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2010年1月13日 (水)

映画『グラン・トリノ』

「キネ旬」ベストテンが発表になった。日本映画では西川美和監督作品『ディア・ドクター』(映画館で見たかったが未見)が、外国映画では、クリント・イーストウッド監督作品『グラン・トリノ』がベストワンになった。


何よりも残念だったことは、『グラン・トリノ』を映画館でちゃんと見れなかったことだ。松本まで見に行くつもりだったのだけれど、気が付いたら上映終了になっていた。『チェンジリング』は山形村アイシティ・シネマで見たのに。小林信彦氏も「週刊文春」のコラムで書いていたが、『グラン・トリノ』は映画館で見ないとダメだ。スクリーンと対峙して、緊張感を維持し一気に集中して鑑賞しないとダメなんだ。


ぼくは、元旦の夜にレンタルDVDで見た。その日が返却日だったからね。でも、泡盛「久米仙」のソーダ割りを飲みながら、家族が寝静まった深夜に見始めたので、途中でテレビも照明も付けっぱなしで眠ってしまった。前日から寝不足だったんだ。記憶に残っているシーンは、イーストウッドがモン族の不良グループの一人に、問答無用の圧倒的な暴力で報復した場面までだった。

気が付いたら、夜が明けていた。どうにも眠たいのでそのまま2階に上がって二度寝。再び起きたら午前9時過ぎ。しまった! TSUTAYA伊那店が開店する午前10時までに返却ポストに返さないと延滞金が発生する。慌てて映画の後半を見る。子供らは「New Super Mario Bros.Wii」を早いとこやろうとコントローラー片手にテレビの前で待ち構えている。そんな状態だったから、画面にぜんぜん集中できなかったし、ラストシーンは早送りで見てお終い。これじゃぁダメだな。


■菊地成孔氏の新しい本が出た。初めての「映画本」だ。「ユングのサウンドトラック~菊地成孔の、映画と映画音楽の本~」イースト・プレス)これは買うつもりでいた。今日の夕方、「いなっせ」1階の西澤書店新刊コーナーで「この本」を発見。中身も確認せずに、そのままレジへ直行する予定だったのだが、どうにも我慢できなくて、この本に収録されている菊池氏の『グラン・トリノ』映画評を立ち読みする。そっかぁ、やっぱりなぁ。イーストウッド自身が歌った主題歌をちゃんと聴かないと、この映画のことを語ってはいけないんだ。


そのことが確認できたので、結局「この本」は買わずに帰る。ごめんなさい。もう一度ちゃんと見よう。

■さて、最後にこの映画の「ネタバレ」をするので、未見の方は読まないように。


ぼくは映画を見ながら「まるで、小津安二郎の映画じゃん!」そう思った。だって、葬式のシーンに始まって、再び葬式のシーンで終わっているからだ。小津の映画でいうと、『秋日和』が葬式のシーンで始まる。原節子と司葉子が艶めかしい?喪服姿で登場するのだ。(いま調べたら、葬式ではなくて、七回忌の法事だったようだ。すみません)。葬式のシーンで終わるのは、言わずと知れた『東京物語』だ。正確には、葬式のあとの精進落としと、実の息子(山村聡)と実の娘(杉村春子)が東京へ帰ったあとも、戦死した次男の嫁である原節子が尾道に残って、義父の笠智衆を気遣うシーンが続くワケだが。


『グラン・トリノ』では、イーストウッドの妻の葬式の場面から始まる。葬式の特徴は、その日に家族・知人が必ず集結することにある。普段疎遠の親戚も来る。この映画では、実の息子たちとその孫娘(グラン・トリノを形見受けしようと狙っている)が、イーストウッドと仲が悪いことが直ちに観客に理解できるようにできていた。


『東京物語』でいえば、原節子の役回りが、モン族の心優しい青年タオ(北島康介にそっくり!)ということになる。彼とその姉、母親、祖母の演技が良かった。すっごく自然で。それから、とっつぁん坊やの神父さんもよかったな。イーストウッドの映画は、どれもキャスティングが絶妙だ。『チェンジリング』で言えば、殺人犯とその従兄弟。『硫黄島からの手紙』で言えば、二宮クンの友人兵士役の野崎一等兵(松崎ユウキ)かな。


好きなシーンは「床屋」の場面だ。あれはいいな。笑っちゃったよ。メチャクチャ毒舌なんだけど、信頼関係があるんだね。


それにしても、あのラストは……


そういう落とし前しかないのか? それで、アメリカ人は納得するのか? この映画は、イーストウッドの映画の中ではアメリカで一番ヒットしたという。だとすれば、アメリカは再生できるのかも。イーストウッドって、熱心な共和党支持者だよね。その彼が最後に主演する映画を『グラン・トリノ』に選んだってことが、もの凄いことだと思った。


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