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2011年7月18日 (月)

『ニッケル・オデオン』ハンバートハンバート

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50年以上も生きてくると、大好きなミュージシャンがいっぱいいる。加川良、泉谷しげる、吉田拓郎、友部正人、高田渡、浅川マキ、たま、荒井由実、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンズ、アート・ペッパー、エリック・ドルフィー、ウディ・ショウ、ファラオ・サンダース。などなど。


みんな、ずいぶんと追っかけてきた。でも、いつしか知らないうちに彼らの「最新CD」を買わなくなってしまうのだ。何故なら、僕のテンションをずっと継続して最先端の楽曲を提供してくれるミュージシャンはそうはいないのだから。


そんな中で、唯一ぼくが「最新CD」が常に「彼らの最高傑作」であると思い続けていて、しかも、その思いが決して裏切られたことがないグループがいる。それが「ハンバートハンバート」なのだ。50すぎのオヤジがね、ホレてしまったのだよ。

■「北原こどもクリニック」のHP内を探したら、2008年11月22日に書いた「ハンバートハンバート」に関する文章が見つかったので、ここに再録しておきます。

■「ハンバートハンバート」は、男女デュオのフォークグループだ。いまの若い世代から、1970年代初頭を中学生・高校生で過ごした僕らのようなオリジナル・フォーク世代まで、ファン層はじつに広い。作詞・作曲は全て佐藤良成が担当する。ギターも上手いがフィドルも巧い。野武士のような風貌で、ちょっとぶっきらぼうで泥臭い、でも不思議と暖かな歌声を聴かせる。佐野遊穂は、ヴォーカルとハーモニカを担当。彼女の声も独特だ。どこまでも澄んで高く清らかなんだけど、決して、か細く弱い声ではない。凛とした気高さがある。そういう女性の声だ。

男女デュオのグループは難しい。男と女で、声の音域がぜんぜん違うからだ。これから年末に入ると、忘年会のカラオケでは男女デュエット曲が目白押しだ。先だって亡くなった、三笑亭可楽ファンのフランク永井「有楽町で合いましょう」とか、平尾正章&畑中葉子 の「カナダからの手紙」とか、石川優子&チャゲ「ふたりの愛ランド」かな。あとは、チェリッシュ「てんとう虫のサンバ」もあるし、ヒデとロザンナやトワ・エ・モアもいたね。ちょっと古すぎたかな(^^;;

ハンバートハンバートにも、男女デュエット曲の基本を踏襲した楽曲がある。いわゆる男と女の掛け合いで展開する曲だ。名曲「おなじ話」がそうだし、『まっくらやみのにらめっこ』の1曲目に収録された「バビロン」が、まさにそう。しかし、こういう男女のボーカルのからみが可能だとは、思いもよらなかったな。新しい試みだ。この曲を聴いて感じたことだが、佐野遊穂のボーカルが変わった。何か、ふっきれたように力強く唄っている。突き放したような、圧倒的なパワーを、その歌声に感じたのだ。「白夜」や「おいらの船」を聴くに及んで、その思いは確信に至った。

今を生きる「ふてぶしさ」と「したたかさ」を。


■ YouTube を見ていたら、ぼくが中学生のころ大好きだった加川良と、ハンバートハンバートが共演している映像を発見した。「フォークの達人」 だ。これは2年前、ぼくもBS2で録画したはず。HDDレコーダーを確認してみると、あったあった。な~んだ、ハンバートハンバートのことは、意識下で既に2年前から知っていたんだ。加川良、そして高田渡。彼らの正統な継承者は「ハンバートハンバート」しかいまい。うん、きっとそうだ。

■ Amazon の『まっくらやみのにらめっこ』カスタマー評に、以下のように書く評者がいた。まったく巧いことを言うものだ。本当にその通りだと思うよ。

★★★★★  どこかで聞こえた唄, 2008/9/15 By wab

ハンバートハンバートのことは、随分前から知っていた。
知っていたけど、ちゃんと聴いてなかった。

勝手に「癒し系」とか「ゆるい」とか想像してた。

このアルバムを、たまたま聴いたんだ。
うわー。なに、これ。すごい。


独特の視点の歌詞が素晴らしい。
ハーモニーも美しい。
トラッド感が良い具合の演奏も○。


ただ、僕の心に引っかかったのは、もっと本質的な点だ。
この唄たちは、どこかで聴いた、どこかから聞こえた、そんな気がしたのだ。
ひっかかる感じ。思い出せるようで思い出せない、あの。。。。
ノスタルジックともちょっと違う感覚。
優しい思い出感覚じゃない。

この感じって何て言うんだろう。

悲しいわけでも嬉しいわけでもないのに、涙が出てくる感じ。

あなたたちの音楽は、そんなかんじ。



ついこの間まで、前作の『さすらい記』が一番のお気に入りで、繰り返し繰り返し聴いてきた。

でも今は、発売されたばかりの『ニッケル・オデオン』
例によって、処置室に置いたラジカセで繰り返し一日中聴いているが、ちっとも飽きない。さりげないのだけれど、すごくいい。

