『ブラッド・メリディアン』コーマック・マッカーシー(早川書房)読み始める
■小説『闇の奥』のはなしは、まだまだ続いているのだった。
「荒野(ウィルダネス)」と言えば、現代アメリカ文学を代表する作家、コーマック・マッカーシーが長年追い求めてきた重要なテーマだ。その彼の最高傑作とかねてから噂されていた『ブラッド・メリディアン』(血の子午線)の翻訳本が、知らないうちに早川書房から発刊されていた。これは直ちに読まねば! ぼくは焦って「いなっせ」西澤書店へと走った。新刊棚にひっそりと1冊だけ「その本」はあったよ。
ちょうど今年1年間の医師会理事会交通費が現金で支給されたばかりだったので、「えぃっ、やっ!」と、思い切って購入した。ところで、最近の図書購入のぼくの基準はというと、原則ハードカバーの小説は買わずに「図書館から借りて読む」なのだった。あの『ミレニアム1』『ミレニアム2』も、じつは南箕輪村図書館から借りてきて読んだ。ごめんなさい、早川さん。訳者さん。『ミレニアム3上・下』も、南箕輪村図書館から借りてきて読み始めたのだが、ちょうど母が危篤の時で、無念ながら未読のまま返却し、10月に西澤書店でちゃんと購入した。でも「自分の本」になっちゃうと、安心してしまって読まなくなっちゃうから不思議だ。
■先日から、ウィンズロウ『犬の力・上』を読み始めたところだったのだが、それどころじゃない、というワケで、『ブラッド・メリディアン』。主人公の少年は、1833年の生まれだ。これはある種、象徴的だな。ジョン・ミューアが、1838年4月2l日生まれ。『闇の奥』の作者コンラッドは、1857年12月3日の生まれ。みな同時代人だ。アメリカでも、リアルな「荒野」はこの時代にしか存在しないのだ。アラスカを除けば。(つづくかも)
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