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2016年9月26日 (月)

第19回 小津安二郎記念「蓼科高原映画祭」茅野市で、『東京暮色』をみる。

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■お昼12時から、茅野市民館で『晩春』デジタル修復版を観る。素晴らしい画像と音声がよみがえっていた。続けて午後2時より、「新星劇場」へ移動して『東京暮色』をみる。

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       ■観客は、ジジババばかりじゃないか!

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■茅野市駅前の「新星劇場」で小津安二郎監督作品『東京暮色』を観る。30年前からレーザー・ディスクでは持っていたのだが、じつは見たことはない。暗いとか失敗作とか、さんざん言われていたからね。いやいやどうして、面白いじゃないか! 140分間まんじりともせずスクリーンに釘付けだ。今こそね!

今回の上映は、プロジェクターでのビデオ上映でなく、ちゃんと 35mmフィルムでの上映だった。思いの外フィルムの状態も良く、子持ちで出戻りで、大きなマスク姿の原節子は妙に美人が際立っていたぞ。それから山田五十鈴。よかったなぁ。ただただその場で流されて行くしょうもない女を見事に演じていた。

それにしても『東京暮色』って、それほど悪くないんじゃないか? むしろ昭和32年の公開当時よりも、平成28年の「いま」観たほうがリアルに響いてくるような気がする。特に、有馬稲子の切実さが何ともやるせない。何故あんなにも最低な男に惚れちゃったんだよ。

『東京暮色』上映の前に、茅野市民会館で『晩春』デジタル修復版(2015)を観る。先だって、NHKBSで放送されたのは録画したのだが、テレビで見ると、白黒スタンダード画面は両端が切れてしまうので、しらけてしまうのだ。だから映画館で観たかった。素晴らしい画像で明瞭な音声。感激だ!

小津の『東京暮色』は、バイプレーヤーの宝庫だ。杉村春子、浦辺粂子、田中春男、藤原鎌足、中村伸郎、長岡輝子、高橋とよ、桜むつこ、高橋貞二、須賀不二雄、宮口精二。『東京物語』の、山村聰もパチンコ屋に登場した。宮口精二と言えば、黒澤明『七人の侍』もデジタル修復完了とのこと。

是非とも観たい!

小津安二郎『東京暮色』の続き。この映画が、アンチ『晩春』であるという感覚は、一昨日たまたま続けて見たから、僕もホントそう思った。「小津安二郎『東京暮色』のすべて(その1)〜(その8)」の詳細な分析は凄いぞ! ameblo.jp/kusumimorikage…

■さらに『東京暮色』の続き。BGMがね、めちゃくちゃ暗い映画には完全にミスマッチの異様な明るさ。『お早よう』〜『秋刀魚の味』で流れる、あの能天気であっけらかんとした音楽が、そのまま使われているのだ。不思議だ。それから、藤原鎌足のラーメン屋「珍々軒」のシーンでは、何故か必ず沖縄民謡の「安里屋ユンタ」。

さらに『東京暮色』。銀行家の笠智衆が住む、坂の上の雑司ヶ谷の家。家に帰る人(笠智衆、原節子、有馬稲子)家を訪れる人(杉村春子、山田五十鈴)みな、坂をのぼってくる。自宅での夜のシーンが多いが、外で犬が遠吠えしていて、山田五十鈴が訪れるシーンで「その犬」が初めて画面に登場する。

■終盤、上野発 21:30分の青森行き夜行列車に乗って、出発を待つ山田五十鈴と中村伸郎。原節子が見送りに来るかもしれないと、冬なのに列車の窓を開けて必死にホームの人混みの中をさがす山田五十鈴が哀しい。来るわけないのに。

列車が停車しているのは、12番ホームだ。小津安二郎は、12月12日に生まれて、12月12日に亡くなっている。

■この映画に関しては、もう少し掘り下げたいと思うので、ネットで見つけた注目すべきサイトを以下に上げておきます。

 ・「ビッグ・ウエンズデーのためのレジメ」ミズモト・アキラ

 ・同上「当日の様子」 ミズモト・アキラ & 堀部篤史

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