■少し前に、ツイッター上で僕が呟いた感想を、少し修正して以下に載せます。
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ハンバートハンバートの新譜が届いた。まずは金沢「もっきりや」でのライヴDVDを見る。「もっきりや」はね、学生の頃一度行ったことがあるんだ。香林坊近くのジャズ喫茶。「慚愧」「虎」「おなじ話」「罪の味/アセロラ体操のうた」&金沢の素敵な古本屋さんや雑貨屋さんとかを収録。いいじゃん。


あぁやっぱり「虎」はいいなぁ。泣ける歌だなあ。「人の胸に届くような そんな歌がつくれたら だめだ、だめだ、今日はやめだ メロディひとつできやしない 酒だ、酒だ、同じことさ 昼間からつぶれて眠る」


さて、ハンバートハンバート『ニッケル・オデオン』を聴こう。いい意味で、新境地とか何もない、いつもどおりの彼らが変に力まず「のほほん」と、ぼくらのありふれた日常の歌を唄っていた。ありがとう。ほんとに。


最初に1回聴いてまず好きになった曲は、2曲目の「ゆうべはおれが悪かった」だ。あはは! これ、夫婦喧嘩に負けた夫が翌朝「奥さん」に謝る唄じゃん。変にフレンチ・ポップスかブロッサム・ディアリーのお洒落なアレンジがされてるし、取って付けたような「愛してるぜ」は、心こもってないぞ!


その次に気に入ったのは、5曲目「好きになったころ」だ。わかるなぁ、すっごく分かる。ぼくが中坊だった頃、加川良のLPを買って何度も何度も聴いた。そして我慢できなくなって、中古のフォーク・ギターを買ってもらったんだ。左手の指がスチール弦を押さえてマメになった。痛かったなぁ。


6曲目「おじさんと酒」は、ハンバートハンバートの王道を行く曲だ。最近気に入っている星野源の曲とも共通する、何とも言えない「ほのぼの感」がよいな。ノコギリの音も入ってるし。


6曲聴いて驚いたことは、「波羅蜜」みたいな毒のある暗い曲がないことだ。でも震災の後だしね、彼らはあの日、仙台にいたのだから。


で、このCDで一番チカラが入った曲、1曲目「みじかいお別れ」のこと。聴き込むほどに、味わいが増す名曲だ。言葉をひとつずつ確かめるように歌う佐野遊穂さんの歌声は、静かで優しいんだけれど、じわじわと力強さが伝わってくるのだった。ポイントは、ベースが基調となってリードしていることか? もしかして、全ての曲で?

イントロのフレーズとテンポ。あれ?どこかで聴いたことあるぞ。井上堯之『青春の蹉跌のテーマ』と同じコード進行なんだ。いいな、すごくいい。『青春の蹉跌』は、大好きだったTBSラジオの深夜放送、林美雄パックイン・ミュージックのテーマ曲だから、この曲を聴くと、亡くなった林美雄アナのことを思い出してしまうのだ。






YouTube: 再アップです 林美雄 パックインミュージック最終回


「桶屋」は、風が吹けば桶屋が儲かる、みたいな曲で、ドラムスの人がいいテンポ、リズムを醸し出している曲だ。「君と暮らせば」は、怪談・牡丹灯籠みたいな話なのだが、ぜんぜん暗くないし怖くはない。佐藤良成のヴォーカルは、いつだって「いま」を振り切って風になっている。


そうか、ハンバートハンバート『ニッケル・オデオン』5曲目「好きになったころ」に出てくるCDって、ボブ・ディラン『追憶のハイウェイ61』だったんだ。そう言えば、この曲の間奏は「Like a Rolling Stone」じゃないか。



2011年7月13日 (水)

今月のこの1曲。キャスリン・ウィリアムス「ハレルヤ」と「These days」と「Birds」

110713テルメの帰りによく寄る、伊那のブックオフで見つけて 400円(サービス券100円分あったのだ)で購入した、洋楽のコンピレーションCD『Beautiful Songs 〜ココロデ キク ウタ〜』が、なかなかによかったのだ。 1曲目2曲目はFMで何度も聴いたことあったし、ラストに収録された、おおはた雄一のこのCDは持っている。でも、その他の曲は初めて聴く曲ばかりだった。いや、正確には 17曲目の「ハレルヤ」は、オリジナルのレナード・コーエンで知っている。しかし、このイギリスの新人女性シンガー・ソングライター「キャスリン・ウィリアムス」がとつとつと静かに歌う「ハレルヤ」が、本家よりも数十倍よくって驚いた。


YouTube: Hallelujah - Kathryn Williams

■で、この曲が収録された彼女カヴァー曲集『relations / kathryn williams』をイギリスの業者から購入し、はるばる海を越えて届いたのだ。いい時代になったものだ。 ちょうど、スザンヌ・ヴェガみたいと言えばよいか。ちょっと根暗で内気な女の子が、自信なさげにぼそぼそって録音スタジオで歌ってる。「Hallelujah」は、ライヴ音源だが、もう1曲同じステージから収録された曲があって、それはCDラストの14曲目に入った「These days」だ。この曲もすっごくいい。オリジナルは、ジャクソン・ブラウンが16歳の時に作ったという名曲。彼女のヴァージョン(歌詞がちょっと違う)はなかったが、ジャクソン・ブラウンの弾き語り映像があった。ホントしみじみいい曲だな。 たかが女に振られたくらいで、16歳にしてこんなにもシブい大人の歌作ったのか!? 老成しすぎてるぜ。


