岸本佐知子「トーク&サイン会」平安堂長野店(その2)
■(承前)という訳で、ようやく本題に入れた。やれやれ。
サンクゼールのレストランに入った時には、まだ雨は降っていなかったのだ。ところが、ランチを食べ終わってワイナリーへ移動する頃には傘が必要なほどのけっこうな雨。
だから、長野駅前到着後も傘をさして平安堂「長野店」へ向かった。
13:55分、3階の書店内カフェ「ぺえじ」に到着。やれやれ間に合ったぞ。
狭い店内に椅子が並べられていて、すでに大方の席が埋まっている。50人の定員で、そのほとんどが女性だ。男は僕を入れて3〜4人しかいない。そうか、岸本佐知子のファンは女性が圧倒的に多いのか。ということは、エッセイよりも翻訳本を読んでのファンが多いということなのかな? 実際、エッセイ本じゃなくて翻訳本にサインして貰っている人が案外多くて驚いた。
■トーク会は、元筑摩書房編集者の松田哲夫氏が聞き手となって対談の形で進行した。こういう時、ぼくはいつでも「講演会ノート」を持っていく。この小型ノート(メモ帳)は時系列で既にもう10数冊たまっているのだ。小児科学会、外来小児科学会、地方会、絵本作家の講演会、医師会講演会と、ジャンルに関係なく次々とメモしてゆくワケです。
当然、今回も「講演会ノート」を持参して白いページを広げ、ボールペンを手に待機していたのだが、どうも周りの雰囲気が「それ」を許していないのだね。そんな野暮なことは恥ずかしいから止めろ!ってね。
なので、録音もメモも何もない状態で、いまこうして少しずつ思い出しながら書いているので、トーク会の詳細を正確に再現することはできません。ごめんなさい。
■午後2時過ぎ、松田哲夫氏と岸本佐知子さんがテーブルに着席しトークショーは始まった。開口一番、松田氏は言った。
「岸本さんは、雨女なんですってね。天気予報では、午後からは雨が上がるということでしたが、岸本さんの面目躍如の天候となりました。ところで、岸本さん。以前にも長野にいらしたことはあるのですか?」
・岸本佐知子さんは、上智大学を卒業後サントリー宣伝部に就職し、6年半勤務した。この「寿酒店」時代のことは、『気になる部分』(白水社)に載っている「国際きのこ会館の思ひ出」や「六年半」「寅」に詳しい。
松田氏の問いに対して、岸本さんは答えた。「斑尾ジャズ・フェスティバルって、長野県でしたっけ? サントリーの社員は毎年手伝いに駆りだされたんですよ」 うんうん、同じ時に僕も行ってたよ、斑尾ジャズフェスティバル。バブルだったんだなぁ。
その時の話は、『ねにもつタイプ』単行本の p164「十五光年」と、『なんらかの事情』p158 「M高原の馬」に詳しい。彼女は言った。
「バドワイザーの会社が、アメリカでビール樽を馬車で引っ張る力持ちの大馬を一頭、サントリーにプレゼントしたみたいで、会場売店テントの裏側に、誰も知られずひっそりと、その馬がいたんです。ものすごく大きな馬。この会場くらいの大きさ。ひずめだって、こんなに大きかった!」と、両手を直径30cm大に彼女は広げてそう言った。いやはや、これだよ。あはは! これこれ。そうさ、岸本妄想炸裂! (まだまだ続く)
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