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2016年2月12日 (金)

今月のこの一曲。デューク・エリントンの『ロッキン・イン・リズム』

■今ごろになって、ようやくディアンジェロのCD『ブラック・メサイア』を購入した。1曲目「AIN'T THAT EASY」は、ワザと調子っ外れでルーズな感じのドラムスとベース。なんとも不穏な雰囲気のブラック・ロックだ。

2曲目「IOOO DEATHS」はさらに不穏。調性が欠落した音楽。そう。まるで、エレクトリック・マイルスみたいじゃないか。ドラムスをたたいている3人のうち、クリス・デイヴは知ってるぞ。ロバート・グラスパーの『ブラック・レィディオ』に参加している人か?

つまり、めちゃくちゃ上手いのに、下手な振りしてドラムをたたいてるんだな。

でも、本気出すと怖い。9曲目「Betray My Heart」(この曲のドラムスは「クエストラヴ」だが)。この曲の中程から後半にかけて、ブラスが加わってからのスウィング感といったら、ハンパないな。 今あるジャズ音楽が、総掛かりで攻めてきたって、この曲を演奏する人たちが奏でる強烈なドライヴ感を超えることは出来まい。

それほど完璧で、ルーツ音楽を丹念に聴き勉強し知り尽くした者だけが許される「ブラックミュージック」の本質を「はい、どうぞ!」って、まるで3分間待ってカップヌードルが出来上がったみたいに、いとも簡単にぼくらに提示してくれているのだ。「この曲」では、デューク・エリントンが 1932年に作曲した「ロッキン・イン・リズム」を、たぶん間違いなくディアンジェロは意識しているに違いない。

彼はジャズという認識ではなくて、ブラックミュージックの源泉として「エリントン」を意識しているのだろう。さらには、大西洋を渡ってくる前のアフリカ大陸だ。3曲目「THE CHARADE」では、たしかにアフリカから吹く偏西風の音がする。

つまりは、このCDには「アフリカ大陸」の音もするし、エリントン楽団のハーモニーもある。さらには、マイルス・デイヴィスや「Song of the Underground Railroad」って曲を書いたジョン・コルトレーン、それに、キング牧師と共に黒人公民権運動を闘ってきたカーティス・メイフィールドの「ブラック・パワー」の血も脈々と流れている。

それにもちろん、マービン・ゲイやスティービー・ワンダー、プリンスもね。すべてが混沌としながらも、正統派「ブラックミュージック」の歴史を完璧に吸収して、反芻し消化した上で、彼はこのCDを作り上げたのだと思うぞ。ちょっと大げさ(^^;;


YouTube: D'Angelo and The Vanguard - Betray My Heart


YouTube: Rockin In Rhythm


YouTube: Duke Ellington - Rockin' in Rhythm


YouTube: Rockin' In Rhythm Weather Report Jazz Duke Ellington cover

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