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2016年6月24日 (金)

ロックって何だ?

■毎週すっごく楽しみにしていたテレビドラマ『重版出来』(TBS)と『奇跡の人』(NHKBSプレミアム)と『トットてれび』(NHK総合)が、相次いで終わってしまった。生き甲斐をなくしてしまったみたいで、ほんと空しい。あとは『真田丸』だけか……。

『奇跡の人』(第7話)で、光石研さんが演じる「八袋さん」が、「いい夜だぁ。生きててよかった」と、しみじみ言うシーンがある。このセリフは『泣くな、はらちゃん』で彼が演じた課長さんにかけた呟きでもあり、映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』で、松田龍平と決闘する峯田和伸に、ボクシングの決め技を伝授する小林薫と同じ役割(光石さんはレスリングだが)を果たしたからでもある。

『重版出来』(第9話)。デビューの決まった新人漫画家:中田伯(永山絢斗)も言う。「生きててよかった! 生まれてきてよかった」と。

『奇跡の人』(第8話)。山形から上京してきた ばあちゃん(白石加代子)が、一択(峯田和伸)にこう言うのだ。

「どうやって生きていったらいいか、そんなもんに答えはねえんだ。生きてくしかねんだ。人間は。あとは上等に生きるかどうかだ。わかっか?」

『奇跡の人』ラストシーン。一択は、海に向かって叫ぶ。

「生ぎででよがっだ! これからも、生ぎでぐぞぉ〜!」

「LOVE & PEACE & ROCK & SMILE だぁ〜!」

■以前にも書いたが、毎週日曜日の夜、このドラマを泣いて笑ってまたボロボロ大泣きして見終わると、何とも言えない「シアワセ」な気分になって、こんなバカが堂々と一直線に突っ走って生きてるんだから、どうしようもなくダメでクズな俺でも生きてていいんだって、カミサマに許してもらえたような気がしてきて、翌日のブルーな月曜日もなんとか頑張って乗り切ってこれたのだった。

この感じ、何かに似てる。そうだ、寄席とか落語会に行って、大笑いして、ちょっとだけ泣いて、満足して家路につく時にいつも感じる「シアワセ」な気分といっしょなのだ。落語の世界には、与太郎をはじめとして、とにかく「どうしようもないバカ」しか登場しない。

みんなに「バカ」「バカ」って言われながらも、じつは心底心配され、支えられ、愛されている存在。ドラマでは、峯田和伸が演じる亀持一択がまさに「それ」だ。映画でいえば、柴又帝釈天「とらや」の、おいちゃんが「寅はほんとにバカだねぇ」って言うセリフも同じだな。

映画『男はつらいよ』も、観客は見終わって映画館をあとにするとき、何とも言えない「シアワセ」な気分に浸っていたはずだ。でなければ、盆と正月は必ず「寅さん」を観に行こうなんて思わないもの。(まだまだ続く)

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コメント

その気分、わかります。「ゆとりですがなにか?」も良かったですよ。ドラマの終わりはいつも虚脱状態になります。でも、WOWOWの「沈まぬ太陽」第2部がはじまります。これにも力作です。真田丸とコレですかね、今の楽しみは。それにしても、この3冊の本、気になりますねぇ・・。

羊子さん、こんばんは。コメントありがとうございました! 『ゆとりですがなにか?』は、見てないんです。そしたら、『TV Bros.』最新号で、映画監督の大根仁さんが、『ゆとり〜』は、宮藤官九郎脚本ドラマの最高傑作だと思う。このドラマkのスタッフワーク(撮影・照明・キャスティング・美術・編集・制作部)はすべて最高だった。そう書いてましたよ。

そうだったのか。秋にDVDが出たら、レンタルしてきて見ようかな。

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