NHK朝ドラ『あまちゃん』の魅力を書いてみる
「なんてったってアイドル」
北原文徳
巻頭言に相応しい話題がどうしても思いつかないので、いま一番注目している、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の魅力について、その熱い思いを書く。 『あまちゃん』はイイ! とにかく面白い。明るい。そして、ヒロインがもうめちゃくちゃ可愛い。毎朝たった15分間に凝縮された中で、思い切り笑って泣いて癒されて、今日も一日がんばろう!って気持ちにさせられる。あの、ブガチャカ、ブガチャカいうテーマ曲が流れると、元気を満タンにしてもらえるのだ。やっぱり「朝ドラ」はこうでなくちゃいけない。 思い起こせば『純と愛』は酷かった。最終回に視聴率40%を越えた話題のドラマ『家政婦のミタ』の脚本家、遊川和彦が「アンチ朝ドラ」を旗印に、うざいヒロインが次々と不幸な事態に遭遇するという救いのない話を書いた。最終回まで我慢して見続けたが、最近 YouTube にアップされた「1分で振り返る朝ドラ『純と愛』」以上の内容は何もなかった。 「ポスト 3.11」を過分に意識したドラマとして、人間はそれでも生きてゆく必然を説いたつもりかもしれないが、毎朝NHKの朝ドラで見せられる作品ではない。誰かがツイッターで「森下愛子が気の毒だ」と言っていたが、ほんとそう思うぞ。妻が長期沖縄ロケで不在のため、ちょっと元気のなかった吉田拓郎も気の毒だったな。 「朝ドラ」の王道は、明治・大正・昭和・平成と、時代の波に翻弄されながらも、どっこい生き抜いた女性の一代記に尽きる。傑作『カーネーション』が正にそれだった。『おひさま』は、前半の戦前編までは良かったのだが、3.11 の影響で後半の戦後編が絵空事になってしまったのが残念だったな。現代ものの傑作は、何と言っても『ちりとてちん』。朝見て、昼見て、夜また見て、録画してもう一度見て。そこまで入り込んだのは『ちりとてちん』が初めてだ。脚本は、大河ドラマ『平清盛』を書いて視聴率で転けた、藤本有紀だった。 ところで、『あまちゃん』の脚本家は宮藤官九郎だ。松尾スズキが主宰する劇団「大人計画」メンバーで、「TOKIO」長瀬智也の役者としての方向性を決定づけた『タイガー&ドラゴン』、『うぬぼれ刑事』の脚本を手がけた。長瀬君は、岡田惠和が書いた『泣くな、はらちゃん』で最高の演技を見せることになるのだが、それはまた別のはなし。 脚本家クドカンが書いた知られざる傑作に、TBSで午後1時から30分間帯で放送された昼ドラ『我が輩は主婦である』がある。あの夏目漱石が斉藤由貴演じる現代の平凡な主婦の身体に乗り移るという荒唐無稽なホームドラマ。これが面白かった。「昼ドラ」の縛りはきつい。それを難なくこなした宮藤官九郎の次なるチャレンジが、NHK朝ドラだった訳だ。(つづく)
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