「高遠エフェクト」展 at the 信州高遠美術館
■なかなか時間が取れなくて、今日になってようやく行ってきました。信州高遠美術館。
5月28日〜7月12日(日)まで、次世代を担うピチピチの若手アーティスト7人が集結した「高遠エフェクト」展が開催されているのだ。田舎の公設美術館としては、かなりの実験的冒険企画だと思うのだが、実力のある若手美術家に美術館の展示スペースを「すべて」与えて、自由に跳びはねてもらおうって、いやぁ、なかなかできないよ。ほんと。すごいな。
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それに、若手ならではのフットワークの軽さからか、参加アーティストが講師を務めるワークショップが6つも企画されている。
僕らが美術館を訪れた日曜日の午後にも「美術展づくりをロールプレイ! 〜自分だったらこんな美術展を作ってみたいな!」というWSが開催されていた。講師は、ムカイヤマ達也さん。見た感じ、まだ20代だよな。
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第一展示室に入ると、まずは左の壁一面に、約10m近くにわたって「藤沢まゆ」さんの染色画が、左から右へと「物語」を奏でる巨大な壁画のような圧倒的な迫力と繊細な美しさで、見る者を別世界へとトリップさせてくれる。これは本当にすばらしい!
面白いのは、オブジェが「平面」ではなくて「立体的」に展示されていることだ。
つまり、染色された布の裏に型紙を貼り付け、ハサミで型を切り取って、蝶々や魚、蛾やキノコたちを「奥ゆき」があるかの如く少し前後に重ねて配置することで、作品の「3D的」楽しさが新たに加わっているのだった。
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(写真をクリックすると、もう少し大きくなります)
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藤沢まゆさんのことは、ちょうど5年前の2010年6月20日に、信州高遠美術館で個展を開いた時のことを「ここ」に書いた。
現在、「新宿ルミネ1」のエレベーター各階の扉と内装の絵として、彼女の作品を見ることができるのだそうだ。(6月いっぱいまで。8月からは、横浜ルミネのエレベータで展示されます。)
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第二展示室に入るといきなり、正面ショーケース内の「オオカミの着ぐるみ」の展示で、度肝を抜かれる。さらに左手に目を向けると、上伊那郡中川村に住み、農業を営みながら地元農民と山の木々を対比した絵を書いている「北島遊」さんが描く「超ど迫力の農村画」(なんと、全ての絵のタイトルが同じ「生きる」なのだ)が目を引く。
ちょっと見、「原田泰治」風の「ほのぼの田舎絵」なのだが、ところがどっこい、裏山の森の杉の木は、ゴッホが好んで描いた南仏糸杉の「ぐるぐる渦巻」みたいになっていて、おどろおどろしい得体の知れない力を秘めた自然の驚異と、人間が根本的に持つ情念と不安と恐怖のイメージをダイレクトに醸し出しているし、絵の最前面に小さく配置された人物像だって、原田泰治と言うよりは、どう見ても「いがらしみきお」の漫画に登場する一癖も二癖もある人物のような感じだ。
そう、「いがらしみきお」だよ。「I・アイ」とか「かむろば村へ」とかね。
これは是非、本物を見るべきです。オススメです!
7月12日(日)までだから、あと3週間やってます。
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