絵本 Feed

2017年7月29日 (土)

まつもと市民芸術館で『空中キャバレー』を体感。

■先週の日曜日、まつもと市民芸術館で『空中キャバレー』を観劇、じゃなくて「体験」してきた。凄かったなぁ。面白かったなぁ。まつもと大歌舞伎と交互に隔年で開催されていて、今回で4回目とのこと。ぼくらは今回初めて。

去年は、ここの小ホールで「木ノ下歌舞伎」の『勧進帳』を観たんだ。あれも衝撃的な演劇体験だったが、『空中キャバレー』には、主宰する串田和美さんの「演劇」に対する思いの丈のすべてが詰まっていて、感動してしまったんだよ。

■これは以前にも何度か書いたけれど、ぼくの演劇体験のベースは、オンシアター自由劇場の『上海バンスキング』なんだ。観たのは、取り壊された「長野市民会館」。1984年だったと思う。串田和美さんがクラリネットを吹き、笹野高史さんがトランペットを吹いた。音楽はすべて自由劇場の役者さんたちが生演奏。そのセンター・ステージで、吉田日出子さんが唄う唄う。何曲も何曲もね。

これには感動したなぁ。

しかも、終演後に劇場をあとにする我々観客を、市民会館の入り口ホールで当日の出演者全員が待ち受けていて、生演奏しながら見送ってくれたのだ。

これって、映画館では絶対に味わえない、演者と観客が「いま・ここ(劇場)」でいっしょに共有する「空気であり時間」だったのだと思った。「お芝居って、凄いな!」それが、ぼくの演劇体験の原点なのだ。


YouTube: 空中キャバレー2017 スポット


YouTube: 空中キャバレー2015年ダイジェスト映像


YouTube: 『空中キャバレー2017』(石丸幹二さんコメント)

■今回の『空中キャバレー』もまた、音楽はすべて「ナマ演奏」。しかも、音楽監督があの世界的アコーディオン奏者「coba」さんなのだ。以下は当日のツイートから。

開演の初っ端は、世界的アコーディオン奏者COBA氏が、ピアソラの「リベルタンゴ」を熱演。しかも、ぼくらから1mも離れていない場所で演奏してくれたよ。そうだなぁ見終わった全体のイメージとしては「スズキコージ」の絵本の実写版か。スリル、笑い、感動。めくるめく体感。こんなの初めて。

続き)一番感動したのは、第二部になって後ろの幕が上がった時だ。なんと!観客の僕らが実はステージ上にいて、大ホールの真っ赤な客席を見上げていた。あぁ、役者さんは毎回「この眺め」を味わっていたのか。そりゃぁ、辞められないよな。

続き)フランス語で「元気?」は、サヴァ?「サバだサバサバだ、サバサバだ。サバだサバサバだ、サバサバだ。サバだ、だーだぁー、サバだだぁー」これを、フランス映画『男と女』の曲(フランシス・レイ作曲)の節にのせて歌うと? 一匹の雌鯖に群がる幾多の雄鯖。このエチュードは以前にもあったの?

『空中キャバレー』の画期的なことは、客席とステージの区別がないことだ。観客は役者さんたちと同じ舞台上にいて、観客の間をぬうように役者さんが動き、その役者さんが近くの観客の手を取ったかと思うと、次の瞬間にはいっしょに踊っていたりするのだ。これほど至近距離で役者さんを見た記憶は、ぼくにはない。

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(写真をクリックすると、もう少し大きくなります)

■自由劇場からの役者さん、片岡正二郎・内田伸一郎・小西康久の3人。バチカン・ブラザーズ。今回は「サボテン・ブラザーズ」を演じて、マリアッチをナマ演奏で奏でてくれた。いっしょに登場したのは、松本出身で、初回公演からずっと出演している秋本奈緒美さんだ。前回までは「西部劇」の設定で、スザンナ役で彼女は登場したのだが、今回は「宇宙の果て」の話。(以下、ツイートのつづき)

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続き)あと好きなのは「サボテン・ブラザーズ」。おならの推進力で宇宙に飛び出すってのは、『怪傑ゾロリ』じゃん。でも、ゾロリが凄いのは、おならの力で地球滅亡を救ったこと。分かる人にだけ分かればいい話。

続き)串田和美さんと大森博史さんの二人が、核戦争後の放射能汚染で誰も居なくなった地球上に立ち、ウラディミールとエストラゴンみたいな会話を交わしている時に突如登場するのは「ゴドー」ではなくて、高田聖子演じる笠置シズ子だ。おばはんパワー凄すぎるぞ。ふと北村想の『寿歌』を思い出したよ。

続き)ただ、家族連れで訪れた人たちが多かった日曜日マチネ回では、幼少の子供たちには「退屈で長すぎる」スケッチだったようにも感じた。実際、当日この場面で飽き飽きしてしまった子供たちが奇声を上げてたし、バックヤードを走り回っていたよ。

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■お芝居は、サーカスや大道芸、歌やダンスの合間にショートコントのように挟まれている。

・ブランコ乗りの少女に恋してしまった兵隊のはなし「チョコレートあげるよ!」

・鼻にとまった蝶々を3拍子で踊りながら逃がさずにいる男たちのエチュード。なんと! そしたら、鼻の頭をクワガタに挟まれた男(吉野圭吾)が登場だ。

・「千拍子のうた」ヘイ!ヘイ!ヘイ!

