今月のこの1曲。インゲル・マリエ・グンナシェン『 Will you still love me tomorrow』
YouTube: Inger Marie Gunderson - Will You Still Love Me Tomorrow
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■この曲に関しては以前に一度、取り上げたことがあって、調べてみたら「2007年5月31日の日記」に書いてあった。
ここで内田樹先生が「音楽との対話」の中で言及している、キャロル・キングのセルフカヴァー・ヴァージョンはこれ。
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YouTube: carole king will you still love me tomorrow lyrics
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■名盤『つづれおり』B面3曲目にさりげなく収録されている「この曲」は、レコードで聴いていた時には僕はほとんど聞き流していた。まぁ、主にA面がターンテーブルにのってたし、B面は1曲目の「君の友だち」しか聴かなかったからなぁ。バック・コーラスで、ジェイムス・テイラーとジョニ・ミッチェルが仲良くハモってるっていうのにね。
ぼくがあらためて「この曲」のよさに気づかされたのが、当時まったく無名だった、ノルウェーのおばちゃんジャズ歌手インゲル・マリエ・グンナシェンが歌ったヴァージョンを、たまたま聴いた時だった。なんていい曲なんだ!
はじめて大好きな彼と結ばれた夜。幸せの絶頂にあるはずの女の子。でもその瞬間、明日の朝には彼に捨てられてしまうかもしれない不安がよぎるのだった。
こんなにもデリケートでガラス細工みたいな女の子の心の内を「歌詞」に表現したのは、じつはキャロル・キングではない。彼女は曲だけを先に作ったのであって、詩を後から付けたのは、当時彼女の夫だったジェリー・ゴフィン。男なのに、なんで切ない女心が分かるのだ?
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■「この曲」は、1960年に黒人ガールズ・グループの「ザ・シュレルズ」が歌って、ゴフィン&キングのコンビで作詞作曲した曲の中で、初めて「全米ベスト1」を獲得した記念すべき一曲となった。
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YouTube: THE SHIRELLES - Will You Still Love Me Tomorrow [ 60's Video In NEW STEREO ].mp4
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YouTube には、さらにいろんなカヴァーが登録されている。有名所では、エイミー・ワインハウスとか、ノラ・ジョーンズとか。
でも、ぼく個人的には「ザ・シュレルズ」のリード・ヴォーカルの娘が「この曲、すっごくイモっぽい( too country )から歌うのやだ!」って言ってた、そのままの野暮ったさで素朴に唱っている、インゲル・マリエ・グンナシェンのカヴァーが一番いいんじゃないかと思う。
■ただ、この人の次に出たCDも買ってはみたのだけれど、結局「この曲」だけだったな。よかったのは。
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YouTube: 桑名正博 will you Love Me Tomorrow.
こんなのも見つけた。Char のギターソロが渋いぞ。
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■ところで、「この曲」が誕生した時の印象的なエピソードを、たしか内田樹先生がブログに書いていたはずなんだけど、検索したら見つかりました。これです。
「シープヘッド・ベイの夜明け」。これは何度読んでもジーンとくる話だなあ。
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■それから、内田センセイと師匠の大瀧詠一氏がこだわった「鼻濁音」だけれど、もう一人、ものすごく「鼻濁音にウルサイ」人がいて、そのことは『落語家論』(ちくま文庫)に詳しく書かれているのだが、そうです。その方こそ、柳家小三治師匠なのでした。
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