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2011年3月15日 (火)

上伊那医師会報3月号「巻頭言」原稿

■今朝が締め切りだった原稿(1200字)を、なんとか書き終わったのが今日の午前2時だった。朝6時半に起きて原稿を見直し、最終稿を医師会事務局に送ったのが午前8時半。寝不足のまま、昼休みは3歳児健診でつぶれ、18時半、午後の診療終了後は「伊那中央病院」の小児一次救急の当番で夜7時前ぎりぎりに救急部へ。

いつものことで、午後9時の拘束時間終了間際になってから、3人の小児科の患者さんがやってきた。発熱で受診した1歳1ヵ月の男の子。訊けば、今日の午前中から熱があったとのこと。でも、決して文句を言ってはいけない。暗くなってから不安になったお母さんを責めてみても仕方ないから。

午後9時45分帰宅。やはり睡眠不足は50歳過ぎの体にはキツイ。だから官房長官はちゃんと寝て欲しい。本当に。


■まだ紙には印刷されていない文章だし、目にするのは上伊那医師会会員とその他わずかな人たちだけなので、ちょっとフライングだけれど、この場で先行公開しちゃいます。

         <人と人とをつなげる Twitter>         北原文徳

 3月11日午後、東北地方〜北関東を襲った地震と大津波は、日が経つにつれて未曾有の被害と犠牲者を出したことが次第に明らかになってきた。連日テレビに映し出される被災地の悲惨な状況を見るにつけ、いたたまれなくなり、ただただ胸が苦しくなるばかりだ。いま自分にできることは、被災地に義援金を送ることと、無駄な電気は消して祈ることだけだ。


 本当は、チュニジア、エジプトで大きな力を発揮した「ツイッター」や「フェイスブック」といった新たなソーシャルネットワークの可能性について書こうと思っていたのだった。実際、今回の大震災では携帯電話という情報インフラは全く機能しなかったし、メールも届くのに異常に時間がかかっていた。広範な停電で、被災地ではインターネットに接続できない人が多かったのだが、一部の被災者がモバイル端末からツイッター上に救助を求めたツイート(つぶやき)が即座に載り、この情報は一気に拡散していった。


 ツイッターは、この即時性機能を最も得意としている。だから「なう」をよく使う。ただ、今回は都内で救助を求める偽情報を流した愉快犯もいた。しかし、すぐに嘘であることが判明し犯人も特定された。また、JR停止に伴う東京の帰宅難民を受け入れる施設に誤情報も流れたが、訂正情報が出たのも速かった。ツイッターへのアクセスが集中すると、よく「クジラの絵」が出て不通となるのだが、今回の事態ではクジラは出なかった。これは特筆すべきことかもしれない。

 ネット社会というと、2ちゃんねる掲示板への匿名による中傷誹謗や、正義の使者気取りでブログを炎上させるなど、自分は匿名という安全地帯に居ながら相手を攻撃非難する卑怯で陰湿なイメージが付きまとうが、ツイッターでは不思議と炎上は少ない。匿名で参加できるのだが、掲示板やブログのコメント欄と違って発言した個人が特定されるからだ。また、その発言がどんどん拡散されれば、予想をはるかに上回る多くの人たちの目に晒されることになる。だから、よっぽど覚悟の上でないと下手な発言はできないのだ。

 ネットでは、自分でグーグルを検索したりブログをチェックしないと新たな情報を引き出すことができなかった。しかし、有用な情報を流してくれる信頼できる人たちを多数フォローしていると、ツイッターというプラットフォーム上にいるだけで、自分に必要な情報が「ひとりでに」次々と集まってくる。


 気鋭のITジャーナリスト、佐々木俊尚氏の『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる』(ちくま新書)が面白い。ソーシャルネットワークに関する先進的な視座を示した好著だ。グーグルは人的処理を徹底的に排除して自動化していった結果、逆に雑音が増えて本当に欲しい情報が得られにくくなっている。結局は、信頼できる「目利き」が選んだ情報が一番有用なのだ。昔ながらの「人と人とのつながり」は、いまTwitterやfacebookに形を変えて再構築されようとしている。


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