・第一部のラストは「怪力男オクタゴン」の歌。好きで一緒になった花売り女。結婚式のその日に、オクタゴンは彼女を抱きしめた。しかし、怪力男の哀しさ。花嫁はあまりの圧迫で死んでしまう。「人にはそれぞれ才能がある。その才能は放棄できない!」って、片岡正二郎さんが歌のサビで熱唱するのだが、聴いているその時は「そうだ、そうだ!」って凄く気分が高揚してきたんだけれど、この曲の歌詞をしみじみ聴くと、ちょっと何とも言えず辛い気分になってしまったよ。

・片岡正二郎さん等「バチカン・ブラザーズ(撥管兄弟)」の「この歌」は、じつはApple Music に登録されていて、いつでも聴くことができるのだよ。ただ、あの時歌ってくれた「ヘーデルワイス」と「サボテン海へ行く」は収録されていなかったな。

・歌では、第二部でまずは秋本奈緒美さんが「It’s Only A Paper Moon」を歌った。さすがジャズ歌手でデビューしただけのことはある歌唱力。観客で座っている小さな女の子の手を取って立たせ、彼女をクルクルと回しながら歌ってくれた。続いて吉野圭吾さんが「アムステルダム」を歌った。こちらも流石のミューカル俳優。聴かせたなぁ。

おなじく、今回のゲスト高田聖子さんは、笠置シズ子の「買い物ブギ」を熱唱したよ。

それから、あの「サバ」のコント。これは笑ったなぁ。

■今回の公演の重要パートを担うのが、フランスから来たジュロさん率いる「サーカス・チーム」だ。ジョアネスのジャグリング、ジェームス・ヨギの自転車曲芸。茉莉花さんの「上海雑伎団」真っ青の軟体動物的人体の驚異。金井ケイスケ氏の軽業とダンシング。

マットさんの「綱渡り」を観ていて、あの、ニューヨーク貿易センタービルのツイン・タワー最上階に綱を張って「綱渡り」した絵本を思い出したよ。

そうして、ジュロさんのフラフープのスリル溢れる妙技。ジュロさん、命綱付けていないんじゃない?

タルザナとアメリーの「綱芸」も凄かったけれど、やっぱりラストの空中ブランコにすべてを持って行かれた。そのブランコ乗りアメリーの演技はほんと凄かった。

ぼくが体感したイメージを、最も端的に表現してくれているのが、nono さんのツイート「スケッチ・ブック」だ。

それから、7月30日(日)の「こぐれみわぞう」さんの「千穐楽」連続ツイートが楽しい。キャストのみなさんのバックヤードでの写真が多数あり。

■今回の『空中キャバレー』ではなくて、2年前の時の感想では、「休むに似たり」さんの感想が、場内の雰囲気をよく表していて優れていると思った。

今年の感想では、「松本ジャグリングクラブ」と、「夢ならいつまでも二人きりなのに」さんが素晴らしい。

■先達て亡くなった扇田昭彦氏の観劇録『こんな舞台を観てきた』を読むと、2013年の『空中キャバレー』評が載っている(299ページ)。

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(前略)『空中キャバレー』は普通の演劇でもミュージカルでもない。サーカス、大道芸、演劇、音楽、ダンスなどを混ぜ合わせ、娯楽色豊で、だれもが楽しめるショーを目指している。それは19世紀末にフランスで生まれ、20世紀前半にヨーロッパ各地で流行した「キャバレー文化」の新しい形を探る試みでもある。

 約380人の観客は普通の劇場の入口からではなく、大道具などを運び込む搬入口から場内に案内された。上演が行われる特設会場は、ミュージシャンが演奏する小さな移動式舞台以外は何もない広場のような空間だった。

面白いのは、ここには舞台と客席の境目がないことで、観客は立ったり、床に座ったり、手をつないで踊るなど、自由に動きながら演技を見守る。

 cobaがアコーディオンで奏でるサーカス風の曲と、タップダンス(RON×II)とアコーディオンの競演で始まった舞台は、まさに心浮き立つ楽しさだった。(中略)

 アクロバット、エアリエル、ジャグリングなど、串田がパリでオーディションをして招聘したというサーカスのアーティストたちの演技も楽しめた。特にベテランのジュロが、不安定に揺れ動く高いポールの上で、フラフープを使って見せた離れ業はとてもスリリングだった。

 演出の串田和美は物語の語り手を務めると同時に、ルンペン役なども軽妙に演じて活躍し、じつに楽しげだった。

 その姿を見ながら、『空中キャバレー』は『上海バンスキング』『スカパン』『クスコ』などと並ぶ、演出家・串田和美の代表作だと思えてきた。

 初期の音楽劇『もっと泣いてよ、フラッパー』(1977年初演)や、1989年にシアターコクーンで始まった『ティンゲルタンゲル』シリーズなど、串田の演出にはもともと祝祭的な娯楽性、サーカス芸、道化的な笑いを重視する傾向が見られる。とくに『空中キャバレー』では、舞台と客席の区別をなくし、観客を演技者と同じ空間に包み込む大胆な設定に踏み込んだ。つまり、これは串田流の実験劇なのだ。