YouTube: Jackson Browne - These Days

このカヴァー曲集は、ぼくの知らない人の知らない曲のカヴァーがほとんどなのだが、2曲目はニール・ヤングの「Birds」だった。こちらも、本家がピアノで弾き語りしている映像があった。


YouTube: NEIL YOUNG / BIRDS (Live)

2011年6月21日 (火)

「今月のこの1曲」Bill Evans "The Dolphin ---- After" 『From Left to Right』より

■ビル・エバンスの『フロム・レフト・トゥ・ライト』は、じつに思い出深いレコードだ。 ずっと欲しくて、30年以上東京都内の中古ジャズ・レコード屋さんを探し廻ったけれど、とうとう手に入らなかった。悔しかった。輸入盤CDでようやく入手したのは、つい5〜6年前のことだ。


YouTube: Bill Evans - The Dolphin (After)

このレコードを初めて聴いたのは、確か 1977年頃の茨城県新治郡桜村、追越学生宿舎(何号棟かは忘れたが、たぶん12号棟だな)3階の有賀淳くん(いま彼は東京女子医大の教授じゃないか。おいらと違って優秀だったんだね。)の部屋だったと思う。飯田高校出身で同じ長野県だったし、バスケット同好会に入った仲間だったので、仲良くしてもらっていたのかな。 あの頃、追越学生宿舎12号棟には、相田、大野、大滝、奥村、柏木、金子、河合、狩野、菅間とかが住んでいて、僕は少し離れた14号棟の1階に居たんだけれど、12号棟にしょっちゅう出入りしてしたんだ。 で、ある夜「おい、きたはらぁ〜。これ、中古盤で見つけてきたんだけど、いいだろう?」って、有賀くんが彼の部屋で聴かせてくれたのが『From Left to Right』 Bill Evans なのだった。 当時、すでに結構ジャズにのめり込んで参考書とか買い込んで、都内のジャズ喫茶も足繁く通って勉強していた僕は、半可通のジャズ・ファン気取りだったのだが、ビル・エバンズの「このレコード」は、何故かどの本にも載っていなかったから全く知らなかった。でも、聴いてみてすっごく良かったのだ。正直ショックだった。すごく。 あの口惜しさは、今でも忘れられない。 オイラの方が絶対的にジャズに詳しいはずなのに、有賀君のほうが、なんで俺よりビル・エバンズのことを判っているのかってね。それくらい、このレコードは良かったんだ。特に「ザ・ドルフィン」って曲が絶品だった。ビフォーよりもアフター(ストリングスやリズム・セクションが多重録音されたもの)のほう。 ■この曲は、タンバ・トリオでピアノを弾いていたルイス・エサが作った曲で、オリジナルは CTI から出た『二人と海』に収録されている(残念ながら、Youtube には音源なし) ■このレコードのポイントは、あのビル・エバンズが「フェンダーローズ」のエレピを弾きまくっているってことだ。そういう時代だったのだね、当時の。あの頃って(リアルタイムでは知らないけど)エレピが大活躍する、チック・コリアの『リターン・トゥ・フォー・エバー』が出たのが 1972年のことだから、その2年前に「このLP」を出したビル・エヴァンズの選択は、決して間違ってはいなかったんじゃないかと思う。時代を先取りしていたのだ。 だって、猫も杓子も「エレピ」の時代だったからね。あの、オスカー・ピーターソンですら「フェンダーローズ」のエレピに夢中だった(ホントかどうかは自信ないが)のだから。 ただ、ぼくは正直「エレピ」は好きではなかったな。 あの頃、唯一納得して好きになった「エレピ」は、 映画『まる秘色情めす市場』田中登監督作品の中で、主人公の伊佐山ひろ子が行きずりの男と出会った後に、商店街のアーケードで彼女の最愛の弟が首を吊ってぶら下がっている場面のバックで流れる「エレピ」なのだな。 そんなこと言っても、誰もわかってはくれないだろうが。


YouTube: Stan Getz "The Dolphin"

■ところで、エレピに血迷った軟弱イージー・リスニング盤として当時の日本ジャズ界ではまったく評価されなかったこの「ビル・エバンスのドルフィン」を、いち早く日本で最初に認めた人がいる。 その人とは、松任谷由実だ。 (つづく)


YouTube: North Sea Jazz 2009 Live - Toots Thielemans - The Dolphin (HD)

2011年5月13日 (金)

PABLO LIVE AFRO BLUE IMPRESSIONS / John Coltrane

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■コルトレーンが好きだ。もう、ずっと前から大好きだ。

特に、夏が近づくと無性にコルトレーンが聴きたくなる。
ぼくが大学に入学した年の夏は暑かった。1977年のことだ。


この夏、ぼくは来る日も来る日も自分で買った2番目のジャズ・レコード『マイ・フェイバリット・シングス』ジョン・コルトレーン(Atlantic)を、汗を拭き拭き繰り返し聴いていた。なにか不思議な中毒性があったのだと思う。だからいまだに、コルトレーンといえば『マイ・フェイバリット・シングス』なのだ。


