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2010年6月

2010年6月27日 (日)

先週後半の出来事と、絵本『ぼくのいえにけがはえて』

■6月23日(水)午後、伊那東小学校1年生の内科健診。男子も女子もみな静かにちゃんと待っていて、自分の番でははっきりと大きな声で名前をが言えた。まだ入学して2ヵ月半なのに大したものだ。担任の先生の力量によるのだろうなぁ。

健診は1時間半で終了し、校長先生に面会させていただき「学校寄席」が東小でできないかどうか提案させてもらう。残念ながら学校側にはそのための予算は全くないとのことだったが、ぼくが自腹を切れば可能かもしれないという感触を得た。


■6月24日(木)午後2時から竜東保育園年中組と未満児の内科健診。やはり3月までは年少さんだったのに、年中さんになると子供たちはずいぶん印象が変わってくるな。すっかり赤ちゃんぽさが抜けて、たくましく元気のいいガキンチョになっているのだ。

あまり時間はなかったのだが、子供たちが絵本を読んでもらうのを楽しみに待ってくれていたので、ありがたく読ませていただく。うれしいねぇ。


1)『しましまみつけた』平野恵理子さく(こどものとも年少版/ 2009/9月号)
2)『ぼくのいえにけがはえて』 川北亮司・文、石井聖岳・絵(くもん出版)
3)『まるまるまるのほん』谷川俊太郎・訳(ポプラ社)
4)『三びきのやぎのがらがらどん』(福音館書店)

『ぼくのいえにけがはえて』は、タイトルどおりの内容の「あっ!」と驚くナンセンス絵本。石井聖岳さんのすっとぼけた絵に何とも味わいがあり、さらに次々と予想を裏切る展開に大笑い必至。絵本の扉をめくると、いきなり見開き2ページにわたって2階の屋根から毛が生えたキモカワイイ「ぼくのいえ」の絵。

年中組の子供らも、絵を見るなり「うわぁ〜」「ひぇ〜!」「きゃー」と大騒ぎ。
これが、ページをめくる度に繰り返された。でも最後のページでは「カッコイイ!!」って声がかかったよ。

急きょ呼ばれた床屋のじいさんが現場の指揮をとるのだが、この床屋さんがいい味出しているんだよ。ひとつ仕事が済むたびに、このじいさん何処かへ携帯で電話をかけるのだが、その繰り返しが楽しい。子供たちに「ねぇ、今度はどこに電話したのかなぁ?」って訊きながら絵本を読んでみたよ。あはは、真面目な大人(特におかあさん)は「だからなんなのよ」って怒りだすかもしれないような絵本だが、ぼくも、子供たちも、お父さんたちも、こういうの大好き!

読み聞かせ終了後に、子供たちがどっと押し寄せてきて、握手やハイタッチの嵐。「せんせい、絵本おもしろかったよ! またきてね」子供らに囲まれて「ゴンズイ玉」のような状態のまま保育園の玄関まで移動。ほんとうれしいねえ。こういうの、園医冥利に尽きるって言うんだろうなぁ(^^;;


■6月25日(金)午後1時から上伊那医師会事務室で文書決裁。続いて午後2時からは伊那市役所3階会議室で本年度第1回就学指導委員会。夜は7時から駒ヶ根市中沢小学校の読み聞かせボランティアの会に呼ばれて、パパズの伊東先生と絵本の楽しみ方の話をさせていただく。気がつけば午後9時前まで長居をしてしまった。ごめんなさい。


帰宅後さすがに疲れて、この日よる9時から USTREAM で放送されていた「菊地成孔&大谷能生:ジャズドミューン」を見るのをすっかり忘れてしまった。しまったなぁ。気付いた時には既に午後11時をまわっていて、番組は終了していた。残念。


■今日は伊那中央病院の小児一次救急の当番で、よる7時から9時まで出向く。雨も降ってきたので3人診て終了。2番目に見た3歳の男の子は、5月末にもここで僕が診ている。でも、北原こどもクリニックでは診たことがない男の子。今日は嘔吐と下痢で受診。元気はいいし、活発に診察室の中を動き回ってお母さんに何度も叱られている。しかし、おとうさんが「ぐったりしてるし、飯もぜんぜん食べられないから点滴してくれ」と言った。