一部の知的エリートのための実験劇ではなく、子どもも楽しめる敷居の低い実験劇である。地方の公共劇場で生まれた画期的なレパートリーだ。

 舞台を観ながら同時に感じたのは、串田演出らしい強い手作り感と等身大感覚だった。同じサーカス芸でも、シルク・ド・ソレイユのような精密な完璧主義ではなく、どこかユーモラスなすきまがあるような芸がここにはある。

 心に残る光景がある。乳幼児を抱いた若い母親が数人、立ったまま、何とも楽しげにパフォーマンスに見入っていた姿である。なかには途中で泣き出す赤ん坊もいたが、それもこのにぎやかな空間ではほとんど気にならなかった。だれをも受け入れる、大きな祭りのような劇場空間が成立していたのだ。

『こんな舞台を観てきた』扇田昭彦(河出書房新社)より

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2017年3月16日 (木)

伊那のパパス絵本ライヴ(その130)上田市子育て支援センター

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■去る 3月5日の日曜日。上田市子育て支援課からのオファーで「ひとまちげんき・健康プラザうえだ」まで行って絵本を読んできた。

年度末とあって、めちゃくちゃ忙しい小学校の先生の伊東パパと、やはり市役所職員で大変な宮脇パパは欠席。倉科さんの運転で、坂本・北原・倉科の3人だけで初の上田市へと乗り込んだのであった。

しかし、上田は遠いなぁ。伊那から2時間余り。倉科さん、結膜炎で眼が腫れて、アレルギー性鼻炎も悪化の一途という体調不良にもかかわらず、往復の運転すみませんでした。訊けば、坂本さんもこのところ血圧が高く不調が続いていて、この2週間は禁酒しているとのこと。

なんとか気合いでやり切るのだ!

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  ■ <本日のメニュー> ■

1)『はじめまして』(すずき出版)

2)『くんくんくん これはどなたのわすれもの?』はやしますみ(岩崎書店)北原

3)『ねこガム』きむらよしお(福音館書店)→坂本

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4)『かごからとびだした』(アリス館)

5)『おかん』平田昌広・作、平田景・絵(大日本図書)→倉科

6)『ちへいせんのみえるところ』長新太(ビリケン出版)→北原

7)『ぐやんよやん』長谷川摂子(福音館書店)→坂本

8)『うんこしりとり』tuperatupera(白泉社)

9)『おーいかばくん』中川いつ子、中川ひろたか、あべ弘士(ひさかたチャイルド)

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10)『なんでやねん』中川ひろたか・文、あおきひろえ・絵(世界文化社)倉科

11)『ふうせん』(アリス館)

12)『世界中のこどもたちが』(ポプラ社)

13)『すてきなぼうしやさん』増田裕子・文、市居みか・絵(そうえん社)→アンコール

(終了)

2016年12月 5日 (月)

伊那のパパス絵本ライヴ(その128)伊那おやこ劇場 at the「コマ書店」

■「グリーンファーム」の2階にあった、絵本・児童書専門店「コマ書店」が、広域農道を南へ少し下ったカーブの手前左側に新築移転したという話は聞いていたのだが、行ったことはなかった。

そしたら、今回の伊那おやこ劇場からの依頼会場が「そのコマ書店」だったのだ。日曜日の朝9時半過ぎに自宅を出て、グリーンファームに向かい広域農道を左折して「それらしき建物」を見逃さないように車を南へ走らせたのだが、やっぱり行きすぎてしまったぞ。

だって、想像していた「ログハウス」とは全然違って、まるで自衛隊が被災地に仮設した「蒲鉾形のドーム状テント」みたいだったからだ。建物の中に入ってみると、実際はトレーラーハウスを3つ「コの字」に並べて、その間にできたスペースに床をひき天幕で屋根を作り、南側の空いた部分にアルミサッシの窓を設置。暖房に薪ストーブと煙突を完備すれば、立派な「ホール」の出来上がりというワケだ。すごいな。

ただ、この日の朝は晴天でめちゃくちゃ冷え込み、半屋外の「この空間」は、ただただ寒かった。でも、12月の絵本ライヴは「サンタの衣装」で出演って決まっていたから、フリースやウルトラライト・ダウンを脱がずにその上から衣装を着た。一人だけトナカイの着ぐるみを着る倉科さんは、毎年汗だくで大変なのだが、この日は「ちょうどよかったでした」って、後で言ってた(^^;

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<今日のメニュー>

1)『はじめまして』

2)『でてくる でてくる』岩田明子(ひかりのくに)→伊東

3)『中をそうぞうしてみよ』佐藤雅彦(福音館書店)→北原

4)『かごからとびだした』

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5)『メリークリスマスおおかみさん』宮西達也(女子パウロ会)→坂本

6)『みんなにゴリラ』高畑那生(ポプラ社)→宮脇

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7)『うんこしりとり』tupera tupera(白泉社)

