06)

「A very contrary hereditary evil」(矛盾だらけで、遺伝的な悪)

An evolutionary, interplanetary evil」(進化論的な古代からの長い時間と、惑星間ほども距離がある宇宙空間的広がりを持つ悪。てな感じの意味か?)

「うまいことを言うものだ。ほんと、そうだよなぁ。」レコードを何遍も聴きながら、「LOVE」が何たるものかまだぜんぜん判っていない当時のぼくは、うんうんと感心して独りごちた。

つい先日CDで再発されたので、このところよくまた聴いているのだが、ちょうど『シンドローム』佐藤哲也(福音館書店・ボクラノSF)を読んでいて、自意識過剰ぎみな主人公(男子高校生)の思考回路と「この曲」とが絶妙にシンクロして、不思議で懐かしい、そしてほろ苦い気持を追体験したのだった。(つづく)


2014年12月30日 (火)

今月のこの1曲。Judy Bridgewater 『Never Let Me Go』

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カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』(早川書房)を読んだのは、もう随分と前なのだけれど、ずっと気になっていることがあって、このブログでも何回か取り上げたことがある。

小説の主人公、キャシー・H が何度も何度も聴くカセット・テープに収録された曲、Judy Bridgewater 『Never Let Me Go』のことだ。

(その1)「2006/11/15 の日記」と、11/23、11/25の日記。

(その2)今月のこの一曲『'Cause We've Been Together』アン・サリー

・ポイントは2つ。

1)ジャズ・スタンダードの『Never Let Me Go』とは、どうも違う曲らしい。

2)「この小説」が出版される少し前のこと。村上春樹氏が東京でカズオ・イシグロ氏と会った際に、スタンダードの『Never Let Me Go』が収録された JAZZのCDをカズオ・イシグロ氏にプレゼントしたらしいのだが、「そのジャズCD」が何だったか不明であること。

ところが最近、思いも寄らぬところから事実が判明した。

なんと! 村上春樹氏ご本人が「その種明かし」を季刊誌『考える人』(2013年秋号)誌上においてしてくれたのだ。現在、その全文は『小澤征爾さんと、音楽について話をする』小澤征爾・村上春樹(新潮文庫)のラストに、文庫版ボーナス・トラックとして『厚木からの長い道のり』というタイトルで収録されている。

ネタバレになるので、「そのCD」が何だったか興味のある人は「この文庫」に直接当たって下さい。

もう一つ。『わたしを離さないで』は、2010年にイギリスで映画化されていて「予告編」は公開前に見た。原作を読んでイメージした寄宿学校「ヘールシャム」や、ノーフォーク海岸の映像が、ほぼイメージどおりだったので驚いた。で、逆にちょっと怖くなったのだ。

だから、この映画は見なかった。

でも、「この曲」のことを、映画ではどう処理したのか、ずっと疑問だったので、このあいだ TSUTAYA から借りてきて見たんだ。映画は原作に忠実に作られており、主人公たち3人の切ない思いが映像からストレートに伝わってきて、想像以上にとてもよかった。

ところで、このジュディ・ブリッジウォーターの「Never Let Me Go」は、実際には存在しない歌手の小説の中だけの架空の楽曲だが、映画では案外軽く扱われていて残念だったけれど、ちゃんと2度ほど流れた。いかにもそれらしいレコードジャケットも映画用に作られている。

これだ。

Judy Bridgewater - Never Let Me Go
YouTube: Judy Bridgewater - Never Let Me Go

小説では、以下のように書かれている。

 テープに戻りましょう。ジュディ・ブリッジウォーターの『夜に聞く歌』でした。レコーディングが1956年。もともとはLPレコードだったようですが、わたしが持っていたのはカセット版で、ジャケットの写真もLPジャケットのそれを縮小したものだと思います。

写真のジュディは、紫色のサテンのドレスを着ています。こういうふうに肩を剥き出しにするのが当時の流行だったのでしょうか。ジュディはバーのスツールにすわっていて、上半身だけが見えています。(中略)

