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2010年1月 6日 (水)

『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』高野文子・作絵(こどものとも年少版2月号)

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■これは以前にも書いたことがあるが、当時、陸奥A子とか読んで喜んでいたぼくに、一条さゆりや倉多江美、それから、清原なつののことを教えてくれたのは、林竜介くんだった。そうして、椎名誠『さらば国分寺書店のオババ』と、高野文子『絶対安全剃刀』を、「おい北原、これ面白れぇぜ!」って薦めてくれたのが、山登敬之くんだったのだ。

あの頃、男子大学生の癖して月刊誌『りぼん』を定期購読していたぼくも、高野文子の漫画は見たことがなかったし、名前もぜんぜん知らなかった。だから、『絶対安全剃刀』を手にした時は本当にビックリしたな。「田辺のつる」とか、あと「玄関」。この人は絵が上手い! それに、小津安二郎の映画でも見ているようなローアングルの構図やカット割り。光と影の使い方も映画の「それ」だ。当時ぼくは全学の映画研究会に一応属していたからね、幽霊部員ではあったけど、映画にはうるさい。だから余計にたまげたのだ。この人すげ〜!

彼女が現役の看護婦さんだと知って、なおさら驚いたものだ。あれから30年経つが、高野文子さんの絵を見ると直ちに反応する体質は変わらない。北村薫のデビュー作も、表紙イラストが高野文子だと分かったから買った。すごく面白かった。結果大正解だったな。

そうは言っても、まさか福音館書店の月刊「こどものとも年少版」で、高野文子さんの新作が読めるとは思いもよらなかった。じつは、月刊「こどものとも年少版1月号」『いしゃがよい』さくらせかい(福音館書店)を買った時に、次号予告として『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』高野文子・作絵(こどものとも年少版2月号)が載っていたから、ビックリしたのだよ。

■ところで、『いしゃがよい』さくらせかい(こどものとも年少版1月号・福音館書店)は傑作だ。ぼくは凄く好き! 何回か声に出してテキストを読んでたら、ふと、劇団「自由劇場」の看板女優、吉田日出子の笑顔と声が思い浮かんだ。エンさんは体の弱いファンファンを自転車に乗せて医者がよい。エンさんは歌います。



このこだれのこ パンダのこ

やまのふもとで ないてたこ

エンファン エンファン

ふたりは とってもなかよしよ


『上海バンスキング』の舞台を思い浮かべながら、ヒロイン吉田日出子の気持ちになって『いしゃがよい』を歌うように読むと、なんかすっごく「しんみり」するのでした。こども向きというよりも、母親が読んで「じーん」とくる絵本ではあるな。

■蛇足ではあるけれど、高野文子さんが絵本を出したのは、「この本」がはじめてではありません。フェリシモからでたアンデルセンの絵本『火打ち箱』があるのです。この本で彼女は「絵」を描いているのではない。鋏を持って紙を切り刻み、ペーパー・クラフトに挑戦しているのだ。その潔さといったら! すっごいぜ!! これは傑作。

■ただ、『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』はかがくいひろし『まくらのせんにん さんぽみちの巻』の主人公たちと「キャラがかぶる」な。でも、そんなことぜんぜん危惧する必要はなかった。さすが高野文子。これはいい! シンプルな構図、シックな色使い。今までにない不思議な雰囲気の絵本なのだ。

「入眠導入絵本」には傑作本が多い。例えば、マーガレット・ワイズ・ブラウンの『おやすみなさいお月さま』。こどもたちは眠る前の儀式が必要なのだよ、入眠儀式が。そのための絵本。しかも、徹底して「和式」なのがいいな。ベッドじゃなくて、畳に敷き布団。


しきぶとんさん しきぶとんさん
あさまで ひとつ おたのみします

どうぞ わたしの おしっこが
よなかに でたがりませんように

まかせろ まかせろ おれに まかせろ

もしも おまえの おしっこが
よなかに さわぎそうに なったらば

まてまてまてよ あさまで まてよと
おれが なだめておいてやる


「まかせろ まかせろ おれに まかせろ」が繰り返されるのだが、これが気持ちいいのだ。なんかすごく安心する。きっと子供たちも「ぬくぬく」と暖まって、朝までぐっすり眠れるに違いない。

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