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2014年5月25日 (日)

今月のこの1曲。「月は無慈悲な夜の女王」ラドカ・トネフ

Radka Toneff - The Moon's a Harsh Mistress 嚴厲的月光夫人
YouTube: Radka Toneff - The Moon's a Harsh Mistress 嚴厲的月光夫人

 Ballad Of The Sad Young Menで発見した、ノルウェーのジャズ歌手「ラドカ・トネフ」のことがずっと気になっていて、結局ネットで中古盤を2枚(ハンブルグでのライヴとベスト盤)新品で彼女の遺作『フェアリーテイルズ』を入手した。

『フェアリーテイルズ』の冒頭に収録されているのが、この曲「The Moon's a Harsh Mistress」だ。ピアノ伴奏のみで唄われるこのCDの中でも特別印象的な一曲。

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■この曲、どこかで聴いたことあるよなって思ったら、YouTube にパット・メセニーとチャーリー・ヘイデンのデュオ・ライヴの映像があった。そうか、『ミズーリの空高く』6曲目に入っていて、何度も聴いてたんだ。

Pat Metheny With Charlie Haden - The Moon Is A Harsh Mistress
YouTube: Pat Metheny With Charlie Haden - The Moon Is A Harsh Mistress

■この曲のオリジナルは、アメリカのソングライター、ジミー・ウェッブで、『夏への扉』で有名なSF作家ロバート・A・ハインラインの小説『月は無慈悲な夜の女王』矢野徹・訳(ハヤカワ文庫)に触発されて出来上がったのだという。ぼくは未読。

この曲を、ジョー・コッカー、リンダ・ロンシュタット、ジュディ・コリンズ、 ケルティック・ウーマン、 Grazyna Auguscik など、いろんな人がカヴァーしているが、曲のタイトルと歌詞、その歌唱がベスト・マッチングしているのが、何と言っても「ラドカ・トネフ」のヴァージョンだ。

彼女は、『Live In Hamburg』を聴いても分かるとおり、エモーショナルに気持を歌に込めて力強く熱唱するタイプの歌い手だ。ところが、『フェアリーテイルズ』では彼女は自らシャウトを禁じている。パッションを内に隠し、ガラス細工のように繊細で儚く危うい歌声。まさに太陽に照らされて光る月の輝きのごとく、どこか冷めた暗い覚悟、諦観のような彼女の思いが、聴いていてひしひしと伝わってくるのだった。



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