8)『かみなりどんが やってきた』中川ひろたか・文、あおきひろえ・絵(世界文化社)→倉科

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9)『ふうせん』

10)『世界中のこどもたちが』

■開始後ようやく薪ストーブが威力を発揮し、会場ホールは暖まった。それよりも、参加してくれた子供たちの熱気のおかげだったに違いない。ありがとうございました >伊那おやこ劇場さん。

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■盛況のうちに「ライヴ」が無事終わったあと、皆でお昼をご馳走になった。なんと! 松茸ごはんと豚汁だ。さすがグリーンファーム。小林文麿社長は、売れ残ったマツタケを冷凍保存していて、その太っ腹で貴重な「マツタケ」をわざわざ解凍して「伊那おやこ劇場」と僕らのために振る舞ってくれたのでした。思わず、どちらも「おかわり」してしまったぞ。

本当にご馳走様でした。ありがとうございました。

2016年11月24日 (木)

伊那のパパス絵本ライヴ(その127)飯島町:子育て支援課の主催の会

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■水曜日は、勤労感謝の日でお休み。この日は午前10時半から、上伊那郡飯島町「飯島成人大学センター」で「パパズ」。町の子育て支援課が主催した会だからか、ちっちゃい子供が多かったな。

<本日のメニュー>

1)『はじめまして』新沢としひこ(鈴木出版)

2)『でてくる でてくる』岩田明子(ひかりのくに)→伊東

3)『かわ(絵巻物版)』かこさとし(福音館書店)→北原

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4)『うみやまがっせん』長谷川摂子:再話(福音館書店)→坂本

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5)『かごからとびだした』(アリス館)→全員

6)『へんしんマラソン』あきやまただし(金の星社)→宮脇

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7)『うんこしりとり』tuperatupera(白泉社)→全員

8)『かみなりどんが やってきた』中川ひろたか・文、あおきひろえ・絵(世界文化社)→倉科

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9)『ふうせん』湯浅とんぼ(アリス館)

10)『世界中のこどもたちが』(ポプラ社)


2016年11月 7日 (月)

ヒグチユウコ & 姜泰煥(カン・テーファン)

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■ワニが登場する絵本が好きだ。『わにわにのおふろ』小風さち・文、山口マオ・版画(福音館書店)『バルボンさんのおでかけ』とよたかずひこ(アリス館)『ワニぼうのこいのぼり』内田麟太郎・文、高畠純・絵(文溪堂)。中でも一番好きなのは、木葉井悦子『一まいのえ』(フレーベル館)。ところが最近、驚異のワニ絵本が登場した。『すきになったら』ヒグチユウコ(ブロンズ新社)だ。

めちゃくちゃリアルな「ワニ」に、ある日幼気な少女が恋してしまう。だって、好きになってしまったのだから、仕方ないじゃない? 恋とは、そういうものさ。

オジサンにはわかる。その気持ち。でも、今どきの少女やヤングアダルトに、この「切ない気持ち」がはたして解るのだろうか?

岡谷の「イルフ童画館」では、11/14(月)まで『ヒグチユウコ・石黒亜矢子二人展』をやっていて、『すきになったら』の原画が展示されていると知り、今日(11/6)の日曜日、あわてて見に行ってきた。ワニの原画、すばらしかった! 『せかいいちのねこ』(白泉社)に登場する「迷子のアノマロカリス」もよかったよ。

ヒグチユウコ恐るべし! だな。イルフ童画館内は、彼女のファンの若い女の子ばかりで、50歳をとうに過ぎたオジサンは、思いっきり場違いの「およびでない」状態で焦ったぞ。でも、ぼくと同じ気分であろう、彼女に無理矢理連れてこられた、なんとも居心地の悪そうな彼氏(20代前半)を見た。それから、このところずっと機嫌が悪かった奥さんのために、予定していたゴルフをキャンセルして仕方なくやって来たと思ったら、なんだ漫画かよ! とでも思っているに違いない、おもいきり機嫌が悪い雰囲気の40代男性とか、いたな。

でも、思いのほか良かったのが「石黒亜矢子さん」の展示だ。この人は絵が上手い。申し訳ないけれど、彼女の絵本は持っていなかった。京極夏彦氏と組んだ「妖怪もの」で知られた人なのか。最近では、糸井重里さんのツイートの中で「そのお名前」をよく目にした覚えがあるぞ。

売店を物色すると、サイン本は売り切れ。ポストカードもほぼ売り切れ。しまったな。もっと早く見に来るべきだった。仕方なく童画館を出て、いったん駐車場から車を出す。ここの立体駐車場は、なんと!「5時間まで無料」なのだ。じつは、これから甲府まで「あずさ」に乗って行く予定なので、車はこの駐車場に置いて行かなければならない。帰りは夜6時半過ぎの予定だから、午後1時半過ぎに再チェックインすれば、駐車料金は無料のままなのね。

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■車を市営駐車場に置いたまま、岡谷駅から午後2時発のあずさに乗って甲府へ。午後3時過ぎ着。ライヴ・ハウス「桜座」で『TON KLAMI トン・クラミ』佐藤允彦(p)高田みどり(perc)姜泰煥(as)のトリオ演奏を聴くのだ。櫻座は、ガラス工場だった建物を改装して劇場に作り直したという不思議な空間。