ぼくは一度「その必要はありません」と言って、救急入り口に設置された自動販売機で「OS-1」を買ってもらって、1分間に5〜6ccの割合で、ちょうど「おとうさんが御猪口で日本酒をちびちび飲むように」ちょっとずつ1時間かけて与えれば、点滴の必要はありません。今夜は何も食べさせないでください。子供は、栄養を取らなくても2〜3日はぜんぜん心配はいりません。適切な水分と電解質さえ取れていればね。

そう説明して、おかあさんは理解してくれたみたいだったのだが、肝心のおとうさんはてんで聞く耳を持たなかった。それでも「先生が必要ないと言うならそれでもいいが、俺は息子がてんで元気がないんで心配だったから中央病院に連れて来たんだ。だから点滴をして欲しい」そう言った。なるほど、よーく判った。親の希望には応えてあげなかればなるまい。

ぼくはソルデム1輸液 200mL、1時間点滴を看護師さんにオーダーした。

3歳の彼は、まだ点滴途中だったが、ぼくの任務はよる9時までだからと、おいとまの挨拶をして9時15分ころ救急部を後にする。よる9時半前に帰宅。今日も疲れたなぁ。

でも、ネットで検索したら、先週金曜日の夜に、ポイズン・スネーク(ハブのことですね。アントワンが Twitter でそう書いていた)がうようよしている奄美大島で行われた「アントワン・デュフォール」のライヴ映像が早くもアップされていた。そうそう、この曲です「En T'attendant」やっぱいい曲だなぁ。ありがとうございます。高遠でも演奏してくれましたよ! 


当日演奏されたライヴ映像。もっともっと見てみたいぞ! 
ぜひ続けてアップして下さい。
よろしくお願いいたします。

2010年6月23日 (水)

アントワン・デュフォール Live in Takato(つづき)

■前回2年前に亀工房がプロデュースした「ドン・ロス 日本ツアー」の「いなっせ」公演(2008/09/15)を見に行った時も、ドン・ロス驚異のギター・プレイに度肝を抜かれたのだが、今回のアントワン・デュフォールのギター演奏には、もっとおったまげた! ギターって楽器が、こんなにも多様な音色と打楽器的リズムを刻むことができるとは。もう、ビックリ仰天です。

この人は、まだ30歳だというのに、天才マイケル・ヘッジスのテクニックをいとも簡単に手中に収め、なおかつ、ドン・ロスのファンキーなリズムと、アンディ・マッキーのようなメロディアスな叙情性までも完璧に表現してみせるのだ。ナマで見て聴いていてると、ちゃちゃっと簡単に演奏しているように見えるのだが、とんでもなく高度で複雑なテクニックを駆使しているのだよ、絶対に。

しかも、たった1本のギターで曲が終わる度に、次々と変則チューニングを変えて演奏を続ける。すっごいなぁ。コンサート終了後、購入した最新作CDにサインしてもらった時に右手を見せてもらったのだが、案外小さな手だったよ。なのに何故、あんな魔術的な驚異の演奏ができるのか? ホント信じられないな。

ただただビックリしてしまい、演奏曲目とかちゃんとチェックしてなかったのだが、印象に残った曲は「En T'attendant」っていうフランス語の曲名が付いた曲だ。意味は「君を待ってるよ!」で、まだ奥さんのお腹の中にいた彼の息子のために作った曲なんだそうだ。あと、初期の曲「Trilogy」はウインダムヒル・レーベルの音がして懐かしい感じがした。

それからアンコールの前のラストに演奏された「Ashes n the sea」。この曲は「YouTube」で、さんざん聴いていたからね、大好きなんだ。彼の話によると、この曲は数年前にバンクーバーで銃で撃たれて死んだ従兄弟のために作られたのだそうだ。本当はとっても悲しい曲だったんだね。知らなかったな。

あと、ぼくも不思議だった、ギターのネックに巻かれたバンダナ。どんな意味があるのか前澤さんが質問してくれた。そしたら、アントワンをこう答えたよ。「ほら、こうやって手の汗拭けるでしょ。それから、弦の余計な共鳴を防ぐためさ」なるほど、そうだったのか。

それにしても、アントワン・デュフォールのギター演奏はファンタスティックで、インクレディブルで、アンビリーバブルなライヴだったなぁ。ナマで聴けて見れて、ほんと幸せだ。アコギ・ファンでまだ未見の人は、必見ですぜ!!

