今月のこの1曲「Witchi-Tai-To」 written by Jim Pepper

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■「Witchi-Tai-To」(ウィッチ・タイ・トゥ)という不思議なタイトルの曲を初めて聴いたのは、たぶん、このヤン・ガルバレクの ECM 盤『Witchi-Tai-To』B面1曲目でだったと思う。このLPでは、その次に収録された20分以上の大作「Desireless」が一番の聴き所で、あのガルバレクにまるでコルトレーンが乗り移ったかのようなスピリチュアルで熱いテナー・ソロをとっているのだ。

「Witchi-Tai-To」はその前座みたいな感じの曲で、Bobo Stenson の長いピアノソロに続いて、チャルメラのような、ヤン・ガルバレク独特のソプラノサックスがテーマを奏でる。不思議とのびのびした開放的で明るい音。これが何とも心地よいのだな。今思うと、数年後にキース・ジャレット・クァルテットの一員として録音した「マイソング」や「カントリー」に通じるものがある。

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■その次に「この曲」を聴いたのは、オレゴンのLP『冬の陽』A面2曲目でだった。3分半に満たない短い演奏だが、実に印象的なピアノソロで始まり、曲のテーマは最後の方でちょこっと出てくるだけ。だから、もっと聴いていたいのにという欲求不満が残る。 つい先だって、松本の「ほんやらどう」で日本編集の「オレゴン・ベスト盤 / MUSICA ANOSSA Oregon」の中古盤を見つけて買って帰ったのだが、これがいいんだ。大当たり! もちろん、「Witchi-Tai-To」が 12曲目に収録されている。

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■ところで、この曲のオリジナルは、Jim Pepper というテナー・サックス奏者が自ら歌ったLP『 Everything Is Everything 』に収録されている。彼にはネイティブ・アメリカンの血が流れていて、おじいちゃんから教わったネイティブ・アメリカン・チャーチ(20世紀初頭にできたネイティブ・アメリカン信仰とキリスト教信仰が合わさってできた新興宗教)の歌を元に「Witchi-Tai-To」を作ったらしいのだ。だから、まるでお坊さんのお経でも聴いているかのような意味不明の不思議な歌詞なのだね。

Witchi Tai To gim-mie rah Whoa ron-nee ka Whoa ron-nee ka Hey-ney hey-ney no wah Water spirit feelings Springin' round my head Makes me feel glad That I'm not dead

YouTube に音源がある。それは、これ。

 

オリジナルのCDは入手困難だそうだが、橋本徹氏編集のコンピ『 Cafe Apres-midi / Safran 』の 14曲目に収録されている。この前の曲が、シヴーカの「VOCE ABUSOU」で、後の曲が「バロック・ホーダウン」。さらに、アントニオ・カルロス・ジョビン「チルドレンズ・ゲーム」に、オレゴンの「YET TO BE」が続くというスグレものコンピ。 オレゴンのメンバーである、ラルフ・タウナーの12弦ギターソロ演奏もYouTube に画像があった。これだ。

<今月のこの一曲>

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