あの頃、火曜日の深夜にFM東京で「アスペクト・イン・ジャズ」というジャズ番組があって、ジェリー・マリガンの「ナイトライツ」をBGMに「こんばんは油井正一でございます」で毎回始まる有名番組だった。確かあの番組でだったか、それともNHKFMの本多俊夫さん(as奏者、本多俊之氏のお父さん)でだったか、この『PABLO LIVE AFRO BLUE IMPRESSIONS / John Coltrane』LP2枚組の1枚目B面に収録された「My Favorite Things」をFMで聴いてたまげたのだった。

「コルトレーン、すっげぇ!」ってね。この演奏は、欧州演奏旅行途中のコルトレーン・カルテットを、1963年11月にドイツ・ベルリンでライヴ収録したものだ。


このレコードは、ヴァーヴ・レーベルを大手レコード会社に売り払って、スイスで悠々自適な老後生活を送っていた JATP興行主のノーマン・グランツが、1970年代に突如復活して「パブロライヴ」というライヴ録音専門のジャズ・レーベルを立ち上げた中の目玉商品として発売されたものだ。当時これには皆がビックリした。


だって、ノーマン・グランツとコルトレーンって「水と油」だもん。


だから、当時はこのレコードは「キワモノ」的あつかいを受けていたように思う。スイング・ジャーナルでの点数も、それほど高くなかったんじゃないかな。録音もよくなかったしね。


でも、ぼくはオリジナル・スタジオ録音よりも気に入ってしっまったのだ。アフリカ大陸の地図のジャケットもよかったしね。このレコードは、ほんとよく聴いたなぁ。たぶん、コルトレーンのレコードの中では一番数多く僕のターンテーブルにのったレコードだ。


そういえば、以前コルトレーンに関して「こんなふうに」書いたこともある。


■コルトレーンを聴いていると時々体験することだけれど、「あちらの世界へ連れて行かれる」感じ? とでも言ったらいいのか、例えば、あの烈しい「トランジション」のあとに「ディア・ロード」が始まった瞬間とか、「クレッセント」の後の「ワイズ・ワン」とか、「サンシップ」の冒頭とか。ぼくのタマシイが、ふわっと「あちらがわ」へ持って行かれる感覚。コルトレーンの魅力はそこに尽きると僕は思っている。


■いつだったか、月間「KURA」を読んでいたら、高遠の老舗まんじゅう店「亀まん」店主の平沢さんが、自慢のオーディオ・ルームを公開した写真が載っていて、その中で平沢さんが一番好きなジャズ・レコードとして、この『PABLO LIVE AFRO BLUE IMPRESSIONS / John Coltrane』を挙げていたのでビックリした。

なんだ、おいらといっしょじゃん!


ちなみに、亀まん店主の平沢さんは、高遠小学校で僕の1つ下の学年だったと思う。

2011年5月 7日 (土)

『コルトレーン ジャズの殉教者』藤岡靖洋(岩波新書)

■本は薄いのに、内容はメチャクチャ濃い。

著者は、大阪の老舗呉服店の旦那はん。でも、趣味とか道楽とかの時限を超越している人で、世界的に有名なジョン・コルトレーン研究家なのだった。著書は、この岩波新書が3冊目で、初の日本語で書かれた本だという。と言うことは、前の2冊は英語で書かれたコルトレーンの本なのだそうだ。凄いな。


この本の中で、ぼくが一番に注目したのは p115 に載っている「アンダーグラウンド・レイルロード」という曲に関する記載だ。

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■この曲は『アフリカ/ブラス Vol.2』に収録されていて、ぼくがジャズを聴き始めてまだ間もない頃、すごく気に入ってさんざん聴いた覚えがある。このLPジャケットにも見覚えがあったので、書庫のLP棚を探したが見つからない。もしかして所有してなかったのか? おかしいなぁ。で、ふと気がついたのだが、たぶんあのレコードは、ぼくが大学1年生だった時に長兄から借りた10数枚のジャズレコードの中の1枚だったに違いない。

だから、いまは手元にないし、どんな曲だったかすっかり忘れてしまった。しかも、残念なことに iTunes Store では取り扱っていない。仕方なく、amazonで輸入盤を注文することにした。ぜひ、もう一度じっくり聴いてみたい。まてよ? YouTube にならあるかもしれない。そう思って探したら、あったあった。そうそう、この曲だ。なんとまぁ、自信に満ち満ちた力強い演奏なんだ! ほんと、カッコイイなあ。






YouTube: John Coltrane - Song Of The Underground Railroad

いずれにしても、この本の一番の読みどころは「アンダーグラウンド・レイルロード」や「ダカール」「バイーヤ」「バカイ」「アラバマ」とタイトルされた曲の本当の意味が書かれている、第3章「飛翔」その2「静かなる抵抗」(p108〜p126)にあると思う。「音楽が世界を変える」と信じて、最後の最後まで力の限り演奏し続けたコルトレーンだが、その死から41年後になって、アメリカ初の黒人大統領が誕生することになるとは、さすがの彼でも想いもよらなかっただろうなぁ。


あと、この本を読んで面白かったことを、思いつくままに列挙すると、


・見たことのない珍しい写真や新事実が満載されている。
・南部で黒人教会の名高い牧師であった祖父からさんざん聴かされた黒人奴隷の話。
・信じられないくらい超過密な来日公演スケジュール。
・同郷の友を何よりも大切にするジャズマンたち。
・「ジャイアント・ステップス」にも収録された、カズン・メアリーのこと。
・戦後すぐ、ハワイ真珠湾で海軍の兵役につていたこと。
・その時、任務をサボって収録されたレコードを聴いたマイルズ・デイヴィスが
 コルトレーンをメンバーに招聘したこと。