2010年6月22日 (火)

亀工房。そして、アントワン・デュフォール。凄かったな

■ワールドカップ「日本 vs オランダ」戦が、夜8時半から始まる土曜日の夕方だったから、はたして高遠でのコンサートに人が集まるのかどうか主催者以上に心配していたのだが、ふたを開けてみれば100人近くの観客が集まったのだった。前澤さんの話では、遠く福井から高遠までやって来た人もいたという。

始めに登場したのは「亀工房」の二人。

最初の曲は、ザ・ピーナッツのヒット曲「コーヒー・ルンバ」。ツアーで高速道路を移動中に、サービス・エリアで休憩した時、コーヒーの自動販売機から「この曲」が流れてきたのだそうだ。でも、妙に「この曲」が亀工房に不思議と似合っているのだ。続いて、アイルランドのトラディショナル2曲を続けて演奏。

この曲を聴いていて思ったのだが、亀工房の主役は奥さんなんだね。
旦那さんは決して出しゃばらず、奥さんを上手に引き立てサポートに徹しているのだ。
すごいなぁ。なかなかできることじゃありませんよ。

続いて「ジャーニー」と「ショー・マスト・ゴー・オン」。
この2曲を作曲したのは奥さんの方なんだね。すっごく良い曲。
特に「ジャーニー」は大好きな曲だ。
「ショー・マスト・ゴー・オン」は、この日初めて聴いたが、これもいい曲だなぁ。
生きることの切実さが感じられて、勇気と元気を分けてもらったような気がした。

ラストの曲は「マーブル・ホールズ」。沖縄の曲かと勘違いするほどゆったりした曲。これがまたしみじみいい演奏だった。(さらに続く)

2010年6月20日 (日)

信州高遠美術館ギャラリー展「藤沢まゆ」

■昨日の土曜日、診療終了後のひと休みのあと妻と次男といっしょに高遠へ。長男は中学陸上長野県大会で長野へ行っている。残念ながら出場選手じゃなくて応援でね。

行き先は「信州高遠美術館」だ。先週の土曜日から「藤沢まゆ」展が開催されていることを、妻が北原アンドレア先生から教えてもらったのだ。

藤沢まゆさん。ぼくは彼女のことを知らなかった。でも、彼女のお母さんとお父さんのことはよく知っている。おかあさんは、高遠小学校東組、高遠中学校2組の同級生だし、おとうさんとも同い年で、高遠中バスケ部の同士だ。(おとうさんは5組だったかな)

それにしても、あの俊幸くんと八重子さんの娘さんが、このようにオリジナリティ溢れる新進気鋭のアーティストとして、まだ若いのに数々の個展を開催し、専門家すじからも注目されているとは、ぜんぜん知らなかったよ。

布に絵を染め付ける技法は、絵本『じごくのそうべえ』田島征彦(童心社)で慣れ親しんでいた。でも、藤沢まゆさんの作品に直に接してみて驚いたのだ。予想をはるかに超えてダイナミックで且つ繊細なファンタスティックな世界がそこにあったからだ。大切なことは、伝統的なアート(技術)を踏襲しつつ、新しいアート(芸術)を表現してゆくことなんだな。やはり、代表作「ぞうくじら」が見応え満点だ。その色合いといい細密なタッチといい、実に素晴らしい。


■妻と次男はゴルフで先に帰って、ぼくは高遠に残った。実はこの日、高遠町福祉センター「やますそ」で、午後6時半からコンサートがあったのだ。開場まであと40分あったので、駅前の「本の家」へ。暫く前に僕が売った本が、まだ売れずに店の本棚に何冊も並んでいて、なんとなく申し訳なくなってしまった。でも、がんばってほしいぞ!