むかし、氷川台にあった転形劇場の「T2スタジオ」の雰囲気を、寺山修司の東北下北半島的古来日本のどろどろとしたイメージで掻き回したような、他ではちょっと見たことない空間だったな。毎年年末には「渋さ知らズ」の公演があるそうだが、なるほど、彼らにピッタシの劇場に違いない。

山下洋輔、富樫雅彦、ペーター・ブロッツマン、エヴァン・パーカーは、生で見たことがある。『AKU AKU』でだったかな。でも、佐藤允彦・高田みどり・姜泰煥(カン・テーファン)は初見。

最初にステージに登場したのは、佐藤允彦さんだ。おもむろにピアノを弾き始める。左手で繰り返される基礎音に右手が自由に乱舞する。ダラー・ブランドの『アフリカン・ピアノ』を、もっと知的に研ぎ澄まされた緊張感を維持した、素晴らしいソロ・ピアノだった。それにしても、佐藤允彦さんは超ベテランなのに、繊細な指使いを駆使する一方、山下洋輔ばりの体育会系超パワフル演奏で、めちゃくちゃ若々しいかった。凄い人だ。

暫くして、舞台下手から高田みどりさんが鈴を鳴らしながら登場。マリンバとピアノのデュオが始まる。お互いに音を探り合う感じが、ビシビシと客席に伝わってくるぞ。インタープレイというのは、こういう演奏のことをいうのか。

そして満を持して姜泰煥の登場だ。音がデカイぞ! 驚いたな。アルト・サックスなのに、図太い音が朗々と劇場空間を占拠して、一瞬にして姜泰煥の世界へ引き込まれてしまったよ。とにかく、スケールの大きさが尋常ではなかった。大地の鼓動、マグマの唸り。地球そのものが僕に語りかけているような感じだった。

ぼくは、姜泰煥さんの日本で初めて出たレコードを持っている。ずっと前から、ぜひ一度、彼の演奏を生で見たかったのだ。

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■ピアノにマリンバ、太鼓に銅鑼も打楽器だから、音は断続的に短いパッセージで連なる。ところが、姜泰煥のアルト・サックスは音が途切れることがない。まるで他の二人の対極を悠々自適に大河がとうとうとと流れる如く勝手にリードしてゆく。これが「サーキュラー・ブリージング(循環奏法)」だ。圧倒された。

今回、サーキュラー・ブリージング奏法を初めて詳細に目の前で見た。ほっぺたを膨らませたり縮めたり。じつに不思議な光景だったな。

姜泰煥さん。特殊な奏法を駆使し続けるためか、アルト・サックス管内に貯まった唾液を、何度か管を外して排していたのが印象的だった。それから、頻回にリードを交換していたぞ。他のサックス奏者では見たことがない光景だった。リードを換えることで、サックスの音色が変わるのだろうか? 

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■演奏は、ソロ、デュオ、トリオと臨機応変に自由に変化し、ファースト・セットのラストでは3人が一丸となった異様な高揚感を体感した。姜泰煥さんのこの日一番の激しい演奏で、思わず身震いしてしまったよ。あぁ、来てよかった。第二部が終わって、これでおしまいかと思ったら、思いがけずアンコール演奏をしてくれた。この曲がメチャクチャよかったのだが、なんていう曲目なんだろう?

■佐藤允彦さんも是非一度ナマで見たかったピアニストだ。今日は長年の夢が叶って本当にシアワセだ。終了後、無理を言ってサインもしてもらった。佐藤さんには持参した『YATAGARASU』「珍しいの持ってるね」って言われたけど、佐藤さんのCD・LPは、『パラジウム』など古いものしかないのです。ゴメンナサイ。

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姜泰煥さんは、座ったままサックスを演奏する。そのことは以前から知っていたから、別に驚かなかったのだけれど、胡座をかいてサックス・ソロを吹く姜泰煥さんが、おもむろに左足を伸ばした。足が吊ったのか? いや、そうじゃなかった。彼はサックスの「あさがお」を伸ばした左足の太腿に押しつけ、アルトサックスを演奏しだしたのだ。まるで、トランペッターがミュート演奏するみたいにね。でも、聴いていて音がどう変化したのか、いまひとつ判らなかった。

■エリントン楽団みたいな重層的なハーモニーを、たった一人で再現しようとした盲目のジャズマンがいた。そう、ローランド・カークだ。ソロで演奏しているのに、何本ものサックスが同時に鳴っている演奏を再現するために彼が考え出したことは、一度にサックスを3本くわえて吹けばよいということだった。

それから「サーキュラー・ブリーシング」。息継ぎせずに、延々とサックスを吹き続ける手法。この奏法を確立したのが、エリントン楽団の重鎮、ハーリー・カーネイ(バリトン・サックス)だ。その後継者が前述のローランド・カーク。ただ彼の演奏は、見世物的でグロテスクなものとして聴衆には受け取られた。

そうは言っても、息継ぎせずにサックスを吹き続けることは大変な修練と体力とテクニックが必要だ。だから、この特殊技法を完璧にマスターしたミュージシャンはそうはいない。その、数少ないジャズマンが、イギリス人のエヴァン・パーカーだった。

