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2013年9月25日 (水)

「ビブリオバトル」に参加してみた

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「ビブリオバトル」ってご存知だろうか?

ぼくは知らなかった。でも、ひょんなことから出場する羽目になってしまったのだ。

先週の金曜の夜、次男をアンドレア先生の英語教室に高遠「やますそ」まで送っていった後、借りてた本を返しに高遠町図書館へ行った。そしたら、館長さん以下、図書館スタッフのみなさん全員が残って忙しく「図書館まつり」の準備をしていた。そうか、土日月の連休は「燈籠祭り」&「高遠ブックフェスティバル」だったんだね。

 

ふと、館長さんと目が合ってしまった。嫌な予感がした。館長さんは言った。

「北原先生、月曜日に図書館で『ビブリオバトルやるんですけど、高遠高校の石城校長先生がぜひ北原先生とビブリオバトルで対決したいって言ってましたよ。どうですか? 出場してみませんか?」

売られた喧嘩は受けて立たねばなるまい。「はい、やります!」ぼくは即答した。というワケなのです。

 

■当日(9月23日午後2時:高遠町図書館2階和室)は、長野県における「ビブリオバトル」のイノベーター、信州大学経済学部講師:荒戸寛樹先生の紳士的で穏やかな司会進行で会は始まった。思いの外聴衆も多いぞ。

 

■以下、月曜日のツイートから。

 

「高遠ブックフェスティバル」&高遠町図書館まつり合同企画「ビブリオバトル IN 高遠」。第一回戦は若手図書館司書さん5人による対戦。初めて見たけど、面白いなぁ。ビブリオバトル。

 

続き)「ビブリオバトル IN 高遠」紹介された本は『吾輩は猫である』夏目漱石(初版本復刻版)『運と幸せがどんどん集まる「願いごと手帖」のつくり方』ももせいづみ『妖怪セラピー』芥子川ミカ『落下する夕方』江國香織『辞書を編む』飯間浩明(光文社新書)。で、勝者は『辞書を編む』でした。

 

続き)「ビブリオバトル IN 高遠」第二回戦の出場者は4人。高遠高校の石城校長先生、超ベテラン学校図書館司書の矢口先生、高遠町図書館司書の植田さん、それから僕。それにしても、出場者になるともの凄く緊張する。5分間という時間配分も予定通りにはいかず、へろへろになってしまったぞ。

 

続き)「ビブリオバトル IN 高遠」第二回戦で紹介された本は、石城:『奈良登大路町』島村利正(新潮社)より「庭の千草」北原:『夢幻諸島から』クリストファー・プリースト著、古沢嘉通訳(早川書房)植田:『赤めだか』立川談春、矢口:『ビブリオバトル』矢口忠大(文春新書)。皆さん芸達者だ

 

続き)で、ウイナーは石城校長先生。見事なご紹介でした。これは読んでみたくなるよね。僕の敗因は、プリーストって読んだことある人?って訊いたら会場に一人もいなかったことか。海外文学ファンて、いないのかよ!仕方なく『魔法』『奇術師』『双生児』の話もしたので、なかなか本題に入れなかった。

 

■いやぁ、面白かったなぁ「ビブリオバトル」。予想以上だ。

ルールがシンプルだからいいんだね、きっと。5分間でプレゼンするというのは、学会発表と同じ制限時間だ。1分間でスライド1枚(ゆっくり喋って字数は300字)の時間配分が基本。

もちろん、パワーポイントもレジュメも使えないし、原稿を読んではいけないルール。あんちょこメモを見るのは許されるが。

 

実際には、メモを用意していた人のほうが少なかった。みな「何も見ずに」5分間という時間に四苦八苦しながらも、見事にプレゼンし終えていたのには感心したなぁ。凄いぞ。

 

■第一回戦で、最も素晴らしいプレゼンをしたのが、『運と幸せがどんどん集まる「願いごと手帖」のつくり方』ももせいづみ著を紹介した女性司書さんだ。ただ、あまりに本の要点を皆に分かり易く紹介してしまったので、聴いていて「もうその本を読む必要はないな」って思わせてしまうという、思わぬ弱点を露呈した。これは意外だった。聴衆に「読んでみたい!」と思わせる戦いだからね。

 

第二回戦では、何と言っても石城校長先生の紹介が素晴らしかった。作者に対する「愛」があるのだ。島村利正の幸薄かった叔母の半生を、季節ごとの高遠の行事(春の鉾持神社大祭、城趾公園での花見、サーカスが来たこと、嫁入り行列、そして燈籠祭りの夜)を通じて描かれた『庭の千草』という小説が如何に素晴らしいか、静かに淡々と語るすの姿が、聴衆の心を打った。しかも、無駄な言葉が一切なかった。流石だ。

 

植田さんは、彼女がどれくらい「落語」に入れ込んでいるかが判ってよかった。談春が自分の真打ち昇進試験に、談志の師匠である柳家小さんを助演に頼んで、小さんは快く了解し出演したのだが、その時の談志の驚きの反応を活写したシーンを、彼女は何度読んでも泣いてしまうと言った。「私、師弟愛が好きなんです!」 なるほど、ビブリオバトルとは、「本を通じて人がわかる」のだ。ぼくもね、『赤めだか』が出てすぐ読んだから、同じ落語好きとして、植田さんの気持ちが他人事でなくよーく分かるのだ。

 

でも、何と言ってもプレゼンの名手は、最後に登場した矢口先生だ。もうね、ブックトークとか散々やっている人でしょ。しかも、周到にプレゼンの準備をしてきて、起承転結が完璧! この本をオススメするポイントを、1)2)3)と箇条書きに整理して聴衆に分かり易く自分が読んで面白かった、ためになった点を提示してみせてくれた。しかも、一切何も見ずにね。凄かったな。

 

ぼくは完敗でした。まだまだ修行が足りない。反省。

 

それにしても、「ビブリオバトル」って、何か新しいワクワクする可能性を感じた。

自分でも開催してみたくなったもの。

来年の「日本外来小児科学会」で、ワークショップとして開催できないだろうか?

 

絵本とか、育児書とか児童文学とか。こども関連の本を皆で紹介し合ったら、ほんと楽しそうだな。

 

 

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「ビブリオバトル」に参加してみたを参照しているブログ:

コメント

先日はありがとうございました!
先生のプリースト愛、とても良く伝わってきた素敵なバトルだったと思います。

よろしければ、私達のブログ記事にこちらへのリンクを付けさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?

荒戸先生、コメントありがとうございました。
先達ては大変お世話になりました。面白かったです! ビブリオバトル。

どうぞ、リンクはって下さい。
こちらこそありがたいです。よろしくお願いいたします。

ありがとうございます。

ぜひ今後もビブリオバトルお楽しみ下さい!

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