「おかあさんの唄」こどものせかい5月号付録(にじのひろば)至光社
■月刊カトリック保育絵本を出している「至光社」さんから原稿の依頼があった。
「よぶ」というテーマで書いて欲しいという。
案外むずかしいテーマだ。正直困った。
四苦八苦して書き上げたのが以下の文章です。
『こどものせかい5月号:こんにちは マリアさま』牧村慶子/絵、景山あきこ/文(至光社)の折り込み付録「にじのひろば」に載せていただきました。ありがとうございました。
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『おかあさんの唄』 北原文徳(小児科医)
アン・サリーの歌声が好きだ。ジャズのフィーリングとリズム感が抜群で、英語やポルトガル語の歌詞の発音もネイティブ並にいい。でも、聴いていて一番沁み入るのは、『星影の小径』や『満月の夜』などの日本語で唄った楽曲だ。
最新CD『森の診療所』は、うれしいことに日本語の歌が多い。中でも映画『おおかみこどもの雨と雪』の主題歌が素晴らしい。ぼくは映画館で聴いて、それまで我慢していた涙が突然止めどなく溢れ出し、照明が点くのが恥ずかしくて本当に困った。映画は、子供の自立と、親の子別れの話だった。
昨年の夏、児童精神科医佐々木正美先生の講演を聴いた。先生は以前から同じことを繰り返し言っている。子育てで一番大切なことだからだ。
「子供が望んだことをどこまでも満たしてあげる。そうすると子供は安心して、しっかりと自立していきます。ところが、親の考えを押しつけたり、過剰干渉すると、子供はいつまでも自立できません。」
「生後9ヵ月になると、赤ちゃんは安全基地である親元を離れて探索行動の冒険に出ます。母親に見守られていることを確信しているから一人でも安心なんです。ふと振り返り、母親を呼べば、いつでも笑顔の母親と視線が合う。決して見捨てられない自信と安心を得た子供だから、ちゃんと自立できるのです。」
アン・サリーの歌にも「おおかみこども」が母親を呼ぶ印象的なパートが挿入されている。優しいアルトの落ち着いた歌声。彼女自身、二人の娘の母親だ。レコーディングやコンサートに、彼女は必ず娘たちを連れて行くそうだ。
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■ついでに、1年前、福音館書店のメルマガ「あのねメール通信:2013年6月19日 Vol.142」に載せていただいた、「ぐりとぐらと私」。
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