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2018年8月

2018年8月12日 (日)

最近読み終わった本(2)『レコードと暮らし』田口史人(夏葉社)

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「赤石商店」で、田口史人「出張レコード寄席」を聴いてきた。いやあ、面白かった。最後まで聴いてみないと判らないさまざまなドラマが、人知れず作られたシングル盤レコード、ソノシート、ラッカー盤一枚ごとに確かにあった。あと、ポータブル・レコードプレーヤーの音が案外良くって驚いた。

昨日「明石商店」で、高円寺「円盤」店主:田口史人さんのお話を聴いていて、TBSテレビ『マツコの知らない世界』に呼ばれるんじゃないかと思った。そしたら「タモリ俱楽部」に既に出演されていたのだね。

7月13日

先日「赤石商店」で聴いた、田口史人さんの「レコード寄席」の最後にかけてくれたレコード、豊中市立第五中学校校長・田渕捨夫先生が退職する時の、あの感動的な言葉が、36ページに書き起こされて載っていたよ!『レコードと暮らし』。

続き)田渕捨夫校長先生のことば抜粋「いつも言う『過去』というものはみなさんの記憶にあるだけである。『将来未来』っちゅうものはみなさんの想像にだけある。実際に存在する実在は、今そこにあるみなさんそれだけなんだ」(『レコードと暮らし』田口史人著・夏葉社 37ページより)

続き)でも、田渕校長の言葉は、文字に起こした活字を目で追って読んでいても、伝わって来ないんだよなあ。ソノシートのレコードを、あの小さなポータブル・プレーヤーに乗せて、田口さんが神妙に神社の神主みたいな感じで、厳かにレコード針を落とすと、聞こえてくるのです。あの、田渕校長の声がね。

続き)先だって「赤石商店」にカレーを食いに行ったら、店主の埋橋さんが言った。「田口史人さんが帰る時、飯田線の時間がまだあったから、伊那北駅近くのレコード店『マルコー』に寄ってみたんです。そしたら、2階に案内されて、引き出しから「お宝」のレコードが次々と見つかった!」とのことです。

(以上は、ツイッターでの発言より再録)

■高円寺で、インディーズ・レコードや自費出版本を扱う店「円盤」を経営する田口史人さんは、1967年の生まれだ。ぼくより9つも若いのが信じられないような、年期を重ねたこだわりのアナログ盤愛好家だった。肩まではかからない中途半端な長髪で、牛乳瓶の底のようなメガネをかける田口さんは、どことなく早川義夫の雰囲気があった。

レコード店に勤務したあと、音楽ライターとして活躍されていただけあって、とにかく文章が読ませる。淡々と書いているようでいて、内に秘めた熱情がメラメラと燃え出すような、読者のココロを鷲づかみする文章を書く人だったのだ。(まだつづく)

2018年8月 4日 (土)

最近読み終わった本。『幸福書房の四十年』『レコードと暮らし』

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■『幸福書房の四十年 ピカピカの本屋でなくちゃ!』岩楯幸雄(左右社)を読んだ。

今年の2月に代々木上原駅南口店を閉店した、街の本屋さんの語りおろし本。『ガケ書房の頃』山下賢二(夏葉社)もよかったけど、この本もしみじみよいなあ。

「小田急線代々木上原駅前で、20坪の小さな書店「幸福書房」を、この2月で閉店することにしました。約40年前、私と弟の2人ではじめた店を閉める直接のキッカケは、店舗の賃貸契約の終了なのですが、やはり売上不振が決断した一番の理由です。

「本が売れない」。専門家がいろいろいっていますが、全部当たっていると、店番でお客様の様子などを見ているとそう感じます。

 閉店のお知らせのポスターを店舗に貼りだしたところ、思っていた以上の反響がありました。驚いた。残念だ。続けてくれ。何とかならないか。少しならお金は出す。これらの言葉がこれからの人生にどれほどのはげましになるでしょう。」(p6〜7)

■「幸福書店」の営業時間は、午前8時から夜23時まで。お休みは正月元旦のみ。あとの364日は休まず営業。店主の岩楯幸雄さんと奥さん、それに岩楯さんの弟夫婦の4人で家族経営を続けてきました。北口店と南口店を営んでいた時は、正社員2人とアルバイトを雇っていた時期もありました。

Koufuku

「昔も今も小さい書店へは本があまり入って来ません。書店の要望が通らないということです。そのため私たちは、最初の仕入れの段階からトーハンの店売というものに行きました。」(p17)

「書棚の一番下は引き出しになっています。店が元気な頃は在庫でぎゅうぎゅうになっていました。現在は、返品がはばかれるような『しょれた本』が入っています。もう時間が経ちすぎて返品が不能の本を『しょれた本』と呼んでいます。」(p28)

「仕入れについては、店の傾向、お客様の好み、自分の好みなど、結局は全てさじ加減です。お客様の顔を思い浮かべながら仕入れたからといって、『○○さん! この本入れておきましたよ!』なんてことはやりません。そんなのは嫌ですよね。行く度に声をかけられたり、定期購読を提案されたりしたらたまったものではありません。私がお客様ならそれは嫌です。」(p31)

「それと、当たりが良いのはやはり鉄道ファンの方々です。幸福書房のお客様で鉄道ファンの方は現在26人か27人です。顔もすぐ思い浮かびます。そして、雑誌が軒並み部数を減らしている中で、鉄道ファンの方々は絶対といっていいほど買ってくださる。とてもありがたいですね。」(p32)

「約40年の時代の時代の中で、出版業界は盛り上がり、そして苦しくなってきました。それは、私たち書店にも同じ事がいえます。ピカピカでなくなってしまったのは、本や雑誌が売れず仕入れのお金がないからです。ただ、それだけです。

 ここ10年で、雑誌の売上部数は驚くほど減り、様々な雑誌が廃刊となりました。」(p40)

「10年前まではとても文庫がよく売れました、いや、5年前までは文庫は売れました。そのよく売れた文庫本のスリップを正直に出版社に送ると、がんばりましたと文庫がたくさん送られてきます。しかし、最近では文庫が売れません。逆に、送られてくると困ります。どうしても欲しい本なら良いのですが、いらない本まで送られてきて、売れるかどうかも分かりません。なので、スリップは送らないのです。

 過去に送ったスリップの数によって、出版社からの本の入りやすさが決まります。幻冬舎には1回も送ったことがないので、入ってきにくいです。」(p53)

「本屋にもよりますが、毎日坪1万円売ることができたなら優秀な本屋といわれます。

この基準で幸福書房を考えるとどうなるか。幸福書房(20坪)の家賃は35万円です。2017年での1日あたりの平均売上は15万円なので、2日分の売り上げでは家賃を支払うことができません。これが今の幸福書房の現実です。とにかく苦しいのです。」(p55)

「幸福書房ではみすず書房、白水社、青土社の書籍をよく置いています。けれども、その置き場所は最初あった場所から徐々に移動して現在のレジ前の位置になりました。なぜ、場所が変わったのかといいますと、プロがいるのです。万引きのプロが。」(p71)

「大型書店でも(万引きが)結構頻発しているという事をいわれました。しかも、みすず書房の棚の担当の人がお休みの時を狙って万引きをされるそうです。(中略)

「万引きされて困るのは書店です。幸福書房で万引きが起こったら、幸福書房が売上として計上するだけです。それが出版社の売上になるので、損をするのは書店。」(p73)

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