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2010年2月 7日 (日)

『ちいさなまち』ふじたしんさく(そうえん社)

100207

■藤田新策さんの表紙イラストを初めて見たのは、たぶん『火車』宮部みゆき(双葉社)だったと思う。

その次は、スティーヴン・キングの『ペット・セマタリー』(文春文庫)かな。いや、逆だったかも?
ねっとりと緻密な筆でもって、黄昏どきの薄暗い風景が描かれると、イラストには描かれていないはずの「もののけ」が確かに「そこ」にいるかのように感じられるから不思議だ。


以来、本屋さんで見覚えのある表紙イラストの本を見つけると、「おっ!」と手に取ったものだ。


■その大好きな藤田さんが、はじめて絵本を描いた。

それがこの、『ちいさなまち』ふじたしんさく(そうえん社)だ。


これがいい。じつにいい。


水辺の街が舞台だから、画面の下 2/3 を水面が占める。
その水面に、さまざまな波紋が広がる。
実際に水面が動いているかのようだ。


そして、はっとするページがある。
風がやんで、波紋も消え、鏡のように静まりかえった水面に
色とりどりの落ち葉が浮かんでいる場面。
なんという美しさ!


雨が降り出すシーンもいい。
静止画なのに、まるでアニメーションのように動いて見えるのだから
ほんとうに不思議だ。


ストーリー自体も、ちょっとしたミステリーになっているので、
おたのしみに。


「作者自身のブログ」で、絵本制作の裏話が語られているので、こちらも要注目。

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