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2012年8月13日 (月)

『動物が幸せを感じるとき』テンプル・グランディン(NHK出版)

■テンプル・グランディンの『動物が幸せを感じるとき』を読んで一番面白かったのは、動物の「情動」をよく理解することが、人間が動物と共に暮らす上で最も重要なことだと言っていることだ。


もちろん、動物にも「情動」はある。それは主に4つ。「探索」「怒り」「恐怖」「パニック」だ。


この本で特に面白かったパートは「動物園」に関して彼女が語った部分。動物園でわれわれがよく目にするのは、動物たちの「常同運動」だ。ライオンが檻の右端から左端へ行ったり来たり繰り返す動作がその代表。


動物園に限らず、ケージの中のマウスやハムスターも常同運動を繰り返す。何故か?


彼女は言う。それは「探索」という情動欲求が満たされていないからだと。動物はみな、結果よりも「それに至るまでの経過」で満たされる。それが「探索」だ。


動物の中で最も長距離を探索し続けるのは、ホッキョクグマだ。オオカミも探索のための行動範囲は広い。
オオカミを祖先にもつ「犬」も、「探索」が大好きだ。だから朝夕の散歩が欠かせない。


わが家にやって来た生後3.5ヵ月になったばかりの子犬も、散歩が大好きだ。「さんぽ」という言葉を耳にすると、狂喜乱舞して飛び跳ね、しっぽがちぎれそうになるくらい振る。


首輪とリードを付けて外に出ると、室内ではほとんどしない動作を繰り返す。鼻をクンクンとあらゆる場所の臭いを嗅ぎまくるのだ。外の世界には犬の嗅覚を刺激する臭いに満ちているのだね。それに、わが家の前の道は「近所の犬の散歩銀座」みたいになっていて、他の犬がマーキングして残していった臭いもいっぱいだ。


そうした臭いの強い場所でいちいち立ち止まっては、クンクンクンクン臭いを嗅ぐ。リードを持つ(嗅覚の弱い)人間としては、何でそこまで嗅ぐのかさっぱり判らないのだが、面倒がらずに彼の「探索」情動をちゃんと満たしてあげることが実は大事なのだね。


いろいろと勉強になるのだった。

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