・コルトレーンという名字は、アメリカでもすごく珍しい姓。
・母親が12回の分割払いで、息子のために中古のアルトサックスを買ってくれたこと。
・良き友であり、良きライバルであった、ソニー・ロリンズのこと。
・彼に白人の愛人がいたこと。その彼女が日記を残していたこと。
・アリス・コルトレーンのこと。
・名盤『至上の愛』誕生秘話。

・コルトレーン「でも、どうやって(演奏を)止めたらいいのか、わからないんだ」
 マイルズ  「サックスを口から離せばいいだけだ!」

・それから、巻末に収録された「当時のニューヨーク地図」。
 当時のジャズクラブの場所や、ジャズメンのアパートの位置が記入されていて、
 これは楽しかったな。そのうち、タイムマシンが実用化された時には、すっごく
 役立つ地図になると思うよ。

 そしたら僕は、1961年7月のドルフィー&ブッカー・リトル双頭コンボを見に、まずは
 「ファイブ・スポット」へ行くな、やっぱし。


2011年5月 1日 (日)

ビリー・ホリデイ「言い出しかねて」 村上春樹『雑文集』より

ようやっと『雑文集』村上春樹(新潮社)を読み終わった。面白くて、しかも濃い内容で「村上春樹のエッセンス」が見事に凝縮されていたな。 読みどころはいっぱいある。 前回取り上げたほかには、 「東京の地下のブラック・マジック」 「スティーヴン・キングの絶望と愛」 「スコット・フィッツジェラルド ---- ジャズ・エイジの旗手」 「カズオ・イシグロのような同時代作家を持つこと」 「安西水丸は褒めるしかない」 「デイヴ・ヒルトンのシーズン」 「正しいアイロンのかけ方」 「違う響きを求めて」 「遠くまで旅する部屋」 「物語の善きサイクル」 「解説対談」安西水丸 x 和田誠  などなど。 ■ただ、読みながらすっごく悔しい思いをした文章がある。 「言い出しかねて」( p171 〜 p180 ) だ。 なぜなら僕は、ビリー・ホリデイが唄う「言い出しかねて」を今まで一度も聴いたことがなかったのだ。もちろん、彼女のLPは6〜7枚、CDも4枚持っていて、1930年代の絶頂期の録音から最晩年の傑作『レディ・イン・サテン』まで、繰り返し愛聴してきた。でも、それらの中には「言い出しかねて」は収録されていなかったのだ。 あわてて YouTube で検索したら、米コロムビアで、1938年6月にスタジオ収録された演奏が見つかった。レスター・ヤングのテナー・ソロが素晴らしい。これだ。


YouTube: Billie Holiday & Her Orchestra - I Can't Get Started - Vocalion 4457

でもこのピアノは、カウント・ベイシーではない。 村上氏は言う

「言い出しかねて」ならこれしかない、という極めつけの演奏がある。ビリー・ホリデイがカウント・ベイシー楽団とともに吹き込んだ1937年11月3日の演奏だ。ただこれは正規の録音ではない。(中略) 音は今ひとつなのだけれど、演奏の方はまさに見事というしかない。ベイシー楽団のパワーは実に若々しく圧倒的だし、アレンジも楽しい。とくに楽団のアンサンブル間奏のあとに出てくるレスター・ヤングの情緒連綿たるテナー・ソロは、まさに絶品である。レスターの吹く吐息のようなフレーズが、本当に「言い出しかねる」みたいに、ビリーの歌唱にしっとりと寄り添い、からみついていくのだ。(中略)  この1937年のビリー・ホリデイの歌唱と、バックのベイシー楽団の演奏がどれくらい素晴らしいか、どれくらい見事にひとつの世界のあり方を示しているか、実際あなたに「ほら」とお聴かせできればいいのだけれど、残念ながらとりあえずは文章でしか書けない。

読者の目の前にニンジンをぶら下げながら、絶対に食べさせない「いじわる」を、村上氏はよくやるが、これなんかはその最たるものだな。だって、聴きたいじゃないか。ラジオ放送を私家録音した、ベイシー楽団とビリー・ホリデイの「言い出しかねて」。でも聴けない。こういうスノッブ的嫌らしさが、一部で村上春樹が嫌われる原因ではないかな。 ■しかし、村上氏は甘かった! インターネットを駆使すれば、たちどころに判明するのだ。あはは! ビリー・ホリデイの百科事典みたいなサイトがあるのだよ。 そこに載ってました。「1937年11月3日の演奏」。村上春樹氏が書いているのは、まさにこの時の演奏に違いない。この演奏が収録されたCD一覧もあるぞ。 でも、ふと思いついたのだが、iTunes Store へ行けば、曲単位で安く購入できるじゃないか。で、iTunes Store で「Billie Holiday I can't get started」を検索したら、50曲も見つかった。おおっ! この中のどの演奏が「それ」なんだ? 困ったぞ。 仕方なく、1番からかたっぱしに試聴していった。しかし、そのほとんどが 1938年6月スタジオ収録版のようだった。でも、よーく聴いていくと、3,6,34、の演奏は違うみたい。思い切って、34番目をダウンロードしてみた。う〜む、これかなぁ。自信ないなぁ。だって、レスター・ヤングのテナー・ソロが入ってないんだもの。 でも、ビリー・ホリデイがサビを唄うバックで、彼女にぴったり寄り添うようにサックス吹いてるなぁ、レスター・ヤング。 やっぱりコレだな。きっと。

