12月12日は、小津安二郎の誕生日&命日
■女優の原節子が亡くなった。
ただ、ぼくの中では「永遠の人」だから、彼女は決して死ぬことはないのだ。そら、映画『東京物語』の中でも言っていたでしょ。「わたし、年をとらないことに決めてるんです」ってね。
今週号の「週刊文春」12月17日号の、小林信彦の連載「本音を申せば」のタイトルは、「原節子という大きな星」だった。読んでいて気になったのは、小林氏が
「戦時下での原節子の映画でハッとするのは一本だ。(中略)『望郷の決死隊』と同じ43年、山本薩夫の『熱風』である。」
と書いていることだ。この『熱風』は見たことがない。見たい。ぜひ見たい!
それから、小林さんが「木下恵介の映画の中で、ぼくがもっとも好きな作品だ」と言って、紹介しているのが『お嬢さん乾杯!』(昭和24年公開。木下恵介監督作品、佐野周二、原節子主演)だったこと。なんだか、うれしくなっちゃったな。
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原節子というと、戦前の映画『河内山宗俊』『新しい土』での、まだ10代だった彼女の笑顔と、ぼくが大学病院で受け持った高校生の女の子、Hさんの笑顔がそっくりだったことを思い出す。夏目雅子と同じ病気で美人だったHさんは、原節子さんの一生の6倍の速さで人生を終えた。
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■彼女のことは、ずいぶんと以前に書いたような気がする。「小津安二郎・生誕100年 そして、原節子のこと。(2003/12/12)」(クリックして、下のほうへスクロールしてゆくと出てきます)
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ぼくの一番の原節子は、やっぱり『東京物語』だけれど、『麦秋』の台所で一人「お茶漬けさらさら」の場面と、ラスト前の藤沢「鵠沼海岸」でのシーンも好き。あと、木下恵介『お嬢さん乾杯!』と、成瀬巳喜男『めし』も。小津安二郎『秋日和』の喪服姿も案外好きだったりする。合掌。(2015年11月26日)
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