そこで、応援のためにも3冊購入。買ったのは『おじさんはなぜ時代小説が好きか』関川夏央(岩波書店)『多読術』松岡正剛(ちくまプリマー新書)『ビッチェズ・ブリュー エレクトリック・マイルスのすべて』中山康樹(廣済堂出版)。しめて2,500円なり。


■それから、高遠町福祉センター「やますそ」へ。ナラ・レオンのボサノバ「虹の彼方へ」がBGMで流れる中、亀工房の二人が登場。亀工房のライヴを観るのは、これで3回目か。で、以前から前澤さんの雰囲気が何故か懐かしい感じがずっとしていて不思議に思っていたのだけれど、先日その理由が判った。

ぼくが伊那北高校で同級生だった、中山昌士くんに雰囲気や佇まいが「そっくり」なのだ。その「長髪」を含めてね。中山君には、先日「伊那保育園」で久しぶりに会ったばかりだったから、余計にそう感じたのかも。(つづく)

2010年6月15日 (火)

パパズ絵本ライヴ(その68)宮田西保育園・父親参観

■6月13日(日)は、宮田村の宮田西保育園の父親参観に、われわれパパズが呼ばれた。この日は、保育園保護者会の作業の日でもあり、朝9時からお父さんたちは園庭や敷地内の草刈りに汗を流したのだった。

宮田西保育園は園児数120人近くの、中央道に近い農道沿いの高台にある保育園。
奥の遊戯室には父親に抱っこされた園児たちが待っていた。大人こども合わせると、200人以上は集まっていたかな。
最初からすごい熱気だ。ぼくは久々だったので、すっごく緊張したよ。


<本日のメニュー>

1)『はじめまして』
2)『コッケ・モーモー』→伊東
3)『まるまるまるのほん』エルヴェ・テュレ・作、谷川俊太郎・訳(ポプラ社)→北原
4)『かごからとびだした』

5)『地獄のラーメンや』苅田 澄子・著、西村繁男・絵(教育画劇)→坂本
6)『まくらのせんにん そこのあなたの巻』かがくいひろし・作( 佼成出版社 )→宮脇

7)『おっとっと』木坂涼・作、高畠純・絵(講談社)
8)『ちゃいますちゃいます』内田麟太郎・作、大橋 重信 ・絵(教育画劇)→倉科
9)『ふうせん』
10)『世界中のこどもたちが』

■今回の新曲は、ぼくが持ち込んだ『おっとっと』だ。テキストがシンプルでリズミカル、とっても調子がいい。何度か声に出して読んでみたら、ラップのようにテンポをアップして「うんぱ、うんぱ、うんぱっぱ」っていう手拍子に乗せて読むと気持ちがいいんだ。

でも、ラップで読んでると、どうしても単調になってしまって、聴いてて飽きる。う〜む難しいな。で、曲を付けてみた。頭にふとメロディーが浮かんだんでね。単純な曲さ。でも、それでいいんだよ、ってね(^^;;


ところで、ぼくの頭の中にあったリズム「うんぱ、うんぱ、うんぱっぱ」っていうのは、
デイブ・ブルーベック・カルテットの名曲「アンスクエアー・ダンス」の手拍子。この曲は変拍子なのだけれど「うんぱっぱ、うん」を入れると、ちゃんと4拍子になるのだ。それから、ページ最後の「おっとっと」を「おっとっとと」と読みながら手拍子も「うんぱんぱんぱん」と連打すると次のページに続いていく感じが出るように思ったので、勝手にちょっと変更させてもらった。