エヴァン・パーカーのソプラノ・サックスのソロ演奏を記録したダイレクト・カッティング盤『モノセロス』を初めて聴いた時の驚きといったらなかったな。上手くは言えないのだけれど「サーキュラー・ブリーシング奏法」に加え、ソロ演奏なのに、同時に3人も4人も演奏しているように聞こえる「マルチ・フォニック奏法」を完璧にマスターして演奏しているのだ。ほんと、たまげた。だって、一度も息継ぎせずに、30分間ソプラノ・サックスを吹き続けるんだよ。信じられないよね。

■そしたら、エヴァン・パーカーと同い年の韓国のジャズ・ミュージシャンが、遙か遠く極東の地で、誰にも知られず理解されずに、まったく同じ「奏法」を開発したのだった。それが姜泰煥だ。

彼が「この奏法」を確立するまえには、エヴァン・パーカーを聴いたことがなかったんだって。信じられないよね。でも、同じ奏法でのサックス・ソロ(エヴァン・パーカーはソプラノ・サックス、姜泰煥はアルト・サックス)でも、聞こえてくる音がぜんぜん違っているのが不思議だ。

パーカーの演奏は、良い意味でも悪い意味でも、西洋のコンテンポラリー音楽の系譜に収斂される。ところが、姜泰煥の演奏は、たとえモダンなピアニスト佐藤允彦や現代音楽の打楽器奏者の高田みどりといっしょに演奏していても、不思議とジャズは感じない。ましてや現代音楽なんて感じじゃないな。

この感じを、うまくは言えないのだけれど、ジャズとも現代音楽とも違う、アジア文化圏の音が鳴っているのだよ。佐藤允彦さんのピアノ・ソロも、努めて西洋的モダンを隠して、東洋的アジアを感じさせる演奏だった。


YouTube: Kang Tae Hwan 강태환 2013/07/14 @ Yogiga, Seoul part 1


それにしても、25年前にレコードで聴いて驚いた、姜泰煥さんの演奏テクニックは、もっともっと進化(深化)していてた。サーキュラー・ブリーシングも、ポリフォニック奏法(最先端のノイズ・ミュージックみたいにも聞こえたよ)も、必然的表現方法として、孤高の頂を極めた感じだ。目を閉じて聴いていると、風景が見えてくる。大地の息吹、荘厳な宇宙の広がり。能舞台の幽玄の世界観。

公演の終了後、姜泰煥さんの出を待って、購入したCDにサインをしてもらった。ステージ上では異様な神秘のオーラに溢れた姜泰煥さんだが、オフの場では、大阪の新世界にでもいそうな、単なる老齢の地味なオッサンだった。ミュージシャンとしての自信と自負を持っているに違いないのに、そのオーラを消し去る術を知っている人なのだな。

あらためて、その真摯で木訥とした人柄と演奏に感化されてしまったよ。

■帰りは、甲府発18:05分の普通列車松本行きに乗車。19:25分岡谷着。めちゃくちゃ寒い。走って駐車場まで。6時間経つから、さすがに有料だった。ただし、250円。偉いぞ!岡谷市。

2016年11月 3日 (木)

伊那のパパス絵本ライヴ(その126)大町市児童センター

■11月3日(木)文化の日の今日は、パパズで大町まで遠征だ。例によって、午前8時に下春日町?の「やまめ堂」へ坂本・宮脇・北原の3人が集合してから、川北町で倉科さんをピックアップ。今日は僕の運転で、マツダCX5 に皆で同乗し一路大町市へ。多忙の伊東パパは残念ながら欠席。

朝は冷え込んだけれど、秋晴れで天気も良く、約90分で「大町児童センター」に到着。ちょうど1年前に来た会場だ。何となく思い出してきたぞ(^^;; そう言えば、大町へはもっと以前にも来たことがあったな。そうそう、2009年11月23日(勤労感謝の日)だ。そうか、7年も前だったか。

その当時は家庭児童相談員だった主催者の服部さんが、今日はわざわざお土産を持って見に来てくださった。うれしかったなあ。今は中学校の図書館司書をされているとのこと。ありがとうございました。

<本日のメニュー>

1)『はじめまして』新沢としひこ(鈴木出版)

2)『どっちの てに はいってるか?』新井洋行(偕成社)→北原

3)『あかちゃん』tupera tupera(ブロンズ新社)→北原

4)『あたまがいけ』日野十成・再話、斉藤隆夫・絵(こどものとも 2014/3)

  →坂本

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5)『かごからとびだした』(アリス館)

6)『バナナじけん』高畠那生(BL出版)→宮脇

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7)『おーいかばくん』中川ひろたか・曲、あべ弘士・絵(ひさかたチャイルド)

8)『山んばあさん と むじな』いとうじゅんいち(徳間書店)→倉科

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9)『ふうせん』湯浅とんぼ(アリス館)

10)『世界中のこどもたちが』新沢としひこ・中川ひろたか(ポプラ社)

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大町市の「ゆるキャラ」おおまぴょん

カモシカが北アルプスの帽子かぶってんのね

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■終了後には、すいとん(豚汁の肉の代わりに小麦粉の団子入り。美味しくて、思わず2杯目をおかわりしたよ。)に漬け物をご馳走になったので、結構お腹もたまったのだが、1年前に来た時に満員で入れなかった『昭和軒』へ。

