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写真は、『週刊朝日』4月25日号の、116ページ。嵐山光三郎氏の連載エッセイ『コンセント抜いたか』の見開きだ。イラストは、南伸坊さん。少しだけ引用する。
坂崎重盛著『ぼくのおかしなステッキ生活』(求龍堂)が増刷となった。そんなめでたい日に、東京堂書店の六階ホールにて 重盛 vs. 嵐山公開対談<ぼくたちはステッキ仲間>が行われた。(中略)
私が2002年に日経新聞文化欄に書いた「欲情すれど執着せず」のコピーを持ってきた客がいた。このエッセイはよく覚えていて、六十歳になって「欲しいモノがなくなった」のは悟りなんぞではなくて、退化現象だと書いた。 モノを買うのは精神力と体力がいる。(中略)
私の世代は仕事中毒症といわれ、オヤジたちはみんな会社と恋愛関係にあり、ワーカホリックで「いそがしくて遊ぶひまもない」と不満を言いつつ走り廻ることが楽しかったのだ。(中略)
定年後にいかにして遊ぶか。モノを買う力が弱ったのは、収入が減ったからではなく、欲情する力が衰えたのだ。欲しいモノがあったら迷わず買う。のんびりと遊びつくす。断じて悟らない。受け身にならず。世間に欲情する、と宣言した。
十二年前に書いたこのエッセイは、重盛先生と浅草の居酒屋さくまで飲んだときに思いたった。(中略)
で、東京の盛り場を徘徊する重盛先生は、飲み歩く天然記念物として、テレビ番組にデビューすることになった。かねてより重盛先生の居酒屋通いに注目していたテレビプロデューサーがいて、BSジャパン(7チャンネル)で一年間の番組が始まった。毎週火曜、夜九時から十時ちかくまでの一時間番組「酒とつまみと男と女」の案内人。
ソフト帽をかぶり、ステッキを右手に持ち、丸メガネをかけた俳号露骨の坂崎重盛先生(「アルフィー」坂崎幸之助の叔父・千葉大造園学科卒)こと「のんきなとーさん」が全国ネットのテレビに登場します。 『週刊朝日4月25号 p116,117』
■で、今週の火曜日の夜に放送された、BSジャパンの番組を録画して見たら、春風亭一之輔師に、例の坂崎重盛氏、そしてゲストの料理研究家でエッセイストの平松洋子さんが出ていて、陽がまだ高いうちから飲み始め、2軒目に彼らが向かったのが、その例の浅草寺裏の「さくま」だった。
この店はいいな。牛すじ煮込みがめちゃくちゃ美味しそうだし、コの字型のカウンター内側で忙しく働く女性たちの佇まいが麟としていて、じつに気持ちよい。そして、坂崎氏が特別注文した「ステーキ」。もやしとニンニクがいっぱい乗った一皿。いやぁ、美味そうだったな。ここはぜひ、行ってみたいぞ。
■4月から新しく始まったこの番組、なんだかすっかりファンになってしまった。
特に、4月15日放送の「西荻窪界隈編」は出色だった。ホント面白かった!
雑誌『古典酒場』編集長、倉嶋紀和子さんの豪快な飲みっぷり、凄いな。そして、角田光代さん。この人もすごい。二人して昼間から酎ハイをぐびぐび飲んで、次々とお代わりしてゆく。
この「飲んべえ2人女子会」の、テレビに映って放送されていることをすっかり忘れたかのような素の喋りが、めちゃくちゃ面白かった。 飲めば毎回記憶をなくすのか!? 飲んで家に帰ると、バッグの中から得体の知れない物が次々と出てくるのか!
角田さん。のみ屋に履いてきたジーパン忘れて帰ってしまうって? どういうこと? パンツのまま家へ帰ったの? 謎だ。
■先週土曜日の「中日新聞」文化欄(コラム「大波小波」が載る、前日夕刊版と同じ)に出ていた記事
「BSでほろ酔い気分を」
11年目を迎えた BS-TBS「吉田類の酒場放浪記」(月曜夜)。イラストレーターで”酒場詩人”の吉田類が大衆酒場を巡り、酒と料理を楽しみながら紹介する。
牛久保剣プロデューサーは「吉田さんは自然に常連客に溶け込んでしまう。演出を排除し、日常の楽しさをそのまま伝えたい」。客と乾杯してつまみをもらい、酔っぱらう吉田に「ろれつが怪しい」などと静かに突っ込むナレーションも独特。(中略)
BSフジ「美しき酒呑みたち」(日曜夜、不定期)は、俳優の新井浩文が友人と二人で全国の居酒屋を旅する。2012年に始まり、俳優の綾野剛や森山未來らが登場した。(中略)
四月スタートのBSジャパン「酒とつまみと男と女」(火曜夜)。編成担当の柳川美波は「お酒は日常の一部。視聴者ニーズがある」と狙いを話す。
出演は毎回三人。聞き上手な俳優や落語家を進行役に、知識豊富な作家や雑誌編集長がご意見番で加わり、ゲストを招いて好きなことを語り合う構成で「組み合わせで楽しめる」(柳川)。はしご酒の道中、周辺スポットも紹介する。
視聴者との垣根を低くしようとナレーションは省いた。山下和晴プロデューサーは「出演者の会話をつまみに、楽に見てほしい」と話している。(中日新聞朝刊 4月19日付)
■ さて、先日読み終わった『日本の居酒屋文化』マイク・モラスキー著(光文社新書)の話にようやく移るのだが、この本はホント面白かった!
変な外人さん「マイク・モラスキー」が『青い目で不思議の国ニッポン探訪』するというキャッチを、たぶん彼は最も嫌うに違いない。最近、イギリス人一家が日本に旅行に来て日本食を満喫する本『英国一家、日本を食べる』(ぼくは未読)がヒットしたが、そうじゃないんだ。
1976年に来日後、断続的にのべ20年以上も日本(東京・京都)に住んでいるマイク・モラスキー氏は、日本人以上に、日本の「ジャズ喫茶」と「居酒屋」を愛してきたのだ。そして、日本語で数々の著作を書いてきた。何せ大学教授だからね。
で、スミマセンが、「この本」のことは、日をあらためて書くことにいたします。
ごめんなさい。というワケで、タイトルも変えました。
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