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2022年2月27日 (日)

小林信彦『日本橋に生まれて/本音を申せば 23』

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■小林信彦の小説以外の代表作『日本の喜劇人』の最新改訂版『決定版 日本の喜劇人』(新潮社)が 2021年5月20日に発刊されたが、ぼくはまだ買ってない。じつは、2015年10月に「日本の古本屋」で検索して、箱入りの『定本 日本の喜劇人(全2冊)喜劇人篇・エンタテイナー篇』を 6,000円(+送料500円)で購入していたからだ。ただ、手に入れただけで満足してしまい、まだ読んではいない。

それなのに「決定版」が出るのか! 悔しい。幸い、小林信彦氏は「決定版」用の追加原稿を新潮社のPR月刊誌『波』に連載しており、バックナンバーは伊那市立図書館で借りることができたので全てコピーした。だから買わなくてもよいのだ、と負け惜しみ。

■小林信彦氏は、1932年(昭和7年)12月12日生まれ(小津安二郎、フランク・シナトラ、E・G・ロビンソンと同じ誕生日)だから、今年90歳になる。2017年4月に脳梗塞で左半身不随となり、その後さらに2度、左大腿骨骨折を起こし度重なる入院とリハビリの日々が続いた。その間、20年近く続いている週刊文春の連載「本音を申せば」は中断された。

「週刊文春」は買ってきて最初に読むのは、決まって小林信彦「本音を申せば」だったから、連載が載っていない週刊文春は買わなくなってしまった。そしたら、知らないうちに連載は再開され、2021年7月8日号で終了してしまっていた。(まだ続く)

■小林信彦『日本橋に生まれて/本音を申せば 23』の前半は、「奔流の中での出会い」(週刊文春/ 2018年11月1日号〜2019年6月20日号収録)後半は、「最後に本音を申せば」(週刊文春/ 2021年1月14日号〜2021年7月8日号収録)

・野坂昭如に関して: 永六輔に「ああいう人物とつきあわない方がいい」と言われびっくりした。(p13)

・渥美清さんには、いろいろな噂があった。まずは、かつては浅草界隈の暴力団のような所にいたのではないかということ。(p25)

・長部日出雄: なんだか分からないモヤモヤした暗雲は彼が直木賞をとったころから始まっていた。そのために、私が何重にもひがんでいたと彼が考えていたのは、おそらく正しい。(p43 小林信彦は、芥川賞も直木賞も何度も候補に上がりながら、結局どちらも取れなかった)

・大瀧詠一: 小林信彦に彼のことを教えたのは、相倉久人。大瀧詠一が小林信彦のファンになったのは、以前から彼のファンであった伊藤銀次の影響によるらしい。

・井原髙忠: 「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」の「ゲバゲバ」という言葉は、そのころ流行していた「ゲバルト」から小林信彦が「ゲバゲバ大行進」というタイトルを思いついたのを、代理店が変えた。

・江戸川乱歩: ここが一番読み応えがあった。詳細は別に本があるらしいが。

・坂本九: 彼があの日、大阪行きの日航機に乗ったのは、自民党議員の選挙応援のためであった。

・伊東四朗: <重厚さ>と<軽薄さ>のあいだに漂っている人 ---- 芸人。(p147) 市川崑監督が、伊東さんを「からだとセリフのタイミングが見事。おもしろい」と評していた

・平野甲賀:「平野さんの文字は、人名だけでも<甲賀流>というぐらい、書店に常にある。それがない世の中はおかしい。一度、私が自分の名前を<正字にして>みたい、と言ったところ、平野さんは笑って言った。『小林信彦の彦を正字にすると<彥>になるんですよ。名前を途中から変えるというのはおかしいですよ』と平野さんは言った。」

とあるが、小林さんは<旧字>にしてくれと言ったのではなくて、明朝体とかの活字体にして欲しいと言いたかったのだと思う。これには笑ってしまった。

・ただ、同じ話は以前にも何度も読んだ気がするなあ。年寄りだからまあ仕方ないか。でも、彼のかつての友人知人はみな、とっくに鬼籍に入ってしまっている。淋しいいんだよ。彼は。

p196 を読むと、彼は週2回のデイサービスに通っているという。左半身マヒと2回の大腿骨骨折で、移動は車椅子と思われる。介護認定では要介護どれくらいなのだろうか?

■『決定版 日本の喜劇人』出版にあたって、小林信彦プレゼンツ これがニッポンの喜劇人だ!」という、小林信彦が太鼓判を押す日本の喜劇映画の数々が(2021/05/22 ~ 2021/06/04)に「シネマヴェーラ渋谷」で特集上映された。

・小林旭の代表作:『東京の暴れん坊』(助監督は神代辰巳!)『仁義なき戦い・頂上作戦』『縄張はもらった』(芝山さんは、あと『大草原の渡り鳥』を挙げている)

・クレイジーキャッツ:『ニッポン無責任時代』『大冒険』(「リオの男」のカバー?)

・森繁久弥: 『三等重役』『喜劇とんかつ一代』

・フランキー堺:『人も歩けば』

・伴淳三郎:『名探偵アジャパー氏』

その他いろいろ、amazon prime で見れるのは、どれくらいあるのかな?

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