2011年4月20日 (水)

本日、高遠の桜は満開

1104201 ■こういうのを「花冷え」って言うのかな。今夜の高遠はけっこう寒かった。でも、高遠という土地は不思議と「風がない」ところなので、体感温度は案外それほどでもなかったかな。ライトアップはされてないと聞いてきたが、部分的には照明が当たっていてやはり見事だ。夜桜でも十分その素晴らしさは味わえる。ただ、せっかく満開だというのに花見客はまばら。残念だなあ。 桜の花はピークを過ぎたとは言え、この寒さで花弁は地面にそれほど落ちてはおらず、このぶんなら、今週末まで十分持ちこたえる感じだ。どうぞ皆さん、高遠へいらして下さい。 ■追伸:こちら「亀工房」さんのブログに載っている高遠城趾公園の写真がじつに見事です。 1104202 ■写真は、最近購入した「CDたち」です。このうちの何枚かに関しては、すでにこのブログでも言及している。 でも、このところ一番注目している人は、何といっても「星野源」だ。 彼はいい。ほんとうにいい! もう、毎日繰り返し聴いている。 何気ないけれど、十分すぎるくらいに考え抜かれた歌詞がいいんだ。とってもね。 それから、単純なようでいて、妙に複雑なコード進行のメロディが、すっと僕の心に沁み込んでくるのだ。 たとえば、最新作『くだらないの中に』。

JASRAC からの通告のため、歌詞を削除しました(2019/08/06)

何とはない日常を唄った歌だ。 ぼくは、初めてこの曲を「FM長野」のカーラジオから聞いたとき、 男子中学生同士の親友が、部活の帰りにお互いのジャージを嗅ぎあって「バカだなぁ」と笑い会う歌かと思ったのだが、何度も聞き込むうちに、なんだ、ちょっと倦怠期に入った? 男女の唄だったんだって、気がついた。 でも、ほんとそうなんだよなぁ。 何だかその原因がぜんぜん判らないのだけれど、朝から家の奥さんの機嫌がやたら悪いことがよくあるのだ。そういう一日はホントずっと憂鬱だ。オレ、とんでもないことしでかしたかな? 参ったなぁ。ってね。 でも夕方になって、ふと機嫌が直った妻が何気なく微笑めば、全てが「解決することばかり」なのだ。う〜む、星野源さんが言いたいこととは、ちょっと違うような気もするが…… でもまあ、こういう感覚って、すっごくよくわかるよ。

2011年4月14日 (木)

村上春樹氏が書いたライナーノーツに関して

■村上春樹『雑文集』(新潮社)を読んでいる。これ、面白いなあ。特に「音楽について」のパート。

最初の、別冊ステレオサウンドに掲載されたインタビュー「余白のある音楽は聞き飽きない」の文章は、伊那の TSUTAYAで立ち読みした記憶がある。(少しだけ引用する)

 オーディオ雑誌でこんなことを言うのもなんだけど、若いころは機械のことよりも音楽のことをまず一所懸命考えたほうがいいと、僕は思うんです。立派なオーディオ装置はある程度お金ができてから揃えればいいだろう、と。若いときは音楽も、そして本もそうだけど、多少条件が悪くたって、どんどん勝手に心に沁みてくるじゃないですか。いくらでも心に音楽を貯め込んでいけるんです。そしてそういう貯金が歳を取ってから大きな価値を発揮してくることになります。そういう記憶や体験のコレクションというのは、世界にたったひとつしかないものなんです。その人だけのものなんだ。だから何より貴重なんです。(中略)


もちろん悪い音で聴くよりは、いい音で聴く方がいいに決まっているんだけれど、自分がどういう音を求めているか、どんな音を自分にとってのいい音とするかというのは、自分がどのような成り立ちの音楽を求めているかによって変わってきます。だからまず「自分の希求する音楽像」みたいなものを確立するのが先だろうと思うんです。(『雑文集』p87〜88)


■「日本人にジャズは理解できているんだろうか」という文章は、確かに全く思いもよらなかった視座を提示されていて、読みながらはっとさせられるのだけれど、所詮は1994年にアメリカ在住の著者によって書かれた、地域と時代限定の文章だと思う。残念ながら2011年の現在では、はたしてアメリカ本国で「ジャズ」という音楽が黒人文化や政治運動にどれほどの影響力を持っているのか甚だ疑問だ。


■「ノルウェイの木を見て森を見ず」はすっごく面白い。村上氏が、ビートルズのレコードを生まれて初めて買ったのが 1980年代に入ってからだと知って、ちょっと意外だったし、でも、そうだよなぁって一人ほくそえんだりした。


