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2013年2月24日 (日)

林明子『ひよこさん』(福音館書店)のこと(その2)

『ひよこさん』林明子(こどものとも 0.1.2. / 福音館書店)は傑作だと思う。


今までの「林明子さんの絵本」と絵のタッチがちょっと異なる「この絵本」のポイントは、『でてこいでてこい』と同じく、被写体の輪郭を「ふちどらない」ことにある。

ここは実はすごく重要な点で、「赤ちゃん絵本」の代表と言えば、ミッフィーの絵本でしょ。オランダの絵本作家、ディック・ブルーナさんは「うさこちゃん」を太い「黒のふちどり」で「かたどる」ワケです。赤ちゃんには、単純でハッキリした「かたち」と「色」の方が認識力が高まると考えられていたからね。

でも、現実の世界ではさ、物体は「黒くふちどられて」はいない。もっと境界不鮮明で、なんとなく「ほわん」と存在してる。実際にはね。たぶん、そこのところを、絵本編集者で作家の征矢清さんと、画家の林明子さんは「こだわった」のではないか? そう思ったのだ。

「質感」って言ったらいいのかな。例えば、落ち葉一枚の丹精な描き方を見よ! それから、

ひよこの毛の「ほわほわ」感、おかあさんの毛の何とも暖かそうで、全てをやさしく包み込んでくれる感じが素晴らしいじゃないですか。

あとは時間の経過ね。夕方から夜も更けて、やがて夜明けで日が昇る。
その時間を、刻々と変化する空の色の微妙なグラデーションの色合いで表現している。これが何とも美しい色が出ていて、とにかく素晴らしい。


絵本のストーリーはいたって単純だ。
いわゆる「行きて帰りし物語」。

母親の元を離れて、ちょっと冒険の探索行に出たはいいけれど、おうちへ帰れなくなってしまったやんちゃ坊主。でも、案外困ってない。おかあさんが迎えに来てくれることを確信しているから。安心しきっているのだね。この何とも言えない「あっけらかん」とした「ひよこの表情」が好きなんだなぁ。


■林明子さんは、この「ひよこ」を描くにあたって、いろんな「ひよこの玩具」を集めたのだそうで、ご自宅の飾り棚には、さまざまな「ひよこ」が並んでいた。でも、どうも満足のいく「ひよこ」がなくて、結局『こんとあき』の時と同じように、自分で「ひよこの縫いぐるみ」を作ってしまったのだそうだ。

ただ、いまひとつ、かわいくない。

そこで、思い切って「ひよこの足」を太く大きくしてみたら、すごく可愛くなったんだって。たしか、そう仰っていたな。(もう少し続く)




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コメント

はじめまして。”林明子”で検索し、貴HPにたどりつきました。
私もむかーしからの林明子ファンです。
ひょんな事から妹さんのお店がある、と聞いて、遠路はるばる訪ねて行きました。その妹さんがとてもステキな方で、単なる1ファンの私を暖かく迎えてくださいました。
それからは年に1,2度訪問するようになり、そのつど、林明子さんの近況など教えて頂いていたのですが、去年、妹さんの計らいで林明子さんとお会いできました!
「まるい地球のまるいちにち」出版の際のサイン会でお見かけして以来でしたが、本当に気さくですばらしいお方でした。30分ほどでしたが、女房と妹さんと4人で、夢のようなひとときを過ごしました。
「ひよこさん」もサイン本を持っていますよ。

思いを共有できる人に出会えたうれしさに、不躾にいろいろ書きました。
またちょくちょくHPにお邪魔させて頂きます。

4次元ゴンベ さん コメントありがとうございました。妹さんのお店というのは、中軽井沢にある雑貨屋さんのことでしょうか? 僕も家族で一度訪れたことがあります。10数年前のことです。

福音館書店の月刊誌『母の友』5月号は、もう読まれましたか? 「林明子の世界」という特集記事がすごく充実しているのです。林さんの軽井沢のご自宅のカラー写真が満載で、しかも、林明子さんの全ての絵本リストも載っています。

林さんにお会いできたことは、本当に大切な思い出としてブログには書かずにそっと心の中にとっておくつもりでいたのですが、『ひよこさん』を手に取ったら、どうしても書かずにはいられなくなってしまったのでした。

そんな訳なのです。

男性の「林明子ファン」同士として、
これからもよろしくお願いいたしますね。

しろくまさんに教えて頂いた「母の友・5月号」を入手しようと今日書店に行きましたが、すでに6月号が出ていて、買えませんでした。ガッカリしてふと書棚を見たら「こんとあき」の絵が目に飛び込んで来るじゃありませんか。なんと、「MOE・6月号」でも”林明子の絵本の秘密”という巻頭特集(49ページ!)が組まれていたのです。しかも”林明子名作絵本ポストカード”の付録付き!
「母の友」は未読なので比較はできませんが、こちらもかなりの読み応えです。読んでいて何故か胸が熱くなりました。バックナンバーにならないうちに、しろくまさんも是非お買い求め下さい。(決して白泉社の回し者ではありません)「母の友」ももちろん買いますよ。

4次元ゴンベさん こんばんは。

買ってきました!『MOE』6月号。『はじめてのおつかい』で、坂の上にある「筒井商店」が、まさか実写版の写真で拝めるとは。しかも、あの掲示板もそのまんま。驚きました。

教えていただきありがとうございました。

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