駅前商店街は「日曜日休み」の店ばかりなのだが、『昭和軒』は開店中。今回は無事入れた。

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■名物のソースかつ丼。とんかつは「ころも」がカリカリに硬く揚がっていて食感がたのしい。ソースは、伊那・駒ヶ根のソースかつ丼に比べて甘くなく、あっさりすっぱめ。カツをソースに潜らすのではなく、上からかけてある。

ただ、ちょっと塩っぱかったな。





2016年10月 5日 (水)

伊那のパパズ絵本ライヴ(その125)「おはなしマラソン」中野市立図書館

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■日曜日、朝8時に伊東先生の車に同乗させてもらって伊那を出発。午前10時過ぎに中野市立図書館へ到着。すでに一番手の『おはなし♡びっくりばこの演目が始まっていた。

 ・紙芝居:「タイトル不明」

 ・大型絵本:『三びきのやぎの がらがらどん』(福音館書店)

「おはなし♡びっくりばこ」は、結成13年になる男性4人+女性2人の読み聞かせグループ。地元中野市を中心に活動を続けているベテラン・チームだ。


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■続いての登場は、須坂市で活動を始めて6年になる男性2人組『でてこい!おっさんズ』。なんと、絵本の読み聞かせではなくて、狂言「柿山伏」を2人で演じてくれた。

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■最後が、われわれ「伊那のパパズ」の出番。

1)『はじめまして』新沢としひこ(すずき出版)→全員

2)『どっしーん!』ぶん・え、岩田明子(大日本図書)→伊東

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3)『あかちゃん』tupera tupera(ブロンズ新社)→北原

4)『かごからとびだした』(アリス館)→全員

5)『うさこちゃんと きゃらめる』ディック・ブルーナ著、松岡享子訳(福音館書店)→坂本

6)『うんこしりとり』tupera tupera(白泉社)→全員

7)『みんなにゴリラ』高畠那生(ポプラ社)→宮脇

8)『おーい かばくん』中川ひろたか曲、あべ弘士(ひさかたチャイルド)→全員

9)『ねこのピート だいすきなしろいくつ』エリック・リトウィン(ひさかたチャイルド)→倉科

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10)『ふうせん』湯浅とんぼ(アリス館)→全員

11)『世界中のこどもたちが』新沢としひこ・詞、中川ひろたか・曲(ポプラ社)→全員

2016年9月19日 (月)

伊那のパパズ絵本ライヴ(その124)伊那谷子育てフェス 2016 〜秋まつり〜

■1月の山梨県北杜市でのライヴ以来、じつに久しぶりの登場だ。最近は、われわれ「伊那のパパズ」にあまりオファーがないのだよ。とは言え、これからの秋〜冬シーズンは、しっかりと予定が入っているのだった。(以下参照)

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・10月2日(日)午前10時〜 中野市立図書館「おはなしマラソン お父さんたちの読み聞かせグループ大集合!」 出演:「おはなし♡びっくりばこ」「でてこい!おっさんズ」「伊那パパ's」

・11月3日(木)午前10時半〜 大町市児童館

・11月23日(水)勤労感謝の日 飯島町図書館

・12月4日(日)伊那おやこ劇場

・12月11日(日)午前11時〜 伊那市役所1階「多目的ホール」

・・・・・

■今日は、「伊那スキーリゾート」の『きのこ王国』で行われた、『伊那谷子育てフェス 2016 〜秋まつり〜』への参加。もともとタイトなタイム・スケジュールに加え、悪天候のため屋外で開催予定であった「信州プロレス」を含め、すべてレストラン会場での公演となったから大変だ。

レストランでは「肉まつり 2016 食べ放題」が同時開催中で、みんなが「わしゃわしゃガシガシ」肉を喰いまくっている、そのレストランの片隅で、イヴェントに呼ばれたアーティストが、それぞれ30分の持ち時間でライヴ公演を行ったのだった。

ぼくらの前の出演者は、ミスターポテト氏の「マジック・ショー」。流石だ。淡々と挫けずに次々とパフォーマンスを繰り出し、盛大な拍手をもらっていたぞ。

さて、われわれの出番だ!

   <本日のメニュー>

 1)『はじめまして』→全員で歌

 2)『す〜べりだい』鈴木のりたけ(PHP研究所)→伊東

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 3)『あかちゃん』tupera tupera(ブロンズ新社)→北原

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4)『うんこしりとり』tupera tupera (白泉社)→全員

5)『じゅっぴきでござる』エクトル・シエラ作(佼成出版社)→宮脇

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6)『ねこのピート だいすきな しろいくつ』エリック・リトゥイン(ひさかたチャイルド)→倉科

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7)『ふうせん』(アリス館)→全員

8)『世界中のこどもたちが』(ポプラ社)→全員

  これにて終了!