   G        Em  D7   D7         Em  C
  いぬの とうさん おっとっと  かいしゃに ちこくだ おっとっと

  レソソソソーラー シーソラー  ラーラララララー   シーラーソー


   G        Em  D7   D7         Em    G
  自転車 こぎこぎ おっとっと  いそげや いそげ   おっとっとっと

  レソソソソーラー シーソラー  ラーラララララー   シーラーソー


  C        G       Bm         Em  
  そのころ 野原で おっとっと  がちょうの かあさん おっとっと
  
  ソソソソ ソファミレ ミレレー ファファファファファソー ファミミー

  C         G      Bm     Em
  こどもを 追いかけ おっとっと 石につまづき おっとっとと

  ソソソソ ソファミレ ミレレー ファファファファファソー ファミミー

■われわれの会が終わったあと、お昼になった。
お父さんと子供たちは、園庭にシートを広げてカレーを食べている。
今日の給食室は大変だったんだそうだ。
だって、普段の2.5倍のご飯を炊いて、カレーを作ったのだから。

ぼくらもカレーをよばれてご馳走になった。
懐かしい「おかあさんのカレー」。
美味しかった。ほんと。

思わず、おかわりしちゃいましたよ(^^;;


おかわりを遠慮したお父さんたち、ごめんなさい。

  

2010年6月 5日 (土)

わが家の「ノーメディア・デイ」

■今週の日曜日、諏訪地区PTA指導者研修会の第二部「第6分科会:メディア漬けの子供はどうなってしまうのか!」の講師として呼ばれて、諏訪南中学校まで行ってきた。

7つの分科会の中でも、一番関心が高い分野だったみたいで、参加者が60名近く(しかも多くが父親)もあり、午後2番目の講演で眠たく疲れる時間帯にも係わらず、皆さん熱心に耳を傾けて下さった。ありがたかったな。90分間一人で喋りすぎてしまい、講演後のグループ・ディスカッションの時間が少ししか取れず申し訳ないことをしてしまった。ごめんなさい。

講演では例によって「皆さんも家庭でノーテレビ・デイに挑戦しましょう!」と声高らかに訴えてきた訳だが、はたして、演者のぼくは「それ」を実践しているのだろうか?と、講演中にふと思ってしまったのだ。わが家では、子供たちも親もテレビ好きだ。毎日毎週見る番組がいっぱいあって、ハード・ディスクに録画して後から見る番組も含めれば、連日2〜3時間は家族でテレビを視聴している。

さらに子供らは、連日 Wii のゲーム(プレステや任天堂DSはわが家にはない)に興じている。一応、1日1時間までと親子で取り決めはしているが。

加えて、父親であるぼくは深夜帯のテレビ番組が大好きときているし、
ずいぶん昔からネット中毒で、最近では診療中も Twitter のタイムラインが気になって仕方がない。

そんな自ら「メディア漬け」の人間が講演するのは罪なんじゃないか?
そう自責の念にかられた訳です。


■という訳で、日曜日の夜にわが家の家族で話し合って、
6月2日(水)を、わが家の「ノーメディア・デイ」とすることに決めたのだった。
妻と子供たちは案外平気みたいだ。ただ問題は、禁煙した時よりも
厳しい試練になるに違いないぼく自身。
「絶対無理よ」妻は言った。「なにくそ」ぼくも言った。


■そんな感じで、わが家での初めての「ノーメディア・デイ」は始まった。
(ノーテレビ・デイは以前に何回か挑戦したことがあるのだ)
忙しかったこともあり、禁煙した時よりはストレスはなかったですかね。
皆から危ぶまれていたこの僕も、ちゃんと24時間耐えることができた。
やったね! これなら、毎週は辛いけれど、月一回ならできるぞ!


じつはこの日、鳩山首相辞任というとんでもないニュースがあったのだけれど、
「ラジオは一応 OK」ということにしてたので、リアルタイムで知ったのです。
情報がなかったから、7対0で勝っていたのに、オリックスに逆転負けした中日投手陣の不甲斐なさにリアルタイムで一喜一憂しながら親子共々落胆することもなく過ぎてよかったかも。


■この日の午後は、1時から医師会で常務役員による決裁。2時15分に終了して、30分遅れで高遠第一保育園の内科健診。
園長先生に3時のおやつをご馳走になってから、午後4時のお迎えの時間まで
例によって絵本を読ませてもらった。年長さん、年中さん、途中からは年少さんも。
子供らの期待に応えることはできたかな? ちょっと自信ない(^^;;