このジャケットで気になるのは、ジュディの両肘がカウンターにあって、一方の手に、火のついたタバコがあることです。販売会でこのテープを見つけたときから、なんとなく人目にさらすのがはばかられたのは、このタバコのせいでした。(p106) -- 中略 --

スローで、ミッドナイトで、アメリカン。「ネバーレットミーゴー……オー、ベイビー、ベイビー……わたしを離さないで……」このリフレインが何度も繰り返されます。わたしは十一歳で、それまで音楽などあまり聞いたことありませんでしたが、この曲にはなぜか惹かれました。いつでもすぐ聞けるように、必ずこの曲の頭までテープを巻き戻しておきました。(『わたしを離さないで』p110)

確かに「スローで、ミッドナイトで、アメリカン」そのものなんだが、メロディはよくあるチープなR&Bって感じで、歌も妙にセクシーなだけでぜんぜん上手くないし、主人公が何度も何度も繰り返し聴いて心ときめかす楽曲とはとても思えないんだよなぁ。

ぼくが小説を読みながらイメージした「この曲」は、キース・ジャレットの「Standars, Vol.2」B面1曲目に収録された「Never Let Me Go」だった。これです。

Keith Jarrett Trio - Never Let Me Go
YouTube: Keith Jarrett Trio - Never Let Me Go

ちなみに、村上春樹氏はどうもキース・ジャレットが嫌いらしい。

ヴォーカル入りだと、やはりアイリーン・クラールかな。

Irene Kral - Never Let Me Go
YouTube: Irene Kral - Never Let Me Go



2014年11月29日 (土)

今月のこの1曲。アメリカ版:年末のデュエット曲 『 Baby, It's Cold Outside(外は寒いよ)』

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■先日購入した(コレは廉価盤ではない)ブロッサム・ディアリー 1979年のライヴ『 Needlepoint Magic 』がすごくいい。トリオではなく、彼女のピアノ弾き語りのみで、しんみりと聴かせる。

以前ご紹介した「 I Like You, You're Nice」や「 I'M HIP」「I'm Shadowing You」といった、彼女の代表的なオリジナル曲も入っているぞ。客席の笑い声が絶えない何ともくつろいだ雰囲気が実に楽しい。

■中でも、5曲目にゲストで登場したボブ・ドローとのデュエット「BABY IT'S COLD OUTSIDE」が最高だ。歌う前の二人の掛け合いが何とも洒落てる。大人の男女の小粋な感じ。

YouTube で探したら、あったあった。これです。

Blossom Dearie & Bob Dorough - Baby it's cold outside
YouTube: Blossom Dearie & Bob Dorough - Baby it's cold outside

■この曲は、クリスマス&ウインター・ソング・アルバムには欠かせない、アメリカでは大変有名な曲で、まぁ実にに多くの歌い手がデュエットしている。つい最近では、元祖『アナと雪の女王』の、イディナ・メンゼルが、マイケル・ブーブレと歌っているぞ。

■ぼくは、ジェイムス・テイラーのクリスマス・アルバムの5曲目に入っている、ナタリー・コールとのデュエットが好きで、毎年12月になるとさんざん聴いてきた。これだ。

Baby, It's Cold Outside - James Taylor (with Natalie Cole)
YouTube: Baby, It's Cold Outside - James Taylor (with Natalie Cole)

■それから、わが家にあるCDだと、ロッド・スチュワートの『THE Great American SongBook vol.3 』12曲目。

そして、オリジナルのMGMミュージカル映画『水着の女王』でのシーンがこちら。まぁ、他愛のないコミカル・ソングではあるなぁ。後半の男女逆ヴァージョンが面白い。

Baby it's cold outside
YouTube: Baby it's cold outside



2014年10月31日 (金)

