小津安二郎監督作品『東京物語』(1953) デジタルリマスター版
YouTube: 『東京物語 ニューデジタルリマスター』 修復before&after比較映像
YouTube: 『東京物語 ニューデジタルリマスター』予告編
■昨日の夜に続いて、今日も「茅野市民館」へ行ってきた。
朝9時半から、小津安二郎監督作品『東京物語』ニュー・デジタルリマスター版の上映会があるのだ。しかも、上映後にこの映画に出演している、女優の香川京子さんとNHKアナウンサー・渡辺俊雄さんの対談がステージ上である。香川京子さんは、最近「信濃毎日新聞」で「私が出演した6本の印象に残る映画」とかいう? 連載をしていた。
彼女は、日本映画界の名だたる巨匠監督全ての代表作に出演している稀有な女優だ。
溝口健二『山椒大夫』『近松物語』、小津安二郎『東京物語』、黒澤明『天国と地獄』『赤ひげ』『まあだだよ』、成瀬巳喜男『おかあさん』『驟雨』、今井正『ひめゆりの塔』、熊井啓『深い河』『式部物語』などなど。
何故そのようなことが可能だったのか? 当時は「五社協定」のため各映画会社が専属女優を抱えていたので、監督は自社の女優しか使えなかったし、女優も自社の映画にしか出られなかったのにだ。実は、香川京子は日本で初めて「フリー」の女優になった人で、だからこそ映画会社各社の巨匠が使いたいとオファーがかかり、フリーだったからそれが可能になった。という渡辺俊雄さんの解説。なるほどね。
■映画『東京物語』のことは、2003年12月12日の日記 に以前書いたことがある。初めて見たのは、銀座「並木座」でだった。映画館で見た2回目は、長野市権堂に今もある「長野松竹相生座」だったような気がする。確か30年前、松竹が『生きてはみたけれど〜小津安二郎伝』というドキュメンタリー映画を作って、同時上映に全国系列館で「小津安二郎作品展」と称して、小津安二郎監督の代表作『東京物語』『秋刀魚の味』『彼岸花』『秋日和』をリバイバル上映したのだ。当時、北信総合病院小児科勤務だったから、その時見たに違いない。(上の写真は、その時のパンフレット。クリックすると別ウインドウで大きくなります。)
『東京物語』は、その1年後くらいに「レーザーディスク」で発売になり、もちろん即購入して何度も何度も見た。数年前にNHKBSで放送されたデジタルリマスター版は、高品質でHDに録画してある。
今回、茅野市民館で上映された『東京物語』は、ニュー・デジタルリマスター版とのことで、NHKBSで放映されたバージョンをさらにブラッシュアップしたものなのだそうだ。確かに、映像がめちゃくちゃ美しかった。(スピーカーが貧弱で音声はイマイチだったが)
今回見て特に良かったシーンは、熱海の海岸の防波堤のロングショット〜上野公園の西郷像横から上野駅方面を見下ろす場面直前の、小津監督には珍しい移動撮影。そうして、東山千栄子だけ原節子のアパートに泊めてもらう夜のシーン。東山千栄子が何も言わずただ原節子の手を取って涙するところ。ここが良かったなぁ。泣けた。(もう少し続く)
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