2016年1月25日 (月)

ハチドリの物語『私にできること』

■2016年1月13日(水)の信濃毎日新聞夕刊のコラム『今日の視角』。担当は落合恵子さん。ネットでは読めないので、一部転載させていただきます。

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          「ハチドリ」

 年下の友人が亡くなった。自転車にぶつけられて、その痛みがなかなかとれないと言っていたのだが、痛みの原因はほかにあったのだ。(中略)

少女の面影が残る彼女だが、口癖は「ハチドリは踏ん張るからね」。

 「ハチドリのひとしずく」の話はご存知と思う。

 森が燃えさかっていた。森の生き物たちは必死で逃げていく。自然の逃走本能が彼らを急がせる。

 しかし、クリキンディという名前の小さなハチドリだけは逃げることはなかった。クチバシに水を含んでは往復して、燃えさかる炎の上に落とすのだ。そんなことをしてもどうにもならない、と逃げることを促すほかの動物たちに、ハチドリは答える。「自分にできることをしているだけ」。彼女はこの話が好きで、自分をハチドリにたとえもした。鳥類の中でも身体が最も小さなグループであるハチドリである。

 さまざまな未決の問題が、わたしたちの目の前に山積みになっている2016年。新しい年、といった晴れやかな気分にはなれずにすでに1月は半分近くたってしまった。それでも、と彼女のきれいな遺影に手を合わせながら誓う。

 時に忍び寄る「わたしひとりがやったところで」という意識。それに自分を明け渡すことは、わたしたち自身の生存権、「自分が紛れもなく自分自身であること」を諦めることでもあるのだ、と。

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■この「ハチドリの物語」を、恥ずかしながらぼくは知らなかった。検索してみたら、『私にできること 地球の冷やしかた』(ゆっくり堂)が見つかった。この本のことを、落合恵子さんは 2005年6月1日の信毎夕刊『今日の視角』で取り上げていたのだ。

この小冊子自体を手にしてないので分からないのだが、本が出版された本来の意味は「地球温暖化防止」だったようだ。

■TBSテレビで、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』をドラマ化し、現在放送中だ。この小説は読んだ。ずしりと心に残った。調べてみたら( 2006/11/15,  11/23,  11/25 )に感想が書いてある。おぉ、ここにも落合恵子さんの「今日の視角」の話が。

この小説では、自分の意志とは関係なく、あらかじめ決められた運命を静かにただ受け入れる若者たちの諦観が描かれている。もちろん、わずかな望みに全てを託す努力はする。それがまた、あまりにも切ない。

■先だってのSMAP独立・解散騒動を見ていて、なんともやるせない気分になってしまったのだけれど、この『わたしを離さないで』や、先日観てきたお芝居『消失』のこと、それに菊地成孔氏が『時事ネタ嫌い』の「あとがき」で言っていた「炭鉱のカナリア」の話が妙にシンクロして、このところずっと暗く落ち込んでいたのだ。そうは言っても、「炭鉱のカナリア」でもあることも大切だが、ぼくも「ハチドリ」になりたい。そう思い直して、明日からまた、諦めずに生きて行こうと思いを新にするのだった。

2016年1月20日 (水)

伊那のパパズ絵本ライヴ(その123)山梨県北杜市「須玉ふれあい館ホール」

■山梨県峡北地区保育所保護者会(北杜市・韮崎市)主催「絵本ライブ☆百聞は一見に如かず! 〜絵本を通じてもっと子育てを楽しく〜」1月17日(日)午後1時半〜3時:北杜市須玉町「須玉ふれあい館ホール」

       <本日のメニュー:第一部>

 1)『はじめまして』新沢としひこ(ひさかたチャイルド)

 2)『でんしゃはうたう』三宮麻由子(福音館書店)→伊東

 3)『ぐるぐるぐるーん』のむらさやか文、サイトウマサミツ絵(こどものとも 0.1.2. 9月号)→北原

 4)『かごからとびだした』(アリス館)

 5)『かえるをのんだととさん』(福音館書店)→坂本

 6)『おーいかばくん』中川ひろたか

 7)『へんしんレストラン』あきやまただし(金の星社)→宮脇

 8)『くろずみ小太郎旅日記 その1』飯野和好(クレヨンハウス)→倉科

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      <第二部>(プロジェクターに映して読む)

 1)『たいようのおなら』(のら書房)→北原

 2)『ぼうしとったら』tuperatupera (学研)→坂本

 3)『大阪うまいもんのうた』長谷川義史

 4)『にじ』新沢としひこ、中川ひろたか

 5)『すてきな帽子屋さん』増田裕子

 6)『ぶきゃぶきゃぶー』内田麟太郎

 7)『だじゃれしょくぶつえん』中川ひろたか・文、高畠純・絵(絵本館)

 8)『ふうせん』湯浅さんぽ&中川ひろたか

 9)『世界中のこどもたちが』新沢としひこ&中川ひろたか

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■ぼく以外のメンバー4人は、前日の土曜日から山梨入りしていた。

山梨県笛吹市石和町にある「山梨英和プレストンこども園(旧・石和英和幼稚園)」で、1月16日(土)の午前中に、第122回の「絵本ライヴ」を行ってきたのだ。おつかれさまでした。

日曜日は、普段と違ってプロジェクターを使うため、歌に合わせてパワーポイントのスライドを次に変えるタイミングを、ノート・パソコンを操作しながら、あーでもない、こうでもないと、石和温泉の旅館にチェックインした後、お風呂にも行かずに、みなで2時間も練習したんだって。ほんと大変でしたね。

練習の甲斐あって、本番ではばっちり決まってましたよ。

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