月刊『すばる』6月号「日本の大転換(上)」中沢新一
■Twitter のTLで話題になっていた、月刊『すばる』6月号「日本の大転換(上)」中沢新一を読む。内田樹先生が言っていた「原発は一神教の神である」という意味がよくわかった。なるほど、どちらも地球上の生態圏の「外部」から持ち込まれたものなのだ。ただ、どうもよく分からないのは、じゃぁ、グローバルに拡大を続ける「資本主義」も「外部」から持ち込まれたものかというと、どうもそうではないらしいのだな。
さて、ここからが重要なところである。社会は自分の外部への回路を、さまざまなやり方で確保しようとしてきた。そうしないと、キアスム構造を内在させた社会は、うまく機能できなくなってしまうからである。ところが、合理的システムとしての自律性を高めていった自己調節的市場は、しだいに自分の円滑な作動にとって不要な要素を、外部性として外に排除する傾向を強めていったのである。(中略)
自己調節的市場はますます自分の内部に閉じこもるようになった。市場というものの本質をトポロジーで表現するとトーラスのかたちをした巨大な閉曲面のようなものになる。その巨大なトーラスが生態圏とのつながりを失ったまま、地殻の上に設置され、それは資本の求めるところにしたがって成長を続け、ますますトーラスの大きさは膨らんでいった(中略)
外部への回路を失ったその自閉システムの内部に、莫大なエネルギーをたえまなく供給し続ける「炉」として、生態圏にとっては本物の外部性である核分裂の「炉」が設置されているのである。市場という外部のないシステムが、生態圏の内部に生まれた。
なんというパラドックスだろう! (『すばる6月号』p199〜200)
■中沢新一氏の話は、平川克美さんの「ラジオデイズ」で4月5日に収録された鼎談(内田樹・中沢新一・平川克美)として聴くことができる。
「ここ」と「ここ」にあったが、始まりと終わりのパートで、途中が聴けない。「ラジオデイズ」で有料版を聴くしかないかな。あとは、本『大津波と原発』を買うかだな。
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