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2011年9月25日 (日)

NHK朝ドラ『おひさま』に登場する男集みたいに女性をたてる、ドン・ロスの「いなっせ」ライヴ

■主催者の前澤さんには、ほんとうに申し訳ないのだけれど、今年の「ドン・ロス、ジャパン・ツアー2011」Live at the 「いなっせ6階ホール」は、ぼくは正直いって不完全燃焼だった。もっと、もっと、もっと、ドン・ロスのギターを聴きたかったのだ。


ハードスケジュールの日本ツアー中ばで、疲れもピークと思われ、しかも前日の木曜日は、昼マチネ公演が「滋賀県守山市民ホール」であって、夜は名古屋市での公演。


で、翌日の金曜日を伊那市で迎えた彼らは、そんな疲労などまったく感じさせない圧倒的なパフォーマンスを聴かせてくれた。本当にすばらしかった。すばらしかったのだ。


ぼくはと言えば、午前中に妻と二人で松本に買い物に行って、午後4時からは伊那中央病院会議室で「信州小児科カンファランス」のネット・サテライト中継での参加。本会場の信州大学小児科をネットで県下5会場(長野市民病院・佐久総合病院・諏訪赤十字病院・伊那中央病院・飯田市民病院)を結んでの中継となった。「ネット会議」も試行錯誤のすえ、ずいぶんと進化してきたとは思うが、まだまだ実用化の道は厳しいというのが、申し訳ないが僕の感想だ。


■ネット・カンファランスはまだ1例目なのに既に1時間半以上を消費していたのに終結を見なかったので、悪いけれどぼくは途中下車。次の予定が入っていたからね。午後6時までに「いなっせ」に行かなければならなかったのだ。


慌てて「いなっせ」6階に行くと、思いのほか観客が少ない。あれっ? アコギ世界最高峰のドン・ロス公演だよ!?


3年前の伊那公演(2008/09/15)の時には、もっとこの日の3倍近く観客がいた。3月の大震災と原発事故以降、みな心のゆとりが無くなってしまったのだろうか? たぶん、そういう面もあったんだろうなぁ。残念だ。


■19時10分。オープニングで登場したのは、わが伊那市高遠町在住のミュージシャン「亀工房」だ。演奏曲目は以下のとおり。

1)「オープニング曲」(曲名不明)
2)「コーヒー・ルンバ」
3)「ブラーニー・ピルグリム~ロード・トゥ・リズドンバーナ」アイルランド民謡
4)「あんたがたどこさ」
5)「小さい秋みつけた」
6)「しゃぼんだま」
7)「マーブル・ホールズ」
8)「じんじん」
9)「ショウ・マスト・ゴー・オン」
10) 「ジャーニー」(この曲は、コンサートのオーラスで演奏された with Don Ross)


ぼくが彼らを聴いたのは、昨年6月の、高遠町福祉センター「やますそ」での、アントワン・デュフォール「ソロ・コンサート」以来だった。いつ聴いてもほんと素晴らしいな、亀工房。絶妙の夫婦のコンビネーションと、微妙な二人のズレが、これまたいいんだよ。


今回の演奏では、沖縄のわらべ唄が元になったという「じんじん」が一番印象に残った。
開演前に会場入口で助産師の池上道子さん「助産所:ドウーラ・えむあい」に会った。前澤さん家の6番目の男の子(現在、高遠第一保育園年中組?)を池上さんが取りあげて以来の縁なのだそうだ。それから、亀工房のライヴがある時には出来るだけ出向くようにしているとのこと。


■15分間の休憩の後、いよいよお待ちかね「ドン・ロス」の登場だ。


ところが驚いたことに、今回のライヴでは奥さんのブルック・ミラーの方が大きくメインにフューチャーされていて、ドン・ロス御大は、歌伴やバックコーラスでもって、夫として妻の歌を盛り上げることに専念していたのだ。だから、超絶ギター・テクニック炸裂のドン・ロス主役の曲は、この日の演奏の半分以下だったと思う。


ぼくの予想では、ブルック・ミラーはゲスト出演的な感じで、2〜3曲歌ってお終いかと思っていたのだが、とんでもない。ドン・ロスと全く対等な扱いで歌いまくったのだった。

いや、でも、ブルック・ミラーは、歌もギターもルックスも、めちゃくちゃカッコイイねぇちゃんだったなぁ。


この日の出で立ちは、ちょうど『ターミネーター2』の母親のような肩まるだしの黒のランニングシャツに、黒の革のパンツ。それでもって、右肩には「遠山の金さん」みたいに(桜吹雪じゃないが)大きな紅い薔薇(牡丹?)のタトゥーが映える。そんな黒ずくめのスレンダーなボディで、ブロンドのストレートロングヘアーを振り乱して熱唱するのだから堪りませんね。何がじゃ(^^;;


彼女の歌は、ジョニ・ミッチェルをもうちょっとアーシーに土臭くした感じとでも言えばよいか。なかなかに味わい深い歌を聴かせてくれた。オープニングの「You've Got My Attention」や、最新CDからのシングルカット曲「CANNONBALL」もよかったが、ぼくは「Two Soldiers」っていう曲が、シンプルでトラディショナルな響きがあって好きだな。

夫婦漫才とか、夫婦デュオの歌手とかは日本にもけっこういるが、夫婦ギター・プレーヤーで、夫婦共演で歌ってギター弾きまくるというのは珍しいんじゃないか。夫婦で目配せし合って気持ちよさそうに演奏する姿は、なんかとっても微笑ましくって、うらやましかったぞ。


■ドン・ロスが前回来日した 2008年にも、伊那市「いなっせ」でソロ・ライヴ(この時は奥さんぬき)があって、この時初めてぼくは彼の演奏を聴いたのだけれど、この時、ドン・ロスが自ら歌って聴かせてくれて、思いのほか体型に似合わず「歌が上手い」のでビックリした記憶があったが、今回のライヴでは、まさに彼のヴォーカル全開だったな。ドン・ロスが19歳の時に作ったオリジナルの歌も披露されたっけ。


コンサートの進行表は、彼(彼女?)の iPhone に記載されていて、それをチェックしながら交互に登場する感じだった。ドン・ロスが「マイケル・マイケル・マイケル」を熱演している後ろで、椅子に座ったブルック・ミラーが「その iPhone」で夫の後ろ姿の写メをフラッシュ焚いて何枚も撮ってたぞ。


■それから、英語力がとことん貧弱なぼくにはブルック・ミラーの曲の合間のトークがほとんど理解できなかったのだが、こんな話があった。


彼女が以前に夫に付いて伊那高遠を訪れた時(2008年 or 2004年?)本屋さんで一人の女性が彼女に話しかけてきたのだという。英会話を勉強中の彼女は、ブルック・ミラーを見て勇気を出して話しかけてきたのだそうだ。で、ブルック・ミラーがカナダのプリンス・エドワード島の出身と聞いて、その女性は、「知ってるわ。あの『赤毛のアン』の島ね!」と大盛り上がりになったそうだ。で、そのあと日本の伝統的なガーデニングの本とクッキングの本を送ってくれたとか何とかいう話だった。


ぜんぜん違ってたら、ごめんなさい。

■コンサート終演後、ブルック・ミラーの最新CD(カナダ本国でも未発売で、この日が世界初の販売だったそうだ)を購入し、めっちゃクールなCDジャケットに、ちゃっかり彼女に直筆サインをしてもらったのだった。えへへ。

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