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2009年12月 8日 (火)

『闇の奥』コンラッド著、黒原敏行・訳(光文社古典新訳文庫)

■きのうの月曜日は、夜7時から伊那中央病院救急部で「小児科一次救急」の当番。救急車が次々と何台も入ってきて、救急部の先生方は大忙し。ところが、小児一次救急には患者さんは来ないので、8時45分まで誰も診ずに延滞していた長野県衛生部に提出する書類書きと、先日から読み始めた『バッド・モンキーズ』(文藝春秋)を46ページまで読み進む。もしかしてこのまま一人も診ずにお終いか? と思ったら、日系ブラジル人の1歳4ヵ月の女の子が発熱で受診。インフルエンザ迅速診断は陰性。元気もいい。母親が仕事に出ている昼間、子供を預かっている叔母さんが不安になって受診したようだ。実際、母親と娘はぜんぜん心配してない様子。

夜9時10分。拘束時間の9時を過ぎたので、さて帰るかと椅子を立ったら、次の患者さん。救急部の先生は救急車の重症患者さんの対応で手が回らない。仕方なく僕が診ることに。患者さんの兄妹は、昨日の当番医で診た子だ。インフルエンザは陰性だった。高熱が続くので不安になって受診したという。顔を見るなり思わず言ってしまった。「おかあさん、せっかく来たのに、ぼくが救急当番でごめんね」


その後も続々と救急車が到着し、救急部の先生方には、今日は大当たりの日だったようだ。軽症で後回しにされた父子が未だ診てもらえずにいたので、結局ぼくが診る。やはりインフルエンザ陰性。でも、2日前に手良保育園に通う4歳の姉がフルー陽性だったとのことで、結局患児にはタミフルDSを処方した。よる10時20分。残業を終え、伊那中央病院の駐車場へ出ると、底冷えの夜がそこに待っていた。さっぶーい!


『闇の奥』コンラッド著、黒原敏行・訳(光文社古典新訳文庫)読了。

う〜ん、よく分からんかった。『血と暴力の国』『ザ・ロード』の著者、コーマック・マッカーシーの訳者である黒原敏行氏の新訳とのことで読んでみた。確かに訳文はすごく読みやすいのだが、独り善がりで思わせぶりな主人公マーロウの語りでは、彼が崇拝しかつ嫌悪する魔境の帝王「クルツ」の実像がぜんぜん見えてこないのだ。最後まで読めば
分かるのかもしれない、そう信じて読み続けたのだが、肝心のクルツさんがほとんど何も語らないので、結局ぜんぜん分からなかった。


まぁ、「この本」を原作とした映画、フランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』を実は未だ観てなかったりするので、まずは「この映画」を TSUTAYA から借りてきて、ちゃんと観てから感想を述べたほうがいいのかもしれないな。


キーワードは幾つか見つかった。まずは主人公の名前、マーロウ。ハードボイルド小説の大家、レイモンド・チャンドラーの本に登場する私立探偵の名前がマーロウであることは、決して無関係ではあるまい。それから、ウィルダネス。スペルは、wilderness 。「訳者あとがき」に書かれた「この言葉」を目にして、ようやく少しだけ「この小説」が理解できるような気がしてきた。(もう少し続く予定)

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コメント

こんばんは。小児科一次救急当番、お疲れ様でした。
いつも子供がお世話になっております、小学生の母です。
先生の不定期日記、いつも楽しく拝見させて頂いておりました。
ブログスタートとの事で、さらに拝見するのが楽しみになりました。
コメントしてもいいのかな?と思いつつも、早速しておりますが・・
今後も更新楽しみに読ませていただきます♪

桜さん

コメントありがとうございました。
慣れてないので、コメントが付いているのに気が付かなかったのです。ごめんなさい。
そしたら、メールでも「コメント付いてるよ」って教えてくれるのですね。すごいな。

ブログになっても何も変わり映えのしない内容ですが、よろしかったらまた見に来てください。

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