1)『ダックスくんとフントくん』MAYAMAXX(こどものとも年少版 2010年・5月号)
2)『しましま みつけた』平野恵理子さく(こどものとも年少版 2009年・9月号)
3)『なりました』内田麟太郎・作、山口マオ・絵(すずき出版)
4)『なんでもパパといっしょだよ』 フランク・アッシュ、作絵(評論社)
5)『ぶたぶたくんのおかいもの』 土方久功さく・絵(福音館書店)
6)『ひまわり』 和歌山静子・作(こどものとも年少版 2001年・8月号)


2010年6月 2日 (水)

『ヤノマミ』国分拓(NHK出版) その1

■明日の水曜日は、きのう家族みんなで話し合って「ノー・テレビ、ノー・ゲーム、ノー・インターネット・デイ」とすることに決まった。なぜ明日になったかと言うと、次男が「嵐の番組がないから水曜日がいい」と言ったからだ。でも、中日 × オリックス戦のプロ野球中継はあるぞ、大丈夫か?>次男。でも、誰も次男のことなど心配してはいない。と言うのも、耐えられないのは「おとうさん」だけだと、みんな思っているからだ。なにくそ! 耐えてみせるぞ24時間。


■という訳で、あと25分ほどでこの MacBook をシャットダウンしなければならない。再起動は25時間後。

日曜日の夜から、話題の『ヤノマミ』国分拓(NHK出版)を読んでいる。とっても面白い。いま 178ページ。読んでいて、吸い込まれていくような、不思議と怖い感覚に襲われる。読みながら何時しか知らぬ間に著者と同化してしまっているのだ。だから、ぼくの魂が遠くアマゾンの奥地に連れさらわれたまま帰ってこれなくなってしまうような不安に苛まれてしまうのだ。

ちょっと呪術的で怖ろしい本。

■未開の地に踏み込んで、野蛮な原住民と接触する話は過去にもいっぱいあった。有名なのは、コンラッド『闇の奥』だ。ワイルド・シングスとか、バーバリアンとか呼ばれるアフリカの野蛮人を、当時のヨーロッパの人たちは徹底的にバカにした。いまのアメリカ白人が黒人を差別するような感覚とは決定的に違う。

差別とか嫌悪というのは、近親憎悪とでもいうか「同じ人間である」と認めているから生まれる感情だ。ということは、ヨーロッパ人はアフリカ原住民のことを「同じ人間でる」とは認めていなかったんだな。彼らは人間ではなくて「ペット」と同じなのだと。そういう感覚なのだ。だから差別も嫌悪もない。だって、人間じゃないんだから。

コンラッド『闇の奥』に登場する、象牙密輸人のクルツも同じ感覚だったに違いない。彼は「密林の王」になることを夢見た。しかし、闇の奥で何時しか精神を蝕まれ「怖ろしい!怖ろしい!」と、うなされながら消えていった。

『ヤノマミ』も構造的には『闇の奥』と同じだ。

闇、なのだ。全くの、闇なのだ。 初めての体験だった。それは月のない夜で、どこからか、ぬるく湿った風が吹いていた。。僕は赤道直下の深い森の中にいて、一人、陽が沈んでいくのを見ていた。

ただ、決定的に違っていたことがある。

NHK取材班の国分氏らは、彼ら「ヤノマミ」から人間以下の存在「ナプ」と呼ばれ、徹底的に蔑まれバカにされ、差別され続けたのだ。これは読みながらすごく意外だった。彼らに比べれば、圧倒的な科学技術と文明と文化を持つ我々のほうが逆に「人間以下」の存在としてヤノマミから軽蔑されたことに。

著者らは、「男」としても認められなかったらしい。だからこそ逆に、ヤノマミの男たちが決して見ることができない「女だけの現場」をカメラに納めることができたのだ。


「ヤノマミ」とは、彼らの言葉で「人間」を意味する。(つづく)

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