山下澄人『鳥の会議』(河出書房新社)『ルンタ』(講談社)
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■最近、すっかり山下澄人さんのファンになってしまった。読んでいる時間が、不思議と心地よいのだ。いつまでもずっと読んでいたい。何だかよく分からないのだけれど、中毒性のある作家さんなのだ。基本、視覚的・映像的文章であり、しかも、耳からも来る文章なんだな。地の文も、会話の大阪弁も、読んでいてとても気持ちがいい。作者が一人で勝手に漫才みたいな「のりつっこみ」するんだよ。
その独特なグルーブ感が癖になって、知らないうちに、似非大阪弁で自分もしゃべっていたりするんだ。もうめちゃくちゃ影響大だな。
■このところツイッターに書いてきた感想を、ここにまとめておきます。ただし一部改編。
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山下澄人『ルンタ』(講談社)を読んでいる。これ、いいなあ。なんか好きだ。82ページまで読んできて、突然ぬっと、牡の黒馬ルンタが登場した。驚いた。チベット語で「風の馬」っていう意味なんだって。それにしても、主人公が吹雪に見舞われて膝までの豪雪って。関西の話じゃないんか? 北海道なのか? それとも、夢?(2015/01/18)
馬といえば、内藤洋子だ。このところ評判の悪い喜多嶋舞の母親でもある。「白馬のルンナ」っていうレコードも出しているんだよ。「ルンナ」は牝馬だろうな。白馬だし。だから、ルンタは「ルン太」で、黒い牡馬なんだと思った。
『ルンタ』山下澄人(講談社)読了した。これ、凄い。すごいな。なんかよくわからんけど、めちゃくちゃ感動した。いや、感動という言葉とは違うな。最新号の『TV Bros.』で、豊崎由美さんが『よはい』いしいしんじ(集英社)を褒めていて、
「さまざまな生を生き、死を死ぬ人たちのたくさんの肯定的な声が聞こえる祝祭感あふれる物語になっています。」
って書いているけど、これってそのまま『ルンタ』じゃん。さらには、
「いしい作品がどうしてわたしを幸せにしてくれるかというと、それは氏の小説が肯定感を基本にしているからです。生きていることは言うまでもなく、死んでいることも。男であることも女であることも。老人であることも子供であることも。美しい世界も醜い世界も。自分も他者も。此処も彼方も。」
と彼女は言う。山下澄人作品も、まったく「そう」だぞ。さらに追加すれば、山下作品では「わたし」という人称や、「過去も未来も現在も」時制は全く無意味にされてしまうのだ。すごいぞ。
ちなみに、いしいしんじは、ぼくも大好きな作家さんです。でも、最近は熱心な読者ではなくなっていたかな。ちょっと反省。
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『ルンタ』を読んでいて想い出したのは、柳田國男の『先祖の話』だ。人は死ぬと、ずっと遠くへ行ってしまう訳ではない。自分が生き生活していた里を見下ろす「故郷の山」の頂きに宿って、子や孫たちの家の繁栄を見守り、盆と正月には子孫の家に招かれ戻る。死者はいつだって隣にいる。(2015/01/30)
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今年読んだ本【日本の小説】のベストは、なんと言っても『鳥の会議』山下澄人(河出書房新社)だ。山下さんのことは、1月に下北沢B&Bで行われた、保坂和志&湯浅学対談の席で、保坂さんの口から初めて聞いて興味を持ったのだ。
そしたら、NHKラジオ第一の大友良英さんの番組に飴屋法水さんが登場して、飴屋氏が演出した芝居『コルバトントリ、』の台本を、大友良英氏のギターをBGMに朗読してたのをたまたま聴いて、あっ!また山下さんだ。そう思ったんだ。で、『コルバトントリ』(文藝春秋)を読んだ。面白かった。癖になる面白さだった。昨日の夕方アンコール放送があって、飴屋さんの朗読をもう一度聴いた。やはり、異様に感動した。録音に失敗したのが本当に悔やまれる。(2015/12/30)
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月刊文芸誌『新潮 2016.1』より、山下澄人「率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか」を読む。面白い。変にこねくりまわさずにストレートな一人語りなんだけど、やっぱり何か変。そこが好き。それにしても、最初から活字がみっちり並んでいて驚く。改行も余白もない。(2015/12/15)
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いや、ちょうどいま『鳥の会議』山下澄人(河出書房新社)の 30ページ目まで読んでいたところだったので、まさか著者自身の朗読が聴けるとは! びっくりだ。それにしても、やっぱネイティヴの人の発音とイントネーションは、ぜんぜん違うな。(2015/11/26)
山下澄人『鳥の会議』を読み終わった。喧嘩ばかりしている不良の中学2年生4人組の話なんだけど、これはよかった。すごくよかった。山下さんの文章って、映画のカット割りみたいだから、特にこの小説は映画にしたらいいと思う。
続き)『はふり』は、ずっと佐々木昭一郎の『さすらい』をイメージしながら読んでいたし、『コルバトントリ』は同じく『夢の島少女』のイメージだったから、『鳥の会議』も井筒監督というよりは、佐々木昭一郎の弟子の、是枝監督の感じのほうが案外リアルで幻想的な映像になるのではないかって、勝手に想像している。(2015/11/30)
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ピース又吉の『火花』が載っている『文学界 2015 2月号』は買ってきたまま未読だったのだ。で、『火花』は読まずに『はふり』山下澄人を読み始めた。154ページ。カタカナで外国の歌詞が載っている。最初、意味不明のデタラメ語かと思ったら、サッチモが唄う「この素晴らしき世界」だった。(2015/11/17)
山下澄人『はふり』(文学界 2015年 2月号)読了。これは上方落語の『東の旅』だな。喜六と清八の珍道中。四国四十八ヵ所巡りのお遍路さんは「同行二人」だけれど、『はふり』の「北の旅」は、結局「同行三人」だったのか? 分からない。『ロートレック荘事件』かも? と予測してたが違った。(2015/11/18)
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