今月のこの1曲。『 アフロ・ブルー』

Mongo Santamaria - Afro Blue
YouTube: Mongo Santamaria - Afro Blue

■本当は8月に取り上げる予定だったのだ。モンゴ・サンタマリアが作ったとされる『アフロ・ブルー』。彼が1959年に録音したオリジナルがこれだ。

■ヴォーカル盤で一番有名なのが、アビー・リンカーンのこれ。

Afro Blue - Abbey Lincoln
YouTube: Afro Blue - Abbey Lincoln


■この曲を一躍有名にした「本命」といえば、やっぱりコルトレーンだな。

John Coltrane Quartet - Part1 - Afro Blue
YouTube: John Coltrane Quartet - Part1 - Afro Blue

ぼくは「バードランド」のライヴ盤よりも、ハーフノートでのライヴをラジオ放送した『ONE DOUN, ONE UP / LIVE at the HALF NOTE』での演奏が気に入っている。

とにかく、マッコイ・タイナーの気迫が凄い!

ラジオ放送なので、演奏の途中でフェイドアウトしてしまうのが本当に残念だ。

 

■ただ、最近よく耳にするのがこのヴァージョンだ。ロバート・グラスパーのヤツね!

Robert Glasper Experiment - Afro Blue (Feat. Erykah Badu)
YouTube: Robert Glasper Experiment - Afro Blue (Feat. Erykah Badu)

■あと、ディー・ディー・ブリッジウォーターが、1974年に日本で録音したデビュー盤のA面1曲目。

これもいい。

Dee Dee Bridgewater - Afro Blue (1974)
YouTube: Dee Dee Bridgewater - Afro Blue (1974)

■意外なところでは、『矢野顕子×上原ひろみ Get Together - LIVE IN TOKYO』の、2曲目。

それから、ぼくが大好きなのは、向井滋春『フェイバリット・タイム』

板橋文夫、渡辺香津美が参加しているレコード。CDは持ってないんだ。

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2014年9月28日 (日)

今月のこの1曲。Booker T&The MG's 『 Time is Tight 』


YouTube: Booker T & The MG's ~ Time is Tight (HQ)

■月刊誌『小説すばる』を、毎月17日に平安堂まで買いに行く。去年の8月号からだから、もうかれこれ1年以上も続けていることになる。雑誌で連載されている『1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代』柳澤健を読むためだ。この「10月号」で、この連載も【第15回】となり、いよいよ終盤に入った。

■ただ、柳澤健氏は林美雄「ミドリブタ・パック」の熱心なリスナーだった訳ではない。確か宮沢章夫氏が書いていた(ラジオで言っていた?)のだが、「小説すばる」編集長の高橋秀明氏に林美雄の評伝を連載するよう強く請われてのことだったようだ。

ところが、その小説すばる編集長が今年の4月19日に脳出血(脳梗塞?)のため急逝する。享年46。
検索していたら、そのことに関して柳澤健氏自身が「FBに書いている文章」を見つけた。

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■柳澤氏は、連載を始めるにあたり、かなり時間をかけて実に多くの関係者、ファン達から丁寧な取材を行っていて、そこに書かれている内容は初めて知る驚きの事実も数多くあり、実に読み応えがあった。ただ、かつての熱烈な林美雄ファンとしては、彼の「虚像」がどんどん剥がされて「実像」があらわにされてゆく「この連載」は、読んでいて正直辛くなることも多い。

でも、宮沢章夫氏が ETV『ニッポン戦後サブカルチャー史』(第4回)で「林美雄」を大々的にフィーチャーしてくれたことは本当にうれしかったな。

番組では「林美雄パック」のオープニング・テーマ「BOOKER T. & THE MG's -- TIME IS TIGHT」も流れた。懐かしかったなぁ。

★【林美雄に関する過去記事】★


『深夜放送の黄金時代』 林美雄パック(その4)2003/03/31
『深夜放送の黄金時代』 林美雄パック(その3)2003/02/08
『深夜放送の黄金時代』 林美雄パック(その2)2003/02/06
『深夜放送の黄金時代』 林美雄パック(その1)2003/02/03

『小説すばる 8月号』林美雄とパックインミュージックの時代  2013/07/22
『林美雄 空白の3分16秒』宮沢章夫(TBSラジオ)     2013/12/31

