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2010年3月19日 (金)

『赤ちゃんと絵本をひらいたら ブックスタートはじまりの10年』

100318『赤ちゃんと絵本をひらいたら ブックスタートはじまりの10年』NPOブックスタート編著(岩波書店)読了。これは本当に素晴らしい本だ。

日頃、現場で赤ちゃんと関わっている全ての大人(保健師、保育士、小児科医、子育て支援ボランティアほか)は当然読むべき本だし、行政のお偉いさんにも是非読んでいただきたい。この1冊を読めば「ブックスタートとは何か」が本当によく分かる。なるほどそうかと思う。


まず、本の装丁が何ともいいではないか。淡い水彩絵具で描かれた「まる」。風船? それとも。赤ちゃんの顔?
あったかそうで、ほんわり、ふんわりしてて。思わずそおっとやさしく両手で包みたくなるようだ。


いろいろと読みどころの多い本だが、
ぼくが注目したのは「第二章 ブックスタートの歩み」と「第三章 地域に根ざした取り組み」だ。


何よりも驚いたことは、この10年間で瞬く間に日本全国各地に広がっていった
この「ブックスタート」の日本での活動の始まりが、
出版最大手取次「日販」に入社してまだ2年目の新人女性社員だった佐藤いづみさんが、
たった一人で行動を起こしたことがきっかけになったということだ。ぜんぜん知らなかった。

会社の創立50周年記念の海外視察研修に応募するために、飯田橋のブリティッシュ・カウンシルの図書室を訪れた佐藤さんは、1992年に始まった英国のブックスタート活動のことを、雑誌の特集記事の中に偶然発見する。1999年5月のことだ。そしてその年の10月、彼女は一人で2週間のイギリス研修に旅立つ。バーミンガム市立中央図書館で担当者からブックスタートに関して現場の生きた情報を聞いた彼女は、ぜひこの取り組みを日本の人たちにも伝えたいと、この時強く願ったのだった。

タイミングもよかった。翌2000年は「子ども読書年」で、子ども読書推進会議事務局長の白井氏が彼女の報告に興味をしめした。「まず佐藤さんの熱心な様子から、何かを伝えたい、という意志が伝わってきました。そしてシンプルで分かりやすく、あたたかなメッセージを持ったブックスタートの内容を聞いて、これは何か大切なものがある、動かしていく価値があるな、と直感したんです」と、白井氏はふりかえる。


2000年7月、今度は白井氏、佐藤さん他5名のメンバーで英国のブックスタートを視察する。本書40ページに載っている、この時のエピソードは感動的だ。英国のブックスタート発案者であるウェンディ・クーリングさんとの会見の席で、佐藤さんはあまりにも基本的すぎて今さらだれにも聞けないと感じていた質問をしてみることにした。それは「まだ字も読めない、単語の意味をきちんと理解できるわけでもない赤ちゃんは、本を読めるのか」ということだった。

その問いに対してウェンディさんはどう答えたのか?

それはぜひ、この本を直接手にとって確かめてみてください。(まだつづく)


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