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2013年10月24日 (木)

ユリイカ11月臨時増刊号『総特集 小津安二郎 生誕110年/没後50年』

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■『ユリイカ 総特集:小津安二郎』が面白い。1800円税別は確かに高いが、買って後悔はない。もう語ることなどないのかと思われていた小津だが、いやいやまだ新たな切り口はあるのだな。斉藤環の子供論、宮本明子のおじさん論、四方田犬彦の反小津論。それにやはり吉田喜重が何よりも読ませる。(昨日のツイートから)

 

■まず読んで面白いのは、何と言っても「梱包と野放し」と題された、蓮實重彦 × 青山真治 対談なのだが、蓮實氏が期待どおりの暴走と過激な発言を連発することで、昔からのファンが溜飲を下げるといった内輪受け狙いの内容に過ぎなかった。「デンマークの白熊」のことを知らなかった田中眞澄氏の挙げ足取りをして、嬉々として勝ち誇る蓮實氏の老化ぶりに、僕は正直落胆した。

 

蓮實:(前略)妙な理解はやめよう。とにかく小津を梱包しないこと、野放しにしなければいけないのです。その野放し状態の小津と、どう向き合えばよいのか。ヘルムート・ファルバーにはちゃんと向かい合い方を心得ていたのです。「変」なものを「変」だと指摘したまま、いわば放置しているからです。(p82)

 

そんなこと今さら言われたってねぇ、雑誌『リュミエール』や『監督小津安二郎』を読んで多大な影響を受けてしまったかつてのフォローワーは、困ってしまうではないですか。

 

ただ、『蓼科日記』に言及した部分で、小津が画用紙を切って作った「カード」を並べ替えながら、映画のシーンを組み建てていった事実に興味を持った。あれ? 似たような話を最近読んだばかりだぞ。そう思ったのだ。

思い出した。『演劇 vs. 映画』想田和弘(岩波書店)だ。ドキュメンタリー映画作家である想田和弘氏の映画編集の方法が「まさにそれ」だったのだ。面白いなあ。

 

■「総特集 小津安二郎」と掲げるからには、蓮實氏と対極にあった田中眞澄氏の業績にも触れなければなるまい。で、それはちゃんと載っていた。244ページだ。偉いぞ。

  「反語的振舞としての『小津安二郎全発言』」 浅利浩之

これは読み応えがあったな。

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