「BOOKER T. & THE MGs」は珍しいバンドで、リーダー(オルガン)とドラマーが黒人、ギターとベースが白人の混成チームなのだ。スタックス・レコードの専属バックバンドとして、オーティス・レディングのレコーディングなどに参加しつつ、インスト・ナンバーばかりの『Green Onions』 (1962)でデビューし人気バンドとなった。「TIME IS TIGHT」は、1969年のスマッシュ・ヒット。

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■ブッカー・Tは、実はなかなかの美声の持ち主で、「フリー・ソウル」選曲者の橋本徹氏は『FREE SOUL : COLORS』のラストで、ブッカーTが 1974年に出したヴォーカル曲「ジャマイカ・ソング」を紹介し話題になった。

jamaica song
YouTube: jamaica song

その橋本徹氏による、2010年代の「フリー・ソウル」コンピ『Urban-Mellow Supreme』にも、ブッカー・Tが 2013年に出した「Watch You Sleeping」が、19曲目に入っている。橋本氏、ブッカー・Tが大好きなんだね。

< MG's の他のメンバーのその後>

ギターのスティーヴ・クロッパーは、現在も活躍中。1980年代はベースのドナルド・ダック・ダンと共に「ブルース・ブラザーズ」のバンドで再び人気を博し、忌野清志郎との共演後は来日回数も多い。
ドラムスのアル・ジャクソンは、1975年10月、自宅前で暴漢に銃で撃たれて死亡した。犯人は現在も不明。
ベースのDonald "Duck" Dunn(ドナルド・ダック・ダン)は、2012年5月、東京ブルーノート出演のため来日中にホテルで急逝。70歳だった。

 

2014年8月19日 (火)

『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(その3)「映画」と「漫画」・今月のこの1曲「人生は風車」カルトーラ

■このところ、外来小児科学会のWSの準備で(配布資料を誠意作成中なのだ)ブログの記事を書いている余裕がない。というのは半分本当で、あとの半分は更新が億劫になってきていることによるみたい。すみません。

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■ 映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は本当に面白かった。主演の峯田和伸がとにかく良かった。何とも情けない奴なんだけれども、どこか可愛い。憎めない。そして今どき呆れるほどの「純」なココロの持ち主。

彼が惚れる「ちはる」役の黒川芽以もよかった。ちょっと太めで垢抜けない新垣結衣って感じが、長野出身の「ちはる」にピッタリだ。それから、峯田の敵役、松田龍平。こういう、とことん嫌な奴をやらせたら最高に上手いな。

監督は三浦大輔。演劇界の鬼才初の監督作品となった訳だが、案外手堅くオーソドックスな画作りが成されていた。引きの画像が多かったし、カット割りも自然で、妙なこだわりは感じなかった。すごく好印象。

ただ、小林薫が缶ビールを飲むシーンが2つ続くところ。時間帯はまったく異なるのに、カットが変わっても缶ビールの動きが「完全に一致」していたのは見事だった。

■映画があまりに面白かったので、原作の漫画を「ブックオフ」巡りをして10巻全部そろえた。漫画も面白い。実によく出来ている。映画は、原作の「5巻の半分」で終わっているのだね。マンガはまだあと半分続く。

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ただ、マンガの主人公と映画の峯田和伸とでは、ずいぶん感じが違う。

例えば、マンガの「第1巻」79ページ下段の画。映画でも同じシーンがある。しかも2度も登場する。峯田のアップ。マンガと違って、峯田は峯田だ。どんなに情けなくともカッコイイしカワイイ。

DAIGO みたいだけれど、もっと垂れ目で、メガネをかけると生瀬勝久に似てきて、モヒカンになったら所ジョージにも見える。でも峯田は峯田だ。

宇多丸が映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』を語る
YouTube: 宇多丸が映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』を語る


マンガと映画の違いに関しては、宇多丸さんがラジオで語っていて、なるほどなと思った。原作を先に読んでいると、どうしてもそう感じてしまうかも。

あと、銀杏BOYZ 峯田和伸が歌う主題歌がめちゃくちゃイイぞ!