■あとは、村上氏が書いた、CDのライナーノーツが4本掲載されている。その白眉はラストに収録された「ビリー・ホリデイの話」だ。ちょっとキザだけれど、めちゃくちゃカッコイイ。黒人兵の彼女が着ていたレインコートの雨の匂いを、ぼくも嗅いだような気がした。まるで『海を見ていたジョニー』みたいな話で、作り話なんじゃないの? なんて勘ぐってしまったのだが、村上氏は2度も「これは本当にあった話」と書いているから、事実なんだろうなぁ。ほんとジャズだねぇ。


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■ぼくが持っているLPレコード(数百枚)の中で、村上春樹氏が書いたライナーノーツが載っているのはたぶん「この一枚」だけだと思う。そう、ソニー・クリスの『アップ・アップ・アンド・アウェイ』だ。先だって、再発の紙ジャケCDを中古盤で入手したら、やはり村上氏のラーナーノートがそのまま添付されていた。ジャズのライナーノーツは、それこそ数百読んできたけれど、これが一番好きだ。2番目は、油井正一氏の『フラッシュアップ』森山威男カルテット(テイチク)に書かれたものか。


とにかく、この村上氏のライナーノーツが傑作で、チャーリー・パーカーが死んだ後のジャズ・アルトサックス業界がどうなって行ったかを、まるで落語家みたいな口調で軽妙に語っていて、そこそこのジャズ好きが「あいや!」と叫びたくなるツボを押さえた名文なのだ。でも、この『雑文集』に載ってないということは、たぶん村上氏の本に収録されることは永久にないのだろうな。残念だ。


ぼくが特に好きなのは以下の部分。

 でも言ってみればこれは当たり前のことで、チャーリー・パーカーの音楽はあまりにもチャーリー・パーカー的でありすぎて、他人がどれだけそれを真似ようとしても、所詮下町の鉄工所の親父が、銀座の高級クラブのホステスを口説いているという図になってしまう。「テクニックがイモなのよ」なんて軽くあしらわれ、それじゃとテクニックを身につけて出直していくと今度は「柄じゃないのよ」と頭から水割りをかけられたりしてね……、とにかくこれじゃ浮かばれない。絶対に浮かばれない。


そこで「キャバレーならやはり東上線」と叫ぶエリック・ドルフィーやらオーネット・コールマンの出現となるのだけれど、こういうの書いているとキリないので、ソニー・クリスの話。


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■ネットでググったら、村上氏は「スヌーピーのゲッツ」で知られる、スタン・ゲッツのLPにもラーナーノーツを寄せている。「ここ」でその一部が読める。ありがたいな。

あはは! 「ドーナツ・ホール・パラドックス」か。相変わらず上手いこと言うな、村上さんは。

2011年4月 9日 (土)

今月のこの一曲『'Cause We've Been Together』アン・サリー

■今週の日曜日はいろいろと用があって、家族4人で朝9時過ぎに伊那を発ち長野まで行ってきた。帰りには松本に寄ってもう一つの用を済ませて自宅へ帰り着いたのは夜の9時前だった。疲れたが充実した一日だったな。 松本では、妻と次男がリハーサルに行ってる間に、ぼくと長男はいつもの「ほんやらどお」へ行って中古CDを物色。長男はウルフルズのベスト盤を、ぼくはエグベルト・ジスモンチのECM盤と、アン・サリー『デイ・ドリーム』を1000円未満の安価でゲットした。 アン・サリーの「このCD」は、知ってる曲が一つもなかったから、じつは聴いたことなかったのだが、なんだ、めちゃくちゃイイじゃん。 じつに渋い選曲で、1970年代日本のレアグルーブのカヴァーが特に聴かせるのだな。細野晴臣「三時の子守歌」、佐藤奈々子&佐野元春「週末のハイウェイ」、吉田美奈子「レインボー・シー・ライン」。そうして、りりィの『'Cause We've Been Together』。オリジナルはコレです。


YouTube: Lily - 'Cause We've been together

でもこの曲は、アン・サリーのカヴァーのほうがずっといいな。 YouTube にもあったみたいだが、今は見れないのが残念。サビの歌詞がこれだ。

JASRAC からの通告のため、歌詞を削除しました

このCDを繰り返し聴くうちに、「オー、ベイビー、ベイビー、ベイビー、行かないで」というフレーズ。以前に何度も目にしたことあるぞ!? って気がついたのだな。 そう、映画にもなった、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』(ハヤカワ epi 文庫)だ。 主人公のキャシー・Hがずっと大切にしていてなくしてしまったカセット・テープ。ジュディー・ブリッジウォーターが 1956年に録音した『夜に聞く歌』A面3曲目に入っていた曲『わたしを離さないで』の歌詞といっしょじゃん。

 スローで、ミッドナイトで、アメリカン。「ネバーレットミーゴー……オー、ベイビー、ベイビー……わたしを離さないで……」このリフレインが何度も繰り返されます。わたしは十一歳で、それまで音楽などあまり聞いたことありませんでしたが、この曲にはなぜか惹かれました。いつでもすぐ聞けるように、必ずこの曲の頭までテープを巻き戻しておきました。(『わたしを離さないで』p110)

■カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』に関しては、この「ネバーレットミーゴー」って曲がどんな曲なのか、以前にもしつこく考えたことがある。と言うのも、ジャズのスタンダードに「Never Let Me Go」って曲が実際に存在していて、インストでは、ビル・エバンズやキース・ジャレット・トリオ。ヴォーカル版では、ナット・キング・コールやアイリン・クラール、ジェーン・モンハイト。 でも、このオリジナルの「Never Let Me Go」って曲には「オー、ベイビー、ベイビー……わたしを離さないで……」なんてフレーズはどこにもないのだった。だからここの「2006/11/15」で言っているように、本当に"Never Let Me Go" だったのだろうか? って疑問がわくのだ。 この Never Let Me Go よりも、「'Cause We've Been Together」のほうが断然「スローで、ミッドナイトで、アメリカン」なんじゃないか? ぼくはいま、確信を持って言おう。あの時、村上春樹氏がカズオ・イシグロ氏にプレゼントしたCDとは、アン・サリーの『デイドリーム』だったに違いない! と。ほんとかよ(^^;;

2011年3月27日 (日)

「Hard times come again no more」once more

■この曲の中では「我如古より子 with 吉川忠英」のヴァージョンが一番沁みるかも。歌詞がほんとうにいい。iTunes で200円です。


YouTube: Hard Times Come Again No More・我如古より子wt吉川忠英(g)


YouTube: 辛い事・難波屋Live2st02・唄・Henry&Lucy・詞・Henry松山


YouTube: Kate & Anna McGarrigle - Hard times come again no more


YouTube: 「Hard times come again no more」09.7.11 横浜


YouTube: Hard Times Come Again No More

-------------------------------------------------------------------------------- 「HARD TIMES COME AGAIN NO MORE」 Let us pause in life's pleasures and count its many tears, While we all sup sorrow with the poor; There's a song that will linger forever in our ears; Oh Hard times come again no more. (Chorus) Tis the song,the sigh of the weary, Hard Times,hard times,come again no more Many days you have lingered around my cabin door; Oh hard times come again no more. While we seek mirth and beauty and music light and gay, There are frail forms fainting at the door; Though their voices are silent,their pleading looks will say Oh hard times come again no more. (Chorus) Tis the song,the sigh of the weary, Hard Times,hard times,come again no more Many days you have lingered around my cabin door; Oh hard times come again no more. There's a pale drooping maiden who toils her life away, With a worn heart whose better days are o'er: Though her voice would be merry,'tis sighing all the day, Oh hard times come again no more. (Chorus) Tis the song,the sigh of the weary, Hard Times,hard times,come again no more Many days you have lingered around my cabin door; Oh hard times come again no more. Tis a sigh that is wafted across the troubled wave, Tis a wail that is heard upon the shore Tis a dirge that is murmured around the lowly grave Oh hard times come again no more. (Chorus) Tis the song,the sigh of the weary, Hard Times,hard times,come again no more Many days you have lingered around my cabin door; Oh hard times come again no more. ----------------------------------------------------------------------------------   「厳しき時代よ,もう二度と来ないで」 人生の喜びに安らぎ,人生の涙を数えよう われらが不幸な者達と悲しみを分け合うときには そこにはずっと耳に残っているひとつの歌があるのだ 「おお,厳しき時代よ,もう二度と来ないで」と  (合唱)  それがこの歌だ,疲れ果てた溜息の歌 「厳しき時代よ,厳しき時代よ,もう二度と来ないで  ずっと長いこと,おまえは小屋の戸口に粘ってきたが  おお,厳しき時代よ,もう二度と来ないで」 陽気なものや美しいもの,楽しく明るい音楽を探してみても それらの姿は戸口の前ではかなく消え入るのみ でも声は聞こえないが、それらは姿で訴えかける 「おお,厳しき時代よ,もう二度と来ないで」と (合唱)  それがこの歌だ,疲れ果てた溜息の歌 「厳しき時代よ,厳しき時代よ,もう二度と来ないで  ずっと長いこと,おまえは小屋の戸口に粘ってきたが  おお,厳しき時代よ,もう二度と来ないで」 人生に苦しむ,青ざめた伏目がちの乙女がいる 楽しき日は過ぎ去り、擦り切れた心が残る 彼女の声は明るく聞こえても、それは日がなの溜息だ 「おお,厳しき時代よ,もう二度と来ないで」と (合唱)  それがこの歌だ,疲れ果てた溜息の歌 「厳しき時代よ,厳しき時代よ,もう二度と来ないで  ずっと長いこと,おまえは小屋の戸口に粘ってきたが  おお,厳しき時代よ,もう二度と来ないで」 それは争いの波間を漂う溜息 それは浜辺に聞こえる嘆きの声 それは墓石のまわりでささやかれる哀歌 「おお,厳しき時代よ,もう二度と来ないで」と (合唱)  それがこの歌だ,疲れ果てた溜息の歌 「厳しき時代よ,厳しき時代よ,もう二度と来ないで  ずっと長いこと,おまえは小屋の戸口に粘っ てきたが  おお,厳しき時代よ,もう二度と来ないで」 ------------------------------------------------------------------------------------- ■この歌詞、訳詞は http://homepage2.nifty.com/182494/LiederhausUmegaoka/songs/F/Foster/S808.htm より転載させていただきました。


YouTube: Bruce Springsteen - Hard Times - Bern 2009-06-30 CLOSEUP


YouTube: Hard Times, Come Again No More - Thomas Hampson

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