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★【今月のこの一曲】カルトーラ 『人生は風車』

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■ずっと探していて、8月の初めに松本の「ほんやらどお」でようやく入手できた名盤『カルトーラ ”人生は風車〜沈黙のバラ”』カルトーラが65歳と68歳時の録音。何ていい声なんだ。艶があって若々しくて。聞き惚れてしまうよ。

Cartola e seu Pai - O Mundo é um Moinho
YouTube: Cartola e seu Pai - O Mundo é um Moinho


■これでようやく「古いサンビスタたち」の歌声・演奏を記録した貴重なCDが4枚そろったのだ。

2014年6月29日 (日)

今月のこの1曲。『ぼくのお日さま』ハンバートハンバート

■ハンバートハンバートの新作CD『むかしぼくはみじめだった』を、ようやく入手した。毎日リピートして繰り返し聴いている。地味だが、じわりじわりと沁み入ってくる曲が多い。特に、ラストの「移民の歌」から最初に戻って「ぼくのお日さま」「ぶらんぶらん」「鬼が来た」と続いて行く流れがすばらしい。

キャッチーな派手さはないが、大地に根を張った、プリミティブで力強い自信に満ちた歌声とサウンド。ふたりのハーモニーも、ほんとピッタリと息が合っていて実に気持ちいい。

ハンバート ハンバート
YouTube: ハンバート ハンバート "ぼくのお日さま" (Official Music Video)

■このCDの中で、ぼくが一番すきな曲は2曲目の『ぶらんぶらん』なのだけれど、YouTubeにはアップされていないので、その次に気に入っている『ぼくのお日さま』を挙げておきます。

どなたかもツイートしていたが、ギターのイントロが、エリック・クラプトンの『 Change the World』っぽい。ぼくもそう思った。サビのコード進行は、マキタスポーツ氏が言うところの「カノン進行」だ。

でも、この曲は歌詞が沁みる。しみじみよい。聴き込むほどにじんわり泣けてくる。

歌ならいつだって

こんなに簡単に言えるけど

世の中歌のような

夢のようなとこじゃない

こちらのブログ:週刊「歴史とロック」の著者の文章がじつに読ませる。そうかそうか。

それから、こちらの「普通の日々」の方もいいな。

 

なお『ポンヌフのたまご』の遊穂さんの「うふふっ♫」に萌えた。

っていうの。わかるわかる(笑)

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■ナタリー「ハンバートハンバート × 又吉直樹」の鼎談が面白い。佐藤良成さんて車谷長吉が好きだったんだ。あの「どろどろ加減」、僕も大好きなのさ。それから、山下洋輔トリオの初代マネージャーだった「あべのぼる」氏の2曲も貴重だ。たしか最近亡くなってしまったけれど、松本の丸善で「自叙伝」を見かけた。

■このCDは、診察室の奥の処置室に置いたラジカセで、小さめの音量にしてかけているのだが、吸入とか採血、それから予防接種前後の待ち時間とかで処置室に入った親子連れが聞き耳を立て、『ポンヌフのたまご』や『ホンマツテントウ虫』を NHKテレビで聴いたことがあるのか、いっしょにメロディを口ずさんでいるケースが度々ある。

先日、看護婦さんから聞いたのだが、とあるおかあさんが、こう訊いてきたんだって。

「私もハンバートハンバート大好きなんですが、このCD、先生が選んで買ってきたんですか?

なんか、うれしくなっちゃったな。

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  <ハンバートハンバートに関する過去の記事>

『まっくらやみのにらめっこ』のこと(その2)2008/11/22

今年良く聴いたCD 2007/12/29

今年よく聴いたCD 2008/12/29

CD『ハンバート・ワイズマン!』より「おなじ話」の話。 2012/07/07

『ニッケル・オデオン』 2011/07/18

今月のこの一曲「陽炎」ハンバートハンバート 2010/10/27


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